親が亡くなった後、使わなくなった実家を売却しようとしても、なかなか買い手が見つからないケースは少なくありません。相続人が「早く手放したい」と考えていても、思うように売却が進まないことはよくあります。
実家を売却する際には、不動産市場の動向や地域の住宅需要を考慮する必要があります。地方の物件や築年数が古い家屋は、売却が長引き、適切な対策を講じなければ空き家のまま放置されてしまうリスクもあります。
本記事では、実家が売れない主な原因を分析するとともに、それぞれの状況に応じた具体的な対策について解説します。売却が進まず困っている方や、これから実家の売却を検討する方にとって、役立つ情報を提供しますのでぜひ参考にしてください。
目次
親の死後に実家が売れない原因
実家の売却が進まない理由には、さまざまな要因が考えられます。売却が難しい場合、単に「買い手がいない」と考えるのではなく、なぜ売れないのかを正確に分析し、それに応じた対策を講じる必要があります。
ここでは、実家が売れない主な原因について解説していきます。
立地が悪い
立地は、不動産の価値を決める非常に重要な要素です。都市部であれば比較的売れやすいですが、地方や過疎地にある場合は買い手が見つかりにくくなります。
交通の便が悪い
最寄り駅やバス停までの距離が遠いと、通勤や通学の利便性が低下するため、購入希望者が減少します。公共交通機関の利用が難しい地域では、マイカーが必須となるため、若い世代や高齢者にとって魅力が薄れる傾向にあるのです。
幹線道路から離れた場所にある場合、アクセスの悪さが影響し、買い手が見つかりにくくなります。冬季に積雪が多い地域で、除雪が行き届かない立地だとさらに敬遠されるでしょう。
周辺環境が魅力に欠ける
物件の周囲に生活に必要な施設が少ない場合、ファミリー層からの関心が低くなります。スーパーやコンビニ、病院、学校、郵便局などの生活インフラが整っていないと、日常生活が不便になるため、購入をためらう人が増えます。
治安の悪さや騒音問題、近隣に迷惑施設があるなど、環境面での問題がある場合も売却が難しくなります。
地域の人口減少
地方では高齢化が進み、若い世代が都市部へ流出しているため、住宅を購入しようとする人自体が少なくなっています。地元で働ける企業が少ない地域では、移住者が増える見込みがなく、住宅の需要が低迷しがちです。
空き家が増えている地域では、同じような売却物件が多いため競争が激しくなり、売却がさらに難しくなる傾向にあります。
築年数が古すぎる
築年数が古い家は、建物の老朽化や耐震基準の問題があるため、買い手がつきにくくなります。
建物の老朽化
築年数が経過すると屋根や外壁、配管などが劣化し、修繕やリフォームが必要になります。雨漏りやシロアリ被害がある場合は、大規模な修繕が必要となるため、買い手が敬遠しやすくなります。
古い住宅では断熱性能が低く、冬は寒く夏は暑いという問題もあります。現代の省エネ住宅と比べて光熱費がかかるため、購入をためらう人が多くなります。
耐震基準の問題
1981年の建築基準法改正前に建てられた旧耐震基準の建物は、地震対策が不十分なため、安全性を懸念する購入者が多くなります。耐震性の低い家は大きなリスクと見なされ、売却が難しくなります。
間取りのニーズ不一致
昔ながらの和室中心の間取りやリビングから離れた台所など、現代のライフスタイルに合わない設計の家は買い手にとって魅力的ではありません。リフォームを前提とした購入を検討する人もいますが、大規模な改修が必要な場合は費用がかさむため、敬遠されがちです。
販売価格が高い
売却価格が相場より高すぎると、買い手がつかず売れ残る原因になります。
売主の主観的な価格設定
親が長年住んでいた家には思い入れがあるため、売主が市場価格よりも高い値段を設定してしまうケースがあります。しかし、感情的な価格設定では、買い手にとって魅力的に映らず、売却の機会を逃してしまいます。
周辺相場との乖離
近隣の類似物件と比較して価格が高いと、他の物件に買い手が流れてしまいます。不動産市場では、適正価格でなければ売却は難しいため、相場に見合った価格設定が必要です。
建て替えできない
法令の問題で建て替えができない場合、買い手が敬遠することがあります。建物が老朽化していても、新築に建て替えられないと購入希望者の選択肢が狭まり、売却が難しくなります。特に「再建築不可物件」に該当する場合、買い手がかなり限定されてしまうため、事前に問題点を把握し、適切な対策を検討する必要があります。
