この記事では、「市街化調整区域」の定義、開発許可の必要性、そこに家を建てる抜け道、メリットとデメリットをご説明します。
市街化調整区域に土地の売出を見たあなた、こんなお悩みはありませんか?
- 市街化調整区域で家を建てる条件は何?
- 市街化調整区域内で建物を建てる抜け道・裏ワザが知りたい!
- 家を建てるメリット・デメリットを明確にしたい!
市街化調整区域の土地に安く家を建てられたらうれしいですよね。
本当にトータルで安いのか、法的な条件、手続きの手間と費用が気になりますよね。
今回は、「市街化調整区域」の一般的な定義、開発許可の必要性、区域内で家を建てる条件に、抜け道・裏ワザ、市街化調整区域に家を建てるメリットとデメリットをご説明します!
【この記事でわかること】
- 市街化調整区域は、戦後の高度成長期に農村地帯を保護する目的で設けられたもの。
- 市街化調整区域に家を建てる場合には、開発許可を行政から取得する必要がある。
- 家を建てる方法としては「住宅兼用店舗」、「分家住宅」、「既存住宅の建て替え」や開発事業者が許可を取得済みの土地を利用。
- 自治体の許可を得ることで家が建てる抜け道・裏ワザがあり、ただし手続きが複雑なためプロに相談を!
- 市街化調整区域に家を建てるメリットは、土地が安く買えて、税制上の優遇があり、静かな環境に住めること。
- デメリットは、厳格な建設制限があること、インフラが不十分なこと、売却が難しいこと。
それでは詳しく見ていきましょう。
目次
市街化調整区域とは
市街化調整区域とは、都市計画法に基づいて「市街化を抑制すべき区域」として指定されたエリアを指します。
この制度は、都市部の無秩序な開発を防ぐことを主な目的としています。
特に、政令指定都市や県庁所在地、中核市などの大規模な自治体で見られ、戦後の高度経済成長期における住宅地の乱開発が問題となった背景があります。
当時、人口増加が著しい都市近郊では農業が盛んであり、無秩序な開発により貴重な農地が失われる危険性がありました。
このため、開発を規制し、農村地帯を保護する目的で市街化調整区域が設けられました。
都市計画法では、地域を市街化区域と市街化調整区域の二つに分類しています。
区域名 | 定義 | 開発の可否 |
市街化区域 | 既に市街地を形成している区域および今後おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域 | 開発が推奨される |
市街化調整区域 | 市街化を抑制すべき区域 | 原則として開発が制限される |
市街化区域は「既に市街地を形成している区域および今後おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」と定義され、開発が推奨されるエリアです。
一方、市街化調整区域は原則として建築物の建築が制限されており、これにより宅地の乱開発が抑制され、農業地帯が保護されています。
しかし、この制度も施行から約50年が経過し、時代の変化とともに新たな課題が生じています。
現代では農業従事者の減少など、制度設計当初とは異なる状況となっており、市街化調整区域内の不動産所有者の間で新たな悩みが増えています。
市街化調整区域で建物を建てるには開発許可が必要
市街化調整区域内で建物を建てる際には、原則として行政の許可が必要となり、この許可を「開発許可」といいます。
開発許可が必要となる開発行為には、大きく分けて次の3種類があります。
- 区画の変更敷地の分割や新しい道路の設置など、土地の利用区画を変更する行為。
- 形状の変更一定の高さを超える盛土や切土など、土地の高さや形を変更する行為。
- 形質の変更山林や原野などの非宅地を、建物を建てるための宅地へ転換する行為。
市街化調整区域では、開発の規模にかかわらず、これらのいずれかの行為を行う際には許可を取得しなければなりません。
区画、形状、形質の変更を行う場合には必ず行政の許可を取得しなければならず、また一定の条件を満たす必要があります。
参照元:東京都都市整備局「都市計画法に基づく開発許可制度のあらまし」
これらの法的用件を理解し、適切に手続きを進めることで、市街化調整区域内であっても、建物を建てることは可能です。
市街化調整区域で家を建てる条件
市街化整備区域で家を建てる条件を以下のケースにおいてご説明します。
- 宅地利用が認められた土地の場合
・住宅兼用店舗
・分家住宅
・既存住宅の建て替え - 立地基準を満たした土地の場合
- 農家である場合
