不動産投資の税金

サブリース法人で上手に節税する方法

投稿日:2017年11月11日 更新日:

不動産から多くの収入が得られるようになった投資家にとって、「節税」というのは永遠のテーマではないでしょうか。

その節税の手段のひとつとして挙げられるのが、「資産管理会社(サブリース法人)」と呼ばれる法人を設立することです。

なぜ法人を設立することが節税につながるのか、これから詳しく説明いたしましょう。

サブリース法人節税とは?

不動産投資において、家賃収入を管理する目的で会社を設立することがあります。

それを、資産管理会社といいます。不動産を法人名義で所有または管理することで、法人としてのさまざまな優遇を受けることが可能になります。

その結果、よりスムーズに不動産投資の規模拡大を図れるようになるのです。

活用の仕方によって、資産管理会社はつぎの3つに分類されます。

  1. 所有方式
  2. サブリース方式
  3. 管理会社方式

資産管理会社は各方式でどのように利用されているのでしょう。


所有方式


管理会社方式


各方式の資産管理会社が収益不動産との関係を、つぎの表にまとめました。

資産管理会社の種類 仕組み
①所有方式 法人名義でアパートやマンションを購入し、経営するというもの。不動産投資を、個人名義ではなく法人名義で行うという、とても分かり易い仕組みになっている。
②サブリース方式 個人で購入したアパート1棟を、設立した資産管理法人が一括して借り上げ、個人が資産管理会社から賃貸料を受け取るという仕組み。
③管理会社方式 資産管理会社に個人で所有するアパート・マンションの管理を委託する形式。

いずれの資産管理会社も、節税を目的として設立されることになりますが、ここでは、②のサブリース方式を利用した節税の仕組みについて考えてみることにします。


サブリース方式

サブリース法人が節税になる仕組み

「サブリース」とはどのようなものか、簡単に説明いたしましょう。

一般的なサブリース会社は、満室時の80%ほどの賃料で、アパートやマンションのオーナーから物件を1棟まるごと借り受けます(サブリース)。

物件を借り受けたサブリース法人は、それを入居者に転貸(また貸し)します。そして、入居者から得られる家賃収入とオーナーに支払うリース料の差額を、サブリース法人の利益としているわけです。

しかし、個人で設立したサブリース方式の資産管理会社は、「満室時」の80%ではなく「現家賃」の一定割合をオーナーに支払うという点において、一般的なサブリース法人とは異なります。

それは、個人が得ていた家賃収入の一部を確実にサブリース法人に移す必要があるためです。

下図は、サブリース法人の事業スキームを表したものです。サブリース法人が節税目的で設立された資産管理会社である場合、収入の一部をサブリース法人に残す必要があるため、入居者からの家賃=リース料+αということになります。

このようにして、これまで個人で得ていた家賃収入の一部を法人に移すことによって税金の額を圧縮することが、サブリース法人設立の目的ということになります。

法人に収入の一部を移せば個人の収入が減ることになり、個人に課せられる所得税の額を抑えることができます。法人に移した分の所得に課せられる法人税の税率が、個人に課せられる所得税の税率より低ければ、トータルでの納税額を減らせられるという仕組みです。

サブリース法人の節税効果

サブリース法人を設立することでどの程度の節税効果が見込めるのか、考えてみることにしましょう。

サブリース法人を設立して、個人として得ている家賃収入の20%を管理委託料としてサブリース法人に支払った場合の納税額は、つぎのようになります。

「サブリース法人を利用した場合の税額」は、法人の全売上を収入を得ていない配偶者に給与として支払うものとして算出しています。

給与所得 不動産所得 個人のみの税額 サブリース法人を利用した場合の税額 差額
0 500万円 107万2,500円 84万2,500円 23万円
1,000万円 276万4,000円 251万2,000円 25万円2,000円
2,000万円 720万4,000円 584万8,500円 135万円5,500円
500万円 500万円 286万9,000円 245万9,000円 41万円
1,000万円 526万9,000円 456万2,000円 70万円7,000円
2,000万円 1,055万9,000円 886万3,500円 169万5,500円
1000万円 500万円 501万9,000円 460万9,000円 41万円
1,000万円 755万9,000円 671万2,000円 84万円7,000円
2,000万円 1,305万9,000円 1,136万3,500円 169万5,500円

