この記事では、実家の解体費用の相場、解体費用が払えない場合の6つの対処法、解体費用を安くする3つのコツ、放置する3つのリスク、解体費用を払えないときの3つの注意点をご説明します。
引っ越しの予定があるのに家が売れないあなた、こんな悩みはありませんか?
- 実家の解体費用の相場は?
- 払えない場合の対処法は?
- 解体費用を安くするコツはある?
- 実家を放置する3リスクは?
- 払えない場合の注意点は何?
家が売れない原因をつき止めて、悩みを解決して売却をして、早く引っ越ししたいですよね。
【この記事でわかること】
- 解体費用は、物件の構造や広さのほか、周囲の状況や使用されている建材により、専門の業者に依頼することが安全・確実!
- 払えない場合は、補助金制度や解体ローンの利用、売却代金から捻出する方法の検討、解体せずに買取業者に売却したりそのまま活用したりする
- 解体費用を安くするには、繁忙期を避け、複数の解体業者に見積りを依頼し、解体前に家具や家電を処分しておくこと!
- 実家を放置すると、維持費がかかり続け、近隣トラブルが発生し、特定空き家に指定される可能性がある!
- 相続放棄しても解体費用は相続人が支払うこと、安さで解体業者を選ばないこと、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を利用することに注意!
それでは詳しくみていきましょう。
目次
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実家の解体費用の相場
古くなった空き家の取り壊しにかかる費用は、物件の構造や広さのほか、周囲の状況や使用されている建材によっても費用は変動します。
<費用に影響を与える主な要素>
項目 | 詳細内容 |
周辺環境 |
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建物の構造 |
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延床面積 |
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特殊廃棄物の有無 |
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構造ごとの解体費用の目安
建物の構造によって、おおよその解体単価(坪あたりの価格)が異なります。
以下の表に、構造ごとの坪単価と、おおよその解体費用の例を示します。
建物の構造 | 坪単価の目安 | 延床30坪の費用例 | 延床50坪の費用例 |
木造 | 約3~5万円/坪 | 約90~150万円 | 約150~250万円 |
鉄骨造 | 約4~6万円/坪 | 約120~180万円 | 約200~300万円 |
RC造(鉄筋コンクリート) | 約6~8万円/坪 | 約180~240万円 | 約300~400万円 |
追加費用が発生するケース
空き家の解体を進める際、立地条件や建物の状態によっては、当初の見積もりに加えて追加の費用が発生するケースがあります。
これは、一般的な解体と比べて作業が難航するような状況や、廃棄物の処理に特別な手間やコストがかかる場合などです。
また、住宅が密集しているエリアでは、騒音対策として高性能な防音資材の設置が必要になることもあり、その分のコストが加算されることがあります。
費用が増加する主なケースは次の通りです。
- 敷地前の道路が狭く、大型車両や重機が入れない場合
- 建物と隣家の距離が近く、一部手作業での解体が必要になる場合
- 高性能な防音対策(防音シート・パネル等)の設置が求められる場合
- 交通量が多い道路に面しており、交通誘導員の配置が必要な場合
- 建物が倒壊しかけていて、安全対策や手間がかかる場合
- アスベストなど、特別な処分が必要な建材が使われている場合
- 敷地内に大量の残置物や埋設物、庭木などがある場合
- 近隣の施設(学校、病院など)に配慮し、作業時間が制限される場合
これらの条件が重なるほど、想定以上の費用が発生することがあります。
解体工事の見積もりを取る際には、現地調査をしっかり行い、こうした要因を事前に確認しておくことが重要です。
払えない場合でも自分で解体しない
確かに、法的には自宅を自ら解体すること自体は禁止されているわけではありませんが、実際には多くのハードルがあり、現実的ではないケースがほとんどです。
なぜ素人には厳しいのか?
