不動産投資初心者

不動産投資家(大家)は自主管理するべきか管理会社に依頼すべきか

投稿日:2018年1月9日 更新日:

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賃貸経営をするのであれば自主管理をするべき

賃貸業を営むに当たって、管理会社を使うべきかどうか?という疑問を持つ人は多いと思います。

結論から言うと、以下の理由で、賃貸経営をするのであれば、自主管理するべきだと筆者は考えています。

特に、大きく規模を拡大しようと思わない大家さんは自主管理がおすすめです。(感覚的に50室くらいまでは自主管理でまったく問題ない)

  1. 自主管理を通じて物件の現状がリアルタイムで把握できる
    (建物劣化状態、周囲の環境状態の変化など)
  2. 借主の状況が把握できる
    (借主の家賃支払い状況、家族構成の変化など)

上記2点については、オーナーである以上は、絶対に把握しておくべき事項だと筆者は思っています。
状況把握

あと、ご理解頂きたいのは、「自主管理」と言っても、そんなに大変なことではありません。フルタイムでサラリーマンとして勤務している人でも充分にできる事だと思います。

ちなみに自主管理の具体的な内容としては以下の通りです。

  1. 家賃の振り込みがされているかのチェック
  2. 月に1回ほど管理している物件を訪問し、外観に大きな変化が無いかを見る
  3. 借主より設備が壊れたなどの連絡が入った場合に修理の手配などをする
  4. 物件修繕、固定資産税支払いをするための費用確保(家賃の3割程度で充分)

1,2ともにそこまで手間はかからないことは分かると思います。ましてや3については年に1回あるかないかのレベルです。

4については、振込された家賃=自由に使えるお金ではないことを自覚するべきです。

入ってくる家賃を全て使ってしまい、固定資産税、物件の修繕が出来なかった・・という失敗例はよく聞きます。(実際の失敗例は後述にて)

筆者の経験上、家賃の3割程度を積み立てておくと安心でしょう。

尚、区分マンションについても、「修繕積立金」として毎月強制的に徴収されますが、修繕積立金はあくまで共用部分の修繕を目的としています。

ですので、専用部分の壁紙貼り替え、劣化した設備交換の為にも、マンションについても別途の積み立てを最低でも手取り家賃の2割以上は行うべきです。
家賃収入

ちなみに、筆者は週5日勤務のサラリーマン時代から、賃貸業(神奈川県内に戸建てを3棟、区分マンションを1件、千葉県内に戸建て1件)を営んでいましたが、特に手間と感じることも無く、上記の自主管理については、充分に出来ていました。

はっきり言って、このような簡単なことを管理会社に任せて、管理費用を取られてしまうのは、勿体ないとしか言いようがありません。

また、自分自身が、賃貸物件の経営者であるという感覚を持つ為にも、自主管理はしていくべきです。

賃貸物件の自主管理を通じて、様々な知識、経験が得られます。

得られた知識、経験は、今後賃貸物件の経営を行うに当たっての糧となります。
メリット

次トピックスでは、実際に筆者が賃貸物件を自主管理するに当たって、失敗したこと、学んだことを執筆させてもらいます。

今後、賃貸経営を行おうとしている人の参考になれば、幸いです。

賃貸物件の自主管理での失敗例

修繕積立金の不足

これは、筆者の知り合いで実際にあった話のことです。

筆者の知り合いBは、神奈川県横須賀市内にアパートを1棟(1DK×5)保持しています。

購入金額としては2000万円、全て満室状態で入ってくる家賃は年間で手取り240万円程度(5室中4室が入居状態)とのことでした。

ローンの支払いが年間約100万円、固定資産税が土地、建物合わせて年間約10万円程度であった為、Bは、年間130万円程度の収入を確保していると考えていたようです。

はっきり言って、上記のような計算をする時点で間違えです。

建物の劣化に対する修繕費用、ガス器具、室内エアコンなどの故障に対する修理費用などを全く確保していませんでした。

購入して3年目の2011年の時です。3月に東日本大震災がありました。

建物自体は無事でしたが、地震の揺れの影響で、5機あるプロパンガスの内3機が動かなくなってしまいました。(元々プロパンガスもかなり劣化しており、いつ壊れてもおかしくない状態だったようです)

