建物の減価償却費の計算方法をシミュレーションを用いて解説!

「建物の減価償却費って何?」
「減価償却費の計算方法を知りたい」
減価償却費という言葉は、日常生活では身近なものではないため、「どういった場合に使うの?」と思われる方も多いのではないでしょうか?
減価償却費は、建物の売却時の税金を計算するときに重要となる費用です。
本記事では、減価償却費の基礎知識と具体的な計算方法について解説します。
最後までお読みいただくと、減価償却費について深く理解でき、建物を売却する際の節税対策に役立ちます。
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目次
建物の減価償却とは耐用年数に分けて経費計上すること
減価償却とは、建物の取得費用を耐用年数に分けて経費として計上することです。
建物の構造や用途により耐用年数は異なり、減価償却できる年数は変わります。
建物(住宅用)の耐用年数は、以下のとおりです。
| 構造 | 耐用年数 |
| 鉄筋コンクリート造 | 47年 |
| 鉄骨造 | 19年~34年 (骨材の肉厚による) |
| 木造 | 22年 |
建物の価値減少分を耐用年数に分けて経費計上できると、所得が減り納税額を抑えられる効果があります。
建物の減価償却費の計算が必要になる2つのケース
減価償却費の計算が必要になるのは、以下のようなケースです。
- 賃貸経営による収入がある場合
- 不動産を売却する場合
賃貸経営による収入がある場合
減価償却費の計算が必要となるのが、賃貸経営による収入がある場合です。
毎年度、減価償却費を経費として計上できることで、所得金額(利益)を抑制でき節税につながります。
つまり、賃貸経営で減価償却費を経費計上できることで、課税される所得税や住民税を抑制できます。

不動産を売却する場合
減価償却費が必要となるもう一つのケースは、不動産売却時の譲渡所得(売却益)を計算するときです。
不動産を売却する時に利益(譲渡所得)があれば、譲渡所得税を納付しなければなりません。
譲渡所得を計算するための建物の取得費を計算(実額法の場合)する際に、減価償却費(建物の価値減少分)が必要になります。
つまり、取得費を計上するときに、購入時の不動産価格をそのまま使うのではなく、経過年数による建物の価値減少分を差し引いて計算します。
このように、不動産を売却する際の課税額を計算するときに、減価償却費が必要です。
建物の減価償却費を計算する2つの方法
建物の減価償却費を計算する方法には、以下の2つがあります。
- 定額法
- 定率法
定額法
定額法は、減価償却資産の金額に一定の償却率を乗じて算出方法です。
・減価償却費=償却資産金額×(定額法の)償却率
償却率は、耐用年数に応じて定められています。
定額法は、毎年同じ償却率で計算するため、年度ごとに計上する減価償却費は同じ額となります。
定率法
定率法は、未償却分の残高に対して償却率を乗じて算出する方法です。
・減価償却費=未償却残高×(定率法の)償却率
未償却残高とは、減価償却資産を取得した金額から既に計上した減価償却分を差し引いた金額のことです。
未償却の残高が毎年減少していくため、計上できる減価償却費が年を追うごとに少なくなります。
また、定率法では「償却保証額」に満たなくなると毎年減価償却費が同じになります。
参照元:定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)【国税庁】
建物の取得時期によって計算式が変わる
建物の減価償却費で注意したい点が、2007年に行われた税制改正です。
前章で紹介した計算式は、2007年4月1日以降に取得した建物に適用されるものです。
一方で、2007年3月31日以前に取得した建物については、以下の計算式を使用します。
【旧定額法】償却資産の金額×90%×旧定額法の償却率
【旧定率法】(償却資産の金額-前年度までの減価償却費の総額)×旧定率法の償却率
建物の取得時期によって(2007年4月1日前後)、計算方法が異なる点に注意しましょう。
建物の減価償却費を計算する際に必要な3つの項目
本章で、建物の減価償却費を計算するときに必要なものをご紹介します。
