不動産投資の税金

不動産所得に使える主な経費一覧

投稿日:2018年4月6日 更新日:

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賃貸経営などの不動産投資を行う場合、家賃収入などの得られた所得には必ず所得税が課せられます。

不動産投資において課税の対象となるのは額面収入ではなく、賃貸収入金額から必要経費を差し引いた不動産所得です。

そのため、必要経費をしっかり計上していくことによって、課税対象となる所得額を大幅に削っていくことができます。

必要経費を正確に把握し、確定申告を行うことで所得税を節税することができます。

不動産所得

今回は不動産所得に使える経費項目を解説していきたいと思います。

不動産所得にかかる経費


不動産所得とは不動産収入(賃料)から必要経費を差し引いたものをいいます。

不動産所得は総合課税に分類され、サラリーマンであれば給与所得と損益通算を行い、所得税の計算をします。

例えば、経費が多く確定申告書上の不動産所得が赤字であれば、給与所得と損益通算を行うことができるので所得税を節税することができるわけです。

不動産所得の必要経費とは


必要経費

管理費

共用部電気・水道電気・定期清掃費用・各種保守点検費用のことを指します。

入居者から賃料とは別に共益費として負担してもらうことがほとんどです。

オーナーが負担するお金ではないにもかかわらず、経費として扱うことができるのは大きいですね。

修繕積立金

修繕積立金も必要経費として扱うことができます。

最近の新築分譲マンションの場合、購入して数年後に、いきなり修繕積立金が値上がりするということがあります。

不動産会社は新築当時と比べて、修繕費の原価が上がったなんて話をしますが、実際のところは修繕積立金を安く提示すれば売りやすいので、安く見せかけたいというケースがあるようです。

中古マンションを購入する場合は修繕積立金の改定があったか確認すると良いでしょう。

参考程度に修繕積立の主な内容を記載します。

  • 仮設工事費用
  • 外壁費用
  • 外壁タイル洗浄
  • シール打替
  • 鉄部塗装
  • 屋上防水
  • 廊下防水
  • バルコニー防水

など共用部分の修繕費です。
共用部分

賃貸管理代行手数料

賃貸物件を所有している場合、清掃、入退去の立会い、修繕、家賃の回収、エレベーターなどの付属設備の保守点検などの管理をしなければなりません。

オーナーが管理できる場合は必要のない経費ですが、サラリーマンの方の場合は、物件の資産価値の低下を防ぐためにも管理会社に任せた方が良いでしょう。

管理会社に支払う管理費は必要経費として計上できます。

管理費の相場は大手不動産会社に任せる場合は、管理を任せている物件の総賃料の5%×消費税という会社が多いようです。

損害保険料

火災保険や地震保険料も必要経費として計算することができます。

火災保険は最大で10年間の契約することができますが、複数年契約を交わし一括で保険料を支払ったとしても、経費として計算できるのは単年度分だけなので注意が必要です。

つまり、10年契約の場合は支払った火災保険料を1/10ずつ経費として計算できるということです。

減価償却費

減価償却とは、主に建物や機械設備などの有形固定資産について、使用度合いや経年によって次第に価値が減少するため、価値の減少分を費用として損失計上する経理処理のことです。

基本的に建物は定額法が採用されます。

 定額法
特徴 償却費の額が原則として毎年同額となる
計算方法 取得価額×定額法の償却率

※国税庁HPより

構造によって償却期間は異なりますが、その期間ごとに毎年決まった額を償却していくというわけです。

耐用年数 償却率(1÷耐用年数)
木造 22年 0.046%
重量鉄骨 34年 0.030%
鉄筋コンクリート 47年 0.022%

つまり、定額法の償却率は耐用年数を逆算したものです。

端数があるので100%一致はしませんが、木造のアパートは22年建物の建物が耐えうると仮定し、22年かけて毎年一定額を減価償却されるということです。

構造的には同規模であれば、木造の建物が1年で減価償却される割合が一番大きいので、所得税の節税効果はありそうですね。

ちなみに、土地は経年劣化するものではないため、減価償却されませんのでご注意を。

減価償却は必要経費の中で一番大きい項目になりますので、例を用いて減価償却の考え方について解説したいと思います。

たとえば個人事業者(法人も同様)が、5億円を設備投資してテナントビルを新築したとします。

このテナントビルは今後数十年に渡って稼働し、個人事業者の収益を増加させる(仮に5千万円増加する)という効果を発揮します。

課税所得額の算出はどうなるでしょうか?

最初の1年目に費用として5億円が全額計上されるのでしょうか?

答えはNOとなります。

この増収効果は5億円投資した結果であり、初期投資の5億円はこの収益増加に対する原価として扱われます。

もしも5億円を全額初年度に費用計上しないといけないとしたら、最初の1年目は課税所得がゼロ(=所得税がゼロ)となり、税金は減りますが、2年目以降は費用を1円も計上できないため、課税所得額及び所得税が高くなってしまいます。