市街化調整区域内でも、特定の条件を満たせば住宅兼用店舗や分家住宅、既存住宅の建て替えが認められるほか、開発許可を得た分譲地を利用することで家を建てることが可能です。
また、農業を営む者であれば開発許可なしで居住用建築物を建てることが認められており、地域ごとの規定を確認することが重要です。
詳しくご説明します。
宅地利用が認められた土地の場合
市街化調整区域内で宅地利用が認められている土地では、一定の条件を満たした建物を建てることが可能です。
既に建物が建っている土地であれば、新たに開発許可を取得する必要はありません。
ただし、すべての種類の建物が許可されるわけではなく、建築できる建物の種類には制限があります。
都市計画法第34条に基づき、建築が認められる主な建物には、以下の3種類があります。
許可される建物の種類 | 説明 |
住宅兼用店舗 | 住居と店舗が一体となった建物で、自営の販売・加工・修理業などに利用可能。 |
分家住宅 | 農業を営む家族から独立した分家が建てる住宅。 |
既存住宅の建て替え | 既存の住宅を、同じ規模・用途の建物へ建て替えることが可能。 |
これらの建物は、市街化調整区域内であっても一定の条件を満たせば建築が認められます。
ただし、宅地利用が認められている土地であっても、建築を行う際には都市計画法第43条に基づく建築許可の取得が必要です。
参照元:国土交通省「都市計画法」
この許可手続きは、市街化調整区域内での開発を慎重に管理するための重要な要素となります。
住宅兼用店舗
市街化調整区域内で建築が許可される特定の建物の一つに「住宅兼用店舗」があります。
これは、住居と店舗スペースが一つの建物内に共存する形態で、特に個人商店などで一般的なスタイルです。
このタイプの建物では、例えば1階を店舗スペース、2階を住居として使用するケースが多く見られます。
許可される店舗の種類は、自営業として日用品の販売や修理業などを営むものに限定されます。
また、建築の際には以下のような条件を満たす必要があります。
条件項目 | 内容 |
店舗面積 | 建物の延床面積の半分以上が店舗スペースであること |
営業形態 | 自営業の店舗であること |
地域要件 | 自治体の規定に準拠すること |
住宅兼用店舗は、居住機能と商業機能を兼ね備えた建物であり、特定の条件を満たすことで、市街化調整区域内でも建築が認められるケースの一つとなっています。
建築を計画する際には、地域ごとのルールを確認し、適切な手続きを行うことが重要です。
分家住宅
市街化調整区域内で特定の条件を満たす場合に建築が許可される住宅の一つに「分家住宅」があります。
これは、農業を営む家庭の中で、新たに独立した世帯が居住するために建てる住宅を指し、主に子供や孫、兄弟などの親族が対象となります。
分家住宅を建築するためには、以下の条件を満たす必要があります。
条件項目 | 内容 |
血縁関係 | 建築主は本家の3親等以内の親族であること |
持ち家の有無 | 建築主が他に持ち家を所有していないこと |
本家の継承 | 本家の跡取りが明確であること |
これらの基準をクリアすることで、分家住宅の建築が可能になります。
この制度は、農業を営む家庭にとって土地の有効活用や世代間の住居問題を解決するための重要な仕組みとなっています。
既存住宅の建て替え
市街化調整区域内で宅地利用が認められている土地では、既存の住宅を建て替えることが可能です。
新たに宅地へ変更するための特別な許可は不要です。
ただし、この対象となるのは、市街化調整区域の指定が行われる前(線引き以前)に建築された住宅に限られます。
建て替えを行う際には、以下の条件を満たす必要があります。
条件項目 | 内容 |
建築可能な敷地 | 現在の住宅が建っている敷地内であること |
建物の規模 | 既存の建物と同程度の規模であること |
用途の維持 | 既存の住宅と同じ用途であること |
このルールにより、市街化調整区域内でも住宅を現代のニーズに合わせて改築・更新することが可能です。
ただし、建築計画を進める際には、自治体ごとの規定や指導を確認し、適切な手続きを踏む必要があります。
立地基準を満たした土地の場合
市街化調整区域内で家を建てることができるのは、特定の基準を満たした場合に限られます。
その中でも、都市計画法第34条11号の規定に適合する土地では、建築の許可が得られる可能性が高いです。
具体的な条件は以下の通りです。
条件項目 | 内容 |
立地 | 市街化区域の境界に近接していること |
要件 | 自治体が定める基準を満たしていること |
この規定では、市街化区域に隣接している土地や、一定の条件を満たすエリアにおいて、建築制限の緩和が認められることがあります。
