不動産投資初心者

サブリース物件のメリット・デメリットと失敗例

投稿日:2017年11月26日 更新日:

サブリースとは

初めてアパマン経営などの不動産投資を行おうとする場合、大きな不安になるのが「本当に入居者が埋まるのだろうか…」という点。万が一入居者が見つからない場合、多額のローン返済が家計から持ち出しになってしまう恐れがあるからです。

そんな大家さんの不安を解消してくれるのが「家賃保証システム(通称サブリース)」で、実際の入居状況に関係なく、毎月一定の家賃を支払ってくれるサービスです。その仕組みは、サブリース会社が大家さんから物件を丸ごと借り受け、大家さんに代わって賃貸経営するもので「サブリース方式」とも呼ばれます。
サブリース

サブリース契約の期間や保証例

30年~35年という長期契約が多く、「一括借り上げ」と言って1棟丸ごとサブリース会社が借り上げるスタイルとなります。

つまり、サブリース会社が大家さんに代わって入居希望者に又貸しする形となり、その労力やリスクを考慮して相場家賃の70%~80%程度の家賃を保証するのが一般的です。しかも、その保証金は「10年目に見直し、以降は2年ごとに見直し」などと決められている場合が多く、空室状況によっては見直しの都度2割、3割の減額を要求されることも珍しくはありません。

また、管理とセットになっているのが普通で、敷金・礼金などはサブリース会社が受け取り、建物の修繕などはオーナーが負担するという契約になっているのが多いようです。

当然、サブリース会社とて利潤追求の責務があるわけで、決して損失を出してまで大家さんのリスクを肩代わりするはずはありません。大家さんのリスクを無条件で肩代わりするのが「サブリース契約」だと認識していたのだとしたら、それは大いなる“勘違い”でしかありません。

サブリースのメリット・デメリット

サブリースのメリット

サブリース契約のメリットとしては

  • 手間がかからない(大家さんは毎月の保証金を受け取るだけ)
  • 収入が一定(ローン返済も円滑)
  • 入居者トラブルに無縁(訴訟などのリスクもない)

などと強調している例が見られますが、どれもメリットとまでは言えません。

例えば、「手間がかからない」「入居者トラブルと無縁」と言っても、これはきちんとした管理会社に委託しておけば同じこと。管理会社が大家さんに代わって処理してくれるので、何ら心配はありません。

また、収入が一定というのも、それは保証金が見直されるまでのことで、大家さんが期待しているような「30年間ずっと保証金が維持される」ということはまずないのです。空室が多ければ「家賃を下げないと入居者が集まらない」「このままではウチが倒産してしまう」と言われれば、保証金の減額要求に応じる以外ないのが実態です。

つまり、サブリースによる家賃保証は、大家さんにとっては何らセーフティーネットにはならず「メリットは殆どない」と言っても過言ではないでしょう。
メリット

サブリースのデメリット

反対にデメリットとしては

  • 保証金は家賃相場の2~3割安(常に2~3割の空室があるのと変わらない)
  • 礼金・敷金などの収入もなし(そのくせ修繕費用などは大家さんの負担)
  • 保証金は契約期間内に何度も見直させる(減額されることはあっても増額はまず見込めない)
  • 建物管理が杜撰になりがち(管理費を抑えて利益を残そうと杜撰なメンテナンスになりがち。結果として建物の寿命や価値が損なわれていく)

といった点が挙げられます。これらは大家さんの収入を直撃するので、きわめて重大なデメリットと言えます。

また、「大家さんの強い味方」と考えがちなサブリース会社ですが、視点を変えれば大家さんにとっては“大口の借り手”でしかありません。家賃保証と言っても、実は家賃を支払うという当たり前の義務を果たしているにすぎないのです。このため、法律の上ではサブリース会社も借家人として「借地借家法」によって手厚く守られるという点には注意が必要です。

借地借家法第32条には「地価や経済事情の変動、周辺相場などに照らし合わせ、賃料水準が不相応となった場合には、契約の条件にかかわらず家賃の増減を相手方に請求できる」と明記されています。つまり、この法律を使えば、サブリース会社は見直し時期に関わらず、いつでも家賃の減額を大家さんに請求することができるわけです。

さらに、借地借家法では大家さんからの途中解約は困難なのに対し、借り手であるサブリース会社からは中途解約も容易であるため、サブリース会社はいつでも「解約」という”伝家の宝刀”をちらつかせることもできるのです。たとえサブリース契約書に「10年間家賃保証!解約なし!」と謳っていたとしても、借地借家法を使うことで、保証金の減額も解約も容易にできてしまうのが実態なのです。

つまり、サブリース会社は、借家人の権利を持った“手ごわい借り手”に豹変する可能性を秘めているわけで、その絶対的な優位性をちらつかせることで、大家さんに不利益を押し付けることも充分に考えられるというわけです。
デメリット

サブリース契約での失敗事例

では、実際に起こっているトラブルについていくつか見ていきましょう。

保証金の変更

Aさんは、当初提示の保証金が30年間約束されるものだと思って、30年間のサブリース契約を結び、所有地にアパートを新築しました。ローンを返済しても毎月20万円ほどの現金が残るので、年金と合わせれば老後資金には充分。しばらくは奥様と海外旅行や食べ歩きを楽しむ優雅な日々を送っていたそうです。

