こんにちは。仙台で小さなアパートを経営しているhayasakaです。
先頃、金融庁から「老後は年金の他に2000万円必要」との試算が出され、批判が相次いでいます。
しかし実際、20年、30年後は、年金だけで安心で豊かな老後を過ごすのは難しくなるのは避けられないようです。
つまり、批判しているだけでは悲惨な老後にまっしぐらということ。
自ら資産を作る「自助努力」が必要な時代になって行くのは、間違いないでしょう。
しかし、若い世代にとって「100万円貯めるのさえ難しいのに、2000万円なんて夢のまた夢」と感じるのは無理もありません。
確かに、普通の勤労者が現役時代の貯蓄だけで2000万円の資産を作るのは至難の業のはず。
また、株や為替などへの投資にはリスクがつきものです。
儲かるときは儲かるものの、失敗すれば逆に莫大な借金を背負うことにもなりかねません。
比較的安全性が高いと言われる投資信託や積立NISAでさえ、損することは珍しくないのが現実なのです。
このような投資の現実を俯瞰した時に、やはりお勧めできるのは不動産投資です。
もちろん、「自己資金0円での投資」など、やり方を間違えれば大損してしまう恐れがあるのは事実です。
しかし、きちんと準備し、ポイントを抑えた不動産投資を行えば、普通のサラリーマンでも充分に2000万円以上の資産を作ることは可能なのです。
ただし、不動産投資にもいくつかのリスクがあります。
中でも、入居者が埋まらない「空室リスク」は代表的なリスクのひとつ。
建物が古くなるにつれ、空室率も年々悪化して行くものなのです。
しかしながら、それは決して不可抗力でも運次第でもありません。
対抗策を実行することで空室率悪化に歯止めをかけることは可能なのです。
今回は、長期安定経営を実現するための空室対策について学んで行きましょう。
目次
空室対策の基礎知識
なぜ空室が発生する?
賃貸住宅に空室が発生する要因としてまず挙げられるのが「賃貸住宅の過剰供給」。
平成25年のデータで、総世帯数約5000万戸に対し、住宅総数が6000万戸もあるのです。
つまり、実際の世帯数よりも住宅の数が1000万戸も多いわけです。
需要を上回る住宅が供給されているわけですから、空室が生じるのは当然。
しかも、2015年に相続税の基礎控除が縮小された結果、相続税対策としてアパートなどの賃貸住宅を建てる地主さんが一気に増えたことも、賃貸住宅の過剰供給に拍車をかけてきました。
さらに、日本は2008年をピークに人口減少に突入しており、賃貸住宅を必要とする若者世代が年々減少しています。
この結果、賃貸住宅は益々だぶつく状況が進んでおり、今後も条件の悪い物件から空室率の悪化が進むと見られます。
空室が出やすい物件とは
その地域の空室率が30%だとした場合、すべての賃貸住宅が一律に30%ずつの空室率になっているわけではありません。
満室のところもあれば、半分が空室という物件もあるのが普通です。
つまり、空室を出しやすい物件と出しにくい物件とがあり、次のような物件は空室を出しやすいと言えます。
- 若者が少ないエリア
賃貸住宅の需要家である若者が少ない、あるいは、若者の流出が続いているようなエリアは空室率悪化が強く懸念されます。 - 駅から遠い物件
賃貸住宅がだぶついてくると、駅から遠い物件ほど敬遠されます。 - 築古物件
築年数が古く、建物や間取り、設備が古くなった物件も敬遠されやすくなります。 - 環境の悪い物件
工場地帯で騒音や悪臭がする、お墓やごみ屋敷がある、治安が悪いといった環境の悪い物件も借り手が見つかりにくくなります。
賃貸物件が少ない時代は、入居者の方も少々のことは我慢して入居してくれましたが、これからはそうは行きません。
条件の悪い物件には目もくれない時代になるはずです。
従って、このような物件への投資は、どんなに安くても避けることが鉄則になってきます。
手軽で効果的な空室対策
次の入居者を速やかに埋める対策6選
空室対策で最も効果的なのは、リノベーションやリフォームです。
古くなった建物や間取り、設備を新築並みに一新すれば空室率は一挙に改善できます。
しかし、そのためには1000万円単位の費用が発生するので、よほどの資金力がない限り現実的ではありません。
ここでは、お金をかけずに次の入居者を埋める方法をいくつか紹介しましょう。
礼金・敷金無料(ゼロゼロ物件)
入居者は大体2年半~3年間住むと言われます。
従って、家賃を5000円引き下げると36カ月では18万円も収入が減ることになります。
つまり、家賃を下げるぐらいなら、礼金・敷金を無料にした方が収益悪化を抑えられるわけです。
まずは礼金・敷金0円、いわゆるゼロゼロ物件として打ち出してみましょう。
検索サイトなどで「ゼロゼロ物件」としてヒットするようになります。
