不動産投資で失敗しないためには、まず最初の一棟目が重要ということは言うまでもありません。
では、不動産投資の第一歩である一棟目の物件をどうやって探していけばよいのか。その心構えから実際の準備として必要な行動の手順まで説明していきます。
一番勇気が必要な1棟目の物件はどう決めるか
誰しも、が何かを始める時には大きな勇気と決断力が必要になるのです。
不動産投資をしてみたい興味はあるが何から始めたらいいか、今のあなたはそこで迷っている状態ではないでしょうか。
不動産投資をしている人は親から相続しただけ、もしくは運が良かったから、そう考えて不動産投資を諦めてしまう人もいます。
しかし不動産投資は決して難しいものではありません。
株やFXのような外的な要素の影響で大きく相場変動がある投資よりも、自分の行動次第でリスクを少なくしていくことは十分に可能です。
では具体的にどのように一棟目になる物件を探していくのか。それは入念な情報収集と目標設定をすることから始まります。
必ず目標を明確にする
最初にしなくてはいけないのは、
- 何のために物件を購入するのか
- そしていくらまでのお金を用意できて
- 何千万円までの物件を購入できるのか
- さらに目標としてどれほどの利益を確保していくのか
という自分の中での目標や基準をはっきりさせることです。
目標を明確なものにして、それに沿った購入計画を立てていかないと、計画が途中で頓挫してしまい、行動も徒労に終わるでしょう。
また資金面も綿密な計画を立てておかないと、せっかく良い物件があってもお金が足らずに購入できない、または購入したは良いが、ローンの返済が途中で頓挫してしまい物件を手放す羽目になってしまうこともあります。
さらに不動産投資を行うからには必ず利益を出すことが目標であるはずです。
最初から、駄目だったら売ればいい、節税のために購入すればいいという目標を持つのではなく、絶対に利益を出すことを念頭において、どれほどの利益が欲しいのか、どれほどの利益が今時分の必要なのかという部分まで、資金計画と一緒に目標を定めておきましょう。
目標例
- サラリーマンを退職して自由な時間を増やすために
- 毎月のキャッシュフロー100万円を
- 来年の年末までに目指す
- その為には、利回り●%の物件を●円購入して返済比率は●%にする
目標より少しだけ条件を緩くして探す
ただし、物件を購入する時には厳密な目標や条件通りにしか探さないというのは、実は得策ではありません。
例えば「物件価格が2千万円以下、そして利回り10%の物件を購入という目標」を立てたとします。
その数字に沿って不動産屋で物件を探してもらったり、不動産情報サイトで自分で情報を探したりしていると、実はその数字に近いながらも、少し条件から外れてしまっている物件を見つけることができなくなってしまうのです。
例を挙げると、価格は2100万円だけれども利回りが11%は価格の上限を200万円に設定していたら、自分の視界には入ってきません。
しかし、価格が2,000万円で利回りが10%の物件よりも、後者の物件のほうが実際の収入が多く、収益性の高い物件といえるでしょう。
一方で価格が1700万円で、利回りが9.8%という物件も厳密すぎる基準にしていると見つけることもできません。
まず条件を設定するときは、多少のマージンをもちながら探すと良いでしょう。
利回りや購入価格を見る時も、コストパフォーマンスを考えて、最も収益性の高い物件を選ぶべきです。
最低ラインを決めて妥協しない
一方で同時に決めておかなければいけないのが最低となるラインです。また、優先順位も重要です。
資金的に2000万円ぐらいは出せるが、2100万円は本当に厳しいがなんとか出せる、という時もあるでしょう。そんな時に2500万円の物件を見つけてこれも良いなと思ったとします。
もちろん収益がしっかり確保できれば、そういった物件でも購入してローン返済できる見込みはあるのですが、自分の現在の収入と照らし合わせることも必要です。
毎月のローン返済に余裕があるのか、本業収入や家計に響かないのか、頭金は十分に準備できるかなどの最低の基準はしっかりと決めておきましょう。
同時に価格は安いけれども利回りが低いという物件を見つけてしまったときも、本当にその利回りでローンを返済していけるのかを考えます。少ない収入では税金や修繕費でほとんど利益がなくなってしまうこともあります。
これ以上は出せない、これ以下の収入にはできないという最低ラインもしっかりと決めておかなければいけません。物件管理の手間ばかりかかって、収入にもならず、さらに本業に支障が出てしまうのでは、まさに本末転倒です。
