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再建築不可物件は避けるべきなのか?デメリットと対策

投稿日:2017年11月20日 更新日:

再建築不可物件は避けるべきなのか?デメリットと対策

不動産投資を行う物件を探している際に、条件が良いにもかかわらず物件価格が安く、高利回りを達成できている物件を見かけたことはありませんか?

築年数がそれほど経過しているわけでもなく、空室率が高いわけでもないのに物件価格が異常に安価であることから、「備考欄に何か書いてあるけどいいや」と軽視し、購入した後で後悔してしまう人が多くいます。

今回は条件付き物件の中でも再建築不可の条件が付いた物件について見ていきましょう。

再建築不可とは?

再建築不可とは、既に土地の上に建てられている建物を一度壊してしまうと、二度と建て直しをすることができないような物件(土地)を指します。

なぜこのような物件が存在しているのか見ていきましょう。

なぜ再建築不可物件が誕生するのか?

第二次世界大戦で敗戦したことで、日本は無法状態になり建築に関する取り締まりをきちんと行うことができていませんでした。

権利関係のトラブルや隣接する住居とのトラブルが多発したことから、1950年に国民の生命・健康・財産の保護のために建築物の敷地や設備、構造や用途などの最低基準を定めたのが建築基準法になります。

建築基準法は、時代とともに変貌を遂げる生活スタイルや大規模な地震や災害などによって生じるトラブル回避のために何度も改正が行われてきました。

法律が制定されたり改正される場合には、従前の建築物に関しては制定後の建築基準法が適用されていないため、次の建て直し時に法律に適用した物件を建築することが求められます。

また、建築基準法が定められているにもかかわらず、法の規制を無視した建築された違法建築物や地主が分割して土地を売買した場合には、建築基準法を満たしていません。

こうして、現行の法律では建築できなくなってしまった土地に建っている物件が、「再建築不可」として存在してしまうのです。

このような物件を購入してしまった場合には、経年劣化などで建て直そうとすると現行の法律が適用されてしまうことから、再建築ができません。
再建築不可

具体的に再建築不可になるのは、どのような場合なのでしょうか?

よくある再建築不可の理由

よくある再建築不可の理由は「接道義務」に抵触している場合で、接道義務については建築基準法43条に記載されています。建築基準法43条の一部を抜粋して見てみましょう。

第43条
建築物の敷地は、道路に2m以上接していなければならない

接道義務の基準となるのは、建築物の周辺が2m以上道路と接することができているかどうかが焦点になります。

それでは、具体的な例を見てみましょう。

周囲を家に囲まれている(もしくは通路程度の広さの道しか道路と接していない)

このような場合には道に面していないため、建て直しが行えません。地主などが土地を分割して売買してしまった場合には、このような物件が発生してしまいます。

では、下記のような場合はどうでしょう。

このように道路に面していて、面している部分が2m以上接面している場合には、接道義務を満たしていることになり、建て直しが可能です。

敷地が接面している道路が、建築基準法上の道路に該当している

道路と2m以上接面していれば人が通ることしかできないような通路でも良いわけではなく、建築基準法42条に定められた道路である必要があります。

42条1項道路(幅員4m以上のもの)
①国道、県道、市道、高速自動車道
②都市計画法、土地区画整理法による道路等
③建築基準法の規定が適用される前に存在していた道
④土地を敷地として利用するため、私道として築造された道で特定行政庁から一の指定を受けたもの

42条2項道路
建築基準法の規定が適用された際に、建物が立ち並んでいる幅員1.8m以上、4m未満の道路

42条2項の道路の場合には、本来は自身が所有する敷地であるにもかかわらず、上記のように道路幅を4m確保できるようにセットバックによって敷地を道路とみなしてしまう「みなし道路」が適用されます。

これに伴い、元々の住居がセットバックの部分にかかるように建築されていた場合には、従前と同様の物件は建築できず、建ぺい率や容積率の制限などを受けた物件しか再築できません。

接道義務は「一体の都市として総合的に整備し、開発し、および保全する必要がある区域(都市計画区域)」に課せられるものであるため、整備や保全の必要が生じない都市計画区域以外には適用されません。

アパートやマンションなどの大規模な物件の場合には、特殊建築物の接道義務が生じるため、都道府県の条例や施行令をきちんと確認する必要があります。

再建築不可によるデメリット(投資目線)

自己が所有して居住し続けるのであれば、再建築不可には問題がなさそうにも思えますが、実際にはどのようなデメリットが生じるのでしょうか?