若者層にとっては、非常に大きな金額になる初期費用を抑えられるのは、極めて大きな魅力です。
フリーレントを付ける
同様に、無料で入居できる期間を設ける「フリーレント」というのも有効な方法です。
1度入居すれば、2年半から3年間住んでもらえるわけですから、1・2カ月程度の家賃を放棄したからといって痛くもかゆくもありません。
入居希望者が同じような物件で迷っている場合、有効な差別化策になるため、家余り時代には有効な方法と言えます。
検索サイトではじかれない家賃設定
今では賃貸物件は検索サイト経由で探すケースが殆どです。
従って、例えば家賃61,000円・共益費2,000円の物件なら、家賃60,000円・共益費3,000円に設定した方がヒットしやすくなります。
検索者が「家賃60,000円以下」と設定した場合に、はじかれなくなるからです。
また、59,000円にすると5万円台になるので、6万円台よりも割安感を演出できます。
1000円安くしただけで印象が大きく違ってくるので、実行してみる価値はあります。
最新設備への更新(プロパンガス会社の活用も)
大規模なリノベーションやリフォームは難しくても、エアコンを更新したり、シャワートイレやカメラ付インターホンに変更したりといった工事なら比較的手軽な費用で魅力度アップができます。
また、プロパンガスを使用している物件なら、プロパンガス会社に協力要請してみる方法もあります。
プロパンガス会社の切り替えを条件に、上記のような設備を付けてもらえないか相談すると、協力してくれる可能性があります。
多少の設備費を負担してでも、アパート全体のガス供給を確保した方が有益だからです。
また、空室が出ることはガス会社にとっても収入ダウンになるため、空室を発生させないための設備を付けることはガス会社のメリットでもあるわけです。
家具や小物をセットして内見&プレゼント
分譲マンションのモデルルームが魅力的なのは、家具やインテリアが美しくコーディネイトしてあるから。
もしも、単なるがらんどうの空間なら見学者の購入意欲は刺激されないはずです。
同様に、賃貸物件の内見でもそのまま見せるのではなく、家具や小物をセットしてアピールすれば魅力度はさらにアップします。
ちょっとお洒落な鏡や小物入れ、インテリア雑貨など数万円分をセットしておき、内見者にそのままプレゼントするというスタイルを取れば、成約率アップが期待できます。
管理会社の担当者変更
管理会社の担当者は、同時にいくつもの物件を管理しています。
このため、担当者によってはあまり親身になって取り組んでいない物件も出てきがち。
特に「あまり口やかましく言わない大家さん」に対しては手を抜くというケースが考えられます。
本来、空室が発生したらこの記事で紹介しているような空室対策は管理会社から提案すべきこと。
もしも、空室が発生しているのに何ら提案してこなかったら、管理会社に担当者の変更を申し出るべきです。
「空室対策の提案が何もない」ということに不満を示し、管理会社としての管理責任を問うのです。
信頼できる管理会社なら、これだけで姿勢が変わるのが普通です。
次の担当者には「空室対策を徹底するように」と引き継がれ、優先的に取り扱ってくれる可能性が高まります。
管理会社を切り替えるのは、大家さんにとっても何かと大変ですが、担当者を変更するだけなら電話一本で済むことです。
筆者もこの方法で一時37.5%に達した空室率を一挙に満室に持って行くことに成功しました。
大家さん稼業では「物わかりの良い大家さん」ではなく「口うるさい大家さん」を演じることが鉄則なのです。
短期退去者を減らす対策2選
せっかく入居してもらったにも関わらず、1年ぐらいで退去されたのでは、年がら年中空室対策に悩まされることになります。
従って、一度入居してもらったら、できるだけ長く住み続けてもらえるよう努力していく事も、空室率を悪化させないポイントになります。
不良入居者の退去
短期間に退去してしまう方の理由で多いのが「住んでみて感じた環境への不満」です。
その多くは大家さんにはなんともできないものばかりですが、唯一できるのが不良入居者の退去。
つまり、共用部を汚す、夜中に騒ぐ、ごみ出しなどのルールを守らない、ガラの悪い人間が出入りするといった問題を引き起こす入居者に出て行ってもらうことです。
入居者審査を厳しくしてもらっても、実際に住んだら不良入居者だったということはあり得るので、そのような事態を回避する意味で「定期借家契約」を結ぶようにします。
たとえば、1年の定期借家契約としておけば、入居後1年で契約を終了でき、出て行ってもらうことができます。
他の入居者の不満の原因だった不良入居者を退去させることで、優良な入居者に長く住んでもらえるようになります。
長期入居者の設備更新
エアコンや便座、インターホンなどの交換は、一般に退去時に行われます。
