こんにちは。
仙台で小さなアパートを経営しているhayasakaです。
人口減少社会、家余り時代が加速するこれからの時代、アパートは「借り手市場」になっていく事が予想されます。
つまり、条件の良いアパートは満室経営が続き、条件の悪いアパートは見向きもされない、そんな二極化の時代が始まろうとしています。
そんな中、どうすれば高い入居率を維持しつつ、安定したアパート経営を実現できるのでしょうか。
その大切な視点のひとつが物件選びです。
今回は、物件選びの際のひとつの目安として活用可能な「路線価」について掘り下げたいと思います。
今回も、落語風の問答にしてみましたので気軽に読んでください。
ご隠居:アパート投資に明るい、横丁の物知りご隠居
熊さん:大家さん稼業を夢見る少しだけテンネンな大工さん
【ご隠居と熊さんの不動産投資珍問答】
「路線価」を見るときゃ、トレンドを見るこった。
目次
路線価の基礎知識
公示価格と路線価と実勢価格
ご隠居さんはご在宅でしょうか~?
誰かと思えば熊さんじゃねぇか。
ふん、猫撫で声なんか出しても、ビタ一文貸さねぇよ。
随分ご挨拶だね。
実はご隠居!いいアパート用地を見つけちゃったんすよ。
見てくれ、神田でこの値段だ!
それで有頂天になっているわけだな。
どれどれ、ほぉ、確かに安いようだが、現地は見たのかい?
いや、まだだが…
ふーむ、少し安過ぎる気もするなぁ。
よしひとつ、路線価を調べてみるか。
何だい、ロセンカって?
呆れたねぇ、路線価も知らないで不動産投資しようってのかい?
いいかい、熊さん。
土地の価格にはいくつか種類があるんじゃ。
実勢価格、公示価格、路線価などだ。
まず、実勢価格というのは実際の売買価格だ。
次に公示価格というのは、国交省が毎年発表するもので、まぁ“地価の基準点”という程度に覚えておくといい。
そして路線価というのは、公示価格をもとに道路ごとに細かく設定したもので、相続財産の算定や相続税申告、贈与税や固定資産税、借地権割合などを算定するのに使われておる。
ふむふむ。
・・・・・・ちんぷんかんぷんだ
要するに、土地は一点ものだから、適正価格というのはあるようでないものなんだ。
売り手と買い手が合意すれば取引は成立してしまう。
安いと思って飛びついたら、土地そのものに難点があって安くなっている場合もあるので注意が必要だということじゃ。
そんな時、公示価格や路線価の仕組みを知っていれば、おおよその適正価格を判断できるので、問題のある土地をつかんでしまうリスクを抑えることができるというわけだ。
路線価の目安
ちょっと何言っているかわからねぇが、まぁ、もう少し話してみな。
なんだい、その言い草は。
公示価格は不動産鑑定士などの専門家などが協議して決める地価で、公共事業用地取得価格の基準になるほか、企業資産の時価評価などにも使われる。
ただし、すべての土地にくまなく設定されているわけではなく、基準となる場所を選んで設定しておるんじゃ。
この公示価格を基準に、税務署などによって設定されているのが路線価で、道路ごとに細かく設定されている。
道路ごとに決められるということは、その道路に接する土地はすべて同じ坪単価ということかい?
原則はそういうことだな。
路線価には2種類あって『相続税路線価』は公示価格のおよそ80%、『固定資産税路線価』は公示価格のおよそ70%と覚えておくといい。
ちなみに単純に路線価という場合は、相続税路線価を指していると考えていい。
路線価の調べ方
でもご隠居、路線価というものは、素人にも調べられるものなんすかね?
今ではインターネットで簡単に調べられる。
国税庁のサイトに行くと全国の路線価を検索できるので、買おうとする場所の路線価を調べておくといい。
なるほど、こいつぁ便利だ。
過去の路線価も調べられるから、値上がり傾向なのか、値下がり傾向なのかも判断がつくってぇ寸法だな!
お、熊さんもいっぱしの不動産投資家らしくなってきたじゃねぇか。
その通りだ。
不動産投資をするなら、その土地の値動きを確認しておくことは基本中の基本だ。
路線価を見るときゃ、高い安いよりも、値上がり基調か値下がり基調かというトレンドを見ることがポイントだ。
特にこれからは人口減少・家余り時代になっていく。
地価が下がり続けているような人気のない土地は、どんなに安くて手を出すべきではない。
なるほどなるほど。
…で、ご隠居、この図はいったいどう見ればいいんで?
路線価図の見方
目的の土地が接している通りを探し、そこに書いてある数字を見る。
この数字が“標準的な土地の1㎡当たりの価格”だ。
これを0.8で割れば公示価格の目安になる。
例えば、路線価が50万円なら、公示価格はおよそ62.5万円、坪当たりなら206万円となるわけじゃ。
これに1.1~1.2を掛けたのが実勢価格の目安と言われておる。
つまりこの場合なら、坪単価226万円~247万円が実勢価格の目安というわけだ。
数字が書いていない部分は、役所で調べた固定資産税評価額に一定の価格をかける倍率方式で算定する事になる。
なるほど、なるほど。
でもご隠居、確か今“標準的な土地”と言ったね?
