大家インタビュー

タイ不動産投資で失敗した事例を詳しく聞いてきました

投稿日:2018年9月8日 更新日:

[不定期連載]
不動産で“食べたい”人バイブル#05

今回は、「タイ不動産投資」に挑戦したものの、思ったように利益が出ずに撤退してしまった不動産投資家平子(以下ヒラコ)さんにお話しを聞いてきました。

こういった儲け話の類は失敗談が表に出にくいので、貴重な内容になったかと思います。結論を先に書いてしまうと、ヒラコさんはタイのリゾート物件を約900万円で購入、その後ほとんど賃料収入を得ることなく100万円程度の損切りで売却をしています。

ではでは、さっそくですが、まずはいったいなぜタイ不動産投資に参入したのか?から聞いていきたいと思います。

 

 タイ不動産投資は突然に

編集部

今日はありがとうございます、さっそく本題に入りますが、なぜ日本でも不動産投資をしていないヒラコさんが突然タイで不動産投資を始めたのでしょう?

ヒラコ

私、海外旅行が好きでバックパッカーのようなことをしていた時期があったんですよね。

その途中、タイで知り合った知人から進められてタイのパタヤというところにある物件を購入したんです。

編集部

ほう、、、その時の話では、どのようなプランでどのような想定利回りだったんですか?

ヒラコ

Unixxというパタヤのリゾートマンションでして、購入価格が900万くらい、インカムゲインとして入ってくる想定が6%くらいと言われてましたね。あとは、数年後に売却すれば必ず値上がりしてるからと笑

結局1年足らずで売却してしまいましたが、本当に甘い想定でした。

当初予定していた想定利回りと物件詳細

購入価格 290万バーツ(当時約930万円)
場所 タイ 南パタヤ
マンション名 Unixx(http://www.unixxcondo.com/2014/gallery.php
想定利回り 6%

物件価格が930万円で想定利回りが6%ということは、

  • 930万円×6%=55.8万円/円

1年間で手元に入ってくる売上(賃料)が558,000円、1カ月にすると46,500円が入ってこなければいけない計算になります。

リゾート物件とはいえ、タイのコンドミニアムで約5万円の家賃というのはどうなのか?まずはそこから調べる必要があるなと思いましたが、インタビューを続けていきました。

想定外の売上

編集部

売買が成立して、所有権が移転されたあとはどれくらいで賃貸がついたんですか?

ヒラコ

いえ、賃貸ではなくて、airbnbで運用していくという話だったんですよね。

そして、この話を持ってきた張本人がそのairbnbの集客や管理をして、宿泊費の30%を支払うというやり方でした。

編集部

なるほど。

airbnbの場合は1年間通すと波も出てくるでしょうし、色々と管理や修繕、掃除も大変だと思いますが、実際にやってみてどうでしたか?

ヒラコ

・・・・・・。

これを見てください。

(おもむろに手元にあった資料を開く)

宿泊費 管理費 手残り
1カ月目 36,758円 11,027円 25,731円
2カ月目 23,350円 7005円 16,345円
3カ月目 22,674円 6,802円 15,872円
4カ月目 23,350円 7,005円 16,345円

4カ月の月平均売上が約18,500円。

年間にして22,2万円になります。これを930万円で割り戻すと、年間の想定利回りは2.3%という結果に。

もちろん、1年間通して運用を続ければ売上は上がっていき、調子が良い月もあったのかもしれませんが、この時点では明らかに想定していた数字とかけ離れています。

運用自体ができなくなる悲劇

編集部

4カ月ほど運用した時点で当初予定していた利益は出ていない状況でしたが、その後はすぐに売却の意思を固めたのですか?

ヒラコ

そうですね、その時点で失敗かなぁとは感じていましたが、運が良かったのか悪かったのか、運用をはじめて5カ月目に警察から警告を受けることになったんです。

それが原因で、実質airbnbでの集客はできなくなり、すべてを諦めて損切りに動いたという経緯です。

編集部

え?警告とは?何があったんですか?

ヒラコ

ちょうど今日本でも民泊の法改正がありましたよね。

それと同じように、タイでも当時規制が入ってしまい、ショートステイでの民泊運用が取り締まられるようになったんです。

その法律自体も知らずに運用を任せていたので、連絡を受けた時は驚きました。

恐らく抜け道や他の方法もあったとは思うんですが、一生懸命やっても想定していた利益の1/3くらいしか手元に残らないし、これはこのタイミングで売りなのかなと。

編集部

じゃぁその後はすぐに売却活動をはじめたんですか?