このため、長く住んでいる入居者ほど、壊れない限り古い設備を使い続けてもらうことになりがち。
しかし、これは少々大家さんの怠慢と言わざるを得ません。
長く住んでもらっているということは、それだけ募集費用などのコストが浮いているわけですから、積極的に長期入居者に還元すべきです。
単純な便座をシャワートイレに交換したり、玄関チャイムをカメラ付インターホンに替えたりといった設備更新なら入居中でも可能です(もちろん、入居者の同意は必要ですが)。
長く住んでいる入居者には積極的に設備更新を行い、満足度を引き上げることが有効です。
また、設備が新しければ次の入居者付けもしやすくなるので、生きたコストと言えます。
注意が必要な空室対策
事前の準備が欠かせない空室対策
空室対策というキーワードでネット検索すると、この他にもいくつかの方法が紹介されています。
ただし、事前の準備も対策もないまま安易に実施すると、少々リスキーな空室対策も散見されます。
いくつか見て行きましょう。
外国人
外国人労働者や留学生が増えていることから、外国人も有望なターゲットだとの意見も見られるようになりました。
その理由は
- 入居者が入居者を呼ぶ
- 一度入ったら長く住んでくれる
- 比較的高い家賃を設定できる
といったもの。
確かにそのような一面もありますが、逆に生活習慣の違いから、騒音やごみ出しのトラブル、転賃借(又貸し)、部屋の無断改造など、日本人では考えられない問題を引き起こすことが指摘されています。
特に連帯保証人という制度を外国人に理解してもらい、保証人を付けてもらうことは簡単ではありません。
また、外国人が外国人を呼びこむことで、逆に日本人が近寄りがたくなる弊害も考えられます。
違法滞在などで突然退去される心配も否めません。
もしも外国人の入居者を受け入れるなら、外国人専用の保証会社の利用や、外国人に強い仲介会社に依頼するなど、しっかりとした準備が必要です。
「外国人が増えてきたから、外国人に貸してもいいかな…」といった軽い気持ちで受け入れるのは大ヤケドのもとです。
高齢者
民間のアパートでは高齢者の受け入れに難色を示すケースが多いという現実があります。
それは、認知症などにより火事やガス漏れ等が不安なことや、ごみ屋敷化、孤独死などのリスクを回避したい大家さんが多いためです。
そこで、高齢者でも受け入れることにすれば、超貸し手市場だけに空室は簡単に埋まるという発想です。
しかも、高齢者を受け入れる物件が少ないことから、一旦入居したら長く住んでくれるのもメリットだと言います。
半面、高齢者が多いアパートには若者は寄り付かなくなります。
万が一「事故物件」(孤独死が長く発見されなかったケース)になってしまうと、その後処理は大変です。
その後の入居者探しにも苦労する懸念もあります。
高齢者を受け入れるなら、保証会社の利用や見守りサービスの利用といった高齢者対策をしっかりとった上で受け入れるようにしましょう。
特化型アパート
競合アパートとの差別化のために「ペット可のアパート」や「楽器OK」「DIY(改装)OK」といった特定のターゲットに絞り込んだアパートとしての打ち出しを行う方法もあります。
想定しているターゲットが十分に見込まれるエリアなら、そのような打ち出し方はあり得ます。
しかし、最初から特化型アパートとしてスタートしたのならいざ知らず、空室が出たから急に「ペット可」などに変更するというのは少々乱暴な発想です。
既存の入居者や近隣からクレームが発生する危険性があります。
最悪の場合、引っ越さざるを得ないので補償してほしいといったトラブルに発展する可能性もあり得ます。
まとめ
賃貸経営のカギを握ると言ってもいい空室対策。
人口減少・家余り現象が加速して行くこれからは、条件の悪い物件ほど空室率が悪化して行くことが懸念されます。
それでも、適切な空室対策を実施することで、空室率悪化に歯止めをかけていく事は可能です。
空室対策の柱は2本。
- 次の入居者を速やかに埋める
- 短期退去者を減らす
ことです。
次の入居者を速やかに埋めるためには、
- 礼金敷金無料
- フリーレント
- 検索サイトではじかれない家賃設定
- 最近機器への更新
- 家具や小物をセットして内見&プレゼント
- 管理会社の担当者変更
といった方法が有効です。
短期退去者を減らすには
- 不良入居者の退去
- 現入居者の設備更新
などを進めることが効果的です。
また、外国人や高齢者の受け入れ、「ペット可」などの特化型アパートへの切り替えには注意が必要です。
それぞれ、デメリットや注意点も多いため、事前に十分な準備と対策を整えてから実施することが肝要です。
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