airbnbが流行り、外国人観光客が増えたことで民泊や簡易宿泊所に参入する人が増えていますが、実際に運営している立場で言わせてもらうと管理・運営方法やデメリットをよく考えて参入することをおすすめします。
ぶっちゃけると結構大変ですし、自動運転で普通の賃料の何倍も収益があがるという現実はほとんどないと思います。
というわけで、突然ですが簡易宿泊所の運営状況とメリット・デメリットについてぶっちゃけで解説します。
目次
簡易宿泊所(民泊)の運営方法
ここから先、簡易宿泊所ということで書いていきますが、民泊も含めて「もともと住居だった部屋に宿泊してもらう」という意味では同じということで進めていきます。
簡易宿泊所を運営するとなると、それに伴う実働として、
- 宿泊者の募集
- 予約対応
- 宿泊施設のゲスト受け入れ準備
- チェックアウト後の清掃
という予約~宿泊~掃除という流れに加えて、
- 備品の補充
- 近隣住民との対応
- サイトごとの細かい設定や料金変更
- 緊急時のゲスト対応
- クレーム対応
- その他雑務
などの業務がついて回ります。
投資家目線としてみると、この部分を完全に代行してもらうのか、一部代行してもらうのか、清掃だけ外注するのか、全部自社(自分)で行うのか、など選択肢があります。
自分の場合は集客部分と清掃を外注していますが、細かい備品のチェックや建物全体の管理は自社で行っています。集客と清掃外注してたらやること他にないですよね?と思われるかもしれませんが、意外にあります(笑
というわけで、この記事は業務の大半を外注している立場から書かれていますので、それを前提として読み進めてみてください。
デメリット
さて、早速ネガティブな内容から書いていきますが、1年近く運営した上でデメリットと感じることを書きます。
近隣からの苦情
近隣住民からの苦情です。簡易宿泊所ですので、きちんと保健所や消防の規則をクリアして合法で運営を行っていますが、それでも周りの住民に迷惑がかかればそんなことは関係ありません。
可能な限り掲示物を貼ったり事前の連絡で近隣に迷惑がかからないようにと伝えていますが、それでもやはり苦情はでます。
具体的なところでは、
- 音がうるさい(ドアの開閉やチェックイン時間による問題)
- ゴミ捨てがルール通りできていない
- 灯りを深夜までつけないでほしい
このあたりです。
音に関しては、ドアの開閉やチェックイン時間によることが多いのですが、これは仕方ないですよね。。。
パーティーみたいに大騒ぎしたり、敷地内で音楽をかけて騒いだりということではないのですが、やはり静かに暮らしている住民からしたら気になるのでしょう。ちなみに物件は12世帯のアパートです。
そして、こういったクレームのほとんどは清掃業者さんが出入りした時に告げられて運営まで伝わってきます。問題がありそうだったり、原因が特定できる場合にはゲストにも連絡し、住民にも改善内容を報告したりします。ゲストへの連絡は運営代行に内容を伝えてもらいますが、住民への対応は自力です。
実働が伴う(近くないとキツイ)
上記の苦情についてもそうですが、結構実働が伴います。
まず部屋をオープンさせるまでにもかなり色々な備品や家具をそろえる必要があり、掲示物なんかも多いです。それぞれ日本語と英語で作成するのも大変です。
また、物件に関するクレームが来た場合にはすぐに現地に駆け付ける必要があります。電気が切れたとか、使い方がわからないとかそんなレベルでも激怒するゲストはいます。
そういったクレームを無視するというスタイルの宿泊施設もありますが、Booking.comしかり、aibnbしかり、じゃらんも楽天も評価システムがしっかりとしていますので、きちんと対応をしなければありのままに評価をつけられてしまいます。というか、せっかく運営しているのですから気持ちよく泊まってもらいたいですよね。
ちなみに筆者はゲストからのクレームで夜中の1時頃に現地に向かって他のホテルを用意してそのホテルまで車で送迎したことがあります。それに関してはこちらのミスもあり、今はほとんどそういった事件も起きませんが。。。
毎月の売り上げ変動
毎月の売上も当たり前ですが安定しません。
最初の頃は手間ばっかり増えて普通賃貸しているより手残りが少ないという月も出てきたりします。
転貸で民泊をやっている方の場合だと「赤字」ってことですね。
不動産賃貸業はストック系の仕事ですので毎月の売上が安定しますが、本来商売はそういったものだと割り切るしかありません。
転貸の場合は退場リスク
うちの場合は、今は所有物件のみで簡易宿泊所を運営していますが、転貸の場合に一番デメリットになるのがこの退場リスクです。
オーナーが転貸や民泊OKと言っている物件でも、管理が行き届いてなく近隣からのクレームが止まらなければ実質運営を続けるのは難しくなります。新宿区で1部屋転貸で運営していた民泊物件がありましたが、完全に存続不能になって撤退することになりました。
評価が溜まってこれから収益性をあげていくという段階でも運営が続けられなくなればかけた費用や手間の分を取り戻すことはできません。
代行業者の選定が手間
ここまでまとめると、どのデメリットも代行業者や清掃業者がカギを握るということになります。代行業者がきちんと近隣やゲストに対して対応をしていればそこまで大きなトラブルやクレームは起きません。