つまり、標準的じゃない土地は値段が変わるってことかい?
路線価が補正される場合
奥行価格補正率
今日は鋭いねぇ。
そう、そこが肝心なとこだ。
同じ通りに面している300㎡の土地でも、熊さんなら次のイ、ロ、ハの土地ではどれが欲しい?
そりゃ、細長いよりは四角い方が建物を建てやすいし、道路に面している距離も長い方が、正面に駐車場も配置しやすいから、イを選ぶだろうな。
そうだな。
同じ広さでも土地の形はできるだけ正方形に近く、道路に接する面も長い方に人気が集まる。
この場合ならイ>ロ>ハの順で人気が集まるだろ。
つまり、同じ道路に面した宅地面積でも、土地の形状などによって需要が変化するので評価額も変わってくるわけだ。
このような土地の形状によって評価額を調整するのが『奥行補正率』だ。
ゲ、また舌を噛みそうな言葉が出てきたよ・・・
奥行補正率というのは、土地の奥行と地区区分、想定整形地によって決められており、土地の評価額が最大20%引き下げられる。
例えば普通住宅地区で奥行4メートル未満の土地は路線価に0.9をかけて算出するわけだ。
【奥行補正率一覧(整形地補正率表)】
要するに、奥行は短過ぎても長過ぎても評価額が下がるというわけだな。
その通り。
そのほかにも『側方路線影響加算率』『不整形地補正率』『間口狭小補正率』『がけ地補正率』『奥行長大補正率』といった項目もある。
何だよそりゃ、もはや早口言葉じゃねぇか…
土地評価額が上がる要素、下がる要素
それと熊さん、金融機関は路線価をベースに融資額をはじき出すのを知っているかい?
つまり、路線価を知っておくことは資金計画の面でも重要だというわけだ。
その算定方法は金融機関によって異なるが、用途地域と土地の形状で算定されることが多いようじゃ。
これはある金融機関の評価項目だが、商業地は土地活用の制約が少ないので、利用価値が高いと考えられることから評価額が高い。
逆に、第一種住居専用地域などは制約が多いため評価額は低くなるといった具合だ。
【金融機関の評価項目の一例】
ふむふむ。
おや?工業系の地域がどれも厳しいようだが…
工場建設が可能ということは、将来的に住環境が悪化するリスクを抱えているという判断のようじゃな。
そうか、もしもアパートの近くに工場を建てられたら、入居者が減り、経営不振に陥る可能性がある。
そのリスクを織り込んで融資額を抑えるわけか。
抜け目のねぇやつらだ。
口が悪いねぇ、熊さんは。
しかし、不動産投資というだけで簡単に貸し出す金融機関の方が問題だ。
むしろリスクをきちんと見て慎重な融資態度をとる金融機関の方がよほど健全だと思うがね。
その方が、投資家も余計なリスクを背負わないで済む。
確かにシェアハウス投資の事件もあったからな…
そういうことだ。
また、道路付けも評価額を左右すると言われており、角地や二面道路は評価が上がる。
また、接道は間口が広いほど良く、南接道の方が北接道よりも良いとされる。
そうか、南側に道路があれば日当たりが良くなるからな。
ところで、図のような形の土地を『旗竿地』というのじゃが、引き込み道路部分が長いほど評価が下がるということも覚えておいた方がいいだろう。
【旗竿地】
路線価は高い方が良いのか、安い方が良いのか
路線価を目安に適正価格を判断するという考え方は大体わかった。
しかし、ご隠居、不動産投資をする場合、路線価は高い方がいいのかい?
それとも安い方がいいのかい?
こりゃまた鋭い質問だね。
路線価が高い、あるいは高止まりしている場所は人気の高いエリアと言えるから、人口減少・家余り時代になっても需要は底堅いだろう。
しかし、それだけに地価は高いため、よほどの自己資金がないと安定経営は難しくなる。
多額のローンを組んだのでは、ちょっとでも金利が上がったら首が回らなくなる恐れがあるからな。
確かに、今のような低金利時代がいつまでも続くとは思えねぇからな・・・
反対に、路線価の安いエリア、下がり続けているエリアは需要低迷が心配だ。
安く買えても空室だらけのアパートになったのでは何の意味もないからな。
まさに“安物買いの銭失い”になりかねねぇ。
わしならそうだな、路線価の安定している安価な中古アパートを根気よく探すな。
例えば、人気エリアの旗竿地に建つ古いアパートをリノベーションするというのも賢い選択肢だ。
あるいは、路線価が堅調な地方都市の物件に目を向けてみるのも有効な視点だ。
なるほどねぇ…。
しかし、ご隠居は何でもよく知っていて実に頼もしいね~。
…心もとないのは髪の毛だけだ。
まとめ
道路ごとに設定されている路線価から、実勢価格の目安を算出することができます。
ただし、土地の形状や環境などによっても価格は調整されるので、取引の際には必ず現地を確認するのが鉄則。
もしも、路線価から算出した実勢価格の目安に対して販売価格の乖離が大きい場合は不動産業者などに算定根拠を確認するようにしましょう。
路線価を見るときに重要なのは、割安かどうかよりも、地価のトレンド。
値下がり傾向がみられるエリアは、将来的に空室や家賃低下に悩まされるリスクが高いので慎重な判断が大切です。
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