大家インタビュー

かぼちゃの馬車問題でオーナーから学ぶべき準備の大切さ

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[不定期連載]
不動産で“食べたい”人バイブル#02

これからの人生をより豊かにしていくために、不動産投資へを検討している方々へ送る不定期連載企画。

ひとことに不動産投資といっても、目的や、はじめた理由によって、取り組みの例は十人十色。興味はあってもなかなか一歩目を踏み出せない方のヒントになればと、実際に不動産投資の分野でいま生活をしている方々に話を聞きました。

2回目にお話を伺ったのは、不動産投資家としてブログを通じて情報発信をしているずんさん。

ブログはこちら:https://goodasset.net/

シェアハウスを中心に投資をしており、昨今、世間を騒がせている“かぼちゃの馬車問題”についても精通している投資家さんです。

ブログでは、同問題の被害者の方たちへの無料相談を実施し、実際に30名強から話を聞いたとのこと。これから不動産投資をしようと思っている人にとっては怖すぎる昨今の出来事について、どうしたら被害に合わぬようにできるかなど、お聞かせいただきました。

すでに投資をされている人も、ぜひご一読ください。

かぼちゃの馬車問題でオーナーから学ぶべき準備の大切さ

被害者30名強と面談した ずんさん(30歳)既婚♂

夢が一瞬でパーに…怖すぎる、かぼちゃの馬車問題

 20181月、ショッキングなニュースが不動産業界に舞い込んできた。

 “かぼちゃの馬車”問題——。

 この、事件と言ってよい出来事は、不動産業界のみでなく、広く世間一般へと知られることになった。

どのような問題かは、散々ワイドショーやメディアで取り上げられているだけに、読むまでもないかもしれないが、念のため記しておこう。

簡単に要約すると、株式会社スマートデイズ(旧社名:スマートライフ)が、“かぼちゃの馬車”というブランド名でシェアハウスを展開。

購入したオーナーに対し、サブリースでの家賃収入を保障したが、全くもって立ち行かず、本来オーナー(投資家)に払う予定だった金額が払えない状態となり、この1月、ついには同社が白旗をあげた…というものだ。(スマートデイズ民事再生についてはこちら

その結果、このブランドの物件のオーナーたちは、入るはずであった家賃収入が見込めないシェアハウスを、自らの負担で運営していかなくてはいけなくなった。

投資家たちが、夢を見て買った物件が一瞬として大きな負債となった…というわけである。想像するだけでゾッとするような、極めて気分の悪い“事件”である。

 今回、話を聞かせてもらったずんさんは、30代前半の若き不動産投資家だ。

この事件の前から、自分でシェアハウスを運用していることもあり、この問題で被害に合われた方たちに対し、「なにかできることがあるのでは」と、自らのブログを通じて無料相談を実施した経験を持つ。

問い合わせはひと段落し、いまは受付をしていないが、これまでに30名を超える被害者と実際に会話をしてきたという。

あえての苦言。再認識した“準備”の大切さ

ずんさん

正直、非常に悪質だと思います。

運営会社も、はじめはこのように多くの被害者が出るとは思っていなかったでしょう。

加えて、投資というのは少なからず当たり外れはあるものですから、全てが悪いというわけにはいきません。

ただ、多くの被害者のかたと話した身からすると、あらためてことの大きさを感じましたし、二度と起こってはいけないことだと思っています。

 本件は、不動産投資という分野における、“夢”を、真正面からぶち壊したものである。

被害者は実に700名近くにのぼる。ずんさんが面談した30名強の中でも、30代の若いサラリーマンもいれば、これから余生を過ごそうと投資に踏み切った年配者まで幅広い層に被害者がいたという。

彼ら全ての人生設計を狂わせてしまったのだから、罪は大きい。

 また、ここ数年でシェアハウスという言葉が浸透しつつあって、その市場で起こった問題というのもまた厳しい。真実がまだわからぬ段階なので、言葉を選ぶが、これら全てが誰かの策略による意図的なものだとしたならば、本当に悪質だ。

