戸建て投資ではどのくらいの利回りが期待できるのか?
戸建賃貸投資を始めてみようと思っている多くの人にとって大きな関心事ですよね。また、高い利回りを実現するには、購入価格を抑えることがなによりも大切です。
いったい高利回りの優良戸建てはどうやったら見つけられるのか、これから説明いたしましょう。
目次
戸建て投資の平均利回りとは
戸建てを投資対象とした不動産投資家は、実際にどのくらいの利回りで運用しているのか… そう気になることはありませんか?
そして、戸建て投資では実際にどのくらいの利回りを見込むことができるのかについても、興味深いことでしょう。
物件サイトの想定利回りを鵜呑みにしない
空室または売主が自己使用している物件は実際に賃貸されていないため、その時点では正確な家賃収入を把握することができません。
そこで、収益物件の検索サイトなどでは、周辺相場などを参考にして仮に賃貸した場合の家賃収入を予想し、それをもとに計算した利回りを掲載することがあります。それが想定利回り(下記計算式参照)というものです。
想定利回り = 想定賃料×12ヶ月÷購入価格×100
ここで、収益不動産検索のポータルサイトとして有名な建美家と楽待における掲載を見てみましょう。
両サイトに掲載されている物件の現況はいずれも空室であるにもかかわらず、なぜか利回りが掲載されています。
これらはともに、想定賃料をもとに算出した想定利回りということになります。
ご説明したように、想定利回りは周辺相場を参考とした想定賃料をもとに算出されます。そのため、想定どおりの家賃で入居が決まらなかった場合の利回りは、想定利回りを下回ってしまうことになります。
また利回りを高く装うため、高めの想定賃料をもとに想定利回りを計算する業者もいます。記載された想定賃料が適切かどうかを確認するには、周辺の戸建て物件の賃貸市場(家賃)を調査してみるのがいちばんです。
そしてより正確に表現すると、想定利回りは「想定表面利回り」ということになります。実質利回りと異なり表面利回りには、仲介手数料および登記などにかかる購入費用や、管理会社に支払う管理委託料、修繕費といった経費が含まれていません。
そのため、想定利回りは意外と大きな値になることが多いのです。実際に購入を検討する場合は、「想定実質利回り」まで計算してみることをおすすめします。
客付けまでにかかる費用を考える
すでに入居者がいるオーナーチェンジ物件では、購入した日から家賃収入を得ることができます。
しかし、空室の物件を購入した場合は、まずは入居者の募集から始まることになります。そして、空室の状態で販売されている物件は、そのままの状態で入居者の募集を開始するのが難しいことも多く、そのような物件ではリフォームが必要になります。
また、リフォームやリノベーションをするために、空室の物件しか購入しないという投資家が少なくないというのも事実です。客付けまでに必要となるのは、ほとんどがこうしたリフォームやリノベーション費用ということになります。
リフォーム費用は、何をやるかによって異なります。クロスの貼り替えだけにとどめるのであれば、数万円程度で済むことでしょう。しかし、外壁や屋根の塗装、浴室やキッチンなど水回りの交換、間仕切りの撤去、床の貼り替えなど、フルスペックのリノベーションを行うとなると、相当な資金が必要になります。
リフォーム・リノベーションで必要になる概算金額は、次のようになります。
- クロス貼り:1,000円/㎡(量産版クロス)
- 床張り
クッションフロア:2,500円/㎡
フロアタイル:4,500円/㎡
カーペット:4,000円/㎡
フローリング:10,000円/㎡ - 畳の表替え:5,000円/枚
- 襖の貼り替え:3,000円/枚
- キッチン交換:10~15万円
- 浴室交換:30~40万円
- ルームクリーニング:6万円
費用対効果を考えると、リフォームの優先順位をつけやすくなります。
クロスや床の貼り替えは、見栄えが良くなりかつ比較的安価な費用で施工することができるため、費用対効果が高いと言えます。その一方で、キッチンや浴室の交換に関しては、想定賃料を考慮して、そこに投資する価値があるかどうかを慎重に検討する必要があります。
また、リフォームが完成してからも戸建賃貸の入居者をつけるのに広告費(AD)がかかることも頭に入れておきましょう。
戸建て投資で目指すべき利回り
目指すべき利回りは、投資家ごとに百人百様です。ここでは戸建て投資ではどのくらいの利回りを目指せるのかを考えてみることにしましょう。
収益物件の利回りは、地方では高くなり都市部では低くなります。都市部の地価は地方の地下に比べて高いため、どうしてもこのような傾向が現れます。