参照元:国土交通省「都市計画法」
ただし、具体的にどの土地が対象となるかは、地域の都市計画や自治体の方針によって異なるため、専門家や自治体の確認を取ることが重要です。
開発事業者が既に開発許可を得た土地を利用する場合
市街化調整区域内でも、すでに開発許可を取得した分譲地であれば、家を建てることが可能です。
こうした分譲地は、開発事業者があらかじめ許可を得たうえで造成しているため、購入者が新たに許可を申請する必要はありません。
このような分譲地は、街並みが市街化区域内の住宅地と変わらないほど整備されていることが多く、一般的な戸建て住宅を建てることができます。
ただし、建築可能な建物には制限があり、多くの場合、低層の戸建て住宅に限られます。
市街化調整区域内で家を建てる場合、こうした開発済みの分譲地を選ぶことで、手続きの負担を減らしながらスムーズに家を建てることができます。
農家であれば開発許可なく建築可能
市街化調整区域内で家を建てる方法の一つとして、「農林漁業を営む者の居住用建築物」の建設があります。
市街化調整区域では、農業を主な生業とする人が自宅を建てる場合、開発許可が不要とされています。
つまり、農家であれば、特別な手続きを経ることなく、市街化調整区域内に住居を構えることが可能です。
この制度の目的は、無秩序な市街化を防ぎながら、農業の継続と地域の暮らしを守ることにあります。
そのため、農業従事者に対しては、市街化調整区域の規制が一部緩和されており、スムーズに住居を建設できるようになっています。
市街化調整区域内で建物を建てる抜け道・裏ワザ
市街化調整区域において建物を建てる最も確実な方法の一つは、自治体から開発許可を取得することです。
通常、市街化調整区域では新たな建物の建設が制限されていますが、特定の条件を満たせば自治体の許可を得て建築が可能になります。
ただし、開発許可を取得するためには厳格な基準が設けられており、すべての土地で許可が得られるわけではありません。
開発許可の取得には時間と労力がかかり、必ずしも許可が下りるとは限りません。
そのため、「どうしてもこの土地に建物を建てたい」といった特別な事情がない場合は、別の選択肢を検討するのも一つの方法です。
たとえば、市街化調整区域内の再建築不可物件を所有している場合、専門の買取業者に売却するという選択肢もあります。
買取業者であれば、開発許可を得ることなく現状のまま物件を手放すことが可能です。
自治体に開発許可してもらう
市街化調整区域は、無秩序な市街化を防ぐために定められたエリアであり、原則として建築は制限されています。
しかし、自治体から開発許可を取得できれば、一定の条件のもとで建物を建てることが可能です。
自治体に開発許可を申請する一般的な手順は、以下のようになります。
【開発許可を申請する際の流れ】
- 事前届の提出
計画内容を自治体に報告し、手続きの概要を確認します。 - 開発予定標識の設置
開発を予定している土地に標識を設置し、周囲へ告知します。 - 近隣住民への説明
開発計画に関して、周辺住民に対する説明会を実施します。 - 事前協議
自治体と具体的な協議を行い、必要な条件や課題を確認します。 - 開発事前協議
計画内容をさらに詳細に詰め、自治体と調整を行います。 - 協議の締結
事前協議が完了すると、合意内容を文書化し締結します。 - 開発許可申請
すべての準備が整った段階で、正式に開発許可を申請します。 - 許可の取得
自治体による審査を経て、開発許可が下ります。 - 工事完了届の提出
許可を受けた後、工事が完了したことを自治体に報告します。 - 建築確認申請
開発許可を取得した土地に建物を建築するために、建築基準法に基づく確認申請を行います。
開発許可を取得するには、多くの書類を準備する必要があります。
【書類名】
- 開発行為許可申請書
- 地番表
- 資金計画書
引用:東京都都市整備局
たとえば、東京都では、東京都都市整備局が定める『都市計画法の規定に基づく開発行為の許可等に関する審査基準』に基づいて審査が行われます。
書類の準備や手続きは複雑であり、個人で進めるのは困難な場合が多いため、専門家に相談することが推奨されます。
開発許可を申請したからといって、必ずしも許可が下りるわけではありません。
自治体ごとに厳格な基準があり、地域の都市計画に合致しない場合には許可されないケースもあります。
したがって、事前に十分なリサーチと準備を行い、必要であれば行政書士や都市計画の専門家と連携することが重要です。
開発許可が下りる条件