絶対に譲らない優先順位と最低ラインを決めておく
最初からハイリスクの物件に手を出さない
また不動産投資初心者が絶対にやってはいけないのが、ハイリスクな物件に手を出すということです。
どうしても不動産投資初心者の場合、「物件の利回り=収入」ばかり見てしまいがちで、価格が低いが利回りも高い物件が良いと思ってしまうのです。
またリスクを高めてしまう行動としてフルローンの融資を受けるという行動も挙げられます。物件を紹介してくる不動産屋の中には、頭金が十分に用意できなくても物件による収入でローンを返済していけばよいという、いわゆるフルローンでの融資をセールストークで斡旋してくるのです。
フルローンを使った投資手法は、不動産投資に慣れてきたベテランの人ならはリスクを分散した上で取り組んでみる価値や可能性は十分にあるのですが、物件の管理の仕方も知らず、客付けに有効な方法も知らない、リスクの分散も満足にできないような投資の初心者では極力に手を出すべきではありません。
最初からハイリスクハイリターンの投資先に手を出してしまうと、失敗した時のリカバリーが大変困難になります。
購入したはいいものの、収益が非常に低かった場合は物件を手放せなければいけませんし、もし購入物件を売却してもローンを完済できない時には、物件を競売にかけることになったり、最悪の場合は自己破産をしなくてはいけないというケースもあります。
そうすると今後の投資を諦めなければいけないばかりか、普段の生活にも大きな影響が出てきてしまいます。
物件情報を見るときに表示される数字は、あくまでも一年間満室で経営した時の表面利回りという数字になります。しかし実際に不動産物件を運営していると、1年間全ての部屋が入室状態ということはまずありません。退去が出れば次の入居者が契約できるまでに1ヶ月や2ヶ月かかることは当たり前です。
また、価格は安いけれども地方にある物件の場合は、人口が減って入居者がほとんど決まらないこともあります。さらに表面利回りの数字から不動産物件の運営にかかる修繕費などの経費や、税金などが最終的に引かれるので、手取りの収入は表面利回りの2/3から半分ぐらいになってしまうこともあります。
不動産投資を長く続けていきたいと思うのでしたら、ハイリスクな選択はせずに、まずは最低でも融資と賃料収入の毎月のCF(キャッシュフロー)トントンで確保できるような、ローリスクローリターンの物件から投資をしていくと良いでしょう。
買いたい病に陥ったら他人の意見を聞く
最初の物件はどうしても慎重になりがちですが、そうして探しているうちに買えない自分に焦りが生まれてきます。私もそうでした。
そうなると、「これでもまぁまぁ良いんじゃないか?」などと良からぬことを考え始め、どんどん妥協するラインをあげていきます。
そしてなんとなく良さそう、なんて理由で買付を入れてしまったりすることもあります。
気持ちはとてもわかりますが、そのような場合は、必ず購入前に経験者のアドバイスを聞くようにしましょう。不動産業者にアドバイスを求めるのも良いのですが、「不動産投資」を実際に行っている人に客観的にな意見をもらうのが一番良いですね。
もちろん最終的な判断をするのは自分自身なのですが・・・。
まずは情報収集に徹する
物件を決める前には何よりも必要になるのは情報収集と不動産に関する知識の蓄積です。
不動産物件の売買価格はどうやって決められているのか、土地の評価額はどこで見ればいいのか、建物の評価額はどうやって決まっていくのかなどの知識を身につけて、自分なりの相場観(重要)を持つようにしましょう。
そして、不動産情報サイトなどで物件周辺の中で似たような条件の物件を探し今買おうとしている物件の価格が本当に適切なのかを身につけていきます。
最近では条件設定をすれば、人工知能が自動的に適正な価格相場を提示してくれるサイトや、過去の不動産取引情報を確認できるサイトも出てきています。
こういった不動産テックの発達により不動産に関する情報の収集は20世紀より格段に便利になりました。個人でも様々な手段で不動産情報を集められる時代になっているので、雑誌やウェブサイトなどを使って不動産情報をどんどん収集していきましょう。
具体的には、
- スーモ
- アットホーム
- ホームズ
- 不動産ジャパン
- 不動産JP
- 不動産投資連合体
- 楽待
- 健美家
- 大手系不動産業者
- 地元系不動産業者
このあたりのホームページはくまなくチェックしておきます。
また、もう一つ必要なのは不動産屋や不動産投資家など、実際に不動産投資に関わっている人に話を聞くことです。
