家の雨漏りは放置すると建物の劣化が進み、売却時に大きな影響を及ぼします。雨漏りした家を売る際には「告知義務」があり、これを怠ると後々トラブルになる可能性があります。
本記事では、雨漏りした家を売却する際の告知義務や売却方法、放置するリスクについて解説します。
目次
雨漏りした家を売却する際には告知義務が発生する
雨漏りのある家を売却する際、不動産売買契約において「告知義務」が発生します。これは、売主が買主に対して物件の瑕疵(かし)を正確に伝えなければならないという法律上の義務です。
告知義務の範囲には、「現在進行形の雨漏り」だけでなく、「過去に雨漏りが発生した履歴」も含まれます。たとえ修繕済みであっても、売主は「過去に雨漏りがあった事実」や「どのような修繕を行ったか」を明確に伝える必要があります。これは、買主が物件の状態を正しく理解し、納得したうえで購入を決断できるようにするためです。
また、雨漏りを放置していると建物の構造体(柱や梁など)が腐食し、二次被害を引き起こす恐れがあります。例えば、木造住宅の場合、長期間の水漏れによって木材が腐り、耐震性の低下が懸念されます。カビの発生やシロアリの繁殖も考えられ、これらの問題が発覚すると修繕費用がさらにかさみ、売却価格が大幅に下がる可能性があります。
告知しないとトラブルに発展する恐れがある
告知義務を怠ると、売却後に買主が雨漏りの事実を知った際に、契約解除や損害賠償請求をされる可能性があります。売却後のトラブルは買主との関係を悪化させるだけでなく、法的な問題に発展する可能性もあるため、十分な注意が必要です。
契約不適合責任とは
2020年の民法改正により、「瑕疵担保責任」に代わって「契約不適合責任」という概念が導入されました。これにより、売主は契約内容と異なる状態の物件を引き渡した場合、買主から責任を追及される可能性があります。
具体的には、買主が購入後に雨漏りを発見し「聞いていなかった」と主張した場合、次のような対応を求められる可能性があります。
【修繕費の負担】
買主から雨漏りの修繕を求められる。
【売却価格の減額請求】
修繕費分を差し引いた金額を買主に返還するよう要求される。
【契約解除】
買主が「住めないほどの重大な欠陥がある」と判断した場合、売買契約を解除される可能性がある。
【損害賠償請求】
買主が修繕にかかった費用や、入居できなかった期間の損害を請求することがある。
訴訟リスク
告知義務違反が悪質だと判断された場合、買主が弁護士を立てて訴訟を起こすことも考えられます。裁判に発展すると、長期間にわたり法的手続きが必要となり、弁護士費用や損害賠償の負担が大きくなります。
物件状況報告書
売主は、売買契約時に「物件状況報告書」という書類を作成し、雨漏りの有無や修繕履歴を記載します。不動産会社が仲介するのであれば、担当者が告知内容の確認を行うため、記載漏れを防げます。
告知の際には、以下のような点を伝えます。
・雨漏りの発生箇所(屋根、窓枠、天井など)
・雨漏りが発生した時期(最近なのか、過去に一度だけなのか)
・修繕の有無と内容(業者による補修歴があるか)
・現在の状態(再発のリスクがあるかどうか)
雨漏りした家を売却する5つの方法
雨漏りした家を売却する方法にはいくつかの選択肢があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、自分の状況に合った方法を選ぶようにします。
ここでは雨漏りした家を売却する方法として、5つを紹介します。
雨漏りを修繕して売却する
一番自然な方法は、雨漏りを修繕してから売却するという方法です。
修繕を実施すれば見た目の印象も良くなり、内覧時の評価が高まるのもメリットです。雨漏りの原因を修理するだけでなく、天井・内装の壁紙を一新すれば、買主に好印象を与えられます。
修繕工事を行うことで、「すぐに住める家」として売り出せます。一般の物件と変わらない条件で売却できるため、売却価格の上昇が期待できます。
雨漏りを修繕するかは不動産会社に相談する
ただし、雨漏りの修繕には費用がかかります。雨漏りの程度によっては、数十万円から数百万円の修繕費が発生する可能性もあり、修繕にかかった費用以上の価格で売却できるかどうか、不動産会社と相談しながら慎重に判断する必要があります。不動産会社に相談すると、修繕後の売却価格や売却スピードについてアドバイスをもらえます。
修繕費をかけても売却価格が大きく上がらない場合、修繕せずに売却した方がコストパフォーマンスが良いケースもあります。築年数が古く、今後の維持管理に費用がかかる場合は、現状のまま売却するほうが合理的な選択となります。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも、雨漏りした家の修理の要否や売却方法のアドバイスが可能です。相談と査定は無料で実施していますので、「雨漏りの家が売れるか不安」という方はお気軽にご相談ください。
ホームインスペクションを実施してから売却する
ホームインスペクション(住宅診断)の実施も有効な手段です。
ホームインスペクションとは、第三者の専門家が建物の状態を客観的に調査・診断するサービスです。建物の基礎、外壁、屋根、室内など、目視や専用機器を使って劣化や不具合がないかチェックし、住宅の現状を把握するためのものです。
ホームインスペクションによって、雨漏り以外の物件の状態も詳細に把握でき、買主様に安心感を与えられます。第三者機関による客観的な診断結果を提示し、売主・買主双方にとって納得のいく取引につながりやすくなるのです。
