「土地が売れない理由を知りたい」
「売れない土地を処分する方法はあるの?」
土地が売れずに悩んでいる人は多いでしょう。
特に、実家の相続で土地を取得したものの、田舎立地等で売却に苦慮するケースは少なくありません。
しかし、売れない土地でも適切に処分する方法があります。
本記事では、土地が売れない根本的な理由や手放す方法について解説します。
最後までお読みいただくと、売れない土地に関する悩みを解決できるでしょう。
土地が売れない9つの理由
土地が売れないときには、根本的な原因があります。
本章でご紹介していきましょう。
- 立地が悪い
- 販売価格が高すぎる
- 土地の境界が確定していない
- 建て替えできない
- 地形が悪い
- 地中に埋設物がある
- 土壌汚染されている可能性がある
- 依頼する不動産会社選びに失敗している
- 災害に弱い
立地が悪い
はじめに、立地が悪いことです。
なぜなら、立地が悪い土地は買い手に敬遠されがちで売却が難しいケースが多いからです。
たとえば、最寄駅から遠いバス便の立地、住宅が少ない田舎立地、幹線道路沿いや嫌悪施設に隣接する立地などになります。
これらは不人気立地なので、土地が売れません。
販売価格が高すぎる
販売価格が高いと売れません。
なぜなら、相場価格を逸脱する金額は買い手に敬遠されるからです。
販売価格は周辺相場に適した金額でなければなりません。
土地の境界が確定していない
土地の境界が確定していないケースです。
なぜなら、境界が確定していないと正確な土地面積ではない可能性が高いため、取引完了後に売主買主どちらかに損得が生じ、トラブルが起きる可能性が高いからです。
よって、買主に敬遠される傾向があり土地が売れなくなります。
土地の境界は土地家屋調査士に調査を依頼することで確定することができます。
その場合、35万円から80万円の費用がかかります。
売却前に調査を行い、土地の境界を明確にすることで売却がスムーズになるでしょう。
建て替えできない
再建築不可の土地の場合は、売れません。
再建築不可となる土地は、主に建築基準法による「接道義務」を満たしていない土地のことです。
「接道義務」とは「幅員4m以上の道路に土地が2m以上接していなければならない」ことで、間口が2m以下の土地、私道に面した土地や、袋地、旗竿地などがあります。
ですが、再建築不可の土地も、以下の方法で再建築の許可を得ることも可能です。
・隣地を取得する
隣の家の敷地を部分的に購入して間口を広げる方法です。
・敷地設定する
建築許可申請時に隣地の敷地を自分の敷地と「敷地設定」することで患畜許可を得る方法です。
・セットバックを実施する
面している道路の幅員が4mに満たない場合、建物を後退させて(セットバック)新築し、道路の幅員を広げる方法です。
・43条但し書き申請
建築基準法の43条但し書き申請を行うことで、道路や周囲の空地等の状況によっては、再建築が可能になる場合もあります。
・50戸連たん制度
市街化調整区域内では、一般的に再建築は不可です。ですが、日常生活圏内が隣接の市街化区域と一体化している50戸以上の住宅や店舗がある地域では、都市開発法第34条11項に基づき申請することで、再建築が許可される場合もあります。
関連リンク:建築基準法
関連リンク:不動産投資の森「再建築不可物件は避けるべきなのか?デメリットと対策」
関連リンク:不動産投資の森「再建築不可物件の売却方法は?売るための方法や流れを解説!」
地形が悪い
変形地や旗竿地など地形が悪いと売れないケースがあります。
なぜなら、地形が悪い土地は建物の配置が難しいなどのデメリットが強く、不人気であるからです。
よって、地形が悪いケースでは一般的に売りずらいと考えておきましょう。
地中に埋設物がある
地中に埋設物がある土地は、売れません。
地中の埋蔵物の代表的なものはかつて使用していた井戸や浄化槽などです。
また、廃棄した建築資材やコンクリートなどが埋まっている場合もあります。
これらは、新たな建物を建設する際に埋設物を除去する必要があり、多額の工事費用がかかってしまいます。
埋設物撤去工事費用の相場は、1㎡で1万円から2万円かかりますが、埋設物は掘り返してみないとどの程度のものが埋まっているかがわからずに、費用が読みにくいというデメリットもあります。
たとえば、100㎡の区画の埋蔵物を撤去する場合、100万円から200万円かかることになります。
土壌汚染されている可能性がある
土壌汚染の可能性がある土地は、売れません。
なぜなら、安心安全で快適な住環境を求めるユーザーにとって土壌汚染は健康被害を被る可能性があると考えてしまうからです。
土壌が汚染されている可能性がある土地は、工場の跡地、ガソリンスタンド跡、クリーニング店の跡地などです。
