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物件探しよりも重要な、管理会社探し
不動産投資というと、まず物件探しに目が行くと思います。
しかし、不動産投資は、良い物件が見つかりさえすれば、成功するとは限りません。もうひとつ重要な鍵を握るのが「管理」なのです。
アパートやマンションなどの「物件」を手に入れただけでは、家賃は入ってきません。入居者募集や内見、入所者審査、契約、家賃回収、クレーム対応といった「管理サービス」が揃って初めて家賃収入が得られるのです。
どんなに高性能なF1マシンが手に入っても、ドライバーの腕が悪ければポテンシャルを引き出せないのと同じです。むしろ性能を持て余し、クラッシュさせてしまうのがオチでしょう。しかし、腕の良いドライバーさえ見つかれば、少々マシンに問題があっても弱点を補いながら完走、上位入賞することもできるはず。
不動産投においては、マシンは物件であり、ドライバーは管理会社です。良い管理会社を探すことは、良い物件を探す以上に重要とされる理由はここにあります。
では、もしも管理会社選びに失敗するとどんな事態が起こるのでしょう?
管理会社選びを失敗して考えられる事態
客付けが弱く空室率悪化
入居者を募集し、物件を案内(内見)し、契約を結ぶまでを客付けと言います。入居者の募集には有力な賃貸検索サイトに情報をアップするほか、地域の不動産仲介会社同士のネットワークなどを通じて入居希望者をキャッチする能力が必要です。
また、入居希望者をその気にさせる内見ノウハウがあるかどうかも契約率を左右します。
さらには、入所者審査ノウハウがなければ、家賃の滞納やアパートの風紀を乱し入居希望者に敬遠される事態を招く恐れもあります。
このような客付けの力が弱い管理会社に委託してしまうと、空室が多くなり家賃収入が低下します。下手をするとローン返済分にすら届かず、家計から持ち出しになる「マイナス資産」と化す事態にもなりかねないのです。
空室を埋める提案力がない
空室が発生したら、速やかに埋めるための提案をしてくれるのも管理会社です。例えば礼金・敷金をゼロにする「ゼロゼロキャンペーン」や、一定期間家賃を無料にする「フリーレント」などの対策を打ち出すことで、契約率がアップするのです。
しかし、やる気のない管理会社は、このような提案もせず「問い合わせがないですね」などと放置するケースがあるのです。こうなると、何か月も空室状態が続き、収支計画を崩壊させてしまうのです。
特に、物件の販売や建設が主体の会社が、アフターサービスとして管理まで引き受けているような場合は、管理に対するモチベーションが低い傾向が見られるので、注意が必要です。
入居者管理・建物管理が杜撰で退去者続出
「インターホンが鳴らない」「給湯機のお湯が出ない」といった入居者からのクレームに対し、迅速に対応できない管理会社では入居者の不満が募り、退去につながる場合があります。その場合、再び入居者募集から始めなければならず数カ月間は家賃が入らなくなるわけです。
また、夜中に騒ぐ、ゴミ出しのルールを守らないといった質の悪い入居者が増えると、まともな入居者ほど退去するようになり、質の悪い入居者の吹き溜まりとなる恐れもあります。そうなると、家賃の滞納や家賃低下の恐れも出てくるので、入居者審査のしっかりした管理会社に委託することがとても重要なのです。
修繕費用が高くてキャッシュフローが赤字に
入居者が退去した後は「原状復帰」と言って自然損耗した床や壁紙などの張り替えなどを行うことになります。この時の修繕単価が法外な設定になっている管理会社もあります。修繕単価の相場まで知っているオーナーさんはなかなかいないことをいいことに、修繕で儲けようという姿勢と言われても仕方がありません。
このような管理会社の場合、“満室なのに修繕費用で赤字になる”というオーナーさんもいるようなので、事前に確認しておくことが重要です。
管理会社選びに失敗したと感じたら、躊躇なく管理会社を変えるべきです。ただし、管理会社を切り替えることは可能なのですが、新しい管理会社が物件を理解し、客付けが完了するまでには数か月はかかることは覚悟しなければなりません。
無責任な管理会社といつまでも付き合っているよりはマシですが、本来は最初から信頼できる管理会社に委託するのが一番です。
では、どうすれば信頼できる管理会社を見つけることができるのか考えてみましょう。
管理会社の選び方
気に入った物件が見つかった場合、次のような方法で管理会社探しをスタートしましょう。
物件近くの複数の賃貸不動産会社を回る
不動産投資を決める前には、物件の確認のためにも必ず現地に入るのが鉄則です。資料だけではわからない様々な問題が隠れている場合があるからです。その際、物件周辺の不動産会社や管理会社を複数リストアップしておいて、相談して回るのもひとつの方法です。
購入を予定している物件を管理してもらえるのか、管理する場合の条件や契約書の内容なども具体的に聞き出し、複数の管理会社を比較するのです。また、実際に管理している物件も案内してもらえないか打診してみます。空室状況や管理の状態などを見れば、その会社の大体の管理姿勢が分かります。
客付け方法をヒアリング
管理会社を回る際には、まず客付け方法を質問します。管理に真剣に向き合っている会社なら、