当然、住人から修繕を求められましたが、修繕する為のお金を一切確保しておらず、定期預金を切り崩さざるを得ない状況になったようです。
失敗例1

Bは、上記のようなことがあってからは、手取家賃の3割強(年間80万円)程度は確保するようになったそうです。

また、区分マンションについても同様のことが言えます。

特に区分マンションは毎月の管理費用のほかに修繕積立金がかかっている為、修繕費用を確保するのは必要ないのでは?と考える人がいるようです。

しかし、マンション管理組合などが徴収している修繕積立金はあくまで共用部分(外壁塗装、共用廊下部分の修繕など)の劣化に対して備えているものです。

専用部内の壁紙貼り替え、設備購入などに備えて、やはり手取り家賃の2割程度は確保しておきたいものです。

家賃が一月分未納

失敗例2
これは、筆者がやってしまった失敗です。筆者は神奈川県逗子市内にあるリゾートマンション(1DK)を月75000円で賃貸しています。

毎月の家賃については、借家人から指定口座へ毎月25日前後に翌月分の家賃を振込みするスタイルをとっていました。

1年位はきちんと家賃振込日後の26日位に通帳記帳をして、振込されていることの確認を取っていました。

しかし、2年目を過ぎたあたりから、毎月行っていた通帳記帳を3ヵ月に1度、ひどい時は6か月以上通帳記帳していないこともありました。

6か月ぶりに通帳記帳したとある時のことです。1月~7月分の家賃を8月にまとめて記帳したところ、3月分が抜けていることに気づきました。

毎月きちんと払ってくれる人でしたので、すっかり油断していたんですね。

すぐに借家人に連絡を取ったところ下記のように言われてしまいました。

「支払い忘れをしたこちらも悪かったけど、きちんとチェックしていない大家さんにも問題があるのでは?」

借家人の仰る通りです。

結局、未払いとなっている家賃1か月分については、すぐに用意ができないということで、6カ月ほどかけて分割で支払ってもらいました。

やはり、自主管理をするのであれば、毎月の家賃振込は必ず実行するべきです。

物件の状態を月に1回は確認するべき

失敗例3
筆者は神奈川県横浜市内に一戸建てを2003年から賃貸物件として保有しています。

購入して2カ月ほどで、某上場企業に勤務する男性、奥様、子供(小学校4年生)の一家が借りることになり、2003年~2011年まで、実に8年の間も借りてくれることになりました。

家賃についても特に遅れること無く、毎月25日に指定した口座に振り込みをしてくれており、安心していました。

貸してから7年目ぐらいの時のことです。偶然、貸家の近くを歩いていたら貸家の庭から猫が5匹ほど出てきました。

「もしかして、勝手に猫を飼っているのでは?」と思い、家を訪ねてみました。

すると、奥様が出てきて「猫は飼っていない・・。」ときっぱり否定をされました。

それから7日後、貸家の隣に住んでいる住人から苦情が不動産業者経由できました。

「お隣さんは少なくても10匹以上の猫を飼っている。こちらの庭まできて糞をするから困っている」とのことでした・・。

借主は嘘をついていました。無断で猫を飼っていたというよりも、嘘をつかれたということが悲しかったですが・・。

奥様に再度お話を聞いたところ「実は、2年程前から猫を20匹飼っています。本当に申し訳ありませんでした・・。」と白状されました。

60平米程度しかない家に猫が20匹とは・・驚くばかりでした。

それから色々と事情を奥様から聞いたところ、以下のことが判明しました。

  • 当初借主だったご主人は、既にこの家にはいない(どうやら他に愛人を作ってしまったようです)
  • 長男が高校生になってからグレ始めてしまい、家にろくに帰らなくなってしまった

どうやら奥様は一人になってしまったさみしさのあまり、猫を飼ってしまったらしいです・・。

とりあえず、20匹の猫のうち18匹は猫の保護団体に預けてもらい、残った2匹については他の家の庭にいかないように管理してもらうことにしました。

でも、これは私が定期的に家の様子を見に行ってさえいれば、猫を多頭飼いしていることに気づいたはずです。2年間も放置した大家である私の責任でもあります。

やはり、貸家については周りの住環境(騒音が出るような工場が出来ていないか?等)、家の様子が変わっていないか(住人がゴミを庭に放置していないか?等)などを月に1回程度は見に行くべきですね。