- 重機を使うには「資格」が必要
→ 持っていないとそもそも作業ができません。 - 手作業では体力と時間が限界
→ 一人で数週間〜数ヶ月かかる可能性もあります。 - 事故や怪我のリスクが高い
→ 解体作業は常に危険と隣り合わせです。 - ご近所とのトラブルになる可能性
→ 騒音、粉じん、振動など、配慮が必要です。 - アスベストを含む建材の処理が難しい
→ 専門知識・届け出・防護対策が必要で、素人では対応しきれません。
以上の理由からも、解体は専門の業者に依頼することが安全・確実です。
最終的にコストが増えてしまうどころか、健康被害や法的なトラブルに発展するリスクもあるため、自己判断での作業は避けた方が良いでしょう。
実家の解体費用が払えない場合の6つの対処法
実家の解体費用が払えない場合には、以下の6つの対処法があります。
- 補助金制度を活用する
- 解体ローンを利用する
- 売却代金から捻出する
- 解体せずに売却する
- 買取業者に売却する
- 解体せずに活用する
それでは詳しくご説明してきます。
補助金制度を活用する
空き家の取り壊しにかかる費用を軽減したいと考えるなら、お住まいの地域で提供されている補助制度を利用するのがおすすめです。
多くの自治体では、老朽化した住宅の除却に対する支援を設けており、条件を満たせば解体費用の一部が助成されます。
補助金の支給額や割合、対象となる条件などは地域によって大きく異なるため、事前に自治体の情報をよく確認することが大切です。
支援の上限額はおおむね50万〜100万円前後が多いですが、中にはさらに手厚い制度を設けている自治体も存在します。
<主な自治体による補助金の例>
自治体名 | 補助内容の概要 | 上限金額 |
大分県 大分市 | 解体にかかる費用の80%以内、または市の定める上限 | 最大160万円 |
群馬県 高崎市 | 費用の5分の4(80%)を補助 | 最大100万円 |
愛知県 名古屋市 | 解体費用の2分の1を助成 | 最大100万円 |
東京都 足立区 | 木造は費用の半額、非木造は最大で全体の半額 | 木造50万円/非木造100万円 |
兵庫県 神戸市 | 標準額または実費の少ない方の3分の1を補助 | 最大60万円 |
最新情報は、必ず各自治体の公式ウェブサイトや窓口で確認しましょう。
解体ローンを利用する
空き家の解体にまとまった費用がかかり、自費での支払いが難しい場合に検討できるのが、解体工事専用のローンです。
この種のローンは、地方銀行や信用金庫などが主に取り扱っており、住宅ローンに比べて審査が通りやすい傾向があります。
多くの場合で担保や保証人が不要な点もメリットです。
申し込み可能な金額や返済期間、金利条件は金融機関によって異なるため、複数の選択肢を比較検討することが大切です。
<解体工事に利用できるローンの一例>
金融機関名 | 借入可能額 | 返済期間の目安 | 金利(参考) |
JAバンク | 10万〜300万円 | 最大5年 | 約1.5% |
群馬銀行 | 10万〜300万円 | 6ヶ月〜7年 | 年2.1〜3.6% |
東京ベイ信用金庫 | 1万〜500万円 | 3ヶ月〜20年 | 年2.275〜3.775% |
四国銀行 | 5万〜1,000万円 | 6ヶ月〜10年 | 年1.9〜2.4% |
福岡銀行 | 10万〜300万円 | 6ヶ月〜7年 | 約2.9% |
金利は変動する可能性がありますので、正確な情報は各金融機関の公式サイトまたは窓口で確認してください。
売却代金から捻出する
解体費用の負担が大きく感じられる場合、空き家を「売却してからその収益で解体する」という手段もあります。
この方法では、物件をあらかじめ「更地にして引き渡す」条件で売却を進めるのが一般的です。
これを不動産業界では「更地渡し」と呼びます。
この方式をとれば、先に売買契約を結び、売却によって得たお金で解体費用をまかなうことができるため、自己資金の準備に不安がある人にとっては非常に有効な選択肢といえるでしょう。
「更地で引き渡す」と約束した場合、解体作業は契約後〜引き渡し日までの間に完了していなければならないという点に注意が必要です。
解体せずに売却する
空き家の売却を考える際、建物がそのまま残っている状態でも売却できる場合があります。
とくに住宅需要の高いエリアであれば、築年数が経っていても「建物付きの土地」として販売し、買い手がつくことも珍しくありません。
また、老朽化が進んでいる空き家でも、リノベーションや建て替えを前提に購入を検討する人もいます。
このように、建物を解体せず「古家付き土地」として売り出すことで、解体費用をかけずに資産処分ができる可能性もあるのです。
買取業者に売却する
空き家の処分を急ぎたい方は、不動産会社にそのままの状態で物件を買い取ってもらう「買取」という選択肢を検討してみるのもひとつの手です。
この方法では、古家が残っている状態で不動産会社に査定を依頼し、提示された価格に納得すれば契約が成立します。
一般的に個人への売却よりスピーディーで、早ければ即日~1週間程度で現金化することも可能です。
また、解体作業をせずにそのまま売却できるため、手元資金がなくても物件を手放すことができるというメリットもあります。