再建築不可物件
再建築不可物件とは、現在の建築基準法の要件を満たしていないため、新たに建物を建てられない土地を指します。特に接道義務を満たしていない土地では、建築確認が下りず、新築の建設ができません。
接道義務とは、建築基準法に基づき、建物を建てる際に一定幅以上の道路に接している必要があるという規定です。具体的には、幅4メートル以上の道路に2メートル以上接している必要があります。古い住宅地では、この条件を満たしていない物件が多く存在し、建て替えが制限されてしまいます。
都市計画法や用途地域の制限によって、特定の建物しか建てられないケースもあります。工業地域では住宅の建築が制限されているため、一般の買い手にとっては魅力がない物件となってしまいます。市街化調整区域にある物件も、新たな建築が認められない場合があり、売却が困難になります。
既存不適格物件
既存不適格物件とは、建築当時は合法だったものの、その後の法律改正により、現在の建築基準に適合しなくなった物件を指します。同物件は違法ではありませんが、増築や大規模な改修が制限されることが多いため、買い手にとってはリスクのある物件と見なされがちです。
容積率や建ぺい率の変更により、現在の基準を超えて建築されている物件では、建て替え時に同じ規模の建物を建てられない可能性があります。耐震基準の変更によって、現在の耐震性能を満たしていない建物も、補強工事が必要になるため、購入希望者が慎重になる傾向があります。
防火地域や準防火地域に指定されている場合、建物の構造に関する規制が厳しくなり、リフォームや建て替えの際に大きなコストがかかります。これらの要因が重なると、買い手の選択肢が狭まり、売却が難しくなります。
内覧準備ができていない
買い手にとって、物件の第一印象は重要です。適切な内覧準備ができていないと、購入意欲が低下します。
生活感が強すぎる
遺品整理ができておらず、部屋が雑然としていると、買い手が自分の生活をイメージしにくくなります。単純に考えても、家具や荷物が多いと部屋が狭く見えてしまうため、売却の妨げとなります。
清掃不足
ホコリやカビ、汚れが目立つと家全体が古く見え、購入をためらう要因となります。キッチンや浴室、トイレなどの水回りが汚れていると、衛生面での不安を感じる買い手が多くなります。
設備の故障
設備が故障したままだと、修理の手間を考えて購入を見送るケースもあります。給湯器やエアコンなどの設備が古いと、追加費用がかかるため、買い手にとって負担が大きくなります。
これらの要因が重なると、実家の売却が長期化する可能性が高まります。ただし、それぞれの問題に適切な対策を講じることで、売却の成功率を高めることができます。次の章では、実家を売るための具体的な方法について解説します。
実家が売れない場合の対策
実家の売却が進まない場合、原因に応じた適切な対策を講じることが重要です。「買い手が見つからない」と諦めてしまわず、価格や売却方法、物件の状態などを見直す努力を重ねる必要があります。
販売価格の調整や売却方法の変更、場合によっては建物の解体や不動産会社の変更によって、より多くの購入希望者を引き付けられます。ここでは、実家を売るための具体的な対策について解説します。
販売価格を見直す
売却が長期間進まない場合、まず検討すべきなのが販売価格の見直しです。価格が高すぎると、買い手がつかず売却が停滞してしまいます。
適正な価格で売却するためには、まず不動産仲介会社に再査定を依頼し、複数の会社から見積もりを取ります。仲介会社によって査定額に違いが出るため、1社の意見だけに頼らず、複数の会社の査定比較が望ましいでしょう。
近隣の類似物件の価格を調べ、市場価格に合った価格設定も大切です。売却開始から一定期間が経過しても売れない場合は、思い切った値下げの検討も必要になります。周辺の相場と大きく乖離している場合は、価格を適正な水準まで下げ、買主候補に見つかりやすくする環境をつくります。
古家付き土地として売却する
建物の状態が悪い場合、「古家付き土地」として売却する方法もあります。古家付き土地とは、建物をそのまま残した状態で土地を売却する方法で、買い手は建物を解体してもいいし、そのまま利用してもいい方法です。
古家付き土地だと、売主は解体費用を負担する必要がなくなり、コストを抑えた売却が可能になります。買い手にとっても、自由に間取りやデザインを決められるメリットがあるため、需要が高まる可能性があります。