したがって、高利回りを目指すのであれば、地方の物件の方が実現可能性は高いということになります。地方の戸建ては、安い物で100万円台から見つけることも可能です。そのような物件を月3万円の家賃で貸せばかなりの高利回り物件ということになりますが、このように極端に安い物件にはリスクも伴います。
こうした物件は、袋地(旗竿地や囲繞地)や再建築不可といった著しく価値が低い土地に建てられているか、所有権ではない土地、つまり借地に建てられている可能性が高いでしょう。このような物件は売却が困難になることが予想されるため、そのリスクを受け入れられないのであれば購入を断念すべきでしょう。
とはいえ、そのような制約がない物件でも300万円ほどで見つけることは可能です。延べ床面積80㎡の3LDKであれば、5万円という家賃設定も現実的です。つまり、表面利回り20%も不可能ではないということになります。
購入費用として30万円、引渡し後50万円かけてリフォームをしたとすると、実質利回りでも15%以上は確保可能です。戸建て投資ではこの15%という実質利回りを目標にして頑張ってみてください。
土地値という考え方
高利回りを目指すという考え方もありですが、「売買価格≦土地値」という物件を狙っていくという考え方もあります。ここでいう土地値とは一般的には路線価に平米数を掛けたものを言います。どの物件でも物件の路線価が売買価格より高いというケースはあまりありませんので、目安の一つにしても良いかもしれません。土地値を重視して物件を購入していくことで、のちのち大きな物件に進める時には共同担保として活躍してくれるかもしれません。
投資用激安戸建て物件の探し方
具体的に、安い物件をどのようにして見つければよいのか、具体的な方法をご紹介することにしましょう。
実需用の物件サイトチェック
まずは、賃貸物件から新築・中古物件の分譲まで、幅広い物件を扱う不動産総合ポータルサイトをチェックしてみましょう。
一般的に、不動産総合ポータルサイトは、自分が住む部屋や家を探す際に利用されるものです。ところが、まれに「値付けを間違えているのでは?」と思わせる戸建てが掲載されていることも。不動産総合ポータルサイトとしては、つぎに挙げる3つが有名です。
- SUUMO(http://suumo.jp/)
- アットホーム(https://www.athome.co.jp/)
- ホームズ(http://www.homes.co.jp/)
不動産総合ポータルサイトのほか、次に挙げる大手不動産会社が運営するサイトもチェックしたいものです。
- 東急リバブル(http://www.livable.co.jp/)
- ノムコム(http://www.nomu.com/)
- 住友不動産販売(https://www.stepon.co.jp/)
- 三井のリハウス(http://www.rehouse.co.jp/)
投資用の物件サイトチェック
つぎに、投資物件を専門に扱う収益物件専門のポータルサイトをご紹介しましょう。
お買い得な激安戸建の検索は、主にこれらのサイトを利用して行うことになります。有名なのは、つぎの2つのサイトです。
これらのサイトは収益物件を専門に扱っているため、希望条件に近い物件を効率的に見つけることができます。地域、価格、間取り、敷地および床面積のほか、利回りを検索条件に含めることも可能です。また、近隣の路線価を参照できたり、収益シミュレーターを備えていたりと、投資を検討する際に重宝する豊富な機能が用意されていることも特長のひとつです。
上記のほか、つぎのサイトでも投資物件を検索することができます。
- アットホーム投資(http://toushi-athome.jp/)
- RE-Guide収益物件(http://www.re-guide.jp/)
- 不動産投資☆連合体(http://www.rals.co.jp/invest/)
地元系の不動産業者サイトチェック
余裕があるようであれば、地域密着型の地元不動産業者のサイトをチェックしてみるのもおすすめです。
地域密着の業者でしか持ち得ない、市場に出回ることのない物件を扱っていることもある穴場的存在です。現地に内見に出掛けた際に、そのような業者に立ち寄ってみるのもよいでしょう。ネットでは掲載していない情報を紹介してくれるかもしれません。
希望条件を明確にしておく
物件を探し始める前に、希望条件を明確にしておくことは非常に大切です。この基準がぶれてしまっては、不動産投資はうまくいきません。考えておくべき条件として主なものを次に挙げてみました。
エリア
都道府県単位まで決めなくても、関東や関西といったザックリとした投資対象エリアを決めることは、物件を効率よく探すうえでとても重要です。エリアを決めれば、物件価格や家賃の相場観も次第に養われるようになります。