再建築不可の土地や物件を購入して投資を行う場合を基準に考えていきましょう。

土地の価値が低い

建物の再建築が行えないということは、土地の使用用途が限定されてしまうことになるので、土地の価値が低くなってしまいます。

そのため、相続などでまとまったお金が必要な場合や入居率が下がってきたことによって売却したい場合にも、使用用途が限られてきてしまうことから、なかなか買い手が見つからず二束三文で買いたたかれてしまうことになるでしょう。
土地の価値

融資がつかない

銀行などが不動産投資に対して行う融資は、どんな物件に対しても行われるわけではありません。

融資を行う側は、貸し倒れなどによって融資金の回収ができなくならないようにするために、融資対象物を担保に入れるなど、リスクを少しでも抑えることができるようにします。

しかし、再建築不可などの条件付きの物件の場合には、土地の価値が低いことなどから担保を手に入れたとしてもその後の処分に困ってしまうことから、融資を行わない可能性が高いでしょう。

仮に融資を行ってくれる機関が現れたとしても、融資を行うリスクが高いことから通常の金利に上乗せをしたり返済期間を厳しいものにするなど、あまり好条件の融資を受けることができません。
融資

以下の記事も参考にして下さい。

再建築不可物件はローンがつかないのか

再建築ができない

道路に面していない家の場合には、工事用車両などが通行できないことから再建築を行うことができません。

リフォームなどによって住み続けることはできますが、地震や火災によって消失してしまった場合などは、建造物を建てることができない土地として残ってしまうことになります。

道路に面しているからといって再建築できるとは限らず、4m以下の道路の場合にはみなし道路としてセットバックが適用され、セットバック部分にかかる物件を再建築することはできません。

また、建築基準法42条に該当していない道路に面している場合も再建築を行うことができないので注意が必要です。

道路付けが悪い(ケースが多い)

再建築不可に該当する理由のほとんどが接道義務を満たしていない場合です。

接道義務を満たしていないということは、周辺の道路整備が行われていないエリアであることを意味しているため、日常生活が快適なものかどうかはわかりません。

車の相互通行ができなかったり車庫入れが不便であるほか、道路に面していない物件の場合には道路に出る際に他人の敷地の一部を通行させてもらうことになります。
道路

再建築不可のメリット

デメリットを見る限りでは、リスクを負ってまで再建築不可の物件をわざわざ購入する必要がないように感じてしまいますが、再建築不可のメリットは何があるのでしょうか?

先ほどと同様、再建築不可の土地や物件を購入して投資を行う場合を基準に考えていきましょう。

価格が安い

物件の使用用途が限られていることから資産価値が低くなるため、売却価格が通常の物件よりも3~4割安くることが多いのですが、地域によっては半値以下になることもあります。

必ずしも全ての人が再建築を必要としているわけではないため、再建築不可物件だからと言って全く需要がないとは言えないでしょう。

むしろ、再建築不可の物件も不動産投資を行うのに価格を少しでも下げて利回りを上げたい人にとっては、条件付き物件の方が、初期投資を抑えることができるため、好条件の物件になることがあります。

固定資産税や相続税が安い

再建築不可の条件が付いていることによって土地の価値が低いことから物件を安く手に入れることができましたが、他に恩恵はあるのでしょうか?

土地の価値が低いということは、資産価値が低くなることを意味するため、資産価値を基準に算定するものにもプラスの影響を与えることになります。恩恵を受けるものを挙げてみましょう。

固定資産税

固定資産税は、不動産投資を行う上で発生するランニングコストの中でも比較的大きな割合を占めます。

資産価値が下がることによって固定資産税が下がることは、ランニングコストの削減につながるため、家賃収入が増えたことと同等の価値があることになるでしょう。

相続税

物件の名義人がなくなった場合、その物件を相続する際に相続税が発生します。

不動産投資の場合は、現金を不動産に変えてしまっていることが多く、資産価値に応じた相続税が課されるため、多額の現金が必要になり、簡単に納付することができません。

しかし、資産価値が低くなることで相続税もその分低くなるので、突発的に発生する出費によるリスクを少し軽減することができるでしょう。

普通の物件を購入するのではなく、あえて再建築不可の条件がついた物件に投資することは、節税にも結び付いていると言えます。

安い

再建築不可物件の相場

再建築不可物件の相場は地域にもよりますが、周辺価格よりも3~4割程度安くなっていることが多いのですが、元々地価が高い地域の場合には半値以下で手に入ることもあります。