市場価格よりはやや安くなるものの、スピードや手軽さを重視するなら検討の価値は十分にあります。
解体せずに活用する
必ずしも空き家を取り壊して新築する必要はありません。
立地条件や建物の状態によっては、今ある空き家を有効活用することで、収益を生み出す資産に変えることが可能です。
状態の良い建物なら、リフォームして再生し、収益物件として活かすことも可能です。
立地や建物の特性に合わせた活用方法を選ぶことで、費用を抑えつつ、新たな価値を生み出すことができます。
実家の解体費用を安くする3つのコツ
実家の解体費用を安くするコツを3つ紹介します。
- 解体の繁忙期を避ける
- 複数の解体業者に見積りを依頼する
- 解体前に家具や家電を処分しておく
詳しくみていきましょう!
解体の繁忙期を避ける
解体コストをなるべく抑えたい場合は、業者の仕事が集中する12月〜3月の時期を避けて依頼するのが賢明です。
この時期を外せば、人件費や工期の面で、より有利な条件で工事を進めやすくなります。
特に、業者が忙しくなるシーズンは人手が足りなくなりやすく、その結果として人件費が上がる傾向があります。
また、作業員の確保が難しいことで工期が長引き、その分の追加費用がかかるかもしれません。
こうした理由から、繁忙期に解体を依頼すると費用が高くなる可能性があるのです。
複数の解体業者に見積りを依頼する
解体工事を依頼する際は、1社だけで即決せずに、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。
というのも、同じ建物・同じ条件であっても、業者ごとに提示される費用は大きく異なる場合があるからです。
一社だけの見積もりだと、その金額が高いのか安いのか判断できませんが、複数社を比較すれば「相場感」や「適正価格」が見えてくるのです。
解体前に家具や家電を処分しておく
解体工事を始める前に、家の中にある家具や日用品などの不要な家財を処分しておくことが、費用を抑えるためのポイントです。
解体業者に依頼すれば、残された物もまとめて処分してもらえますが、その分の作業には別途コストがかかるため、処分費が解体費用に加算されることになります。
とくに大型家具や家電製品などが残っていると、そのぶん処分費も高額になり、結果として10万円以上の差が出るケースもあります。
後回しにせず、なるべく早めに取りかかることで、余計な出費を避け、納得のいく解体につなげることができます。
解体費用が払えないために実家を放置する3つのリスク
解体費用が払えず実家を放置すると次の3つのリスクが発生します。
- 維持費がかかり続ける
- 近隣トラブルが発生する
- 特定空き家に指定される可能性がある
詳しくみていきましょう。
維持費がかかり続ける
空き家をそのまま所有し続けるには、思っている以上にお金が必要になります。
建物や庭をきれいな状態に保つには、定期的な清掃や草木の手入れといった管理が欠かせません。
遠方にある場合には、そのたびにかかる交通費も負担になります。
また、そうした管理を自分で行うのが難しい場合は、専門の管理業者に依頼することもできますが、その場合は月々数千円から数万円の委託費が発生します。
さらに、空き家を所有しているだけで「固定資産税」や「都市計画税」などの税金が毎年かかり続けます。
管理の手間に加えてこうした費用も継続してかかるため、空き家を維持するには相応の経済的負担があるのです。
近隣トラブルが発生する
空き家を放置すると、湿気やゴミの蓄積によって悪臭が発生したり、害虫がわいたりと、周囲に迷惑をかけることがあります。
老朽化が進めば、建物や塀が崩れ落ち、通行人や隣家に被害を与える可能性もあります。
また、庭の草木が伸びすぎて隣の敷地に入り込むと、思わぬトラブルにつながることも。
特に樹木の越境はデリケートな問題になりがちです。
相続で取得した空き家でも、状況によっては管理の責任が残る場合があるため、放置には注意が必要です。
特定空き家に指定される可能性がある
建物の老朽化が進み、周囲に悪影響を及ぼすような状態になると、自治体から「特定空き家等」と認定されることがあります。
そうなると、「住宅用地の特例」による軽減措置が解除され、通常の税額が課されてしまう可能性があるのです。
つまり、空き家のまま放置すれば、毎年の税金が一気に跳ね上がってしまうリスクがあるということです。
誰も住んでいない空き家であっても、建物が残っているうちは、その土地は「住宅が建っている土地」として扱われ、固定資産税や都市計画税が軽減される仕組みがあります。
たとえば、以下のように税負担が大きく抑えられています。
土地の区分 | 固定資産税の軽減 | 都市計画税の軽減 |
小規模住宅用地(200㎡以下) | 6分の1 | 3分の1 |
一般住宅用地(200㎡超) | 3分の1 | 3分の2 |
実家の解体費用を払えないときの3つの注意点
実家の解体費用が払えない時の3つの注意点は次の通りです。
- 相続放棄しても解体費用は相続人が支払う
- 費用だけで解体業者を選ばない
- 売却する際は空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を利用する
詳しくご説明します!