原価償却は、上記のような投資でお金が出て行く時期と収益が得られる時期の不一致を是正するものです。

仮に上記のテナントビルの場合、5億円を47年間に渡って均等に費用計上することができます。

そのため、毎年1千万円弱を費用として計上し、課税所得額を減額することが可能となります。

元の建物の価値を上げてしまうような修繕を行うと、資産的支出とみなされてしまい、資産を計算された上で減価償却として経費化される事になります。

修繕費

分譲マンションの一室で不動産投資を行う場合、共用部分の修繕は修繕積立金からまかなわれますが、専有部分に関してはオーナー負担となります。

専有部分の修繕費も必要経費として扱うことができます。

  • エアコン
  • 壁紙交換
  • キッチン
  • バスルーム
  • トイレ
  • 洗面所など

専有部分

税金

不動産経営を行うにあたってかかる税金も必要経費とすることができます。

下記の税金が対象となります。

  1. 登録免許税、不動産取得税
    登録免許税は表示登記、所有権移転登記、保存登記、抵当権設定登記などの登記を行う際に課税される国税です。
    不動産取得税は、不動産を取得した時、建物を新築・増築した際に都道府県が課税する地方税です。固定資産税評価額をもとに計算されます。
  2. 固定資産税、都市計画税
    固定資産税は毎年1月1日時点の土地、家屋等(固定資産)の所有者に対して課税される地方税(市町村税)です。
    市町村がその固定資産税評価額をもとに課税します。都市計画税とは固定資産税と同様に固定資産税評価額をもとに算出される税金です。
    主に道路事業、土地区画整理事業、市街地再開発事業、公園事業、下水道事業を目的として、都市計画区域内の土地・建物の所有者に対して市町村が課税します。
  3. 印紙税
    売買契約書、新築の際の請負契約書、設計契約書などの課税文書作成に際して掛かる国税です。
    契約書に収入印紙を張って納税します。
    印紙税は契約の種類、契約金額によって変わります。

必要経費2

国税庁のHPをチェックしてみてください。

その他にも、不動産投資の規模が大きくなり、事業的規模と認められる場合には、65万円の青色申告特別控除を受けることが出来ます。

ローンを組む場合にかかる経費

利息

投資用不動産を購入するために金融機関からお金を借りた場合、その借入金の利息部分については必要経費として計算することができます。

ただし、借入金のうち元本部分は経費として計算することができませんのでご注意ください。
必要経費3

ローン保証料

ローン保証料とは、不動産投資のための借入金は返済期間が長く、金融機関にとってはリスクがあるため、融資条件として、金融機関の指定する保証会社との保証契約を求められる場合があります。

その際に必要となる保証料のことをいいます。

ローン保証料も必要経費として扱うことができます。

これまで、金融機関から不動産投資のために借り入れをする場合、「連帯保証人」が必要でした。

銀行は、借り手が返済不能に陥った時に、連帯保証人から返済をしてもらっていたためです。

しかし、連帯保証人をお願いできる親族や知人がいないという人が多く、資金調達をすることができないという問題も発生していたため、保証会社と保証契約を締結させ、滞納リスクをヘッジしているのです。

ちなみに、ネット銀行はローン保証料がかからない場合も多くあるようです。

融資の際は個人で金融機関へ資金調達の交渉をするのではなく、不動産会社を通して交渉した方が、低金利で金銭消費貸借契約を締結できる場合がほとんどなので不動産会社に相談しましょう。

税理士への手数料

不動産経営を行うにあたって、確定申告は必須になります。

確定申告を行う際、税理士に依頼する場合は、税理士への手数料も必要経費として扱うことができます。

相場として、1年間の収支に関わる書類を全て渡し、確定申告の代行を完全に委託する場合は、10万円~20万円くらい、顧問契約を結び、月1回の訪問の場合は30万~50万円くらいが相場のようです。

確定申告を行う場合には、白色申告よりも青色申告決算書を作成した方が、節税効果が高くなります。

その他必要経費として認められる項目

必要経費4

  1. 交通費
    不動産経営を行うにあたって使用した交通費は必要経費として認められます。
    例えば、所有物件の定期巡回、購入希望物件の見学、管理会社との打ち合わせ、不動産会社などが主催するセミナーへの参加などを目的とした交通費は必要経費として計算することができます。
    ほとんどの方がスイカ・パスモを利用される方が多いと思いますので、利用明細を印字するようにしましょう。
    飛行機などは領収書をしっかり保管するようにしましょう。
    領収書が出ないものについては、行った日付や場所、目的などについてエクセルに入力して管理しておけば問題ありません。ちなみに、グレーゾーンな話ではありますが、例えば沖縄に物件を所有していた場合、定期巡回を表面上の目的として、または沖縄の物件を購入するための現地見学を目的として交通費・宿泊費を経費計上して沖縄旅行を満喫するとこともできてしまいます。
  2. 通信費
    管理会社や賃貸の仲介会社などと電話で打ち合わせなどをした時に発生する通信費は、経費として計上することができます。
    しかし、携帯電話を不動産経営用とプライベート用を分けてお持ちの方は少ないと思いますのでどの程度不動産経営に関して通信費を使ったのかを調べることは困難です。
    そのため、2〜3割の金額を通信費として計上している方が多いようです。
    詳しくは担当の税理士とどのくらい必要経費として計上するかは相談した方が良いでしょう。
  3. 新聞、書籍、消耗品代
    不動産や税金、損害保険、経済の動向といった、不動産経営に関連する書籍の購入費、新聞の購読費用は必要経費として計上することができます。
    また、事務関連で使用した文房具代、コピー代なども必要経費として扱うことができます。

経費として認められない物


所得税や住民税は必要経費として扱うことができませんのでご注意ください。

理由として所得税は必要経費を総収入から差し引いた不動産所得に対して課税されますので、必要経費としは認められません。

あとは、必要経費として認められないものとして、事業として支出しているか、個人で消費しているかの区別が重要になります。

例えば、アパートの定期巡回用に車を購入した場合の購入費、ガソリン代は100%必要経費とはなりません。

100%巡回用に使用する場合は、全額必要経費になりますが現実的には個人使用と併用する場合がほとんどだと思います。

事業用に使用した分と個人使用の分を按分して費用に計上します。

按分方法は走行距離を一定期間記録し、それを基準に按分します。

また、車は不動産と同様に償却資産ですので減価償却費(法定耐用年数6年)を算出し、必要経費として計上します。

ちなみに、車の維持費も同様に按分し必要経費として計上することができます。

まとめ
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