建物の取得費
建物の取得費とは、購入当時の金額です。
売買契約書や振り込み書の控えなど、購入当時の金額を証明できるものがあれば、建物の取得費として使えます。
取得費の内訳が不明な場合の計算方法
取得費が不明な場合は、譲渡収入金額の5%相当額を取得費として計上できます。
建物の取得費=「譲渡収入金額(土地建物の売却代金や固定資産税等の清算金)×5%」
建物の取得費に含めない費用
建物の取得費に含めない主な費用は、以下のとおりです。
- ローンの借入金利(使用開始日以降の期間に対応する利息)
- 保証料(使用開始日以降の期間に対応する保証料)
- 団体信用生命保険料
- 火災保険料
- 管理費や修繕積立金
建物の耐用年数
先述でも紹介していますが、建物の法定耐用年数(住宅用)は以下のとおりです。
| 構造 | 耐用年数 |
| 木造 | 22年 |
| 木造モルタル | 20年 |
| 鉄骨造(骨格材の肉厚が3㎜以下) | 19年 |
| 鉄骨造(骨格材の肉厚が3㎜超4㎜以下) | 27年 |
| 鉄骨造(骨格材の肉厚が4㎜超) | 34年 |
| 鉄骨鉄筋・鉄筋コンクリート造 | 47年 |
償却率(定額法)
減価償却費の計算で用いる償却率(定額法)は、以下のとおりです。
※平成19年4月1日以降に取得した場合
| 構造 | 償却率 |
| 木造 | 0.046 |
| 木造モルタル | 0.050 |
| 鉄骨造(骨格材の肉厚が3㎜以下) | 0.053 |
| 鉄骨造(骨格材の肉厚が3㎜超4㎜以下) | 0.038 |
| 鉄骨造(骨格材の肉厚が4㎜超) | 0.030 |
| 鉄筋コンクリート造 | 0.022 |
参照元:減価償却資産の償却率等表|国税庁
【ケース別】建物の減価償却費の計算シミュレーション
では、実際に建物の減価償却費を計算してみましょう。
以下3つのケースでシミュレーションしていきます。
賃貸物件を売却する場合
2008年5月に4,000万円(土地1,200万円、建物2,800万円)で購入した賃貸マンション(鉄筋コンクリート造)を2020年1月に5,000万円で譲渡した場合の減価償却費
大前提として、土地は減価償却しない資産であるため、対象となるのは建物代金の2,800万円です。
(2008年の減価償却)2,800万円×0.022×8/12=410,666円
(2009年~2019年の減価償却)2,800万円×0.022×11(年)=6,776,000円
(2020年の減価償却)2,800万円×0.022×1/12=51,333円
減価償却費=410,666円+6,776,000円+51,333円=7,237,999円
この場合の減価償却費は、約723万円と算出できます。
新築で建てた家を売却する場合
2020年1月に5,000万円(土地2,000万円、建物3,000万円)で建てた新築マイホーム(木造)を2024年10月に売却する場合の減価償却費
3,000万円×0.031×5(年)=4,650,000円
※2020年1月から2024年10月までの経過年数は4年9か月。所有期間の計算上、6か月以上の端数は1年と計算するため5年となります
この場合の減価償却費は、約465万円と算出できます。
中古で購入した家を売却する場合
中古で購入した家を売却する場合も、新築で家を売却するときと同様に計算できます。
よって、2020年1月に中古で購入したマイホーム(木造)を2024年10月に売却したときの減価償却費は、同様に465万円と算出できます。
まとめ
本記事では、建物の減価償却費について解説しました。
減価償却費は、不動産売却時に建物の取得費を求めるときに必要となるものです。
また、賃貸経営で家賃収益があれば、毎年、減価償却費を経費として計上することで、所得税の軽減につながります。
不動産を売却する時に減価償却費の計算ができると、譲渡所得の有無やおよその課税金額がわかるため、大まかな計算はできたほうがよいでしょう。
ただし、減価償却や不動産関連の税負担についての詳細は、税理士など専門家への相談がおすすめです。
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