「収益物件を所有しているが建物の減価償却とはなんだろう」
「減価償却の計算方法を知りたい」
「減価償却の注意点とは?」
今回は、建物の減価償却について解説します。
減価償却とは、取得金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続きです。
そして、減価償却の計算方法には定額法と定率法の2つがあり、それぞれ求め方が異なります。
本記事の内容は、以下についてです。
- 建物の減価償却の概要
- 建物の減価償却の計算方法
- 不動産における減価償却の注意点
- 建物の減価償却のシミュレーション
最後まで読めば、実際の減価償却の計算方法まで理解できます。
なお、弊社(株式会社 AlbaLink )は不動産に強い専門業者です。
ご相談くだされば、金額や日程なども含め、建物の減価償却についてサポートいたします。
目次
建物の減価償却の概要
建物の減価償却の概要を以下の2つについて解説します。
- 減価償却とは
- 耐用年数との関係
それぞれ詳細に解説するのでご覧ください。
減価償却とは
業務のために用いられる機械や建物は、一般的に時間の経過とともに価値が減少していきます。
減価償却とは、資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続きです。
減価償却が適用される例として以下のものがあります。
- 建物
- 車
- パソコン
- エアコン
- ベルトコンベア
また、土地や業務用に使用していない資産は減価償却の対象にならないため注意が必要です。
参照元:国税庁|減価償却のあらまし
耐用年数との関係
減価償却の耐用年数は、器具や構造ごとに異なります。
耐用年数とは減価償却資産の使用可能な期間のことです。
建物でも木造か鉄骨かで耐用年数が大きく変わり、木造の場合は10〜20年程度、鉄骨の場合は最大50年まで減価償却することが可能です。
資産ごとの耐用年数の詳細は、下記の国税庁のページで確認できます。
参照元:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表
建物の減価償却の計算方法
建物の減価償却で、以下の4つについて説明します。
- 建物の減価償却費の計算が必要なケース
- 定額法による計算方法
- 定率法による計算方法
- 建物の減価償却費の計算に必要な項目
順番に解説するのでご覧ください。
建物の減価償却費の計算が必要なケース
建物の減価償却費の計算が必要なケースは次の2つです。
- 賃貸収入があるとき
- 不動産売却をするとき
マンションやアパートの経営で賃貸収入がある場合、確定申告が必要ですが、その際の建物の減価償却費を経費として計上できます。
また、不動産を売却すると譲渡所得を得られます。
譲渡所得は「売却金額ー(取得費+譲渡費用)」で求められますが、取得費を減価償却で差し引いた金額にすることが可能です。
定額法による計算方法
定額法とは
毎年同額を費用として計上する方法。
定額法の減価償却費計算方法
減価償却費=取得価額×定額法の償却率
以下の条件で定額法の減価償却費を求めます。
- 取得価額:3,000万円
- 取得年月:本年11月1日
- 耐用年数:24年
- 耐用年数が24年の場合の本年の償却率:0.042
本年の減価償却費
=3,000万円×0.042
=126万円
上記の建物の場合、毎年126万円を24年間経費として計上できます。
定率法による計算方法
定率法とは
取引価額から、すでに必要経費として計上した減価償却費分を差し引いた金額に対して、一定の償却率を乗じて算出した金額を必要経費として計上していく方法。
定率法の減価償却費計算方法
減価償却費=(取得価額ー既償却額)×定率法の償却率
定率法は毎年、必要経費の計上額が減少していくことが特徴です。
以下が定率法の減価償却費の例です。
1年目:100万円×0.5=50万円
2年目:(100ー50)万円×0.5=25万円
3年目:(50ー25)万円×0.5=12.5万円
定率法は早い段階で減価償却費を多めに計上できるため、定額法よりも節税で有利と言われています。
建物の減価償却費の計算に必要な項目
建物の減価償却費の計算には以下の3つが必要です。
- 耐用年数
- 取得価額
- 償却率
順番に解説します。
耐用年数
耐用年数
建物の取得費用を振り分けられる期間のこと。
法律によって定められている法定耐用年数があり、建物の構造によって10〜50年などさまざまです。
