実家の持ち家を相続することになり、どのようなデメリットやリスクがあるのか心配な方もいらっしゃるでしょう。
相続後に不要な持ち家を所有し続けることは、金銭的な負担や近隣とのトラブルにつながりかねません。
トラブルが大きくなれば、損害賠償請求に発展する可能性もあります。
なぜそのような事態になってしまうのか、実家の持ち家を所有するのがヤバいといわれる理由を4つ紹介します。
実家を相続するか迷ったときの判断基準も解説するので、ぜひ最後までお読みください。
目次
実家の持ち家はやばいと言われているのはなぜ?
実家の持ち家を相続して空き家として所有し続けると、以下のリスクやデメリットが発生します。
- 維持管理に毎年お金がかかる
- 実家の近隣住民と金銭トラブルに発展する
- 特定空き家に指定されると固定資産税が増加する
- 放置すると犯罪に使われたり火事が起こるなどのリスクがある
どのようなことなのかを具体的に解説します。
維持管理に毎年お金がかかる
実家の持ち家を維持し続けるには、毎年数十万円もの費用がかかります。
維持するためにかかる費用には以下のものがあります。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 火災保険料
- 水道光熱費
- 修繕費
固定資産税や都市計画税は最低限かかるものであり、維持費のなかでも大きな割合を占めます。
万一のときのための火災保険料も安くはありません。
定期的な手入れをしていくには清掃のために、水道や電気なども契約が必要になるでしょう。
このほかにも不定期で家の修繕費が必要です。
使っていない家の維持管理費に、毎年数十万円もの費用をかけることになります。
実家の近隣住民と金銭トラブルに発展する
空き家の放置は近隣住民とのトラブルにつながりかねません。
定期的な手入れを怠ると、周辺に害を及ぼす害虫や野生動物の住み家となり得ます。
また、草木が生い茂り荒れた空き家は不法投棄の場となりやすく、景観を損ねて近隣住民からの苦情の元にもなります。
さらに老朽化が進めば倒壊の恐れもあり、近隣に重大な被害を与える可能性も否定できません。
空き家となった実家の管理が十分にできなければ、トラブルに発展し損害賠償請求もあり得るでしょう。
特定空き家に指定されると固定資産税が増加する
特定空き家とは、適切な管理が行われずに安全面や衛生面で問題が発生したり、倒壊の可能性があったりする空き家のことです。
特定空き家に指定されると、固定資産税が最大で6倍も上がってしまうことがあります。
管理の手間や修繕費用がかかるからと放置をし続ければ、その結果が固定資産税の増額という形で跳ね返ってくるのです。
空き家となった実家の管理には、十分に気を配らなければなりません。
関連記事:特定空き家は誰が決める?認定基準や指定されないための対策も解説
放置すると犯罪に使われたり火事が起こるなどのリスクがある
空き家で事件や火事が起こるケースは全国で多く見られます。
人のいない空き家は不法侵入がしやすく窃盗事件が多発しています。
暴行や殺人などの凶悪な事件の場として、空き家が使われることも珍しくありません。
また、古い建物で起こりがちな電気設備からの漏電・埃からの発火・放火などが原因で、空き家から火災が起こる事例も多くあります。
放置された空き家は犯罪や火事が起きやすいというリスクがあります。
実家の持ち家を相続するときに「ヤバい」とならないための対処法
いざ実家を相続することになり、何も心構えや準備ができていないと、慌てて重大な決断を誤ってしまうかもしれません。
早急に決めて対処しなければならないこともあるため、相続が発生するまえに事前に準備をしておきましょう。
相続時に困らないための対処法は以下の4つです。
- 不用品はすべて整理・片づけをする
- 持ち家を相続する人を相続人で話し合って決める
- 相続するか、相続放棄するか決める
- 維持管理費用や残りのローンの計画の確認
どのように準備していけばよいのか、具体的な内容を解説します。
不用品はすべて整理・片づけをする
親が亡くなった後の実家には大量の物が残されていて、どこに何があるのかわからないという状況になることは珍しくありません。
預金通帳や印鑑、不動産の権利書など重要なものが見つからず、相続手続きが進まないケースもあります。
売却や賃貸などで活用しようと思ったときにも、家の中に大量の荷物があってはすぐに踏み切ることができません。
実家の片付けに数年の長い年月がかかることもあります。
そうならないためにも、親が元気なうちに物の整理を始め、不用品は処分しておくことをおすすめします。
持ち家を相続する人を相続人で話し合って決める
法定相続人が複数いる場合は、誰が実家を相続するかを先に決めておくとよいでしょう。
