こんにちは。
仙台で小さなアパートを経営しているhayasakaです。
不動産取引では「媒介」と「仲介」という単語が出てきます。
どちらも不動産の売買や賃貸契約を仲立ちするのが役割です。
一般に大家さんから直接依頼されるのが媒介で、媒介業者から依頼されるのが仲介とされます。
賃貸の場合にもこの媒介業者選びが重要になってくることも多いので、今回は一般論としての媒介契約の概要や注意点を掘り下げたいと思います。
今回も、落語風の問答にしてみましたので気軽に読んでください。
ご隠居:アパート投資に明るい、横丁の物知りご隠居
熊さん:大家さん稼業を夢見る少しだけテンネンな大工さん
【ご隠居と熊さんの不動産投資珍問答】
賃貸における媒介契約の違い
目次
賃貸における媒介契約とは
媒介契約の種類
ドンドンドン!
ご隠居!
知り合いの仙人を紹介してくれ!
何だ、熊さんじゃないか。
仙人?あの山奥で霞を食っているという?
そうでさぁ。
実はね、八の野郎が『媒介はやっぱり仙人に限る』なんて言いやがるんでね、あっしもその仙人を紹介してもらおうと…
ははは、熊さん、それは仙人じゃなく“専任”だ。
へ?
不動産会社などに、所有する賃貸物件への入居者付けを任せるには媒介契約を結ぶ必要がある。
この媒介契約には、
- 一般媒介
- 専任媒介
- 専属専任媒介
の3つの種類があるんじゃ。
八つぁんが言っているのは、2番目の専任媒介のことだな。
賃貸における媒介契約とは
なんだ、そういうことか。
…ところで、媒介契約ってぇのは、一体何だい?
少し専門的になるが、大家さんを目指すのなら一応は覚えておいた方がいい。
媒介契約には売買と賃貸の2種類がある。
ふむふむ…
どちらも売買や入居者付けに必要な業務を、およそ3か月の契約期間、不動産仲介会社が大家さんや地主に代わってやってもらう契約じゃ。
具体的には必要な図面などを作成し、広告などでの入居者募集や案内などが主な業務だな。
なるほど。
それで買い手や借り手が見つかれば、がっぽり手数料をふんだくるって商売だな?
また、口の悪いことを…。
確かに、取引額が大きい売買の場合は、媒介手数料が高額になることもあるが、賃貸の場合はたかが知れておる。
このため、賃貸の媒介契約はとても簡素に登録しているのが実情じゃ。
つまり簡単だってことかい?
そうじゃ。
まず、売買と違って媒介契約書を作ることが義務付けられていない。
実際には口約束で済ませている場合も多いようじゃ。
へー、そうなのかい?
契約内容についても都道府県ごとに違うようだから、かなりユルイ。
まぁ、契約というよりは“委任”という程度のものと業界では考えられているようじゃ。
そんなもんなのかねぇ…。
で、さっきの3種類の媒介契約のうち、空室対策にはどれを選ぶのが一番賢い方法なんで?
3つの媒介契約
一般媒介とは
それぞれにメリットとデメリットがある。
熊さんにも分かりやすいようにできるだけ簡単に説明するが、少し難しいぞ。
おう、望むところだ!
まず、一般媒介だ。
これは、複数の不動産会社に入居者付けを依頼できる。
一般ということは、これが一般的ってことかい?
まぁ、そうだな。
不動産会社の数が多ければ、それだけ入居希望者との接点が増えるわけだから、メリットを感じる大家さんは多いようじゃ。
一般媒介のメリットとデメリット
しかし、今やインターネットで簡単に情報収集や物件検索できる時代だ。
媒介する不動産屋の数が多いからと言って、昔ほど有利ではないんじゃないかい?
…熊さんは時々鋭いことを言うから、たまげるよ。
その通りだ。
今は物件の良し悪しこそが物を言う時代で、媒介する不動産会社の数はあまり意味を持たないと言っていい。
しかも不動産屋にしたら、なんとしても客付けしようという責任感が薄れるので、投げやりになるかもしれない。
まぁ、決まらないよりは決まった方が利益になるので、投げやりになることはないだろうがな。
一般媒介のもう一つのメリットは、大家さん自身が入居希望者を見つけてきても良い点がある。
へ?てめぇのアパートやマンションに大家が売却するのなんか、自由じゃないのかい?
いや、専属専任媒介の場合は、大家といえども勝手に入居者付けすることはできない独占契約なのじゃ。
一般媒介と専任媒介は大家自身が入居者付けして良いことになっておる。
専任媒介とは
お、出てきやがったな専任媒介!