土壌汚染があれば土壌改良を行う必要もあります。
汚染された土壌を汚染されていない土壌と入れ替える費用は、1㎥あたり5万円前後かかります。
たとえば、100㎡の土地を深さ1mまで入れ替えるとすると、費用は約500万円かかることになります。
依頼する不動産会社選びに失敗している
依頼する不動産会社選びに失敗すると土地は売れません。
なぜなら、不動産売買は不動産会社の知識やノウハウなどの力量に頼る部分が多いからです。
たとえば、価格の提案や集客の方法、販売手法等については経験値の高い不動産会社ほど迅速な売却ができます。
よって、周辺での取引実績や市場に詳しくない不動産会社であれば、媒介契約期間満了後は更新せずに別の不動産会社に切り替えるようにしましょう。
災害に弱い
地盤が弱い土地、傾斜地、崖上、崖下に位置する土地は、災害時に大きな被害を受けるリスクがああります。
大雨や台風、地震などで土砂崩れが起こりやすい土砂災害危険区域にある土地は敬遠されて買い手がつきにくいでしょう。
自治体が発表している浸水ハザードマップで危険区域となっている地域の物件は、周辺の相場よりも安くなる傾向があります。
売れない土地を手放す方法
本章では、売れない土地を手放す方法を解説します。
譲渡・寄付する
譲渡・寄付には、以下の方法があります。
- 自治体に寄付する
- 個人に譲渡する
- 法人に寄付する
自治体に寄付する
まずは、自治体への寄付です。
一般的に「寄付採納申請書」に寄付したい旨を記載し自治体に申し出ることで、寄付できるケースがあります。
しかし、自治体が全ての寄付を受けるわけではありません。
公共性が高い土地であるかの厳しい審査を行い通過したもののみであるため、原則自治体が寄付を受けることはないと考えておいたほうがよいでしょう。
自治体へ土地を寄付する際に必要な書類は、一般的には以下のような書類が必要です。
・寄附採納申請書
・位置図(住宅地図の写しなど)
・公図
・実測図
・土地登記簿謄本
なお、寄付の申請方法は自治体により異なるため、窓口に電話等で問い合わせすることがおすすめです。
個人に譲渡する
個人への譲渡です。
たとえば、隣地の個人所有者に譲渡する方法があります。
隣地所有者との話し合いのもと、両者が合意できれば譲渡できます。
なお、土地の譲渡を受けた隣地所有者には、贈与税がかかる可能性があることが注意点です。
贈与税は 贈与税額=(基礎控除後の課税価格) × 税率 − 控除額 で算出されます。
基礎控除後の課税価格に対する税率と控除額
基礎控除後の課税価格 | 一般税率(%) | 控除額(万円) |
3000万円以上 | 55 | 400 |
3000万円以下 | 50 | 250 |
1500万円以下 | 45 | 175 |
1000万円以下 | 40 | 125 |
600万円以下 | 30 | 65 |
400円以下 | 20 | 25 |
300円以下 | 15 | 10 |
200円以下 | 10 | - |
参照:国税庁 「財産をもらったとき」
法人に寄付する
法人への寄付です。
近隣の会社等への寄付する方法があります。
法人と話し合いを行い経営上必要な土地と判断すれば、寄付ができるでしょう。
なお、一般企業への寄付の場合、寄付する側にみなし譲渡所得税がかかる可能性があり、一方でNPO法人など公益法人だと所得税を非課税にする特例を利用できます。
よって、法人は寄付先により税負担に違いがあります。
相続土地国庫帰属制度を利用する
相続土地国庫帰属制度とは、相続などで土地を取得した相続人が土地を手放し国に返納できる制度です。
維持管理ができずに放置された土地や所有者不明の土地を無くす目的で、令和5年4月27日から施行されました。
なお、返納できる土地には厳しい条件があります。
返納できる土地は、法令で定める却下事由と不承認事由のいずれにも該当しない土地に限られます。
たとえば、土地に建物がある時点でこの制度を利用できません。
却下事由(申請できない)の例
・建物のある土地
・担保が設定されている土地
・通路が含まれる土地
・汚染されている土地
・所有権について争いのある土地
不承認事由(申請しても不承認となる)の例
・管理が困難ながけがある土地
・管理や処分を困難にする有体物のある土地
・有体物が地下にある土地
・他の土地への通行が妨げられている土地
・所有権に基づく使用や収益が妨害されている土地
・管理や処分をするのに過分な費用や労力がかかる土地
相続土地国庫制度を利用できる土地であるかは、指定の窓口で問い合わせしてみることをおすすめします。。
相続放棄する
相続前であれば、相続放棄で売れない土地を手放す方法があります。
