「価格が手頃な古家付き土地を見つけたけど、解体費用や建築制限など、予想外の問題が隠れているのではないか...」
「更地より安く購入できそうだけど、本当に得な買い物になるのだろうか...」
結論から言えば、古家付き土地は適切な調査と確認を行えば、予算内で理想の住まいを実現できる有効な選択肢です。
なぜなら、古家付き土地は更地と比べて安価で購入でき、建物が建っている状態で日当たりや周辺環境を確認できるため、土地の評価がしやすいからです。
ただし、購入前の確認を怠ると、予想外の費用負担や建築制限に直面するリスクがあります。例えば、再建築不可物件だった場合、古家を解体すると新たな建物が建てられなくなってしまいます。
そこでこの記事では、以下の内容を詳しく解説します。
- 古家付き土地のメリット・デメリット
- 解体費用の相場
- 購入前に必ず確認すべきポイント
この記事を最後まで読めば、古家付き土地購入の判断材料が得られ、リスクを最小限に抑えた物件選びができるようになるでしょう。
弊社(株式会社 Alba Link )でも古家付き土地の取引を多数手掛けており、専門的な知識でお客様をサポートしています。具体的な物件についてのご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
古家付き土地とは
古家付き土地とは、老朽化や荒廃した建物(古家)が建っている状態のまま売り出されている土地のことです。空き家になってから長期間経過している場合が多く、建物を解体して更地にするか、リフォーム・リノベーションして活用するかの判断が必要です。
一般的な古家付き土地の建物は、建築から20年以上が経過し、数年以上にわたって住人が不在の状態が続いているため、設備が古く現代の生活水準には適していない状態になっています。
価格面では、更地と比べて20-30%程度安価な価格設定がされているのが特徴です。これは解体費用を見込んだ価格設定となっているためですが、立地や地域の相場によって価格差は異なります。
古家付き土地を購入した後の活用方法は、建物を解体して更地にし新築住宅を建てる方法と、既存建物をリフォームして活用する方法の2つが一般的です。購入目的や予算に応じて、適切な活用方法を選択するようにしましょう。
古家付き土地のメリット3選
古家付き土地には、更地と比べていくつかのメリットがあります。
主なメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 相場より安い
- 建物が建っているイメージができる
- リフォームやリノベーションできる
それぞれの内容を詳しく説明します。
相場より安い
古家付き土地は、更地と比べて20-30%程度安い価格で購入できることに加え、解体費用も売主との交渉余地があります。例えば、解体費用の負担を売主に求めたり、解体工事を売主側で実施してもらい更地の状態で引き渡しを受けたりも可能です。
特に売主が相続をきっかけに売却を検討しているケースや、遠方に住んでいて早期売却を希望しているケースでは、解体費用の交渉が成立しやすい傾向にあります。
実際の交渉では、解体費用の見積もりを取得し、具体的な金額をもとに売主と相談した上で、より現実的な条件での話し合いが可能になります。
建物が建っているイメージができる
建物が建っている状態で土地を見ることができるため、新築住宅を建てる際の具体的なイメージが掴みやすいのも古家付き土地の魅力です。特に日当たりや建物の配置については、実際に現地で確認できる点は大きなメリットと考えらます。
例えば、古家の窓から差し込む光を確認すれば、季節や時間帯による日照の変化を把握できます。また、既存建物の配置から、近隣の住宅との距離感や視線の問題、庭やカーポートのレイアウトなど、実生活でのポイントを具体的に検討できます。
こうした情報は更地の状態では得られにくく、完成後のミスマッチを防ぐ上でも有効です。
リフォームやリノベーションできる
古家の構造がしっかりしている場合は、建物を解体せずにリフォームやリノベーションして活用できます。築年数が経過していても、柱や梁などの基本構造が健全であれば、内装や設備の改修で十分に居住可能な住宅に生まれ変わらせられます。
特に昭和時代に建てられた住宅は、木材の質が良く、伝統的な工法で建てられているケースが多いため、適切な補強と改修を行えば、新築よりも味わいのある住まいを実現できます。また、解体費用を抑えられる分、リフォーム予算を充実させることも可能です。
ただし、リフォームやリノベーションを検討する場合は、必ず建物の耐震性や劣化状況を専門家に調査してもらうことが必要です。構造に問題がある場合は、解体して建て替えを選択するほうが安全で経済的な場合もあります。
古家付き土地のデメリット3選