その結果、短時間で物件の良し悪しの判断をつけられるようになります。また、○○県だったら□□市の方が△△市よりも空室率が低く入居者が早く決まりそうなど、自治体ごとの優劣の判断も容易になります。
金額
支払える金額の上限を決めておくことも大切です。自分が決めた上限を超える物件を購入してしまうと、将来の資金繰りが難しくなってしまうことも考えられます。高額な物件は見栄えも良く気持ちが傾いてしまうことも理解できますが、投資は身の丈に合った物件へ。
利回り
何年で投下資金を回収したいのか、どのくらいの家賃収入を得たいのかなどから、目標とする利回りを決めておきましょう。目標より少し低めの利回りを条件として入力することもポイントです。利回りの条件に余裕をもたせることで、より幅広く物件を探すことができます。
また、目標とする利回りよりも多少低かったとしても、値引き交渉で利回りを目標値まで引き上げられる可能性もあります。
駅からの距離
駅近の物件と駅から遠い物件とでは、駐車スペースを確保すべきか、セキュリティーに配慮すべきかなど、必要とされる特徴が異なることを理解しておきましょう。
築年数
高めの家賃設定が期待でき、入居者の確保が比較的容易な築浅に投資するか、高利回り狙いで築古に投資するかを決め、自分の投資スタイルを磨き上げていくことも重要です。
その他
ほかにも、間取り、床面積、敷地面積、建築条件などについても、自分なりの投資基準を設けておくことをおすすめします。
メール登録できるサイトは条件を入れておく
楽待や建美家などの収益物件のポータルサイトでは、希望条件を登録しておくことができます。その条件に合った物件が出たときに、メールでお知らせが来るという仕組みです。所定の項目では入力することができない条件については、備考欄に記載しておくようにしましょう。
「近隣にコンビニやスーパーがある物件を希望」など、具体的な記載をすることで相手に本気度が伝わるという利点もあります。
実際に内見し地元業者に覚えてもらう
メールや電話で問い合わせはするものの、実際に内見に訪れることがない客は冷やかしとみなされかねません。戸建て投資を本気で検討しているのであれば、良い物件が見つかったら積極的に内見に訪れるようにしましょう。
投資の世界に足を踏み入れる決心がついていなくても、気軽な気持ちで内見に訪れてみてください。場数を踏むにつれて、どこに注意を払って内見するべきかが分かってきます。
内見の際、業者に名刺を渡しておくようにしましょう。その際、どのような物件を探しているのか伝えておくこともお忘れなく。内見した物件の購入には至らなくても、その後良い物件が出たときに、優先的に紹介してもらえることもあります。
見つかったら即行動
これぞと思う物件が見つかったら、できるだけ早く内見に訪れてください。不動産投資人口が少なかったころは、週末を待ってゆっくりと見に行ってもライバルに先を越されることは少なかったのですが、最近は事情が変わってきました。
本当に優良な物件は、情報が出たその日のうちに掲載終了になることも珍しくありません。現地を見ずして申込みを入れる業者もあるほどで、優良物件を巡る競争は激しさを増しているように感じます。そのようなこともあり、良い物件を見つけたらまずは業者に連絡し詳細資料を請求、そのときに内見のアポを取るようにします。
資料を確認してみたら、案外魅力的ではなかったということもあるでしょうが、そのときは、内見をキャンセルすれば済むことです。
金額が届かなければ指値
価格が設定した上限を超えているときは、自分が出せる限度額を率直に相手にぶつけてみることです。
「鬼のような指値」というのが流行りましたが、値引きに応じてくれるケースも意外と多いものです。仮に足りない分を工面することができたとしても、自分で決めた上限額は守るようにしましょう。100万円くらいなら… そう思ってしまう気持ちも分かりますが、それに慣れてしまうと、つぎの物件購入ではタガが外れてしまい100万円が200万円に、そのつぎは200万円が300万円になり、歯止めが利かなくなってしまうことも考えられます。
なにより、安易に上限額を増やしてしまうようでは、自分主導の金額交渉は難しくなってしまいます。
戸建て物件が安く買えるパターン
- 再建築不可や容積オーバーなど
- 売り主が売り急いでいる
- 売り主が値付けのわからない業者に丸め込まれている
- ボロボロで要大幅修繕
- 市場に出る前に話がまとまるケース
戸建てに限らず賃貸マンションやアパートもそうですが、安く買える場合のほとんどは上記のようなケースです。
このような物件情報を入手するためには、ここまで書いてきたことを愚直に実行し、とにかく多くの情報を集める仕組みを作っておくしかありません。
もりお@不動産投資の森編集部
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