「古家付き土地と更地では、どちらが売りやすいのか?」
古家付き土地の売却でこのようなお悩みをお持ちの方が多いでしょう。
実際、双方にはメリットとデメリットがあるため、物件の特徴等を鑑みながら判断することが必要です。
本記事をお読みいただくと、古家付き土地の売却に関する悩みがなくなり、問題なく売却を進められるようになります。
目次
古家付き土地とは?
古家とは、快適な住環境を確保するにあたり、リフォーム等の工事が必要な物件のことです。
一般的には、築年数が経過した木造一戸建てを指すケースが多いでしょう。
このような、古い家屋が土地に残っている不動産を「古家付き土地」と言います。
古家付き土地として売却するメリット5選
本章では、古家付き土地として売却するメリットについてご紹介します。
解体費用がかからない
解体費用がかからないことがメリットです。
解体費用は、建物の規模感や間口の広さ等による解体工事のしやすさにより変わりますが、一般的には数百万円程度の費用負担が生じます。
よって、解体費用がかからないことは、売主にとって大きなメリットと言えるでしょう。
固定資産税があがらない
建物が残るので、固定資産税があがることは原則ありません。
なぜなら、住宅用地の特例を継続して利用できるので、土地の固定資産税評価額が変わらないからです。
仮に更地になれば、土地の固定資産税評価額が1/6になる措置の対象外となります。
よって、建物があることで固定資産税が居住時と変わらないことはメリットです。
リノベーション目的の検討者に適している
古家付きの土地は、リノベーション目的の検討者には適しています。
なぜなら、不動産を安く購入し自らの思い通りにリノベーションして居住したいという需要があるからです。
例えば、古家付き土地を2,000万円で購入し、1,000万円かけてリノベーションできれば周辺の新築住宅より安く持ち家が手に入るケースがあるでしょう。
よって、建物の柱や土台の耐久性に問題ない古家であれば、リノベーション目的の検討者に売却できます。
契約不適合責任を免責できる
古家があれば、契約不適合責任を免責にできる可能性があります。
なぜなら、中古不動産売買では予め建物内の不具合個所等を買主に提示してから、売買契約を行うからです。
特に、木造住宅は建物自体の劣化が早く、引き渡し後に契約不適合を買主より際限なく追及されるおそれがあります
よって、売主買主の双方合意のもとであれば、契約不適合責任を免責にできます。
3,000万円特別控除を使える期間が少し長くなる
古家がマイホームであれば、3,000万円特別控除を使えます。
3,000万円特別控除とは、売却して譲渡所得があった場合に最大3,000万円を控除できる制度です。
なお、制度を利用するためのマイホームの定義や譲渡相手等には条件があるため、利用には税務署など専門家に相談するとよいでしょう。
古家付き土地として売却するデメリット2選
これまで古家付き土地のメリットをご紹介してきましたが、続いてはデメリットです。
これらについても、しっかりと理解していきましょう。
売却しにくい
はじめに、売却がしにくいことがあります。
なぜなら、買主に解体工事の費用負担が生じてしまうからです。
古家があることで解体工事の手間が増え、工事期間が伸び、費用負担が増えます。
特に、土地を探して新居を建てたい人には不向きでしょう。
よって、古家付き土地は引き渡し後に手間と費用負担が多くかかるため、需要が少なく売却しにくい不動産です。
値引きする可能性が高くなる
古家付き土地を売り出しても、値引きする可能性が高いでしょう。
なぜなら、解体費用がかかることやそもそも需要が低い不動産であるため買い手が少なく、値引き交渉があった場合に応じざる得ないケースが多いからです。
よって、周辺の土地売却相場より安価となる可能性があります。
古家付き土地として売却したほうがいい物件2選
その不動産を古家付き土地で売るか更地にするかの判断には、いくつかのポイントがあります。
本章では、古家付き土地として売却したほうがいい物件の特徴をご紹介します。
建物に価値がある
建物に価値がある場合は、古家付き土地で売却したほうが良いでしょう。
なぜなら、建物自体に不動産としての魅力があれば、価値を付けて売却できる可能性があるからです。
例えば、大手不動産会社が分譲した建物、建物の外観や内装の状態が良いときなどです。
つまり、リノベーションする必要がほとんどなく現況でも快適に居住できる建物であれば、解体する必要はありません。
再建築できない
再建築不可物件の場合は、古家付き土地で売却したほうが良いでしょう。
なぜなら、建物を解体すると新たなものを建築できない土地であるからです。
隣地等を買収するなどで再建築不可状態を解消できなければ、古家付き土地で売却するしかありません。
古家を解体して更地にして売却したほうがいい物件
一方で、古家を解体して更地にした方がいい物件もあります。
本章では、主な特徴について理解していきましょう。