 ただ、同じ投資家という立場でみると、同情の気持ちだけがあるだけではない部分もあるという。

ずんさん

あえて言わせてもらうと…被害者の皆さま自身も、もっともっと気をつけなくてはいけなかったかなと思います。

例えば、“かぼちゃの馬車”が初めての投資物件だったとか、同物件の売り上げを皮算用して人生設計を組んでしまったとか…少し安易だったのではないかと思ってしまう部分も正直あります。

 

 『無条件でいい話はない』

事にもいえることだが、“かぼちゃの馬車”は、まさにこの言葉に当てはまるものだった。

人のせいにするのは簡単だ。だが、被害を被るのは誰でもない、自分である。

自分の身は自分で守らなくてはいけないというのは世の常だ。その上でなにが必要だったのだろうか。ずんさんは言う。

ずんさん

最低限の知識、そして、覚悟の度合いですね。

十分に知識のない状態で、うまい話だと思って信じてしまうのは、とてもリスキーだとあくまで個人的には思います。

まず、準備。僕は最初の物件に手を出す前に、石橋を叩きまくりました。

押し付けるつもりはありませんけど、知識はあるに越したことはないと思います。

自分の手が届く範囲で投資する、リスク管理の勧め

 例えば相場観。

今回の案件で行けば、真に知識がある人からすれば、一棟辺りの金額が通常よりも割高なことに気づけた可能性はあったという。

その高さをひっくるめても、その後の家賃収入が“美味しかった”と言われればそれまでだが、不動産は言うまでもなく、簡単に手を出せるものではない大きな買い物だ。

そこにリスクを考える余地は必要だったかもしれない。

 加えて、数字を理解した上での計画性。

「すべてを賭けるのではなく、自分が計算できる範囲で投資すべき」とは、ずんさん。

話を聞いた被害者の中の多くは、「自主管理でコストを削減すること」を提案しても、本業やその他の事情で、それを実現できる環境にない人が多かったという。

リスク管理の観点からすれば、それはNGだ。

ずんさん

なんとか最小限の被害で留められている人は、その辺、ある程度融通が効くというか、さらなる被害を起こさないための判断ができているんです。

多分、数字的な理屈も分かっていて、最初から『最悪、自分で運営すればなんとかなる』ぐらいの感覚でやっている。

そういう余裕が必要だと思います

 ずんさん自身、最初に投資した物件は、月々のキャッシュフローは2万円程度のものだったという。

ただし、自分に手の届く範囲での投資を通じて不動産の知識を得たことで、いまではシェアハウスだけで5棟を持ち、見事にキャッシュフローを得られている。

一歩目を踏み出す勇気も大事だが、丸腰でいくのはただの無謀だ。

“自分の手に届く範囲から”歩み出すのが、いい形といえるかもしれない。タイムリーな話題のため、かぼちゃの馬車の話だらけになってしまったが、理屈は一緒だ。


 

 知識が身につけば、ピンチがチャンスに変わる可能性にも目がいくようになる。

例えば今回のかぼちゃの馬車問題も、今後、立ち行かなくなったオーナーたちが手放すことにより、多くの物件が市場に出回ることもあるだろう。

それをうまく活用できる方法も、きっとある。そこを活かせるかは絶対的に、知識が必要なのは言うまでもない。

 実際、ずんさんはいくつかの“かぼちゃ”の管理を請け負うことになり、それを新たな自分のビジネスに変えている。

利益が出るかはまだ「これから」だというが、市場が動くときに生まれる需要に気がつくことは、知識なくしてはありえないだろう。

 ずんさんは言う。

ずんさん

なにもせずにもうけられる話なんて、正直ありません。

魔法はないんです。

不動産でいえば、仕入れ(物件購入)が一番大事で、自分が求める結果が出るかはそこで8割が決まるといってもいいと思います。

楽な気持ちでやるんではなく、知識を身につけて、今後また起こりうるだろうにたような被害にあわないようにしてほしいなと思います。

 うまい話には裏がある。魔法は、ない。

疑う気持ちを持てるように、まず最低限の知識を身につけて、コツコツと取り組んでほしい。

もう、被害者の困る姿は見たくないという、ずんさんの優しさ溢れる本音にぜひ耳を傾けてほしい。

(了)

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もりお@不動産投資の森編集部

不動産投資の森の編集部。寄稿された投資家の記事を編集しています。

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