共有持分の放棄は可能?手続きの流れや注意点について解説
「親から受け継いだ不動産の名義が共有になっているけど、不都合はないのか…」
「将来、トラブルが発生したりしないか…」
そのように悩んでいませんか?
結論を言えば、共有持分を放棄することでトラブルを回避することができます。
共有持分を放棄することで、固定資産税などの不動産所有によって負わなければならない義務や不動産に関する話し合いなどのわずらわしさから逃れられるのです。
とはいえ、共有持分の放棄が難しいケースも存在します。
この記事を読むことで、共有持分の放棄の意味や放棄が適しているケース、放棄が難しいケース、放棄の手続きなどについて知ることができるでしょう。
さらに、共有持分の放棄に関する注意点や税金の扱いなどについても解説します。
弊社(株式会社 AlbaLink )は、共有持分のみを高額で買い取る専門業者であるため、相談や問い合わせに的確に答えられるでしょう。
目次
共有持分の放棄とは?
「共有持分の放棄」とは、自分が所有している持分を自分の意思で放棄することです。
他の共有者と一緒に、持分の所有権を変更する登記申請を行うことで、自分の持ち分を放棄することができます。
たとえば、親から相続した実家を3人の子供で均等に受け継いでいる場合に、遠方に住む長男が自分の権利を手放すと、残された次男と三男で等しく分け合うことになります。
共有持分の放棄と相続放棄の違い
共有持分の放棄は、相続放棄と何が違うのでしょうか。
【共有持分の放棄と相続放棄の違い】
共有持分の放棄 | 相続放棄 | |
対象 | 該当する共有持分だけ | すべての相続財産 |
手続きタイミング | 名義変更後 | 名義変更前 |
期限 | 相続登記完了後に実施
期限は特に定められていない |
相続発生がわかってから3か月以内 |
相続放棄を選択する場合、該当する不動産の共有持分を放棄できますが、預貯金や他の土地など他のすべての財産も放棄しなければなりません。
一方、共有持分のみの放棄であれば、放棄したい物件だけを選択できるというメリットがあります。
また、手続きのタイミングや手続きの期限についても違いがあります。
相続放棄が不動産の名義変更前で、相続発生から3か月以内に実施しなければならないのに対し、共有持分の放棄は相続登記完了後であれば、特に期限が定められていません。
共有持分を放棄する理由
共有持分を放棄する理由は、主に以下の2つです。
- 共有名義不動産におけるトラブルを回避したい
- 共有名義不動産の維持管理が大変だから
それぞれの内容について、詳しく見てみましょう。
共有名義不動産におけるトラブルを回避したい
1つ目の理由は、共有名義不動産のトラブルを回避したいからです。
相続で取得した土地や建物を親族と一緒に所有する場合、その後の運用方針で意見が分かれやすいものです。
たとえば、更地にして売却したい人と賃貸マンションを建てたい人がいれば、話し合いは平行線となり、解決に時間がかかります。
このようなトラブルを避けるため、自分の権利を手放すことで、親族間の軋轢を未然に防ぎ、円滑な関係を保つことができます。
共有名義不動産の維持管理が大変だから
複数人で所有する財産は、全員が協力して管理をする責任があります。
例えば、遠方にある実家の空き家を兄弟で引き継いだ場合、定期的な清掃や修繕が欠かせません。
しかし、草が生い茂って隣人から苦情が来たり、屋根が傷んで雨漏りしたりと、手入れを怠ると様々な問題が発生します。
さらに、見回りを怠ると不審者の侵入を招く危険性もあります。
共有財産の場合、不動産を所有している人すべてに責任があるため、対処する時間や労力、金銭的負担をしなければなりません。
将来的な利用予定もなく、継続的な負担に耐えられない場合、自身の権利を手放すことで、これらの義務から解放されたいと考えても不思議ではないのです。
子どもや孫の負担を減らしたい
共有不動産の中には、その活用方法が見いだせず、負担だけを背負うケースがあります。
例えば、地元を離れて既に都市部で生活を営んでいる場合、遠方に残された土地や家屋は管理ができず、活用も困難です。
にもかかわらず、固定資産税などの負担だけがのしかかってきます。
自分の子や孫に、不動産管理や固定資産税の負担を負わせないため、親世代の判断で持分を放棄するケースが見られます。
共有持分の放棄が適しているケース
不動産は方法次第でプラスに活用できる財産です。
しかし、場合によっては不動産の権利である共有持分を放棄したほうが良いケースもあります。
ここでは、放棄が適している2つのケースについて解説します。
売却や譲渡が難しい場合
1つ目のケースは、不動産の売却や譲渡が難しい場合です。
共有で所有する不動産は、本来であれば売却することで金銭的な利益を得られます。
しかし、実際には、共有者全員の同意を得るのが難しい、あるいは買い手が見つからないなど、売却がスムーズに進まないケースも少なくありません。
例えば、実家を兄弟で相続したものの、誰も利用する予定がなく、維持費の負担だけが重くのしかかっているような状況を考えてみましょう。
この場合、売却益で維持費の問題を解決したいと考えたとしても不思議ではありません。
しかし、共有者の中に売却に反対する人がいたり、買い手がつかなかったりする場合、他の共有者ともめる可能性があります。
その場合は、持分を放棄したほうが不動産管理の負担から解放されるのでプラスとなるでしょう。
共有持分以外に相続財産がある場合
2つ目のケースは、共有持分以外に相続財産がある場合です。
