「相続した土地の売却でかかる税金ってどのくらい?」
「税負担を抑える方法はないの?」
土地の売却で支払う税金について、このように思う人は多いのではないでしょうか?
実際、土地売却で最も税負担が大きくなりやすいのは、売却益が生じたケースであり、売却時の状況によっては特別控除の利用等で節税対策を行えます。
本記事では、相続した土地の売却で生じる税金の種類や譲渡所得税を抑えるための対策について解説します。
最後までお読みいただくと土地売却時の税金に悩むことなく、税金の仕組みについて理解できます。
目次
相続した土地を売却した際にかかる税金
相続した土地を売却したときにかかる税金は、以下のとおりです。
- 印紙税
- 登録免許税
- 譲渡所得税
印紙税
印紙税は、契約書や領収書などに課税されるものです。
経済的利益がある取引を明確にする契約書等の文書を作成するときに生じるメリットに対して、課税するのがこの税を課す目的となります。
税額は、契約書に記されている売買金額により変わります。
参照:印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで【国税庁】
登録免許税
登録免許税とは、所有権移転登記(相続登記)などを行うときにかかる税金です。
土地の移転登記では、「固定資産税評価額×20/1000(税率)」を負担します。
譲渡所得税
譲渡所得税は、売却したことで生じた譲渡所得(売却益)に対して負担する税金です。
譲渡所得税の内訳は、所得税と住民税、復興特別所得税となり、税率は所有期間により変わります。
相続した土地の売却時にかかる譲渡所得税の計算方法
本章では、譲渡所得税の計算方法をご紹介します。
譲渡所得の計算方法
はじめに譲渡所得税の算出式は、以下のとおりです。
〇譲渡所得=譲渡収入金額※1-(取得費※2+譲渡費用※3)
※1土地の譲渡代金と固定資産税・都市計画税の清算金
※2土地購入時の金額(購入当時の売買契約書等で確認)
※3売却で直接かかった費用(仲介手数料や測量費等に要した費用)
上記の式にあてはめることで、譲渡所得を計算できます。
また、譲渡所得税を算出する方法は以下のとおりです。
〇課税譲渡所得=譲渡所得-特別控除※4
※4空き家の3,000万円特別控除や1,000万円特別控除(平成21年および平成22年に取得した土地の場合)が該当する(利用には一定の要件が必要)
特別控除で差し引き残った金額が課税譲渡所得です。
仮に、特別控除を使い譲渡所得が0円だと税負担はありません。
〇譲渡所得税=課税譲渡所得×譲渡所得税率(復興税含む)
上記により譲渡所得税を算出できます。
取得費が不明な場合
取得費が不明な場合は、譲渡収入金額の5%を取得費として計上します。
購入当時の契約書等がなく、金額(取得費)がわからない場合に用います。
税率
税率は、土地の所有期間により異なります。
短期譲渡所得(所有期間5年以下) | 39.63%【所得税30.63%、住民税9%】 |
長期譲渡所得(所有期間5年超) | 20.315%【所得税15.315%、住民税5%】 |
10年超軽減税率の特例 | 課税譲渡所得6,000万円以下の部分に限り14.21%【所得税10.21%、住民税4%】となる |
相続開始から3年以内に土地を売却した際に利用できる特別控除
相続開始から3年以内の土地売却であれば、特別控除を利用できる可能性があります。
以下に、利用できる控除についてご紹介します。
取得費加算の特例
取得費加算の特例とは、相続が開始された日から3年10か月以内に相続財産を売却した場合に相続税額の一部を取得費に加えられる制度です。
これにより取得費として計上できる金銭が増えるため、節税につながります。
相続空き家の3,000万円特別控除
相続空き家の3,000万円特別控除とは、一定の要件を満たした場合に譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける制度です。
2023年度の税制改正により、共有の場合で相続人が2人以下の場合は一人当たり3,000万円までの控除、3人以上の場合は一人当たり2,000万円までの控除となります。
