所有している空き家の活用方法や処分方法で悩んでいる人は多いと思います。
この記事では空き家を売却する際の具体的な流れや注意点、売却にかかる費用及び税金について詳しく解説していきます。
空き家は放置すればするほど老朽化が進み、また空家等対策特別措置法の施工によって特定空き家に指定されるリスクも発生しますので、空き家の売却を検討している人は是非参考にしてみることをおすすめします
目次
空き家を売却する前に注意すべきこと
ここでは空き家を売却する前に注意すべきポイントについて解説していきます。
まず最初に行うべきは空き家の状態の把握です。
長期間放置するなどして空き家の老朽化が進んでいる場合は、修繕費用がかさむ可能性が高くなってしまいます。
また空き家の境界や抵当権について確認を怠ると売却時に思わぬトラブルを招く場合もあります。
空き家の売却は長期戦になることも多いため、少しでもスムーズに進められるよう事前準備を丁寧に行うことを心がけてください。
名義を確認する
空き家の売却において、名義の確認は非常に重要な作業です。もし相続によって空き家の所有者が変わっている場合、相続登記を済ませていないと売却手続きを進めることができません。
また空き家が共有名義になっている場合は共有者全員の同意を得てから売却するという形になります。
空き家の名義を明確にできなければ売却そのものが行えないため、必ず確認しましょう。
境界を確認する
空き家に限らず不動産の売却でつきまとう問題が、どこからどこまでが自分の土地であるか、です。
自分の土地と他人の土地の境目のことを境界といい、これを確定させないまま空き家を売却してしまうと隣地との境界トラブルが発生する可能性があります。
境界を確認する主な方法としては、
・法務局で地積測量図や公図を取得して確認する
・現地に赴いて境界標を確認する
・土地家屋調査士に境界調査を依頼する
などが挙げられます。
後々のトラブルを避けるためにも、境界の調査は売却前に念入りに行っておくとよいでしょう。
抵当権が抹消されているか確認する
空き家を売却するのであれば、抵当権が設定されているかどうかは必ず確認すべきです。
抵当権とは住宅ローンなどを借りる際に金融機関が不動産を担保にする権利のことで、抵当権が残ったままの空き家を売却するのはほぼ不可能と言えます。
抵当権を消すためには抵当権抹消登記が必要ですが、手続きが非常に複雑になるため自分で行うよりも司法書士に依頼することをおすすめします。
リフォームや解体を独断で行わない
空き家の売却の際にやってはいけないのが、リフォームや解体を独断で行うことです。
まずリフォームをしたからといって空き家が必ず売れるとは限らないため、空き家が売れなかった場合にリフォーム費用が丸々無駄になってしまいます。
またリフォームや解体の工事を行っている間は売却活動も行えず、売却のチャンスを逃してしまう可能性もあります。
もし空き家のリフォームや解体を行うのであれば買取業者と相談し、慎重に検討した上で行うようにしましょう。
売却相場を事前に調べておく
空き家を売却するのであれば、売却相場を事前に調べておくことを強くおすすめします。
不動産サイトや国土交通省の土地総合情報システムなどを活用することで売却相場を正確に把握でき、買い叩きや売れ残りを防ぐことができます。
また空き家の築年数が古く、老朽化が進んでいる場合は売却価格が相場よりも大幅に低くなることも覚えておいてください。
複数の業者に査定依頼する
空き家の売却をスムーズに進めるためには、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。
1社だけに査定を依頼すると提示された売却価格が適正かどうか判断できず、損をしてしまう可能性があります。
複数の不動産会社に査定を依頼すれば、各不動産会社がどのような観点から査定額を算出しているのか、またどのような販売戦略を持っているのかを比較することが可能です。
加えて担当者の対応や相性も比較できるため、担当者との相性が悪いと感じたら不動産会社を変更するなど、柔軟な対応を取れるようになります。
空き家を売却した後に注意すべきこと
ここでは空き家の売却が完了した後に注意すべきポイントについて解説していきます。
特に注意しなければならないのが空き家の買主から契約不適合責任を問われることで、損害賠償請求にも発展しかねないため慎重に対応する必要があります。
また確定申告も正確に行わないと高額な税金が課される可能性があるため、もし不安があれば税理士に相談してみるとよいでしょう。
契約不適合責任を問われる恐れがある
空き家の売却後に特に注意すべきなのが契約不適合責任です。
これは売却した不動産に契約内容と異なる欠陥があった場合、売主が買主に対して責任を負うというものです。
例として雨漏りやシロアリ被害といった欠陥が売却後に発覚した場合、買主から損害賠償を請求される可能性があります。
ただし買取業者に直接売却する場合は基本的に契約不適合責任は問われませんので、リスク回避を優先するのであれば一般の買主ではなく買取業者への売却がおすすめです。
