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建物の減価償却費の計算方法をシミュレーションを用いて解説!

投稿日:2024年11月1日 更新日:

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「建物の減価償却費って何?」

「減価償却費の計算方法を知りたい」

建物の減価償却費は、日常生活では身近なものではなく「これって何?」と思う人は多いのではないでしょうか?

実際、建物の減価償却費の計算は、売却時の節税対策等で重要です。

本記事では、建物の減価償却費について基礎的な部分と具体的な計算方法について解説します。

最後までお読みいただくと、減価償却全般について深く理解できます。

建物の減価償却とは耐用年数に分けて経費計上すること

減価償却とは、建物の耐用年数に分けて経費計上することです。

建物の構造や用途により、減価償却できる年数は変わります。

住宅用の減価償却資産耐用年数は、以下のとおりです。

構造 耐用年数
鉄筋コンクリート造 47年
金属造 19年~34年(骨格材の肉厚により変わる)
木造 22年

つまり、建物価値減少分を耐用年数に分けて経費計上できると、納税額を抑えられる効果があります。

建物の減価償却費の計算が必要になる2つのケース

減価償却費の計算が必要なのは、以下のようなケースです。

  1. 賃貸経営による収入がある場合
  2. 不動産を売却をする場合

賃貸経営による収入がある場合

賃貸経営による収入がある場合です。

減価償却費を経費計上できることで収入金額を抑制でき、節税につながります。

賃貸経営で減価償却費を経費計上できることで、所得税や住民税を抑制できます。

不動産を売却をする場合

不動産売却時の譲渡所得(売却益)を計算するときです。

不動産売却時で売却益があれば確定申告して譲渡所得税を納付する義務がありますが、譲渡所得を計算する過程で取得費計算(実額法の場合)するときに用います。

買ったときの不動産価格がそのまま使えるわけではなく、年数経過による建物価値減少分を差し引きます。

よって、不動産売却の譲渡所得計算で実額法を用いるときには、減価償却費の計算が必要です。

建物の減価償却費を計算する2つの方法

建物の減価償却費を計算するには、以下2つの方法があります。

  1. 実額法
  2. 定率法

定額法

定額法は、減価償却資産の金額に一定の償却率をかけて求める方法です。

償却率は、耐用年数により定められています。

・減価償却費=償却資産金額×(定額法の)償却率

定額法は同じ償却率で計算するため、計上する減価償却費は毎年定額です。

定率法

定率法は、未償却分の残高に対して償却率をかける計算方法です。

未償却分の残高とは、減価償却資産を取得した金額から既に計上した減価償却分を差し引いた金額のことです。

未償却の残高が毎年減少していくため、計上できる減価償却費が年を追うごとに少なくなります。

・減価償却費=未償却残高×(定率法の)償却率

また、定率法では「償却保証額」に満たなくなると毎年減価償却費が同じになります。

詳しくは、国税庁のホームページをご参照ください。

参照:定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)【国税庁】

建物の取得時期によって計算式が変わる

建物の減価償却費の計算で注意したいのが、2007年の税制改正です。

前章で紹介した計算式は、2007年4月1日以降に取得した建物に適用できるものとなります。

一方で、2007年3月31日以前に取得した建物については、以下の計算式を使用します。

【旧定額法】償却資産の金額×90%×旧定額法の償却率

【旧定率法】(償却資産の金額-前年度までの減価償却費の総額)×旧定率法の償却率

建物の取得時期が2007年4月1日前後で計算方法が異なることに注意しましょう。

建物の減価償却費を計算をする際に必要な3つの項目

本章で、建物の減価償却費を計算するときに必要なものをご紹介します。

建物の取得費用

建物の取得費用とは、購入当時の金額です。

売買契約書や振り込み書の控えなど、購入当時の金額を証明できるものであれば建物の取得費用として使えます。

取得費用の内訳が不明な場合の計算方法

取得費用の内訳が不明な場合は、譲渡収入金額の5%を取得費として計上できます

「譲渡収入金額(土地建物の売却代金や固定資産税等の清算金)×5%」

建物の取得費用に含めなくてよい費用

建物の取得費用に含めなくてもよい主な費用は、以下のとおりです。

  1. ローンの借入金利(使用開始日以降の期間に対応する利息)
  2. 保証料(使用開始日以降の期間に対応する保証料)
  3. 団体信用生命保険料
  4. 火災保険料
  5. 管理費や修繕積立金

建物の耐用年数

先述でも紹介していますが、建物の法定耐用年数は以下のとおりです。

構造 耐用年数
木造モルタル 30年
木造 33年
鉄骨造(骨格材の肉厚が3㎜以下) 28年
鉄骨造(骨格材の肉厚が3㎜超4㎜以下) 40年
鉄骨造(骨格材の肉厚が4㎜超) 51年
鉄筋コンクリート造 70年

参照:耐用年数(建物/建物附属設備)【国税庁】

償却率

減価償却費の計算で用いる償却率は以下のとおりです。

構造 償却率
木造モルタル 0.034
木造 0.031
鉄骨造(骨格材の肉厚が3㎜以下) 0.036
鉄骨造(骨格材の肉厚が3㎜超4㎜以下) 0.025
鉄骨造(骨格材の肉厚が4㎜超) 0.020
鉄筋コンクリート造 0.015

参照:減価償却資産の償却率等表【国税庁】

【ケース別】建物の減価償却費の計算シミュレーション

本章で、実際に建物の減価償却費を計算してみましょう。

以下3つのケースにてシミュレーションしていきます。

賃貸物件を売却する場合

2008年5月に4,000万円(土地1,200万円、建物2,800万円)で購入した賃貸マンションを2020年1月に5,000万円で譲渡した場合の減価償却費は?

(2008年減価償却)2,800万円×0.022×8/12=410,666円
(2009年~2019年の減価償却)2,800万円×0.022×11(年)=6,776,000円
(2020年減価償却)2,800万円×0.022×1/12=51,333円

減価償却費=410,666円+6,776,000円+51,333円=7,237,999円

この場合の減価償却費は、約723万円と算出できます。

新築で建てた家を売却する場合

2020年1月に5,000万円(土地2,000万円、建物3,000万円)で建てた新築マイホーム(木造)を2024年10月に売却する場合の減価償却費は?

3,000万円×0.031×5(年)=4,650,000円
※2020年1月から2024年10月までの経過年数は4年9か月。計算上6か月以上の端数は1年と計算するため5年となる

この場合の減価償却費は、約465万円と算出できます。

中古で購入した家を売却する場合

中古で購入した家を売却する場合も、新築で家を売却するときと同様に計算できます

よって、2020年1月に中古で購入したマイホーム目的の木造住宅を2024年10月に売却したときの減価償却費は、同様に465万円と算出できます。

まとめ

本記事では、建物の減価償却費について解説しました。

減価償却費は、不動産売却時に建物の現在価値を求めるときに必ず必要なものです。

また、賃貸物件経営で賃料収入があれば、経費計上できることで税負担の抑制にもつながります。

不動産売却時に減価償却費を計算できると、譲渡所得の有無についてや税負担のおおよその金額がわかるので、簡単な計算はできたほうがよいでしょう。

なお、減価償却や不動産関連の税負担については、税理士などへの相談がおすすめです。

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