このように、サブリース法人を活用することで約10~15%の節税効果が期待できます。

税率差

資産管理法人を設立することによって得られるメリットはこれだけではありません。

たとえば、

  • 生命保険での節税
  • 小規模共済での節税
  • 健康保険料の削減(個人事業主の場合)

などもメリットとして挙げられます。

サブリース法人のメリットとデメリット

サブリース方式の資産管理会社のメリットは、所有方式の資産管理会社よりも手軽に運営できること。

その一方で、所有方式より手軽な運営が可能な分、節税効果では所有方式に劣るということがあります。

つぎの表は、資産管理会社の所有方式ごと特徴をまとめたものです。

資産管理会社の種類 手軽さ 節税効果
所有方式
サブリース方式
管理会社方式

ただ、相場より著しく安い賃料でサブリースすると、税務署に同族会社への利益移転とみなされる恐れがあります。

サブリース料の設定は、相場とされている入居者から得られる家賃の20%前後に設定するのが無難でしょう。

つぎに、所有方式と管理会社方式を含めた資産管理会社設立のメリットとデメリットをご紹介します。

資産管理会社を設立することで得られる主なメリットとデメリットは、つぎのようになっています。

メリット
  • 高い節税効果
  • 経費枠の拡大
  • 所得の分散
デメリット
  • 設立費用が発生する
  • 法人住民税の均等割

それぞれについて、説明いたしましょう。まずは、メリットからです。

サブリース法人設立のメリット

高い節税対策

「サブリース法人が節税になる仕組み」の章にて触れましたが、節税には個人と法人との間の税率差の利用が欠かせません。現在の日本においては、個人の所得税は増税傾向になっている一方、法人税については減税傾向になっています。

そして、今後もこの傾向が続くと考えられます。その税率差をうまく活用することが、賢い節税のポイントになるのです。

経費枠の拡大

法人を設立すると、個人事業主では認められなかったものも経費として認められるようになります。

所得の分散

設立した法人の役員に所得の少ない配偶者や子供を起用して報酬や給与を支払うことで、1人に集中していた所得を家族に分散させることが可能になります。

会社が支払う給与は経費として計上することができ、受け取る側も給与所得控除を受けられます。収入に占める経費の割合が多くなり控除額も増えることになりため、節税につながるというわけです。

「所得がない、または少ない家族に給与を支払う」というのが、大きな節税効果を上げるポイントになります。

所得分散

サブリース法人設立のデメリット

つぎに、資産管理会社を設立した場合のデメリットをご紹介します。

設立費用が発生する

会社を設立するには費用が掛かります。株式会社の設立には25万円ほど、合同会社の設立にも15万円ほどの費用が発生します。また、税理士への報酬も年間30~50万円ほど必要になります。

法人住民税の均等割

法人地方税は、所得から算出された法人税額に住民税率を乗じた「法人税割」と、法人の資本金などによって決定される「均等割」とで構成されています。

均等割については法人の収益に関係なく課せられるため、赤字であっても均等割相当分の7万円については、毎年納める必要があります。

既にお気付きの人もいると思いますが、上記の費用を上回る節税効果が期待できない限り、法人を設立してもメリットはないということになります。

必ずしも「法人設立=節税」ではないということを理解しておく必要があります。

設立費用

所有権も移動する方法もある

さらに高い節税効果が期待できる資産管理会社の方式に、所有方式があります。

そこで、資産管理会社を所有方式にするために、アパートやマンションの所有権を法人名義に移転するということも選択肢のひとつになることでしょう。

所有方式では、収益物件を資産管理会社が所有することで家賃収入の全額を資産管理会社が受け取ります。

そうすることで、家賃収入の全額を個人の所得税率より低い税率が設定された法人税の課税対象とすることができるため、高い節税効果が期待できるのです。

また、家賃収入の一部を所得がない配偶者が報酬として受け取れば給与所得控除も受けられ、さらなる節税も可能に。

所有権

とはいえ、所有権を法人に移すための所有権移転登記には費用が掛かります。土地の名義は個人のままにして建物のみ法人名義に変更することで、登記費用を安く抑えることができますが、その場合には注意すべき点も。