古家付き土地として売却する場合、建物の状態が極端に悪いと敬遠されてしまうため、最低限の補修や清掃を行うほうが望ましいでしょう。
建物を解体して売却する
築年数が古く、買い手がつかない場合は、建物を解体して更地にするのも有効な手段です。更地のほうが買い手が新築を建てやすくなり、需要が高まる可能性があります。
新築を検討する人にとって魅力的であり、売却がスムーズに進む例が多いのですが、注意すべき点もあります。建物を解体して更地にすると、固定資産税が高くなる可能性があるため、事前に税金の増加分を確認しておきます。
解体費用も考慮する必要があります。一般的に、木造住宅の解体費用は100万円から300万円程度かかるため、売却価格と解体費用のバランスを見極めながら判断します。
依頼する不動産会社を変更する
売却が進まない場合、別の不動産仲介会社に依頼することで状況が改善するケースがあります。不動産仲介会社によって得意とする物件の種類や販売戦略が異なるため、現在の不動産仲介会社が適切な販売活動を行えていない可能性も考えられます。
不動産仲介会社を選ぶ際には、地方の物件に強い会社や、売却実績が豊富な会社を選びます。インターネット広告やSNSを活用して積極的に集客を行っている会社を選ぶと、より多くの買い手にアプローチできる可能性が高まります。
不動産仲介会社によっては、売却のターゲット層を適切に設定できていないケースもあります。高齢者向けの住宅として売り出すのか、若いファミリー層をターゲットにするのかによって、広告の打ち出し方が変わります。ターゲット層を明確にし、それに合った販売戦略の立案が重要です。
不動産買取を利用する
早く売却したい場合は、不動産会社による買取を利用するのも一つの方法です。不動産買取とは、不動産会社が直接物件を購入する仕組みで、通常の売却よりも短期間で売却を完了させることができます。
不動産買取を利用すれば、買い手を探す必要がなく、即現金化できるメリットがあります。相続した実家をいち早く処分したい場合や、維持費をかけたくない場合には、有効な選択肢となるでしょう。
ただし、市場価格よりも7~8割程度の価格での買取となるため、早期売却のメリットと価格のバランスを考慮する必要があります。売却価格よりもスピードを優先する場合に適した方法といえます。例えば、弊社AlbaLink(アルバリンク)であれば、築古物件や悪立地、再建築不可物件にも対応しています。選択肢として考慮しておきましょう。
寄付する
売却が難しい場合、実家を自治体やNPO法人に寄付するという選択肢もあります。
自治体によっては、空き家対策の一環として、不要な住宅の寄付を受け付けている場合があります。また、一部のNPO法人や社会福祉団体では、住む場所を必要としている人のために、寄付された住宅を活用する取り組みを行っています。
ただし、実際に寄付を受け入れてもらえるかどうかは、物件の立地や状態によって異なります。
賃貸物件として活用する
実家を賃貸物件として活用することで、収益を得る方法もあります。
賃貸住宅の需要がある立地では、収益物件として運用できる可能性があります。また、地方の賃貸需要が望めない立地でも、ファミリー層などに戸建て住宅のニーズがある場合もあります。
賃貸経営には管理の手間やリフォームなどの初期費用がかかるため、事前に市場調査を行い、安定した入居者が見込めるかの確認が重要です。
まとめ
実家が売れない原因は、立地や築年数、価格設定などさまざまです。売却が難しいからといって諦める必要はありません。価格の見直しや売却方法の変更、適切な不動産会社の選定など、状況に応じた対策によってスムーズな売却が可能になります。
売却以外にも、不動産買取を利用して早期に現金化する選択肢もあります。再建築不可物件や築年数が古い物件など、一般的な市場で売却しにくい物件の場合は、不動産買取会社に相談するのも有効な方法です。
弊社AlbaLinkは、築古や悪立地物件の住宅も積極的に買い取っております。過去には、一般の不動産業者が取り扱わない訳あり物件専門の買取業者としてテレビで紹介されたこともあります。
売れない実家を手放したくてお困りの方は、査定のみ、相談のみのお問い合わせでも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。