親の死後に不動産の相続で揉めるケースは多くあります。
相続に関わる手続きは期限が決まっているものもあり、実家を相続する人が決まらないと期限内に手続きが終わらない可能性も出てきます。
事前に相続人全員で話し合い、決まった内容を親に遺言書として残してもらうのが賢明です。
正式な遺言書があれば後々のトラブルを防げるでしょう。
相続するか、相続放棄するか決める
実家の持ち家は相続する以外にも相続放棄という手段を選べます。
相続放棄は相続が発生したと知った日から3ヶ月以内に申立てを行わなければなりません。
期限を過ぎてしまうと相続放棄ができなくなってしまうため、事前に相続放棄をするかどうかの目途を立てておくとよいでしょう。
相続したほうがいいとき
遺産をすべて調べて、現金・預貯金・不動産・有価証券などの財産の合計が、負債を上回る場合は相続をした方がよいでしょう。
相続はプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになるため、財産の内容を漏れなく調べてから決めなければなりません。
また、今後親の持ち家に住む場合には、相続を前向きに進めてもよいでしょう。
相続後にご自身が損をしないかどうかで相続を考えるのが基本です。
相続放棄したほうがいいとき
親に多額の負債があり、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が上回ってしまう場合には、相続放棄を考えましょう。
負債額がはっきりとせず、プラスとマイナスのどちらの財産が多くなるかが不明な場合にも、限定承認という方法で相続放棄が可能です。
限定承認は故人のマイナスの財産を清算した後に、財産が余れば相続する方法なので、相続人が借金を背負わずに済みます。
また、相続争いが起きて解決が難しそうなときにも相続放棄をするケースがあります。
持ち家が残されていても住みたくない場合や、近い将来に特定空き家に指定されそうな場合にも相続放棄が有効です。
さまざまな状況を見て相続放棄の判断をしましょう。
維持管理費用や残りのローンの計画の確認
実家の持ち家を相続する際には家のローン残高を確認しましょう。
家を相続すれば、相続人にローン残高の支払い義務も生じます。
ご自身がローンの返済ができるかどうかは、今後実家をどうするかの判断基準となります。
ローンの返済に加えて維持管理費も自己負担となるため、年間にかかる費用を洗いだしてみるとよいでしょう。
実家の持ち家を相続する際のNG行動
実家を相続する際にやってはいけないNG行動があります。
相続は人生で何度も経験するものではないため、知識がなく知らずにNG行動をとってしまうこともあるでしょう。
気を付けたいポイントを紹介します。
共有名義で相続する
法定相続人が複数いる場合平等に相続をしようとして、不動産の名義を複数人の共有名義にしてしまうケースがあります。
一見、円満な相続に思えますが、共有名義は後からのトラブルが起きやすくおすすめはできません。
実家を所有し続けるなかで「空き家を賃貸に出したい」「売却したい」と考え始めることもあるでしょう。
共有名義の不動産は全員の同意が得られないと賃貸や売却ができないケースがほとんどです。
しかし名義人のなかには売却に反対する方がいたり、賃貸に乗り気になれない方がいたりと、全員の意見が一致しないことが多くあります。
意見が合わなかったときにトラブルに発展することもあり、手放したいのに手放せず、維持費を払い続けることになります。
共有名義は悩みの種となるため、避けるようにしましょう。
名義を変更しない
相続した実家の持ち家は、相続登記(名義変更)をしなければなりません。
以前は義務化されていなかったため、相続をしても不動産の名義変更をしないまま過ごしてしまうケースも多く見られました。
しかし、現在は相続登記が義務化されており、相続が発生したと知った日から3年以内に行わなければなりません。
もし相続登記を行わないまま3年が過ぎれば、10万円以下の過料が課せられます。
相続の状況によっては手続き完了までに時間がかかることもあるため、早めに相続登記を行うようにしましょう。
まとめ
相続した実家の持ち家を所有し続けるには、リスクやデメリットが伴います。
最悪の場合は近隣の住民に重大な被害を与え、損害賠償を求められるケースへとつながりかねません。
空き家を所有し続ける程金銭的な損失は増え、将来売ろうと思ったときには築年数が古く価値が下がり、売却が難しくなります。
使う予定がないなら、早い段階で実家の後始末を考えるのが賢明です。
すでに築古で老朽化しているなら、どのような状態でも買い取ってくれる訳あり物件専門の買取業者に依頼をしてみましょう。