再建築不可物件を運用してはいけないというルールは存在しないため、安価で手に入れてからリフォームを行い賃貸用の物件として運用を開始する人も少なくありません。

また、接道義務を何らかの理由によりクリアできた場合などには、その土地の価格が高騰することになるため、転売目的で再建築不可が取り除かれるまで物件を運用し、運用固定資産税を賄う人もいます。

実際に、再建築不可物件が再建築できるようになることがあるのでしょうか?

再建築ができるようになるケース

再建築ができるようになるケースは以下のような場合があります。

道路に面している物件を購入して接道義務をクリアする

上記のように接道義務を満たしている隣地を購入することによって、従前の物件に関しても接道義務を満たしていることにし、再築可能にしてしまうという方法です。

こちらの方法に関しては、事前に隣家の人が引っ越しなどによって立ち退く可能性もあることなどから、比較的現実的な再建築可能を勝ち取る方法と言えるでしょう。

隣地買取

ほかの持ち主とともに、土地を位置指定道路にする

上記のような土地があった場合には、道路に面しているのがEとFだけであるため、A~Dが再建築を行うことができません。

そこで上記のように近隣住居の協力を得て、位置指定道路の申請を行うという方法があります。申請は行いたい人だけでなく、位置指定道路に関係ある人全ての同意を得なければなりません。

そのため、EとFにとっては敷地が狭くなってしまうなど、何のメリットも存在しないことになってしまいます。

そこで上記のように土地の持ち分割合に応じて再分配するなど公平を保つような状況にしたり、何らかの形で協力してくれたEとFに還元する必要が出てくるでしょう。

先ほどの接道義務をクリアしている隣地を購入する方法と比較すると、利害関係が生じてしまうことから、なかなか現実的とは言えません。

区画整理などによって再建築不可が再建築可になる

もともと住宅密集地や古い町並みの場所の場合は、火災が発生した場合などの安全性を確保できないことから区画整理が行われる場合があります。

区画整理が行われた場合は、基本的には再建築不可の物件にも何らかの道路と接することになるため、再建築可になるのですが、区画整理が行われる可能性が低いので現実的ではないでしょう。

デメリットを考えても安く買えれば問題なし

再建築不可物件であれば、資産価値などが低いため賃料もそれに合わせて安くなるのでしょうか?

応えは「NO」です。

再建築不可物件だからといって、住環境に支障が出るわけではありません。駅からのアクセスや周辺の価格相場を基準に通常の物件と同様の賃料が設定されます。

具体的な数値を当てはめて見ていきましょう。

物件一例(古民家)

同様な広さで築年数も同じような物件が再建築不可であるというだけで、半値ほどで取得することができます。

そのため、物件の購入にかかる初期投資を抑えることができることから高利回りを達成できるほか、空き部屋が目立つ場合は周辺よりも家賃を少し下げて、借りやすい物件を目指すことができるでしょう。

この例の場合では、家賃を半額の2万5000円まで下げてようやく通常の物件の利回り水準になることから家賃を4万円に下げれば、十分な需要が期待できます。

高利回り

デメリットの理由として一番大きいのは、再建築ができないということですが、必ずしも築年数が経過したからと言って再建築が必要なわけではありません。

リフォームや補強のように、現在のままの姿で中身や性能を向上させることは、再建築に該当しないため遠慮なく行うことができます。

結果的に安価で手に入れることができた分、内装に手を加えて周辺の物件との差別化を図るなど、活用の方法は多岐にわたると言えるでしょう。

ただし、その物件を担保にして融資を受けることができる確率が低いため、不動産投資の初心者の方は再建築不可物件からデビューするのではなく、ある程度の余裕資金を確保してから挑戦することをおすすめします。

初期投資を抑えて高利回りの物件を運用し、条件が整い再建築不可の条件が外れた場合には資産価値が向上する可能性が高くなる再建築不可物件。

不動産投資の1つの方法として取り入れてみてはいかがでしょうか?

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