売却した翌年に確定申告する必要がある
空き家を売却した場合、売却した年の翌年に確定申告をしなければなりません。
不動産の売却によって得た利益は譲渡所得となるため、譲渡所得税という税金が課税されるためです。
確定申告を怠ると無申告加算税や延滞税が課せられる可能性もありますので、必ず期限内に行うようにしましょう。
また空き家の売却で損失が出てしまった場合は原則として確定申告は不要なのですが、他の所得と損益通算を行うことで節税ができる場合もありますので、可能であれば確定申告を行うことをおすすめします。
取得費がわからないと譲渡所得税が高くなる可能性がある
確定申告を行う際に空き家の取得費がわからないと、譲渡所得税が高くなってしまう可能性があります。
譲渡所得税は下記の計算式で算出されます。
譲渡所得=売却価格 – 取得費
譲渡所得税=譲渡所得×税率(約40%)
空き家を購入した時の資料が残っていない場合、概算取得費で計算することもできますが譲渡所得税が高くなってしまうケースが多いため、可能な範囲で過去の契約書や領収書を探してみてください。
税金の控除の申請には期限がある
空き家を売却した後の確定申告で是非利用したいのが、居住用財産の譲渡所得の特別控除です。
これは相続や遺贈によって取得した居住用の不動産を売却する場合、譲渡所得額から最高3,000万円を控除できるというもので、利用すれば大幅な節税が可能となります。
ですがこの控除には期限が定められており、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却しなければ控除が受けられませんので、もしこの控除を利用したい場合は相続した空き家を早急に売却する必要があります。
空き家の売却にかかる費用
ここでは空き家の売却にかかる費用について解説していきます。
空き家の売却にかかる主な費用は仲介手数料、印紙税、登記費用ですが、それ以外にも抵当権抹消費用や解体費用といった思わぬ費用が発生する場合もありますので、売却費用がどれだけ発生しているかの把握はこまめに行うことをおすすめします。
仲介手数料
空き家の売却において、仲介手数料は不動産会社に支払う主な費用の一つです。
仲介手数料は売買契約が成立した際に発生し、その金額は宅地建物取引業法によって上限が定められています。
仲介手数料の料率は売買価格に応じて段階的に上がっていくため、売買価格が高くなるほど仲介手数料も高くなります。
印紙税
空き家を売却する際に必ず必要となる費用が印紙税です。
印紙税は、契約書などの文書に対して課税される税金で、収入印紙を貼付することで納付します。
印紙税額は下記のように空き家の売却金額に応じて段階的に上がっていき、特に500万円と5,000万円を超えた時に急激に上がりますので注意が必要です。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
100万円超、500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超、1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超、5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超、1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超、5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
登記費用
登記費用は空き家を売却する上で支払いを避けられない費用の一つです。
登記費用とは不動産の名義変更や抵当権の抹消など、登記手続きを行う際に発生する費用のことで、登録免許税や司法書士への報酬などが挙げられます。
空き家を売却する流れ
空き家を売却する具体的な流れですが、下記の通りとなります。
- 空き家の相場の調査
- 不動産会社に空き家の査定を依頼
- 不動産会社と媒介契約の締結
- 空き家の売却活動
- 買主と売買契約の締結
- 残代金の受け取りと空き家の引き渡し
まず自分で空き家の相場を調査し、その上で不動産会社に査定を依頼します。
不動産会社と媒介契約を締結した後は不動産会社が主体となって空き家の売却活動を進め、売買契約が完了したら引き渡し日に空き家の引き渡しと残代金の受け取りを終えれば売却は完了です。
まとめ
空き家の売却をトラブルなく進めるには事前の準備と正しい知識が不可欠です。
名義や境界の確認、抵当権の抹消などの必要な手続きは必ず済ませておきましょう。
またあらかじめ空き家の売却相場を把握し、複数の不動産会社に査定を依頼することで適正な価格での売却を目指せます。
売却を終えた後も契約不適合責任や確定申告などの注意しなければならない点がありますので、最後まで気を抜かずに売却を完了しましょう。