土地などの不動産を相続したくない場合、相続放棄も選択肢の一つとなりますが、相続放棄では土地以外の財産(現金や有価証券など)も放棄しなければなりません。
一方、共有持分の放棄であれば、いったんは不動産の相続人の一人となるものの、不要な不動産の権利だけを放棄することができます。
相続する遺産の内容を見て、持分放棄か相続放棄か選ぶとよいでしょう。
共有持分の放棄における手続きの流れ
共有持分の放棄を行う場合、どのような手続きを行えばよいのでしょうか。
ここでは、放棄に伴う手続きの流れについて解説します。
共有持分の放棄を意思表示する
最初にするべきことは、共有持分を放棄するという意思表示です。
意思表示には決まりがありませんが、内容証明郵便を利用するのがおすすめです。
※内容証明郵便
郵便局が差出人や宛先、内容、差出日を証明してくれる郵便サービスのこと
ただし、いきなり内容証明郵便を送ってしまうと、受け取り手が困惑したり不快に思ったりするかもしれません。
書類を郵送する前に、事前に口頭で連絡したほうが良いでしょう。
共有持分移転登記の申請をする
共有持分の放棄手続きでは、所有権を移したい相手と協力して、法務局に「共有持分移転登記」を申請する必要があります。
例えば、AさんとBさんが土地を共有しており、Aさんが自身の持分を放棄する場合、AさんとBさんは共同で、その土地を管轄する法務局に申請を行います。
この際、申請書や不動産の評価証明書、AさんとBさんの本人確認書類など、様々な書類が必要です。
また、固定資産税評価額に応じて登録免許税がかかります。
手続き自体は自身でもできますが、複雑なため、専門家である司法書士に依頼することも可能です。
費用は数万円程度が相場です。
他の共有者が協力してくれない場合の対処法
他の共有者が正当な理由なく共有持分移転登記に協力してくれない場合は、裁判所に訴訟を起こすことで、単独で手続きを進めることが可能です。
実際、裁判を通じて勝訴すれば、自分だけで必要な手続きを進められます。
もっとも、訴訟を検討する段階になって、態度を変える共有者も少なくありません。
その場合は、円滑に持分放棄の手続きを進められるでしょう。
共有持分を放棄する際の注意点
共有持分を放棄する際、いくつか注意点があります。
ここでは、2つの注意点について説明します。
共有持分の放棄は早い者勝ち
不動産を複数人で所持している場合、その権利を手放すタイミングが非常に重要になります。
例えば、3人で空き地を所有しているメンバーのうち2人が順次自身の権限を放棄すると、最後に残った人物は全体を単独で保有する状態となってしまいます。
最後まで残ってしまうと、一切の権利を手放すことは制度上できません。
したがって、管理や固定資産税の負担から逃れたい場合は、他の所有者より先に自身の持ち分の放棄を済ませることが必要となります。
その際は、証拠として残る内容証明郵便などを活用すると、意思を表示した時期が証明されるためおすすめです。
共有持分の一部のみを放棄することはできない
不動産を共有している場合、自分が持つ権利の一部だけを放棄することは認められていません。
自分の共有持分の一部だけを手放したいときは、他の方法(売却や贈与など)を検討しましょう。
共有持分の放棄における税金
共有持分を放棄すると、税金の面でも変化があります。
ここでは、贈与税・固定資産税・登録免許税について解説します。
贈与税
不動産の持分放棄をすると、共有者に贈与税が発生する可能性があります。
なぜなら、持分放棄は税法上は贈与とみなされ、共有者が贈与税の課税対象者となるからです。
参考:国税庁「第9条《その他の利益の享受》関係」
不動産の評価額によっては贈与税も高額になるので、あらかじめ税理士等に相談した方がよいでしょう。
固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日時点でその不動産を所有している人に課せられます。
もし、あなたがその年の途中で自分の持ち分を放棄したとしても、その年の税金については支払う必要があります。
持ち分の放棄は、単に相手に伝えるだけでなく、法的な手続きを完了させなければなりません。
手続きが完了するまでは、税金の支払い義務は残りますので注意が必要です。
登録免許税
不動産を共有している場合、自分の持ち分を相手に譲渡するときには、登録免許税という税金が発生します。
登録免許税は、持分を移転する手続きである「登記」の申請時に発生します。
登記申請は、譲る側と譲られる側の共同で行うため、誰が登録免許税を負担するかについては、当事者間で事前に話し合って決めておきましょう。
まとめ
この記事では、共有持分の放棄や手続きの流れ、注意点について解説しました。
記事内でお伝えしたとおり、共有持分の放棄は可能であり、売却や譲渡が難しいケースや相続放棄よりも持分放棄が有効である場合などに、積極的に活用することができます。
持分を放棄する際は、放棄の意思を表明し、共有持分移転登記の手続きを進めましょう。
また、最後の一人になってしまうと不動産を放棄することができなくなるため、注意しなければいけません。
持分は放棄する以外にも、買い取ってもらうこともできます。
弊社(株式会社Albalink)は、訳あり物件専門の買取業者で、今までに多くの物件を買い取ってきた実績があります。
共有名義の物件についても多数の購入実績があるため、適切なアドバイスが可能です。
一つの候補としてご相談くだされば、金額や日程なども含め、全力でご対応いたします。お気軽にご連絡ください。
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