相続放棄しても解体費用は相続人が支払う
相続を放棄すれば、その空き家に関するすべての責任から解放されると思われがちですが、実際にはそうとは限りません。
たとえば、故人の自宅に一緒に暮らしていたり、定期的に出入りしていたような場合、その空き家を事実上は使っていたと見なされる可能性があります。
このようなケースでは、たとえ法的に相続を放棄しても、建物の維持や撤去に関する責任を問われることがあります。
つまり、空き家の老朽化を防ぐための管理や、最終的に解体が必要になった場合の費用を負担しなければならないケースもあるのです。
空き家に関する責任は、相続の有無だけでは判断できない場合もあるため、早めに状況を整理し、必要に応じて専門家に相談することが大切です。
費用だけで解体業者を選ばない
解体工事の見積もりが相場とかけ離れて安すぎる場合は、思わぬトラブルにつながるおそれがあります。
というのも、こうした業者の中には、本来かかるはずの処分費用を浮かせるために廃材を不法に投棄したり、地中に埋まっている廃棄物をそのまま放置したりと、必要な作業を意図的に省いているケースがあるのです。
そのため、費用の安さだけで業者を決めるのではなく、見積書の内容がきちんと説明されているか、工事内容に不審な点がないかを確認したうえで依頼することが大切です。
売却する際は空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を利用する
親から引き継いだ空き家を取り壊し、その土地を売却する場合には、「空き家に関する譲渡所得の特例」を利用することで、大きな節税が可能になります。
「空き家に関する譲渡所得の特例」を活用すると、譲渡所得から最大3,000万円が控除されるため、売却時の税負担を大幅に減らすことができます。
ただし、この控除を受けるには、一定の条件を満たしたうえで、所定の手続きや申告が必要です。
対象となる家屋 |
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譲渡の条件 |
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使用状況 |
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申請を忘れてしまうと大きな損につながる可能性があるため、売却の前には必ず税務署や専門家に確認し、忘れずに手続きを行いましょう。
まとめ
- 解体費用は、物件の構造や広さのほか、周囲の状況や使用されている建材により、専門の業者に依頼することが安全・確実!
- 払えない場合は、補助金制度や解体ローンの利用、売却代金から捻出する方法の検討、解体せずに買取業者に売却したりそのまま活用したりする
- 解体費用を安くするには、繁忙期を避け、複数の解体業者に見積りを依頼し、解体前に家具や家電を処分しておくこと!
- 実家を放置すると、維持費がかかり続け、近隣トラブルが発生し、特定空き家に指定される可能性がある!
- 相続放棄しても解体費用は相続人が支払うこと、安さで解体業者を選ばないこと、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を利用することに注意!
実家の解体費用相場や支払い困難時の対処法、費用を抑えるコツ、放置リスクや相続放棄の影響、業者選びの注意点を解説しました。
お早めに税務署や専門家に相談することで、売れない家を売る方法が見つかり、無事に引っ越しができるかもしれません。
記事を参考に、まずは解体費用の相場を確認してみましょう。