専任媒介とは特定の不動産会社1社に媒介を依頼する契約じゃ。
入居者が決まらなければ言い逃れできないので一生懸命に入居者付けをすることが期待できる。
専任媒介のメリットとデメリット
しかし、他の不動産屋に横取りされる恐れもないので、まったりと仕事する恐れはないのか?
そんなに他人を疑うものじゃあない。
確かに、売買の場合はそういう恐れもないことはないが、賃貸の場合は入居者を見つけてこない事には銭を生まないから、その心配はないだろうね。
むしろ、インターネットで物件検索が簡単にできる今の時代に合った契約と言えるかも知れない。
そうか。
確かにそうかもしれない。
専属専任媒介とは
最後に専属専任媒介だ。
これは大家さんが入居者付けをすることすら認められない専任媒介じゃ。
大家といえども入居者付けができないって…
大家にとって何かメリットはあるのかい?
専属専任媒介のメリットとデメリット
賃貸の場合は専属専任媒介のメリットはほとんどない。
だからこの契約を結ぶ大家さんもほとんど居ないのが実態だ。
むしろ、賃貸において専属専任媒介を申し入れてくる不動産業者があったら、要注意じゃ。
はは~ん。
大家には何らメリットがないのにも関わらず専属専任媒介を締結するような大家は間抜けだから利用してやれ、そう考えているってわけだな?
まぁ、ごく稀にだが、そういう悪質な事例もあるようだから、注意する事だ。
仲介手数料に違いは?
仲介手数料の原則
なるほどねぇ。
ちなみにご隠居、媒介契約によって入居者が決まった際の仲介手数料は違うものなのかい?
媒介の種類によって仲介手数料に差が出ることはない。
実は法的には、次のようになっておる。
- 建設省告示第1552号
【第四 貸借の媒介に関する報酬の額】
宅地建物取引業者が宅地または建物の賃借の媒介に関して依頼者の双方から受け取ることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ)の合計額は、当該宅地又は建物の賃貸(当該賃借に係る消費税相当額を含まないものとし、当該媒介が使用賃借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常賃借をいう。以下同じ)の一月分の一・〇八倍に相当する金額以内とする。
この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受け取ることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、賃借の一月分の〇・五四倍に相当する金額以内とする。
簡単に言えば、賃貸の媒介で受け取ることができる報酬の合計額は家賃の1か月分+消費税以内であり、しかも大家さんや借り手の特別な承諾を得ていない限り、片方から受け取れる報酬は半月分+消費税以内と決められておるわけじゃな。
おい、おい、アパートを借りるときは大体家賃の1か月分を仲介手数料としてふんだくられるのが通り相場になっているが、法的には半月分が原則ってことかい?
要は“広告などで告知し、借り手の承諾を得ている”という解釈で1か月分を受け取っているのだろうな。
こすっからいことをしやがる。
しかしご隠居、中には仲介手数料無しという仲介業者もあるよね?
確かに、1回こっきりの仲介手数料で稼ぐよりも管理会社を通じて毎月管理委託料で稼いだ方が良いという考え方で、大家さんからは仲介手数料を取らない会社もある。
理にかなった戦略だな。
なるほど。
しかし待てよ、その分、毎月の管理委託料が高目では意味がないな…
そういうことじゃ。
仲介手数料が安い代わりに礼金を調整していたり、本来大家が払う必要のない募集広告費を差し引かれたりする例もあるようじゃ。
そういう小細工をする不動産会社は避けた方が良いだろうな。
なるほど。
不動産の世界には霞を食って生きているような仙人などいなくて、必ず何らかの調整があることを用心しておけってことだな。
そうだ。
“損して得取れ”というような奇特な人は、この不動産業界では、“千人に一人”くらいのものだろうよ。
まとめ
賃貸における媒介契約の取引態様には、複数の会社に入居者付けを依頼する一般媒介と、特定の1社に依頼する専任媒介があります。
専任媒介にはさらに、大家さんによる入居者付けもできない専属専任媒介と呼ばれる契約形態があり、賃貸の世界では専任媒介と専属専任媒介契約を結ぶ例は少ない(大家さんのメリットが少ない)のが実態です。
また、媒介契約の違いによる仲介手数料の違いはなく、法律の範囲内で不動産会社ごとに設定されています。
仲介を依頼するだけではなく、物件管理や入居審査まで依頼するのか、家賃滞納時の事も考えて、集金代行まで依頼するのかにもよって選ぶ不動産業者の選択肢は変わってきますから、仲介手数料の安さだけではなく、それ以外の項目もしっかり確認して、トータルの費用が安く、しかも信頼できる業者に媒介を依頼することが大切です。
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