市街化調整区域内で建物を建築するには、一定の条件を満たし、自治体から開発許可を得る必要があります。
以下のような建物は、特定の要件を満たすことで許可が下りる可能性があります。
建築物の種類 | 説明 |
生活必需品を販売する店舗 | 近隣住民の生活を支える商店やスーパーなど |
農産物の処理・貯蔵・加工施設 | 市街化調整区域内で生産された農産物を加工・保存する施設 |
工場の事業効率化に必要な建物 | 市街化調整区域にある工場の生産性向上のための建築物 |
ガソリンスタンドや火薬類製造所 | 市街化区域内では設置が難しい危険物取扱施設 |
社会福祉施設や医療施設 | 高齢者施設や病院など、公益性のある建築物 |
長期所有地の居住用住宅 | 長年にわたり所有している土地に建築する住宅 |
土地所有者の6親等以内の血族の住宅 | 土地所有者の親族が住むための住宅 |
既存敷地での建て替え | 市街化調整区域指定前から存在する住宅の建て替え |
開発許可は、上記の条件を満たしていても必ずしも認められるわけではありません。
自治体の判断基準や地域ごとの方針によって結果が異なるため、まずは窓口で相談してみましょう。
市街化調整区域内で農業を営んでいる方は、開発許可を取得しなくても居住用住宅を建てることができます。
ただし、土地の地目が「農地」の場合は、建築前に農業委員会に申請し、「宅地」へと地目変更(農地転用)を行う必要があります。
市街化調整区域に家を建てるメリット
市街化調整区域に家を建てるメリットは次の通りです。
- 土地が安く購入できる
- 税制上の優遇がある
- 比較的静かな環境で暮らせる
市街化調整区域の土地は価格が低く、税制上の優遇もあるため、広い土地をリーズナブルに購入し、快適な住環境を実現できるメリットがあります。
ただし、都市部に比べて生活インフラや交通の利便性が劣る場合があるため、事前に環境を確認することが重要です。
詳しくご説明します!
土地が安く購入できる
市街化調整区域の土地は、市街化区域に比べて価格が低く、これは大きな魅力です。
これは、開発が制限されているため市場での需要が限られていることが要因です。
しかし、適切な手続きを踏めば開発許可を得ることができ、比較的広い土地をリーズナブルな価格で手に入れるチャンスがあります。
土地を安く購入できる分、住宅の建築や設備により多くの予算を割くことができます。
たとえば、注文住宅で理想のデザインを実現したり、高品質な建材を使用したりすることが可能になります。
市街化調整区域は、都市部のような過密な環境ではなく、自然が豊かで静かなエリアが多いのが特徴です。
交通量や騒音も少なく、落ち着いた環境で暮らすことができます。
このように、市街化調整区域ではコストを抑えつつ、快適な住環境を手に入れることができるため、住まいにこだわりたい方にとって大きなメリットとなります。
税制上の優遇がある
市街化調整区域に家を建てることには、税制上の大きなメリットがあります。
特に、固定資産税の軽減と都市計画税の非課税措置が適用される点は、経済的な負担を抑えるうえで重要です。
- 固定資産税の軽減市街化調整区域では、土地や建物の評価額が市街化区域よりも低めに設定される傾向があります。
そのため、課税標準額が抑えられ、結果として固定資産税の負担も軽減されます。これにより、広い土地を確保しても税負担を抑えることが可能になります。 - 都市計画税の非課税
都市計画税は、都市の整備や発展のために課される税金ですが、市街化調整区域はそもそも都市開発の対象外とされているため、この税金がかかりません。
これにより、市街化区域に比べてランニングコストを低く抑えることができます。
開発許可を適切に取得し、自治体のルールを遵守することで、これらの税制面での優遇措置を最大限に活用しましょう。
比較的静かな環境で暮らせる
市街化調整区域での生活は、落ち着いた環境を求める方にとって大きな魅力があります。
都市部のような騒音や人混みが少なく、自然に囲まれた穏やかな暮らしが実現できます。
【市街化調整区域で暮らすメリット】
- 静かな住環境
交通量が少なく、騒音が抑えられる
住宅密集地ではないため、プライバシーが確保される - 自然の豊かさ
周囲に緑地や森林が多く、四季折々の風景が楽しめる
空気がきれいで、健康的な生活を送れる - 子育てや老後にも最適
広い敷地が確保しやすく、子どもがのびのび遊べる環境
高齢者にとっても、落ち着いた暮らしができる
市街化調整区域は、生活環境として非常に魅力的ですが、一方で都市部と比べると生活インフラや公共交通機関の利便性が劣る場合があります。そのため、