ヒラコ

いえ、しばらくは放置してましたね。

せっかくなのでタイに再訪した時は別荘地として自分でも泊まりました。

1年くらいそんな感じで現実逃避して、やっと売りに出しました。

幸いタイミングよく買ってくれる日本人が表れて、総額100万円くらいの損でこの投資にピリオドを打つことができました。

このあとも色々な話を聞かせてもらいましたが、「どうしたら失敗しなかったのか?」を編集部の視点でまとめさせていただきました。

タイ不動産投資で失敗しないためには

タイ不動産投資というよりは、海外不動産投資で失敗しないためにはという視点でまとめていきます。

今回ヒラコさんがタイの物件を購入して約100万円の損をしてしまったのは大きく3つの点が抜けていたからだと思っています。

  1. 下調べが不十分だった
  2. 運用を丸投げした
  3. 自分の得意な分野ではなかった

それぞれ深堀りしてみていきましょう。

下調べが不十分だった

どの不動産物件を購入する場合でも同じですが、不動産業者や案件を持ってきた人は必ず良い数字を見せようとします。

今回の場合だと、6%という利回りがどのように発生するのかはきちんと自分自身で想定しなおす必要がありました。airbnbの集客をメインにするなら、実際にairbnbやBookingなど宿泊サイトの情報をひっぱってきて、その売上想定が妥当なのかをシミュレーションしなおす必要があります。

エアビーのUnixx賃料

ブッキングのUnixx賃料

上記、Unixxというマンション名で指定してairbnbとBookingで宿泊料を検索してみてました。こうしてみてみると、ざっくりですが1室の宿泊料が2,500円くらいです。

シーズンにもより変化があると思いますので一概には言えませんが、30日満室で運営しても75,000円の売上。30%の手数料を支払うと52,500円です。満室の場合です。宿泊施設の売上想定で満室を基準にするというのはさすがに無理があるので、70%稼働とすると、手元に残るのは36,750円となります。

それでも実際に70%埋まるかといえばそこは不透明ですので、そこまで調べていれば購入には至らなかったのかもしれません。

しかしこういう投資案件って良い面ばかり語られるので判断が難しくなるんですよね。

運用を丸投げした

タイ不動産という不透明なものに加えて、民泊での運営というのがまた厄介です。

どう考えても普通の日本人が遠隔で運用することはできません。そうすると、現地の知り合いや業者に運用を委託するしかないのですが、この運用部分をアウトソーシングすればするほど投資をコントロールできなくなります。

  • 業者が管理業をやめる
  • 業者が宿泊費をごまかす
  • クレームが入っても対応できない
  • 募集が埋まらなくても何もできない

などなど、運用を丸投げすればするほど手離れは良くなるもののリスクも上がります。万が一急に運用をやめるといわれても残るのは物件だけで集客ノウハウもなければ掃除ノウハウもなく、高い確率でインカム収入は0になります。

不動産投資は実際にやってみるとわかりますが、居住用賃貸にしても商業ビルにしても民泊にしても、完全不労所得というわけには行きません。普通賃貸の場合は客付けや管理のシステムが確立されているのでほぼ不労所得のような物件もありえますが、賃料収入を得るまでに「賃貸契約⇒賃料回収」という流れが存在することに変わりはありません。必ず借り手がいて、家賃が発生しています。

自分の得意な分野ではなかった

これは意図せずして得意な場所で投資をしている人も多いかもしれませんが、基本的には自分の強みを活かせるジャンルでスタートした方が良かったのかなと思います。

日本人であれば日本、関東なら関東、横浜なら横浜と、自分が住んでいたり得意としているエリアが少なからずあるはずです。今回の場合は、実質的な距離も離れていて、言葉もよくわからない場所で、さらに民泊という馴染みのない内容で、これを上手く運用していけというのはハードルが高すぎます。

特に海外の場合は日本と同じ感覚では仕事が成り立ちません。約束は守らなかったり、時間には遅れてきたり、突然仕事を辞めたりと・・・。仮に、ヒラコさんがタイ在住10年、タイ語はペラペラ、今後もタイに永住するという状況なら話はまったく違います。やれることも全く違いますし。

以上、3点は海外不動産投資をやる前に必ず確認しておきたい部分ですね。

もちろん、ご本人がそれを一番痛感しているとは思いますが。今現在はご自身のビジネスを軌道に乗せて、また不動産投資に再チャレンジすると語ってくれました。

今後、タイを含む海外不動産投資を考えている方にこの記事が参考になれば幸いです。

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もりお@不動産投資の森編集部

不動産投資の森の編集部。寄稿された投資家の記事を編集しています。

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