空き家の状態で維持管理ができない
遠方住まい等を要因に空き家の状態で維持管理できていない場合には、解体して更地にするのが良いでしょう。
その理由は、維持管理ができていない空き家は建物等の状態が悪すぎることでリノベーション工事ができないからです。
また、使用が難しい空き家であれば更地のほうが売却しやすいから、という理由もあります。
よって、土地に古い空き家があれば、解体し更地での売却がおすすめです。
老朽化が進んでいる
建物の老朽化が進んでいる場合も、更地での売却がおすすめです。
その理由は、老朽化が進んでいる建物は耐震性が低いおそれがあり、リノベーションができないからです。
このような建物は引き渡し後に解体されるので、更地のほうが買主は検討しやすいという理由もあるでしょう。
買主の手間を省くことや売りやすくするために、老朽化が進んでいる建物は解体が得策です。
古家を解体する費用
古家を解体する費用は、古家の規模や構造により異なります。
例えば、一般的な木造住宅であれば3万円/坪前後、鉄骨造住宅であれば4万円/坪前後、鉄筋コンクリート造住宅であれば8万円/坪前後が相場です。
仮に、木造住宅30坪の解体費用は、90万円前後となります。
なお、間口が狭い旗竿地などの土地の場合、解体用の重機の搬入や解体物の搬出に時間がかかるため、解体費用は高くなる傾向があります。
解体費用を安くするポイント
解体費用を安くするポイントは、以下のとおりです。
- 複数の解体業者から見積りを取る
- 自治体の補助金を利用する
- 粗大ごみなど可能な限り自分で処理する
複数の解体業者から見積りを取る
複数の解体業者から見積もりを取ることで、解体費用を安くできます。
なぜなら、相場観を掴みやすくなり費用やサービス面で比較検討しやすくなるからです。
見積もりは面倒でも、少なくとも3社以上から取るようにしましょう。
自治体の補助金を利用する
自治体の補助金を利用することで、解体費用を安くできます。
自治体によっては、古家の解体費用を助成する制度があります。
よって、解体工事を行う前には、古家が所在する自治体の補助金制度を確認してみましょう。
粗大ごみなど可能な限り自分で処理する
粗大ごみなど可能な限り自分で処理することで、解体費用を安くできます。
なぜなら、室内に家財などが残置されていれば、処分費用がかかるからです。
よって、古家に粗大ごみがあれば、不用品回収業者等を利用し処分しておきましょう。
古家付き土地の売却にかかる費用と税金
本章では、古家付き土地の売却でかかる費用と税金について解説します。
売却にかかる費用
古家付き土地の売却にかかる費用は、以下のとおりです。
- 仲介手数料
- 土地の測量費用
- 抵当権の抹消費用
仲介手数料とは、売買が成立したときに仲介した不動産会社に支払う成功報酬です。
400万円以上の成約価格の場合「成約価格×3%+6万円+消費税」を上限に不動産会社が設定できます。
また、測量は正確な土地の広さで取引を進めるために必要です。
測量の費用は、土地の広さにもよりますが通常は概ね50万円前後、境界確定ができていない土地であれば100万円程度になるケースもあります。
抵当権の抹消費用は、不動産1件につき1,000円と司法書士報酬となり、概ね15,000円前後が一般的です。
売却で発生する税金
古家付き土地の売却で発生する税金は、以下のとおりです。
- 印紙税
- 譲渡所得税
印紙税は、売買契約を締結するときに生じ、売買金額により添付する金額が変わります。
また、譲渡所得税は売却で譲渡益(利益)が生じた場合に納める税金で、不動産の所有期間により税率は異なります。
「譲渡所得=収入金額ー取得費ー譲渡費用(ー特別控除額)」で算出した譲渡所得に対して、所定の所得税及び住民税を負担します。
売却が難しい古家付き土地は買取も検討する
売却が難しい古家付き土地では、買取を検討するのが良いでしょう。
なぜなら、買取では不動産業者が買主となり、どんな土地でも迅速な売買を進められるからです。
例えば、仲介で売却活動するも売れない、再建築不可物件などの訳あり物件、田舎など立地が悪い物件などの場合は、買取を選択肢に入れることが得策です。
買取は買取業者さえ決まれば必ず売却ができるので、仲介での売却活動を併せて検討しておきましょう。
まとめ
本記事では、古屋付き土地で売却するメリットやデメリット、売却に適している物件や売却にかかる費用等について解説してきました。
古家付き土地は、解体費用がかからないことや固定資産税が上がらないなどメリットが多いので、そのままの状態で売却できるのが理想です。
一方で、古家付き土地は買主が解体費用を負担するため物件として敬遠されることが多く、売りづらいという側面も持ちます。
よって、古家付き土地を売却するときは、不動産の特徴をよく理解しどちらの売却方法が得策であるのかなどの判断が必要です。
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