不動産投資というと、多額の資金が必要、不動産・建築・税金などの専門的な知識が必要のため、敷居が高いイメージがあるのではないでしょうか。
不動産投資はお金持ちのための投資と思われがちですが、社会的信用により、唯一市中金融機関から融資を受け、自己資金の10倍以上の投資をすることができます。
不動産相場は景気や建築費の高騰などにより多少左右されますが、株やFXと比べて安定しています。
また、賃貸物件の賃料は不景気になったからと言って急落することはありません。
10年前のリーマンショックが起きた時も賃料は下がっていないはずです。
不動産投資は、景気に左右されずに、継続的な不労所得を手にすることができるのです。
そのため、株やFXはハイリスク・ハイリターンですが不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの位置付けをされており、不動産投資は安定した収益を生むため市中金融機関から融資を受けることができます。
今回は、不動産投資を始めるにあたって必要になる自己資金の目安をご紹介したいと思います。
目次
スタート時の必要資金は属性や立場により変わる
不動産投資は株やFXと違い市中金融機関から融資を受け投資することができます。FXをやりたいから100万円貸して欲しいと銀行へ行っても門前払いされてしまいますが、不動産投資の場合は、社会的信用により、市中金融機関より融資を受け自己資金0円からスタートすることもできます。
市中金融機関が融資してくれるのは株やFXよりも不動産投資は安定しており、返済してもらえる見込みがあるからです。
高属性サラリーマンの場合
私は年間何十件もの売買契約を行い、金融消費貸借契約に向けてのお客様と市中金融機関との調整を行ってきました。
一部上場企業で年収500万円以上ある方は非常に社会的信用が高く、クレジットカードなどの滞納がない限り、ほとんどの確率で全額融資を受けることができています。
実は、一時部上場企業のサラリーマンは中小企業の社長よりも社会的信用は高いです。
理由は中小企業の社長は業績により、年収も大きく変わりますし、倒産してしまうリスクもあります。しかし、一部上場企業の会社員は安定した収入が入ることが確約されています。一部上場企業であっても倒産のリスクはもちろんありますが、市中金融機関からの信用は中小企業の社長の社長よりも高いのです。
フリーターの場合
残念ながらフリーターの場合、私の経験上では総事業費全額の融資は見たことがありません。フリーターというだけで年収にかかわらず、融資のお断りをされてしまう金融機関もあります。
どうしても正社員と比べるとフリーターは社会的信用が低いので購入価格の数十%は自己資金が必要となるでしょう。
手持ち現金額から想定される投資手法
0~300万円の場合
いわゆる分譲マンションの一室の購入です。
正直分譲マンションの一室は空いてしまえば、収入が0になり、返済額は自分の給与所得から支払わなければならないため、リスクもあります。
年収が1000万円以上あり、不動産投資の目的が所得税の節税対策、生命保険代わり、資産形成などの目的をしっかり持ちましょう。
ただただ、不動産投資で儲けたいという方にはあまりお勧めできません。
最近は年収500万円からの不動産投資とうたって、新築・中古マンションの一室を販売し、一括借り上げにより収入が安定するからリスクは低いという営業トークで不動産投資を勧誘する会社が多いです。
一括借り上げは、築年数が経つと定期的に借り上げ賃料の改定を行います。その度に借り上げ賃料が下落し、金融機関への返済もできないほど下落してしまったというケースもありますので、一括借り上げの契約内容の確認、市場調査をしっかり行いましょう。
市場調査を行うことによって、20年後の同じタイプの間取りの物件はどのくらいの入居があるのかがわかると思いますので空室リスクを確認しましょう。
他には、築古戸建ての再生や田舎の戸建て物件でしょう。
300~1000万円の場合
ワンルームマンションに投資する場合は、1戸に500万円の自己資金を投資するのではなく、2戸×250万円といった具合に必ず複数戸に分散させましょう。1戸に500万円の自己資金を使うのは投資効率が悪いです。複数戸に分散させることで空室リスクをヘッジすることができます。
1000万円以上
自己資金が1000万円以上ある場合は、中古アパート一棟購入しましょう。
前述しておりますが、1戸よりも複数戸あったほうが空室リスクは低くなります。
分譲マンションの一室への投資は空室になった途端、収入が0になりますが、
戸数が多ければ多いほど、空室に対する負担が減ります。
また、ワンルームマンションはアパートと比べて担保評価がつきづらいです。
今後、不動産投資を拡大していくことを考えると1000万円以上の自己資金を用意できるのであれば、中古アパート1棟へ投資するのがセオリーでしょう。
ちなみにワンルームマンションの担保評価がつきづらいのは、評価のほとんどが建物だからです。
建物は減価償却により、毎年資産価値が逓減していきます。
土地は償却資産ではありませんから、土地の評価割合が大きい中古アパートはが担保評価が高いということです。
中古アパートへの投資は借入額が大きくなるのでどのくらいのリスクがあるのかをご自身でしっかり把握して頂きたいです。
まずは何部屋空いたら月々の収支が赤字になるのかを把握すると良いと思います。
空室の数が多くても黒字の物件はリスクの低い投資といえるでしょう。
例
- 東京都足立区
- 築15年 2階建鉄骨アパート8戸
- 購入価格7500万円
- 自己資金2000万円
- 借入金5500万円
- 年間賃料:672万円
- 返済後手残り:360万円(年間)金利1.5%、20年間
- 表面利回り:8.96%
低金利の今が全額借り入れのチャンス!
