アパートやマンションの建築は人生で最も高額な買い物でありながら、見積もり金額はピンからキリまであり、相場感を掴むのは非常に難しいです。
また、アパートを建築する方は多くはないので、気軽に友人に聞ける内容ではないと思います。
今回は初めてアパート建築をする方から、2棟目、3棟目という方へ向けて見積もりを比較する際の着眼点をご紹介していきます。
目次
アパートの建築費を調べる
アパートの建築費を調べるには、自動車の売却でも利用されたことのある方は多いと思いますが、一括プラン請求サイトを使うのが手っ取り早いです。
複数の会社の提案を一度に依頼できるので非常に便利です。
また、大手の会社が多いので安心して利用して頂けると思います。
一括プラン請求のサイトを利用するメリットは
- 初期費用の比較できる。
- 収支計画の比較ができる。
- 立地によりアパート以外の土地活用の提案を受けることができる。
デメリットとしては、あまり多くの提案を聞きすぎるとお断りを入れるのが大変という点です。
初めてアパート経営をする場合は、付き合いのある不動産業者、金融機関の紹介で以外であれば、一括サイトを利用するのが良いでしょう。
アパートの建築費用は坪単価で決まる
アパート建築費用の相場
坪単価の相場は工種によって大きく異なります。
目安としてはだいたい下記表になると思います。
ただし、参考程度にしてくださいね。
工種 | 坪単価 |
木造 | 40万円〜60万円 |
軽量鉄骨造 | 50万円〜70万円 |
重量鉄骨造 | 60万円〜80万円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 70万円〜100万円 |
最近はオリンピック需要、労務費、建築資材の高騰により、建築費は上昇傾向にあります。
その分、住宅ローンは低金利のため、返済総額としては、4〜5年前と比べても安くなる傾向にあるようです。
下記表は7年前と現在金利、建築費、金融機関への総返済額を比較したものです。
実際には7年前と比べて建築費1千万円も上がっていませんが、融資の低金利により、建築費は上がっていても総返済額は下がっています。
不動産投資ローンを組み、建築するタイミングとしては悪くないと言えます。
【返済期間35年固定金利、(繰上げ返済制度利用)35年間元利均等返済による比較(建築全額を借入れした場合)】
平成23年4月時点 | 現在 | 両時点比較 | |
建築費 | 100,000千円 | 110,000千円 | 10,000千円 |
金利 | 2.79% | 1.45% | ▲1.39% |
総返済額 | 約156,755千円 | 約140,328千円 | ▲16,427千円 |
本体価格以外でかかる費用
本体工事費とは各部屋の基礎、構造体、外装、内装、キッチン、浴室、トイレなどの工事費用です。
ただ、本体工事の定義も各社まちまちですし、構造別によっても価格は変わってきます。
付帯工事込みで本体工事費の会社もあるので注意が必要です。
- 設計費
- 既存建物の解体工事費用→建て替えの際に必要の費用です。
- 外構工事費用→土間舗装、駐車場、駐輪場、館名板や植林などの費用です。
- 地盤改良工事費用→従前の土地が農地だったりするとあまり地盤が良くない場合、費用として見込まれることが多いです。
- ガス、水道、電気などの付帯工事費用
- 消費税→当たり前ですが、見落としがちであり高額なので記載しました。
- 火災保険→台風や地震リスクにより、近年保険料は値上げしています。
現在は契約期間は最長で10年間になりました。 - 工事期間借入利息→一般的にどこの建築会社も工事費用の支払いのタイミング
出来高払い制度が採用されいて、着工時、中間時、引渡し時に支払います。
つまり、工事期間中にも利息は発生するということです。 - 表示登記費用→建物の所在、地番、構造、延床面積などの同期費用です。
- 保存登記費用→新築の場合は所有権を新しく保存するための費用です。
- 抵当権設定登記費用→借入れをする際に土地建物の担保権を設定する費用です。
- 既存建物の滅失登記費用→建て替えの際、従前の建物の登記を滅失する費用です。
- 不動産取得税→土地や建物を取得する際にかかる税金。都道府県税です。
- 印紙税→請負契約書、金銭消費貸借契約書に貼る印紙代。国税です。
- 測量費用→設計を進める際にほとんどの場合、測量を行います。
- 水道加入負担金→水道施設の拡充整備に要する費用です。
1世帯あたり◯◯円と、行政により決まりがあります。
税金のようなものであると考えてください。
自己資金はどの位必要か
利回りを考える
”自己資金がどのくらい必要か”というのは手残りがどのくらい欲しいかによると思います。