ただ、この代行業者をうまく見つけて折り合いをつけていくのが本当に難しいところです。このあたりについては後述しますが、とにかくまともな業者さんがいないのが現状です。
メリット
続いて、メリットを書いてみます。
より商売っぽさがある
普通賃貸と比較すると、より商売をしているっぽさが感じられると思います。
清掃時には「ありがとう」と書かれたメモが残っていたり、評価でうれしい言葉を書いてくれる方がいるとやって良かったなと思うこともあります。
しかし当然ですがその分業者さんやゲストとのかかわりも多いですし、自動運転や手離れに拘る人には向いてないかもしれません。
ノウハウが溜まる
やり続けていくと、どんどんノウハウが溜まっていきます。
問題も起きなくなってきますし、評価が溜まると稼働率もあがってきます。コツコツと続けていくことで売り上げの伸びしろはもっと期待できますし、普通賃貸のように売り上げ上限が決まっていないというのは面白いところです。
大きな売り上げの可能性
少し内容が被りますが、普通賃貸よりも大きな売上を期待できます。
特に築古だったり条件が悪い物件の場合には化ける可能性もあるのでチャレンジしてみるのもよいかもしれません。立地にもよりますが。。。
利益を出すためにやるわけですから、売上が増える可能性があるというのは一番のメリットですね。
清掃業者や代行業者の現状
簡易宿泊所や民泊をうまく運営していくのに、一番難しいのが代行業者、清掃業者探しです。
ここで言う代行業者というのは、募集サイトへの掲載や家具などの準備、メッセージのやり取りなど物件の準備と集客、運営、またこの中の一部を代行してくれる業者を指します。
清掃業者は、そのまま部屋の清掃を行ってくれる業者ですが、代行業者によってはこの清掃部分を切り離せなったり(掃除だけ自社運営という形にできない)、清掃だけは自力で探してくださいというケースもあります。
これまでに経験したのは、
- 集客から清掃まですべてを丸投げ
- 清掃だけ自社でアルバイトを雇う
- 集客は代行業者、清掃は清掃業者
という形で、現在は3つ目の集客は代行業者、清掃は清掃業者に外注という形で落ち着きました。
しかしここまでたどり着くのにはかなり苦労しまして、清掃担当者が当日にバックれて自分で清掃に行ったり、家具搬入時にベッドを壊されたり(報告すらなし)、連絡がまったく帰ってこなくなったり、掃除完了したにも関わらず埃まみれだったりと、そんな状態なのに高い清掃費を取られたり、、、。
業界の現状
というのも、少し深くこの業界のことを調べてみると、エアビーの代行や清掃業者は資本が掛らず未経験でも起業できることから学生起業なんかで簡単に参入する会社が増えたみたいなんですね。
たしかに言われてみれば、どの業者も20代の経営者がここ数年ではじめたような会社(個人事業)だったり、まともなところはほとんどありませんでした。
もしこれから簡易宿泊所や民泊に参入しようと思う方がいたら、「まともな代行業者はいない」と思って始めた方がよいと思います。最悪自身で清掃や管理をできるという状況でなければ運営がめちゃくちゃになって悪い評価が溜まる一方です。(初期の運営はそんな感じでした)
実際の口コミや評判なんてなかなかインターネットででてきませんし、良い業者に当たるまでなんども運営を変更するつもりで依頼するか、知り合いに紹介してもらうというのが一番効率的です。
簡易宿泊所は儲かるのか
最後に、収益性についてです。おそらく一番気になるところではないでしょうか。
実際に数字を見るのが一番わかりやすいと思いますので、2017年12月の売上と経費を載せます。
宿泊費 | 652,440 |
運営代行費 | -105,695※1 |
サイト利用料 | -77,196※2 |
Paypal | -6,445 |
清掃費 | -164,000※3 |
手残り | 299,104 |
※1宿泊費の15%+消費税
※2募集サイトに支払うフィーとサイトコントローラーの合計
※3清掃1回につき4,000円
ざっくりこんなところです。
上記数字を残した物件の間取りは、30平米弱の1K5部屋分です。駅は近いですが、築40年以上の建物ですので普通賃貸でとれる家賃は4万円程度。5部屋で20万のところ、約30万が残りここから細かい補充と水道光熱費を支払うとほとんど普通賃貸と変わらないレベルです。
ただ、この物件は2017年11月に民泊運営から簡易宿泊所に変更したという経緯があり、募集するサイトも変わり評価も1から溜めている段階です。まだまだ稼働率は7割程度で伸びしろはありますが、「民泊をやればウハウハ」という事実はないことがわかったかと思います。
もちろんエリアや条件が違えばウハウハと呼べる物件は今でも存在するかもしれませんが、そんなに甘くはありませんよということがご理解いただければ十分です。
結論ですが、簡易宿泊所や民泊はうまくやれれば普通賃貸よりは儲かる可能性がありますが、運営はラクではないですしその分リスクもあがりますよということです。
それぞれの業務をすべて自力でやれば手残りは圧倒的に増えますが、事業として考えると複数部屋を1人で管理するのはかなりのリソースを割くことになります。ずーっと予約の確認とやり取り、料金調整、クレーム対応に追われるような形になるかと思います。
他にもいろんなケースがあると思いますがうちの場合はこんなところが実状でした。
KawataKenji
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