- 物件に見合ったターゲットの設定(学生なのか、社会人なのかなど)
- そのターゲットに合った募集方法(検索サイトや大学生協との提携など)
- 家賃の目安(少しでも家賃を高くするためのアイディアなど)
などを具体的に提案・説明してくれるはずです。そこに自分たちのノウハウや独自の仕組みがあり、他社との違いをアピールしようとするからです。ここで具体的な説明がない場合は、通り一遍の管理しかしていない可能性があるので、要注意と判断します。
管理物件の空室率と管理状況を教えてもらう
ある程度信頼できると感じたら、管理物件の管理方法を質問します。月々の委託費の算定方法や入居者審査、内見の方法、契約書の内容、クレーム対応、修繕費の目安など、具体的に説明してくれる管理会社なら安心です。特に、実際に管理委託している物件の空室率はポイントです。
空室率を明快に答えられないなら、“空室率が高い”か“空室率に関心が低く把握していない”可能性があります。このような管理会社は避けるべきでしょう。空室率は答えなくとも、空室が発生した場合の対応などを熱心に説明してくれる会社ならひとまず合格です。
ネット集客に強いかどうか
現在、入居希望者はスマホなどで物件を探すのがほとんど。従って、ネット検索に対応しているのは当然のことです。複数の大手検索サイトに登録していることは大前提となります。特に10代・20代の若年層はネット集客以外あり得ないと言っても過言ではありません。もしも、ネット集客が弱いと感じたら、そのような管理会社は避けた方が無難でしょう。
管理会社との付き合い方
たとえ信頼できる管理会社に委託できたとしても、任せっきりはいけません。「物わかりの良い大家さん」ではなく「口うるさい大家さん」の方が、管理会社に対して見せるべき姿勢です。つまり、時々チェックして細かな要望や質問を突きつけるぐらいの方が緊張関係を作り、それが良い管理につながり、入居者にもオーナーにもそして管理会社にも利益が生まれてくるのです。
では、どのように付き合うと、良好な緊張関係を保つことができるのでしょうか。
小まめに連絡を取る
最も基本的な方法は、こまめに連絡を取ることです。メールや電話で募集状況や入居者からのクレームがないか、敷地の除草や放置自転車はないかといった連絡を取るようにします。こうするだけで「このオーナーさんは細かくチェックしてくるのでいい加減には扱えないぞ」という気持ちにさせます。
管理担当者は一人で数十件の管理を任されているのが普通なので、すべてに全力で向き合うことはできません。その時、口うるさいオーナーさんを優先してしまうのは人情で、“物わかりの良い、大人しいオーナー”ほど、後回しにされてしまい、管理が杜撰になりがちなのです。
たまに顔を出す
メールや電話も慣れてくると、管理担当者もあまりプレッシャーに感じなくなります。そこで、時々実際に訪問して物件の管理状態をチェックさせてもらうようにすると効果的です。そこまでするオーナーさんは少ないので、直接乗り込んでこられれば、担当者の記憶に鮮明に残ります。
これが、良い緊張関係を保つことにつながるのです。もちろん、口うるさいだけでは敬遠されるので、手土産を持って行った方が良いのは言うまでもありません。
管理会社に裁量を持たせる
オーナーが管理会社の上に立ち、一方的に要求したり責めたりするだけでは、人は一生懸命尽くそうとはしません。命令されたことをこなすだけになり、管理会社のノウハウの引き出しは固く閉ざされることになります。決して「命令」ではなく「相談」する姿勢を大切にし、意見やアイディアを求めて行くことが大切です。
相手をプロとして尊重し、管理会社の裁量にゆだねる場面を多く作りだす事で、管理会社が持っているノウハウの引き出しを開いてもらうわけです。
偉そうにせず対等な付き合いを
「口うるさい」のと「偉そう」なのは少し違います。偉そうな態度は人を反発させます。反発からは良い提案は出てこないので、管理会社に対し偉そうな態度で接するのは禁物です。細かなチェックは入れながらも、相手をプロとしてリスペクトし、パートナーとして対等な関係を意識すべきです。
その方が、結局良い管理につながり、収益性を底上げすることになります。
自主管理という選択肢は?
管理会社に委託するのではなく、オーナーさん自身が管理を行う方法を「自主管理」と言います。自主管理しているオーナーさんもいないではありませんが、少なくとも不動産投資ビギナーの手に負えるものではありません。客付けにしても、入居者管理や建物管理にしても、幅広いノウハウが必要であり、素人が管理しようとしても「入居者が埋まらない」「家賃が回収できない」「裁判沙汰になった」等々、思いもよらない事態に発展することも考えられます。
信頼できる管理会社に委託し、数十年にわたって経営していく中で管理ノウハウを身につけてからなら、自主管理も不可能ではないかもしれません。それでも、管理委託費はそれほど高いものではありませんし、管理費用は経費として計上できることなどを考えても、自主管理のメリットは大きいものではありません。
また、管理を委託すれば、本業に専念することができる点も大きなメリットです。
自主管理は「労多くして益少なし」の典型と言って過言ではないでしょう。
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