たとえば、耐用年数が25年の場合、その資産を25年間減価償却して経費として計上できます。
国税庁のホームページから各資産の耐用年数を確認できるので、参考にしてみてください。
取得価額
建物の場合、住宅と土地にわけて住宅のみの取得費用のことを取引価額といいます。
また、以下は取引価額に含められる費用です。
- 仲介手数料
- 不動産登記費用
- 不動産取得税
- 印紙代
マンション購入を始めとした金額の内訳がない場合は、固定資産税評価額をもとに取引価額を計算することも可能です。
参照元:国税庁|減価償却資産の取引価格に含めないことができる付随費用
償却率
償却率とは
減価償却費を割り出す際に、取得時の価値に乗じる値のこと。
定率法・定額法の耐用年数ごとの償却率は、国税庁のホームページで確認できます。
参照元:国税庁|減価償却資産の償却率等表
中古の収益物件を取得した場合の減価償却の計算方法
中古収益物件を取得した場合の減価償却の計算方法を以下の2つに分けて説明します。
- 法定耐用年数の全部を経過した場合
- 法定耐用年数の一部が経過した場合
具体例も交えて説明するのでご覧ください。
法定耐用年数の全部を経過した場合
耐用年数を全て経過した中古物件を取得した場合、法定耐用年数の20%の値を見積もり対応年数として利用します。
たとえば、法定耐用年数が10年の中古不動産を15年経過して取得した場合、2年が耐用年数となります。
耐用年数
=10年× 20%
= 2年
このように、法定耐用年数の20%を耐用年数とし、減価償却できるのです。
法定耐用年数の一部が経過した場合
「法定耐用年数の残りの値」に、「経過した年数に20%を乗じた値」を合計します。
なお、小数点以下は切り捨てます。
たとえば、法定耐用年数が10年で中古不動産を6年経過して取得した場合、以下のように計算し耐用年数を求めることが可能です。
耐用年数
=4年+(6年× 20%)
= 5.2年
=5年(小数点は切り捨てなため)
法定耐用年数が途中まで経過している資産を取得した方は、参考にしてみてください。
不動産における減価償却の注意点
不動産減価償却では以下の2点に注意が必要です。
- 土地と建物の価格を分ける
- 建物の用途を変えた場合は耐用年数に注意する
それぞれ解説します。
土地と建物の価格を分ける
建物と土地を一括で購入したとしても、減価償却する際は分けて計算する必要があります。
建物が減価償却資産であるのに対し、土地は非減価償却資産だからです。
そのため、土地と建物一括契約しても、総金額を土地の取得価額と建物の取得価額に分けて建物取引価額のみ毎期減価償却します。
土地および建物の取引価額が明確でない場合は、固定資産税評価額の比率で按分可能です。
建物の用途を変えた場合は耐用年数に注意する
建物の構造が同じ木造住宅でも、事務所用では24年、飲食店用は20年と耐用年数が異なります。
建物の用途を変えた場合、利用を変更したときから利用後に定められた耐用年数で減価償却します。
また、年の途中から用途を変更したものは年初から変更したものとみなし、減価償却することが可能です。
参照元:国税庁|建物を転用した場合の減価償却費の計算
建物の減価償却のシミュレーション
実際に減価償却を行い、毎年計上される経費を求めてみましょう。
建物の条件は以下のとおりとします。
- 建物:新築事務所
- 構造:木造
- 取引価額:4,000万円
- 購入年:2024年
- 定額法の償却率:0.042
木造事務所の法定耐用年数は国税庁のホームページより24年と定められています。
また、2024年に購入した定額法の償却率は0.042であるため、減価償却費は以下の計算式で求めることが可能です。
減価償却費
=4,000万円×0.042
=168万円
よって168万円を毎年、経費として計上できます。
まとめ
本記事では、建物の減価償却についてご説明しました。
業務用の建物や車などの資産は減価償却できます。
そして、減価償却をうまく活用できれば毎年経費として計上できるので節税することが可能です。
しかし、「建物の構造」や「いつ取得したか」によって計算方法は異なるため、正確な減価償却費を求めるのは簡単ではありません。
弊社(株式会社AlbaLink)も、年間相談実績が3,000件以上の不動産に強い専門の買取業者です。
ひとつの候補としてご相談くだされば、金額や日程なども含め、減価償却について全力でご対応いたします。
お気軽にご連絡ください。
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