- 最寄りの商業施設や病院へのアクセス
- 公共交通機関の利便性
- 生活に必要なインフラの整備状況
などを事前に確認することが重要です。
市街化調整区域での快適な暮らしを実現するためには、これらの条件を考慮したうえでの計画が必要です。
このように、市街化調整区域での生活は、静かで自然豊かな環境を求める方にとって最適な選択肢となるでしょう。
市街化調整区域に家を建てるデメリット
市街化調整区域に家を建てるデメリットは次の通りです。
- 厳格な制限がある
- インフラ整備が不十分
- 売却が難しい
市街化調整区域では、建築に厳格な制限があり、インフラ整備が不十分なため、生活に支障をきたす可能性があります。
また、売却が難しく、将来的なリスクを考慮する必要があるでしょう。
詳しくみていきましょう。
厳格な制限がある
市街化調整区域での建築には厳格な制限があり、すべての土地で自由に建物を建てられるわけではありません。
新築や建て替えを行うためには、都市計画法第34条に基づく条件を満たす必要があり、特定の地域に限られます。
そのため、市街化調整区域内の土地を購入した場合でも、希望する建築ができない可能性があるため注意が必要です。
市街化調整区域での土地購入を検討する際は、事前に自治体の窓口で建築可否を確認することが不可欠です。
自治体ごとに基準が異なるため、適切な情報収集と自治体との相談を行い、建築計画を慎重に進めることが重要です。
インフラ整備が不十分
市街化調整区域での建築には一定の条件を満たす必要があり、許可を取得する際には多くの課題が伴います。
その中でも、インフラの未整備は大きな問題となります。
都市部と比べると、水道・電気・ガスといった生活に不可欠なライフラインが整っていない地域が多く見られます。
たとえば、都市ガスの供給がない場合、プロパンガスの導入が必要となり、個別に手配しなければなりません。
また、下水道が整備されていないエリアでは、浄化槽を設置しなければならず、費用や維持管理の負担が増します。
さらに、電力供給が安定しない地域では、停電のリスクも高く、非常時の備えが求められます。
これらの問題は、建築計画を進めるうえで慎重に検討すべきポイントであり、許可取得の手続きだけでなく、実際の生活環境にも影響を及ぼします。
特に災害時の対応を考えると、インフラが整っていないことは安全面のリスクにもつながるため、事前の確認と対策が不可欠です。
売却が難しい
市街化調整区域にある物件は、一般的な住宅地に比べて売却が難しい傾向にあります。
これは、建築に関する厳しい規制や、購入希望者が慎重になる点が影響しています。
【売却が難しい主な理由】
要因 | 内容 |
建築制限の厳しさ | 建築には知事の許可が必要で、条件を満たさなければならない |
開発の制約 | 生活環境の改善や利便性の向上が難しい |
購入者の敬遠 | 制約の多さから、一般的な住宅地と比べて需要が低い |
不確定要素の存在 | 将来的な開発許可の変更や取り消しのリスクがある |
市街化調整区域では、新たな開発が制限されるため、周辺環境の発展が見込めず、利便性の向上も期待しづらい状況です。
これにより、購入を検討する人が慎重になり、売却が難しくなる要因となります。
さらに、建築後も規制の変更によって影響を受ける可能性があり、買い手がつきにくい状況が生まれやすいのが特徴です。
そのため、市街化調整区域で家を建てる際は、将来的な売却の難しさを考慮し、慎重に計画を立てることが重要です。
まとめ
- 市街化調整区域は、戦後の高度成長期に農村地帯を保護する目的で設けられたもの。
- 市街化調整区域に家を建てる場合には、開発許可を行政から取得する必要がある。
- 家を建てる方法としては「住宅兼用店舗」、「分家住宅」、「既存住宅の建て替え」や開発事業者が許可を取得済みの土地を利用。
- 自治体の許可を得ることで家が建てる抜け道・裏ワザがあり、ただし手続きが複雑なためプロに相談を!
- 市街化調整区域に家を建てるメリットは、土地が安く買えて、税制上の優遇があり、静かな環境に住めること。
- デメリットは、厳格な建設制限があること、インフラが不十分なこと、売却が難しいこと。
市街地調整区域の説明、開発許可の必要性、そこに家を建てる条件に抜け道・裏技、メリットとデメリットを解説しました。
市街地調整区域が制定された当時から環境が変化していて、都市計画法も毎年改正されている状況で、うまく相談をすれば、理想の家を建てることができるかもしれません。
記事を参考に、着目されたその土地の可能性をぜひ一度専門家に相談してみましょう。