不動産屋は表面的な情報では分からない、その土地なりの事情について教えてくれることもありますし、地場の不動産屋であれば、購入したい物件を売リに出している人はどんな人なのか、このエリアで一人暮らしをする人はどんなに人ん青化など、生きた情報を教えてもらうことができます。
不動産投資家の人たちからは、不動産屋からと違った物件運営のノウハウや苦労話、失敗談なども聞くことができます。失敗しないためには、なぜ失敗してしまうのかを知る必要があるものです。どんな物件がリスクやデメリットになるのかなどを不動産投資家に聞いて、それを自分の糧にしていきましょう。
不動産サイトにメール配信の条件登録
物件情報を集める手段として、上記のような不動産情報サイトへの登録は必須になります。
不動産情報サイトは自分が知りたい条件を設定すれば、自動的にそれに合致する物件が出てきた時にメールで情報を教えてくれます。一つでも多くのサイトに登録して、情報を見逃さないようにしましょう。
また設定する条件はある程度幅を持たせておいた方が、お得な物件を見逃さずに済みます。最初は面倒ですが、必ず設定しておきましょう。
あまりにも物件情報が来ない場合は設定条件が厳しすぎることもあるので、少しずつ調整していく必要があります。
地元の不動産業者に条件を伝える
同時にエリアとして探している周辺の不動産業者にも話を持って行きます。
一番情報が早く入るのは、やはり直接情報が降りてくる不動産屋です。こういった条件の家を探している、いくらまで出せるなどの自分の中での条件を伝えておけば、それに沿った物件が市場に出そうな時に教えてくれることもあります。
ただし、重要なのは本当に購入意欲があるか(実際に買える準備ができているか)ということを、強く相手に伝えることです。単なる情報収集や冷やかしだと思われてしまっては、相手も商売ですので積極的に情報を教えてくれません。
一棟目の購入であるということを伝えて、初心者でも比較的リスクが少ない物件などを紹介してもらうと良いでしょう。
収益物件専門不動産業者のメルマガやLINEに登録
情報収集の一環として、収益物件を専門に扱う業者のメルマガなどへの登録も重要です。
メルマガやLINEはウェブサイトに比べると情報配信の速度が速く、その日に入ってきたような生きた情報を手に入れることができます。物件情報は速さが命とも言えますし、良い物件の情報を手に入れる=良い物件を手に入れると表現しても過言ではありません。
同じエリアの情報を見て相場観を養う
購入しようとしているエリアの周辺情報を確認しておくことも重要です。
不動産情報サイトを使えば、購入候補と類似した物件も簡単に検索することができます。価格、面積、築年数、住所、駅からの距離、周辺環境、そして設備など事細かに設定をすることができるので、時間が許す限り様々な条件で検索してみると良いでしょう。
買えるだけの準備をしておく
そして購入をする際にもっとも重要なのは、購入のための資金準備をすることです。
不動産投資は少なくとも数百万円、普通に考えれば1000万円の購入金額になります。キャッシュでそれだけのお金を用意できる人はなかなかいないので、ローンの融資を受けることが購入の前提になります。
そこで物件を探しながら、同時に資金調達計画も立てるようにしましょう。
資金面の準備
資金面ではまず頭金がどの程度用意できるか、そしてどこから融資を受けられるかを考えましょう。
自分の家を購入した経験がない投資初心者が見落としがちなポイントとして、物件価格以外にも様々な諸経費が掛かるという点が挙げられます。
中古物件を購入する際には、不動産屋への仲介手数料、登録免許税や不動産取得税、印紙代などの税金、ローンの手数料や保証料、登記手続きを依頼する司法書士報酬などで、物件価格の6~9%ほどの諸経費がかかります。
また少しでも良い条件で融資を受けるためには、頭金を多めに用意しておくことも重要です。自分が弁護士や医者などの融資を受けやすい職業に就いているか、売買価格よりも高い評価額を持つようなお宝物件を購入する機会がある場合以外は、初心者不動産投資家は、多額の融資を受けることは難しいです。(それぞれ金融機関ごとに細かいテクニックはありますが)
金融機関も当然融資金を確実に回収するために、その人間の信用性やどの程度物件運営の実績があるのかという点を重視してきます。
そのため一棟目の物件購入では自己資金をできる限り多く用意しておくようにしましょう。借入額が少ない方が金融機関も回収できる見込みが高いと判断して、金利面や返済期間などで融資条件を良くしてくれます。