相続した土地売却時に利用できる控除
相続した土地売却時に利用できる控除をご紹介します。
1,000万円特別控除(平成21年および平成22年に取得した土地の場合)
1,000万円特別控除とは、平成21年と22年に取得し一定の要件を満たした土地を譲渡したときに使える制度です。
譲渡所得から最大1,000万円を差し引けることで節税となります。
参照:平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除【国税庁】
低未利用土地などの100万円特別控除
個人の場合、都市計画区域内で低未利用土地を500万円以下で譲渡したとき、譲渡後にその土地が利用されれば譲渡所得から最大100万円を差し引ける制度です。
低未利用土地の有効活用を通じた地域の活性化等を目的としており、令和7年12月31日までの譲渡でこの制度を利用できます。
参照:低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除【国税庁】
相続した土地売却で利用できる控除以外の節税対策
本章では、特別控除以外でできる節税対策について解説します。
取得費が分かる資料を探す
はじめに、取得費がわかる資料を探すことです。
なぜなら、取得費計上を購入当時の金額でできれば、譲渡所得を抑えられ節税につながるからです。
たとえば、購入当時の売買契約書や領収書になります。
土地売却するなら、予め購入当時の資料をみつけておきましょう。
譲渡費用を正確に計上する
譲渡費用を正確に計上しておきましょう。
なぜなら、譲渡収入金額から差し引ける金額が増えるからです。
譲渡費用に該当する仲介手数料や測量に要した費用、土地を売るために行った建物の解体費用など、全て正確に計上できるようにしましょう。
ふるさと納税を活用する
ふるさと納税を活用する方法があります。
土地売却で生じた所得にかかる所得税と住民税をふるさと納税により控除できるからです。
売却により生じた利益で所得が増えると所得税と住民税の負担は増えますが、ふるさと納税で控除できる金額も増えます。
寄付できる上限が増えることで、より高い節税効果が期待できます。
相続した土地を売却するための手続きの流れ
本章では、相続した土地を売却する流れについて解説します。
相続登記をする
相続登記(所有権移転)を行います。
なぜなら、不動産は所有者本人の意思がなければ売却できないからです。
被相続人名義の不動産を相続人名義に変更する必要があり、これを相続登記と言います。
なお、相続登記は2024年1月1日より義務化されています。
正当な理由なしに相続した日から3年以内の登記を怠ると、10万円以下の過料となる可能性があります。
相続人が複数存在する場合
相続人が複数存在する場合、各相続人名義となるように相続登記を行います。
なお、土地の売却には相続人全員の同意が必要です。
つまり、一人でも同意しなかった場合、原則土地売却を行えません。
売却を依頼する不動産会社を探す
土地売却を行う不動産会社を探します。
不動産会社は、大手、中小、地場等から三社程度に査定依頼するのがよいでしょう。
その理由は、査定額や売却時に提供されるサービス内容等が各社微妙に異なるケースがあるからです。
また、複数社に出すと売却できそうな相場観も理解しやすいでしょう。
不動産会社が見つかれば売却活動、買主が現れれば売買契約と引き渡しに進みます。
確定申告を行う
譲渡所得税が生じた場合には、確定申告を行い納税です。
確定申告は売却した翌年の確定申告の期間に行います。
まとめ
本記事では、相続した土地にかかる税金や節税方法について解説しました。
土地売却では印紙税や登録免許税、売却益がある場合に譲渡所得税がかかります。
譲渡所得は、取得費や譲渡費用を計上することで抑制でき、且つ特別控除を利用できれば節税ができます。
なお、譲渡所得税の算出は専門的な部分もあり、仮に間違った計算で納税を怠ると罰則を受ける可能性もあります。
そのため、土地売却をしたら譲渡所得税の有無について税理士等の専門家に相談するのが良いでしょう。
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