上記のことがあってから、筆者は月に1度は物件の様子を見に行くようにしました。

管理会社に委任=安泰ではない

はっきり言いますが、賃貸物件を管理会社に一任してしまうことは、ナンセンスとしか言いようがありません。

よく「30年一括借り上げにより、空室リスクは無しです。」という宣伝をしている不動産管理会社があります。

一見「30年も一括で借り上げてくれるのか!!しかも空室になったとしても家賃収入を確保してくれるなんて、とても良い制度ではないの?」と思われるでしょう。

しかし、実はこの一括借り上げ制度は大きな落とし穴があります。

まず、このよく聞くであろう「一括借り上げ」について、説明します。

一括借り上げとは?

一言で言うと、大家と入居者の間に不動産管理会社が入り、不動産管理会社が以下のことを行います。

以下の図を参考にしてください。

一括借り上げ
※家賃の支払いは不動産管理会社を通じて行う

  • 不動産の修繕
  • 入居者募集
  • 家賃徴収
  • クレーム処理
    ※借主から入ってくる家賃から管理料を差し引いた残りを大家に支払う

上記のように不動産管理会社が大家と借主の間に入ることをサブリースとも言います。

大家さんが不動産管理会社に支払う委託料の相場は、家賃保証がある時と無い時で相場違います。

家賃保証をしないで管理だけの場合は家賃の5%~10%程度、家賃保証をする場合は家賃の10%~20%程度が相場となっています。

「空室になったとしても、家賃の10%~20%程度を支払えば、家賃収入80%~90%が確保できるのでしょ?それはお得なのでは?」と考える人もいると思います。

しかし、ここが盲点。実は、多くの管理会社は、契約時点での家賃金額を保証しているわけでは無いのです。

例えば、アパート(ワンルーム×4室)を新築して、当初ワンルームを5万円で賃貸募集したとします。

不動産管理会社に20%の委託料を支払い、大家の手取りはワンルーム4万円×4室=16万円となります。

ずっとこの16万円が入ってくればいいのですが、多くの不動産管理会社は、年数が経過すると家賃を減額する交渉を大家にしてきます。

5年後はワンルーム4万円、10年後は3万5000円と言った感じです。

そうすると、大家に入ってくる手取り家賃は、減ります。

「こんなこと大家が不利ではないか?合法なの?」と考える人もいると思います。

実は、合法です。

そもそも、日本の不動産賃貸契約は、「借家法」により借主が手厚く保護されています。

そして、不動産管理会社が、大家と一般借主の間に入る、「サブリース契約」の場合は、貸主=大家 借主=不動産管理会社という立場になります。

そうなると、合法的に不動産管理会社が大家よりも保護される立場になります。

具体的に、不動産管理会社が保護されている点は、家賃の減額を請求する権利があることです。

不動産管理会社からしてみれば、大家さんに「家賃」(大家から見たら管理委託料を差し引いた後の家賃収入)を支払っている訳ですから、いわば「借主」の立場になります。

勿論、家賃減額に対して、大家は拒否する権利はありますが、多くの不動産会社は、家賃の減額に応じない場合は、一括借り上げ契約を解除できるといった形で契約をしてきます。

ですので、不動産管理会社と一括借り上げ契約をしようと検討している人は、一括借り上げ契約=将来に亘って安定して家賃収入を得られるというわけではないことを認識するべきです。

また、不動産管理会社自体が倒産するというリスクもあります。当然ですが、不動産管理会社が倒産してしまえば、契約自体に意味がなくなる為、家賃収入だって保証されなくなります。

ちなみに、例え、契約書に「10年間は家賃の減額はしない」といったことがあったとしても、不動産管理会社が家賃の減額を要求する権利は借家法的には無くなりません。

ですので、筆者としては、一括借り上げは全くと言っていいほどオススメできません。

下記、サブリースのメリットとデメリットの記事も併せてお読みください。

サブリース物件のメリット・デメリットと失敗例

まとめ

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