また、入居者の数によって家賃収入は変わってきますし、アパート経営を検討している立地はどのくらいの賃料相場なのかにもよると思います。
そのため、どのくらいの自己資金が必要かというのは申し上げにくいのですが、手残りよりも利回り(投資効率)重視なのか、そもそもアパート経営の目的は相続税対策だから、建築費が安ければ良いという問題ではないという方もいらっしゃると思います。
アパート経営の目的を明確にすること、どのくらいの収益性にしたいかはしっかりと目標を持つようにしましょう。
また、提案を受ける際に注意していただきたいのは各社利回りの定義が違うということです。
提案された数字をそのまま鵜呑みにせず、利回りの定義を確認して各社比較しましょう。
利回りの定義は下記の3種類である場合が多いです。
- 建築費(消費税抜き)/年間賃料
- 建築費(消費税込み)/年間賃料
- 総事業費/年間賃料
ちなみに建築費というのも各社違うので確認しましょう。
総事業費とは建築費+消費税+建築外必要経費のことを言います。
(建築外必要経費とは登記費用、火災保険、不動産取得税などのことを言います)
設計費、付帯工事費用、解体工事費用、外構工事費用、地盤改良工事費が建築外必要経費に含まれていて、建築費(税抜き)/年間賃料の利回りを提示し、不動産投資効率が高い提案に見せかけていることもあるので注意してください。
アパート建築費用を抑えるには
ハウスメーカーと工務店の比較
ハウスメーカーと地元の工務店であれば、間違いなく工務店の方が安いです。
大手のハウスメーカーは従業員が多いのでその分の人件費、下請けの職人さんのマージンや広告宣伝費が上乗せされているので当然工事費は高くなります。
ただ、大手ハウスメーカーというブランドの安心感は捨てがたいですよね。
そして、工務店よりも大手ハウスメーカーの方が賃貸経営物件の着工数は圧倒的に多いので、賃貸住宅の募集上の人気設備や間取りを熟知している、管理上のコストがかかりにくい資材の選定などのノウハウがあるというメリットはあると思います。
見積もりを取る
個人的なイメージですが、
1都3県で建築する場合のハウスメーカーの建築費用は、本体工事費、設計費、付帯工事費で平均して坪単価(施工床面積)で70万円〜80万円のイメージです。
工種や間取りによって多少違いはあるもののだいたいこのくらいの建築費になると思います。
※狭小地、前面道路が狭い、敷地内の高低差があるなど用途地域に施工条件が加わる場合はさらに単価が上がります。
工務店の見積もりはピンからキリまでなのでなんとも言えないので、是非見積もりを取ってみてください。
私が見積もりを取った工務店は木造で坪40万〜50万円というところもありました。
ただ、単純に見積もり金額だけでは比較しないでください。
住宅設備のグレードや、オートロック、ホームセキュリティー、インターネット、床暖房、高級感のある外壁や建築資材を使っているなど、会社によって見積もりはまちまちです。
数字だけでは比較できない場合は、パース(イメージ図)や模型を作ってくれる会社もあるので依頼してみると良いでしょう。
サブリースや賃貸併用住宅を選ぶ事で、コストカットを考える人もいますが、それぞれにメリット、デメリットがありますから注意しましょう。
格安業者に”注意"
何事にも”安い”には理由があります。
安物買いの銭失いにならないように、格安業者の場合はどの程度の仕事をするのか事前によく調べましょう。
最近の建築基準法は非常に厳しいので手抜き工事をしていることはあまりないと信じたいですが。
注意して頂きたいのは、格安業者の中には、1戸あたり、500万円とか坪30万円というような格安売り文句を宣伝している業者があります。
表示価格は最低価格であり、本体工事のみの価格である場合が多いようです。
本体工事費用は確かに安いけど、他にもかかる工事項目が多く、気づいたら費用が本体工事費から30〜40%増してしまったということもあるでしょう。
設計費、水道、ガス、電気などの付帯工事、外構工事、地盤改良工事費用などは別途であることが多々ありますので、工事の内容は必ず確認するようにしましょう。
ただ、中には本当に利益を削った企業努力やアパートプランを規格化し、大量仕入れによるコスト削減といった工夫をしている会社も沢山あります。
ただ、規格商品なので、地域に同じアパートが沢山存在したり、施主の要望に対して柔軟な対応はできない可能性があります。
アパート経営の知識があり、経験も豊富な方、利回りやコスト重視の方は格安業者の利用が合っているかもしれません。
アパート経営を始めてやるような方は大手ハウスメーカーの方が工事の精度や建築後のアフター対応や管理も同会社で管理してくれるケースもあるので安心できると思います。
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