相続放棄とは、相続人が被相続人の財産等を相続できる権利を辞退することです。
しかし、相続放棄は売れない土地のみを放棄できずに、預貯金等のプラスの財産についても相続を辞退することになるので慎重な判断が必要です。
また、相続放棄しても次の相続人が管理を始めるまでもしくは、相続財産清算人が決まるまでは管理義務が残ります。
よって、相続放棄を行うときには、相続財産の状況等を鑑みながら判断しましょう。
関連リンク:不動産投資の森「相続放棄のメリット・デメリットとは?流れや注意点も解説」
不動産会社に買い取ってもらう
不動産会社に買い取ってもらう方法があります。
買取は買取先の不動産会社さえ決まれば、迅速な現金化が可能です。
寄付や譲渡、相続放棄が難しければ、売れない土地を確実に処分する買取がおすすめです。
なお、土地の立地条件により買取業者によっては買取拒否されるケースもあるため、買取査定は複数社に依頼するのが良いでしょう。
売れない土地を放置するリスク
売れない土地の放置は、リスクしかありません。
本章でリスクについて詳しくご紹介していきましょう。
固定資産税がかかり続ける
売れない土地には、固定資産税がかかり続けます。
なぜなら、1月1日時点の土地所有者には固定資産税の納税義務があるからです。
さらに、空き家として放置したままで、管理が行き届かない状態が続くと、特定空き家や管理不全空き家に指定される場合もあります。
特定空き家等に指定されると、固定資産税や都市計画税の住宅用地としての控除が適用されなくなり、最悪の場合固定資産税額が6倍になってしまいます。
また同様に、更地にしてしまうと、固定資産税は大幅に高くなることも忘れてはいけません。
関連リンク:不動産投資の森「空き家の固定資産税が6倍に?仕組みや対象・いつからなるかを解説」
管理するのに手間や費用がかかる
土地の管理に手間や費用がかかります。
たとえば、雑草の除去や不法投棄されたごみの撤去などです。
特に雑草の除去を個人で行うには重労働となるため、専門業者への委託で多額の費用負担が生じることもあるでしょう。
また、仮に管理を怠るとさらに売れにくくなるリスクもあります。
近隣から損害賠償を請求される可能性がある
近隣から損害賠償を請求される可能性があります。
たとえば、ごみの不法投棄や害虫の大量発生等により住環境を悪化させたことで、近隣の資産価値下落を招く可能性があるでしょう。
これら資産価値減少分や、害虫による快適な住環境を侵されたことによる損害賠償等が考えられます。
売れない土地でも工夫次第では売れる可能性がある
売れない土地でも工夫次第で売れる可能性があります。
本章で売れない土地でできる対策や工夫について解説します。
土地の価値を高める
土地の価値を高めて売りやすくすることです。
たとえば、間口の狭い土地であれば隣地を買収することで間口の広い土地にできます。
このように、一般的に土地需要が高いものにすることで売りやすくなります。
販売価格を見直す
販売価格の見直しです。
周辺の過去の成約事例等を参考に売れる金額に設定します。
相場並みの価格であれば売りやすくなり、相場より若干安くすれば早めに売却できる可能性もあるでしょう。
境界を確定させる
境界を確定させることです。
なぜなら、正確な土地面積で取引できることと、買主が境界確定にかかる測量費用の負担がなくなるので検討しやすい土地になるからです。
よって、土地家屋調査士へ確定測量を速やかに依頼しておきましょう。
越境の覚書を交わす
越境の覚書を交わすことです。
なぜなら、越境による隣地所有者とのトラブルを買主が危惧するケースが多いからです。
たとえば、敷地内の植物が隣地に越境している場合に覚書を交わしておくことで買主への安心感が高くなり、土地が売れるようになります。
土壌汚染調査を実施する
土壌汚染調査を実施することです。
安全な土地の証明をすることも、土地売買では必要であるからです。
工場地帯に隣接するようなエリアや土地変遷として土壌汚染が疑われるような立地であれば、実施しておくとよいでしょう。
依頼する不動産会社を変更する
依頼する不動産会社を変更することで、土地が売れやすくなります。
なぜなら、不動産会社の提案や販売手法、計画次第で売れ行きに影響があるからです。
地元の不動産会社や大手不動産会社など、複数社に査定を出して比較検討して決めるのがよいでしょう。
まとめ
本記事では、土地が売れない根本的な原因や処分するための対策について解説しました。
土地が売れない原因は、価格が高いことや一般的に好まれない土地であるからです。
よって、土地が売れなければ価格の見直しやデメリットの改善、不動産会社の変更を行うと状況が一変する可能性があるでしょう。
売れないからと放置せずに迅速に工夫や対策を行うことが重要です。