ただし、ホームインスペクションには数万円~十数万円の診断費用がかかります。また、診断の結果、大規模な修繕が必要と判断された場合、その対応に追加のコストもかかります。事前にどの程度の修繕が必要になりそうかを把握し、予算と相談しながら判断するようにします。
リノベーションして売却する
雨漏りを修繕するだけでなく、リノベーションを行い、家の価値を向上させる方法もあります。築年数が古い家の場合、内装や設備を一新することで買主の印象が大きく改善され、売却しやすくなります。
リノベーションによって、単なる「修繕済みの家」ではなく「価値を提供する家」としてアピールできるのが大きなメリットです。キッチンや浴室、トイレなどの設備を最新のものに交換することで、快適な住み心地を提案したり、間取り変更やデザインの工夫によって、より魅力的な住空間を演出したりすることも可能です。
リノベーションには高額な費用がかかるため、投資対効果をしっかりと検討する必要があります。例えば、数百万円をかけてリノベーションしても、それに見合う価格で売却できなければ意味がありません。
不動産会社と相談し、リノベーション後の売却価格が適正かどうかを確認することが重要です。
家を解体して更地として売却する
建物自体の劣化が進んでいる場合、家を解体して更地として売却する方法もあります。更地であれば、買主が新築を建てやすくなり、売却の可能性が高まるケースがあります。
築年数が古く、建物の修繕に多額の費用がかかる場合は、更地にしたほうが買主にとって魅力的な条件となります。土地の形状や立地によっては、更地にすることで資産価値が上がるケースもあります。
この売却方法でも費用対効果を考える必要があります。解体費用は100万円以上が一般的であり、売却価格と照らし合わせたうえで判断します。また、更地にすると固定資産税が上がる可能性があるため、売却までの期間が長引く場合は税負担も考慮する必要があります。
専門の不動産買取業者に売却する
雨漏りした家を早く売却したい場合、不動産買取業者に直接売却する方法があります。買取業者は現状のまま買い取ってくれるため、修繕やリフォームの手間がかかりません。
買取業者は、物件の状態に関係なくスピーディーに買い取るため、通常の仲介売却よりも短期間で現金化できるのがメリットです。急いで売却したい場合や、修繕費用をかけられない場合には有効な選択肢となります。
不動産買取を利用する場合、仲介で売却するときと比べて、売却価格が低くなる点には注意が必要です。一般的に買取価格は、市場価格よりも2~3割程度低くなります。買取業者を利用する際は、複数の業者に査定を依頼し、適正な価格で売却できるかを慎重に判断しましょう。
弊社AlbaLinkも、訳アリ物件を専門に扱う買取業者です。雨漏りだけでなく、外壁のひび割れ、屋根の破損、基礎の沈下など老朽化した家屋を多く買い取ってきた実績があります。
雨漏りの家の売却を検討している方、売却できずにお困りの方、他社で断られた方は、ぜひ弊社へご相談ください。
雨漏りした家を放置する2つのリスク
雨漏りした家をそのまま放置すると、建物の価値が下がるだけでなく、売却がさらに難しくなるリスクがあります。
ここでは、雨漏りした家を放置した場合に生じる2つの大きなリスクについて解説します。
購入希望者が見つかりにくい
雨漏りを放置したまま売りに出すと、買主の関心が低くなり、購入希望者がなかなか現れない可能性があります。物件情報に「雨漏りあり」と記載されると、それだけで買主が敬遠してしまい、内覧の申し込みすら入らないケースもあります。
売却が長引くと、結果的に価格を下げざるを得なくなり、希望する金額で売れなくなる可能性が高まります。そのため、雨漏りを放置せず、できるだけ早めに修繕や適切な対策を講じることが重要です。
売却金額が安くなる
雨漏りを放置すると、建物の劣化が進み、売却価格がさらに下がる可能性があります。雨漏りは単に「屋根や天井から水が漏れている」というだけでなく、構造部分にダメージを与える要因となります。
雨漏りによって構造部分や内装材、床材が傷んでしまうと、修繕費用がかさみます。買主はこうした修繕費を考慮したうえで価格交渉を行うため、売主は相場よりも大幅に値下げしなければならないケースも少なくありません。
こうしたリスクを避けるためにも、雨漏りはできるだけ早めに修繕し、適切な価格での売却が望ましいでしょう。
まとめ
雨漏りした家を売却する際には告知義務があり、隠して売ると法的トラブルに発展する可能性があります。そのため、売却の際には必ず雨漏りの事実を告知するようにします。
雨漏りを放置すると売却が難しくなり、価格が大幅に下がるリスクがあります。購入希望者が見つかりにくくなるだけでなく、建物の劣化が進み、結果的に修繕費や解体費用が増大する可能性があります。できるだけ早めに不動産会社に相談し、適切な売却戦略を立てましょう。
雨漏りのある住宅を確実に売却する方法は、専門の不動産買取業者に買い取ってもらうことです。専門の買取業者であれば、雨漏りがある状態でも現状のままスムーズな買取が可能です。実績のある買取業者は、状態の悪い住宅であっても再生・再販できる豊富な経験と独自のルートを持っているからです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、さまざまな理由で訳アリ物件になった家を専門に買い取る不動産買取業者です。雨漏りした家だけでなく、築古の空き家や狭小地、再建築不可物件などの買取実績が多数あります。
売却先が見つからずお困りの方や、できるだけ早く現金化したい方は、ぜひ弊社AlbaLinkへご相談ください。経験豊富な専門スタッフが、最適な売却方法をご提案いたします。