低金利ということは、市中金融機関は多額の融資をしなければ、利益を生み出すことができません。そのため、融資に関しては積極的です。
金利が2%、3%代だった数年前とは違い、返済金額が低くなり、融資に積極的なので総事業費全額融資が降りる可能性が高まりました。
不動産オーナーにとってこれ以上のメリットはありません。
個人的な見解ではありますが、2018年中は住宅ローンの金利は大きく上昇する可能性は低いのではないかと予想しています。
1月23日に黒田東彦総裁は金融緩和の維持を発表しています。
会見では『出口を検討する局面に至っていない』『粘り強く緩和を続ける』
といったコメントを残しています。
日本では日銀が金融緩和や金利のコントロールを行っているため、日本の不動産投資ローンの金利は黒田総裁の鶴の一声で決まると言っても過言ではありません。
アメリカの長期金利が上昇していますので多少は上昇する可能性はありますが、しばらくは低金利の時代が続くのではないかと思っています。
住宅ローンと不動産投資ローンの違いについて
住宅ローンと不動産投資ローンは金利、審査の方法もまったく異なります。
住宅ローンと不動産投資ローンの審査の基準を下記にまとめました。
住宅ローン 物件価値よりも個人の返済能力
住宅ローンは自宅としてご自身で住むため返済は会社員であるならば給与所得から支払いをしなければなりません。
そのため、住宅ローンは定年後10年以内が融資の限度となります。
つまり、住宅ローンは物件の価値よりも融資を受けている方の返済能力があるかどうかが審査の基準となります。
不動産投資ローン 賃貸物件の収益性で評価
不動産投資ローンの場合は、賃借人へ賃貸し、その賃貸料で返済をします。
そのため、住宅ローンと違い、個人の返済能力ではなく、基本的には物件の担保としての価値、ローンの返済額の他に管理手数料、修繕積立金、固定資産税などの経費を含めて成り立つ事業計画かで審査されます。
つまり、空室が多くても事業が成り立つ計画であれば金融機関は融資をしてくれるということです。
ただし会社員の場合は、勤務先や年収を考慮して融資されます。
会社員は給与所得と不動産所得のダブルインカムなので金融機関からの評価は高いです。
住宅ローンとアパートローンは大きく審査基準が異なるため、以上の条件により金利が大きく変わってきます。
融資額の1割の初期費用が必要と言われる理由
市中金融機関や購入者の属性によっては全額融資を受けることは可能です。
しかし、物件を購入する際に必要な初期費用があります。それは融資を受ける前に必要になる費用なのです。そのため、融資額の1割の初期費用、自己資金が必要と言われています。
不動産投資を行うにあたって必要になる初期費用の項目か以下のとおりです。
仲介手数料
売買価格 | 仲介手数料 |
400万円を超える金額 | 売買価格×3%+6万円 |
200万円を超えて400万円以下の金額 | 売買価格×4%+2万円 |
200万円以下の金額 | 売買価格×5% |
※課税事業者の場合は上記の金額に消費税がかかります。
不動産取得税
土地や家屋の取得、家屋を新築するなどして不動産を取得した際にかかる税金です。相続で取得した際は、相続税がかかるので、不動産取得税はかかりません。取得した不動産が立地する都道府県から課税され、不動産を取得して半年から1年ほどで納税通知書が届きます。
不動産取得税は融資から支払うことができますが、知らなかったということのないよう念のため記載しました。
平成30年3月31日までに取得した場合、土地建物(住宅)は固定資産税評価額の3%課税されます。
固定資産税評価額計算方法は下記になります。
土地:固定資産税路線価×土地面積
建物:取得金額×1/2
登記費用
表示登記、保存登記(新築の場合)、抵当権設定登記費用(借り入れをした場合)
登記費用には、主に登録免許税、司法書士へ業務報酬になります。
印紙税
売買契約、金銭消費貸借契約を締結した際に契約書に貼る収入印紙代です。
上記費用が初期費用として必要になる項目ですが、物件価格により異なりますが、2000万円の物件を購入するとして大体100万円程度の自己資金が必要になると思われます。
だいたい物件価格の7%前後ともいわれています。
準備金の明確な決まりはない
上述した通り、不動産投資をするにあたって、準備金がいくら必要かは決まっていません。
上記のような初期費用がかかりますので、準備金に合わせていくらの物件を購入するかを検討したほうが良いかもしれません。
ただ、最近は自己資金がない人でも条件によって金融機関が全て融資してくれるということもあるようです。
不動産投資は自宅と同等以上の高額な買い物ですから、不動産会社、金融機関と打ち合わせを重ね、無理のない返済計画を立て、不動産経営を行いましょう。
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