古家付き土地には注意すべきデメリットもあります。
主なデメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 地中埋設物の撤去費用が発生する場合がある
- 上下水道の引込が必要な場合がある
- 建物の解体費用がかかる
それぞれ詳しく説明します。
地中埋設物の撤去費用が発生する場合がある
古家付き土地では、以前に建っていた建物の基礎や浄化槽など、目に見えない地中埋設物が残されているケースがあります。これらは土地を更地にする際に撤去が必要となり、予期せぬ追加費用が発生する原因となります。
一般的な地中埋設物には、以下のようなものがあります。
- コンクリート製の建物基礎
- 浄化槽や汲み取り槽
- 灯油タンク
- 古い配管類
特にコンクリート製の建物基礎は重機による大掛かりな撤去工事が必要となり、その費用は数十万円から場合によっては100万円を超えることもあります。また、浄化槽の撤去には30万円から50万円程度の費用がかかり、土地の状況によっては産業廃棄物の処理費用も別途必要です。
そのため、売買契約の前に土地の履歴を確認し、地中埋設物の有無や撤去費用の負担について、売主との間で明確な取り決めをしておくことをおすすめします。
上下水道の引込が必要な場合がある
古家付き土地では、地域によって現状の公共下水道が整備されていない可能性があります。特に古くからの住宅地や郊外の土地では、建物が建てられた当時は公共下水道が通っておらず、浄化槽で対応していたケースが少なくありません。
このような土地で新築住宅を建てる場合、公共下水道への接続工事が必要です。道路から宅地までの引込工事費用は、距離や地域の状況によって異なりますが、一般的に50万円から100万円程度かかることもあります。
また、上水道についても同様の問題が発生する可能性があります。井戸水を使用していた古家の場合、新たに水道管を引き込む工事が必要となり、これも予想外の出費となることがあります。
そのため、土地購入前に必ず上下水道の整備状況を確認し、接続工事の要否や概算費用を把握しておくことが大切です。
建物の解体費用がかかる
古家付き土地を更地にする際には建物の解体費用が必要となりますが、建物の構造や規模によってはかなりの高額になる場合もあります。特に鉄筋コンクリート造(RC造)の建物は、木造と比べて解体工事に手間がかかるため、費用が割高になる可能性もあるため注意が必要です。
解体費用の相場は、以下のとおりです。
木造の場合 | 100万円〜200万円程度 |
鉄骨造の場合 | 200万円〜300万円程度 |
鉄筋コンクリート造の場合 | 300万円〜500万円程度 |
また、アスベストが使用されている可能性がある古い建物の場合、事前の調査や特殊な処理が必要となり、さらに費用が膨らむことがあります。建物の立地条件によっては、重機の搬入が難しく人力での解体作業が必要になるケースもあり、そうした場合も追加費用が発生します。
このように解体費用は物件によって大きく異なるため、購入前に必ず専門業者による見積もりを取得し、予算計画に組み込んでおくようにしましょう。
古家の解体費用の相場
古家の解体費用は「坪単価 × 延べ床面積」で計算できます。建物の構造によって坪単価が異なり、木造が2万円~4万円、鉄骨造が3万円~4万円、鉄筋コンクリート造(RC造)が4万円~6万円が相場です。
以下の表で、住宅の広さ30坪と40坪の場合の解体費用相場を紹介します。
【構造別の解体費用相場(30坪の場合)】
建物の構造 | 坪単価 | 解体費用相場 |
木造 | 2万円~4万円 | 60万円~120万円 |
鉄骨造 | 3万円~4万円 | 90万円~120万円 |
RC造 | 4万円~6万円 | 120万円~180万円 |
【構造別の解体費用相場(40坪の場合)】
建物の構造 | 坪単価 | 解体費用相場 |
木造 | 2万円~4万円 | 80万円~160万円 |
鉄骨造 | 3万円~4万円 | 120万円~160万円 |
RC造 | 4万円~6万円 | 160万円~240万円 |
ただし、これらはあくまでも相場であり、実際の解体費用はさまざまな要因によって変動します。そのため、正確な解体費用を知るためには、必ず複数の解体業者から見積もりを取ることをおすすめします。
古家付き土地を購入する場合の注意点5選
古家付き土地を購入する際は、建物の状態や法的な制限など、さまざまな観点からの確認が必要です。
見落としがあると、購入後に予想外の費用負担や制限に直面する可能性があります。
具体的には、以下のような点に注意してください。
- 建物に関して売主に責任を問えない
- 解体費用が高額になる可能性がある
- 敷地の境界線があいまいになっている可能性がある