また1ヶ所金融機関に断られたからといって、すぐに購入を諦めてしまうのではなく、メガバンクに断られたので、地方銀行や信用金庫にも打診する、さらに、日本政策金融公庫に融資の審査を持ち込むなど、様々な金融機関に審査を申し込むようにしましょう。
もちろん金融機関からの融資だけではなく、親や兄弟親戚にお金を一時的に借りて資金を調達するという方法もあります。融資に強い仲介業者を使っていくのも一つの戦略です。
ただし、初心者がやってしまいがちなのが、多額の融資を受けたために金利の支払いが多くなり、返済を滞らせてしまうという失敗です。金利の支払い、そして上昇のリスクや空室に伴う返済リスクを軽くするためにも、できるだけ最初の物件は借入額を少なくしておきたいものです。
目安としては購入資金総額の3割程度の自己資金は用意するようにしましょう。
目標値を越えた物件が出てきた時は即買付
一方で投資用物件の購入にはスピード感が必要なことも多いです。
自分が想定している価格や収益性などのラインよりも優れた物件が出てきた場合には、すぐに行動に移るようにしましょう。
不動産で良い物件を購入できたか否かというのは、その後の不動産経営に大きく影響してきます。優れた物件の情報を素早く手に入れるには、普段から付き合いのある不動産屋を作っておき、レインズなどに公開する前の情報を教えてもらえるようにしておきましょう。
レインズは不動産流通業者のネットワークサイトであり、基本的には不動産取扱業者が物件を売却の仲介などをする際にはレインズに情報を載せる義務があります。
しかし、レインズ掲載前に買い手を見つけられれば、売り手もスムーズに売却できるので、レインズ前に売買が行われるというケースもよくあります。
そういった一般への非公開情報を手に入れた際には、すぐに条件を吟味し自分の設けた基準に合致していたり、それより良い条件であったりすれば、すぐ買い付けに移るべきといえます。
もちろん買い付けを行うには普段から頭金になるキャッシュを用意しておかなければいけませんし、迅速な決断力も必要になります。融資予定の金融機関に資料を提出しておくなどの準備も必要です。
特に多額のお金を動かすということは決断力が必要になります。ここまでで基準を明確に決めていれば、すぐに行動に移って良い物件を購入できるチャンスが広がるのです。
誰よりも早い現地調査
資金的にも問題がなく、条件面でこれは買ってもよい見込みがありそうな物件が見つかった場合には、一刻でも早く現地に行って調査をしましょう。
とにかく不動産を手に入れるにはスピードが重要になります。ただし当然ウェブや紙だけの情報で購入を決定するのは、大きなリスクが伴います。
例えば、周辺環境面で言えば隣に墓地があったり、清掃工場があったりすると心理的瑕疵になってなかなか入居者が決まらないこともあります。
昼間の環境を見るだけではなく、夜に駅から物件まで歩いた時に、女性が一人で歩ける治安なのか、といった様々なチェックポイントもあります。分譲マンションの購入をする場合にも、共有設備がきちんと管理されているか、駐輪場や駐車場が整備されて稼働しているかなどもチェックしなければいけません。
現地調査に赴いて、必要な部分のチェックを行い、購入しても問題ないと思ったら次は資金調達に走らなければいけません。自分で融資を受ける先を探すだけではなく、スムーズに決めやすくするために、不動産屋経由での融資を申し込むことも選択肢に入れましょう。
不動産屋が提携している金融業者に融資を申し込めば、不動産屋が斡旋をしてくれて、個人で申し込むより決まりやすいこともありますし、条件が良くなることもあります。
また、担保力が弱い、評価額が低い、容積率オーバー物件など何らかの問題がある物件の場合は、不動産が指定する指定の金融機関でしか融資が受けられないこともあります。そういった融資に関する条件は、物件情報を不動産屋に聞く時と同時に確認しておきましょう。
情報収集は綿密に行動は即断即決
一棟目の物件を購入する時には誰しも勇気がいるものです。
不動産物件の価値や可能性を見抜いていく実力を身につけるためには、自分で情報収集をしたり人にアドバイスを仰いだりして、じっくりと実力を身に付ける必要がありますが、いざ物件情報が出てきた時には、スピーディーに動けるようにしなくてはいけません。
不動産投資を行う前段階は慎重に行動して知識を蓄え、いざ投資を始めることを決意したら迅速な行動をする。それが一棟目で良い物件を購入するためのコツとなります。
もりお@不動産投資の森編集部
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