建物のみ法人名義にした場合、土地は借地ということになります。

そのため、個人と法人との間で土地に関する賃貸借契約を結ばなければならないということになります。法人の設立と同様、法人に所有権を移転することで節税できるかどうかは、登記費用なども含めた総合的な判断が求められることになります。

つぎに示すのは、個人に課せられる所得税率と法人税率を表したものです。

ここで、自分に課せられている所得税の税率を確認してみることにしましょう。この作業によって、そもそも法人を設立することで節税できるのか、節税できるとしたらどの程度の収入を法人に移すべきなのかということが分かってきます。

個人の税率(所得税率+住民税率)

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

法人の税率(法人税率+住民税率+事業税率)

課税される所得金額 税率
400万円以下 21.42%
400万円超800万円以下 23.20%
800万円超 34.33%

上の表からは、所得税率と法人税率が逆転するポイントは、所得額にして700~900万円程度であることが分かります。

つまり、課税対象となる所得が700~900万円以上ある人は、法人化して所得の一部を法人に移すことで節税できる可能性があるということになります。

所得が800万円の人を例に計算してみましょう。

800万円のうち105万円の所得を法人に移し、個人の所得が695万円に減ったとします。その結果、法人に移した105万円の所得には21.42%の税率が、個人の所得とした695万円には20%の税率が課せられることになります。

個人と法人に課せられるトータルの税額は、つぎのとおりです。

所得税+法人税=695万円×20%(139万円)+105万円×21.42%(22万4,910円)=161万4,910円

一方で、法人への所得の移転を行わない場合の所得税額を計算してみると、つぎのようになります。

所得税=800万円×23%=184万円

つまり、単純計算ではあるものの、年間20万円以上の節税ができるということになります。

さらに一歩踏み込んで考察を続けてみましょう。

考察1 - なぜ法人の所得を105万円としたのか?

それには根拠があります。法人の所得を200万円とした場合の個人と法人の合計税額は、つぎのようになります。

所得税+法人税=600万円×20%(120万円)+200万円×21.42%(42万8,200円)=162万8,200円

このように、法人の所得を105万円とした場合に比べて、わずかではありますが税額が増えてしまうのです。

個人の所得を減らすことで、税率が23%から20%に下がります。この20%という所得税の税率は法人税の税率よりも低くなるため、個人の所得をこの税率が適用されるギリギリの額に収めるようにします。

それによって、最大限の節税効果が得られるようになるのです。

節税ポイント

考察2 - 資産管理会社の方式を検討

法人を利用して所得が800万円の人が節税するには、105万円の所得を法人に移す必要があります。

所有方式を採用して、105万円の家賃収入を法人に移すのもよいですが、この程度の金額であればそれ以外の方式の採用も考えられます。サブリース方式と管理会社方式、それぞれについて検討してみましょう。

サブリース方式の場合

家賃収入の20%を法人に移すことを目安とするサブリース方式を用いる場合、105万円の所得を法人に移すには525万円の家賃収入が必要になります。

管理会社方式の場合

一方、家賃収入の5~10%が法人の収入(管理委託費)となる管理会社方式が105万円の収入を得るには、最低でも1,050万円の家賃収入が必要になります。家賃収入だけで1,000万円以上あるにもかかわらず、所得が800万円しかないというのは矛盾してしまいます。

つまり、所有方式以外で検討するのであれば、サブリース方式を採用することになります。

資産管理会社を立ち上げたらどの方式を採用すべきか?それは、それぞれの所得や不動産所得をもとに判断することになります。

法人の設立を検討している人は、そもそも法人を設立する必要があるのかどうかも含めて、自分自身でいちどシミュレーションしてみることをおすすめします。

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もりお@不動産投資の森編集部

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