- 再建築不可物件かどうか確認する
- 既存不適格物件かどうか確認する
それぞれ詳しく確認していきましょう。
建物に関して売主に責任を問えない
古家付き土地は、そもそも「土地」として販売されている物件です。このため、たとえ建物が建っていたとしても、建物の状態について売主に責任を問うことはできません。
実際の売買契約でも、取引の対象は「土地」であり、建物は付随するものとして扱われます。
そのため、契約後に建物の不具合や損傷が見つかったとしても、補修費用は買主の負担となります。
解体費用が高額になる可能性がある
古家の解体費用は建物の取り壊しだけではなく、地中埋設物の撤去費用などが加算されることで、想定以上に高額になる可能性があります。
例えば、通常の木造住宅の解体であれば100万円程度で済むケースでも、浄化槽や灯油タンクなど、地中に埋まっている設備の撤去が必要になる場合があります。追加で50万円から100万円程度の費用が発生する場合もあるため、確認が必要です。
また、アスベストなどの有害物質が使用されている場合は、特殊な処理が必要となり、さらに費用が膨らむ可能性もあります。そのため、解体費用の見積もりを取る際は、地中埋設物の有無や建材の種類まで詳しく調査してもらうようにしましょう。
敷地の境界線があいまいになっている可能性がある
古家付き土地では、長年の間に境界杭が紛失したり、移動したりして、敷地の境界線がはっきりしなくなっているケースもあります。
特に注意が必要なのは、以下のような状況です。
- 境界杭が見当たらない
- 隣地との境界に古いブロック塀や植木がある
- 道路との境界線が不明確
- 公図と実測図で敷地の形状が異なる
境界線が不明確なまま購入してしまうと、後々隣地との間でトラブルになったり、実際の敷地面積が想定より狭かったりする可能性があります。そのため、売買契約前に土地家屋調査士による境界確認測量を実施するようにしましょう。
再建築不可物件かどうか確認する
再建築不可物件とは、現在建っている建物が取り壊された後、法律上の制限により新しい建物を建てることができない土地のことです。
多くは、建物が建てられた当時と現在で法規制が変更されたことが原因です。
再建築不可となるケースには、以下のようなものが挙げられます。
- 接道要件を満たさない(建築基準法の規定する幅員4m以上の道路に2m以上接していない)
- 敷地が狭小で建築基準法の容積率や建蔽率の規定を満たせない
- 都市計画の変更により建物の建築が制限される地域となった
上記のような土地を購入してしまうと、古家を解体した後に新築できず、土地の活用が著しく制限されます。そのため、購入前に必ず土地の法的な規制を確認し、建築可能かどうかを建築士や不動産の専門家に相談するようにしましょう。
既存不適格物件かどうか確認する
既存不適格物件とは、建築当時は適法に建てられたものの、その後の法改正により現行の建築基準法に適合しなくなった建物のことです。現状のままであれば使用は認められますが、建て替えや大規模な改修を行う際には、現行の法規制に従う必要があります。
例えば、以下のような場合が既存不適格に該当します。
- 建築当時は問題なかった建物の高さが、現在の高度地区の制限を超えている
- 以前は適法だった建物の用途が、現在の用途地域では認められない
- 旧耐震基準で建てられた建物で、現行の耐震基準を満たしていない
古家をそのまま使用する予定の場合は、改修の制限について理解しておく必要があります。また、建て替えを検討している場合は、現行法規制の下で希望の建物が建てられるかどうかを、事前に建築士に確認しておきましょう。
まとめ
この記事では、古家付き土地の特徴や購入時の注意点について詳しく解説しました。
記事内でお伝えしたように、古家付き土地は更地と比べて価格は安いものの、解体費用や地中埋設物の撤去費用、さらには建築規制の問題など、さまざまなリスクを抱えています。特に再建築不可物件や既存不適格物件の場合、購入後の土地活用が制限される可能性があります。
しかし、これらの注意点をしっかりと確認し、適切な調査を行えば、古家付き土地は予算内で理想の住まいを実現できる選択肢の一つです。購入を検討する際は、建物の構造と解体費用の見積もりを取得し、地中埋設物の有無や撤去費用を確認するなどが必要です。また、敷地境界の明確な確認や、建築規制・法的制限の確認も欠かせません。
弊社(株式会社Albalink)でも古家付き土地の取引を多数手掛けており、専門的な知識と経験を活かして、お客様の状況に応じた最適なアドバイスを提供しています。古家付き土地の購入をご検討の方は、まずはお気軽にご相談ください。
rui kiryu
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