ところが契約から10年が経過したある日、サブリース会社から保証金の減額を要求されたと言います。

慌てて契約書を見直したAさんは、その時初めて

  • 「保証金は10年後に見直し」
  • 「それ以降は2年ごとに見直し」

と小さな文字で書かれていることを知り愕然。「当時の営業マンはそんなことは一言も言ってくれなかった」と訴えても「その人間は退社したので…それに契約書にはきちんと明記してありますし…」と取り合ってくれません。

「周辺の家賃相場も下がっているので、このままでは空室ばかりになってウチが倒産してしまう…」そう脅されたのでは、減額を飲むしかありません。仕方なく1.5万円×10室で15万円の保証金減額を了承。手元には5万円の現金しか残らなくなってしまったそうです。

ところが、これで終わりではありませんでした。その翌年もさらに1万円(合計10万円)の減額要求が示されたのです。「契約書には2年ごとの見直しになっているではないか」と訴えたAさん。ところが「借地借家法によって、当社はいつでも減額も解約も請求できるのですよ」と切り返されたと言います。

解約となれば新たに管理会社を見つける必要があり、そこから入居までにはさらに数か月がかかることも考え、言うなりになるしかなかったと振り返ります。結局、管理会社を替えても入居者が劇的に増えることも、家賃が引き上げられる可能性もなく、何の解決にもならないことに気づき涙を飲んだわけです。

これでAさんは毎月5万円を家計から持ち出してローンの返済に充てなければならなくなりました。夫婦で約20万円ちょっとの年金生活に、5万円の持ち出しは重すぎます。しかも、今後も保証金の減額が要求される可能性は高く、それを考えると恐ろしくて夜も眠れないと言います。
借地借家法

解約時の違約金

Bさんもサブリース会社からの保証金減額要求に疑問を感じ「これならいっそ解約したほうがマシ」と考えました。しかし「大家さんの方からサブリース契約を解消するのは難しい」と言われ、驚いたBさん。借地借家法によって借り手であるサブリース会社の権利が手厚く守られているからで、しかも、仮に解約できたとしても多額の解約金が発生することも初めて知らされたそうです。

契約書を見返すと途中解約には「12ヵ月の予告期間が必要で、更に6ヶ月分の家賃を解約申込時に一括で管理会社に払い、かつ、予告期間の12ヵ月は家賃を貰えない」との内容。つまり、18か月分の保証金が吹き飛んでしまうということですから、月額40万円の保証金を受け取っていたBさんとしては720万円を投げ打って解約するしかない計算となり、諦めざるを得なかったと言います。

敷金や礼金を受け取れない

敷金や礼金は大家さんにとっては大切な臨時収入。Cさんも、若い頃、引っ越しのたびに高額な敷金・礼金に泣かされたので「これからは大家として敷金・礼金をもらう立場になる!」と楽しみにしていたそうです。

ところが、サブリース契約を結んだ場合、敷金・礼金はサブリース会社が受け取る仕組みになっていることに契約後に気付いて愕然。言われてみれば、入居者にとって大家さんはサブリース会社なので、敷金や礼金も大家さんたるサブリース会社が受け取るのも筋が通っていると納得せざるを得なかったと言います。

このようなサブリースにまつわるトラブルは頻発しています。特にここ数年急増した「地主系アパート」でトラブルが目立っているのです。

地主系アパートにサブリーストラブルが多い理由と注意点

地主系アパートとは、相続税対策としてアパート経営に乗り出した「地主さん」によるアパートで、都市近郊でここ数年、建築ラッシュが続いていました。これらの地主さんは、ほとんどが不動産投資初心者です。しかも、建設地はアパート需要の少ない不便な場所であるケースも数多く含まれていました。

当然地主さんは「こんな場所でアパート経営など成り立つのか?」と不安になります。そこで、その不安を払拭する殺し文句として「サブリースによる家賃保証」が使われたわけです。「入居状況に関係なく30年間借り上げてくれて、ずっと変わらぬ保証金が約束される」と”勘違い“した地主さんは、安心して契約を結んだのでしょう。

しかし、もともと需要の少ない場所では空室が生じるのは当然。「新築プレミアム」は数年でなくなるので、わずか数年で空室だらけとなり、サブリース会社から保証金の減額を突きつけられてしまうのです。「話が違う」と訴えても大家さんに勝ち目がないのは先に説明した通り。
地主系アパート

つまり、もともとアパート経営が難しい場所であることは百も承知の上で、サブリースによる家賃保証で勘違いさせ、アパート建築の受注を狙った業者が暗躍していたということなのです。

そして、その無謀なアパート経営(需要のない場所でのアパート経営)のツケはすべて大家さんに押し付けられることになるという恐ろしい現実。このような地主系のアパートは、やがて中古物件として大量に流通することになるでしょうが、購入の際には慎重な判断が必要なのは言うまでもありません。

サブリース以外の保証サービス

家賃保証に似た言葉で「空室保証」や「滞納保証」などというサービスもあるので、サブリースによる家賃保証との違いも、簡単に理解しておきましょう。

空室保証

家賃収入が一定の金額を下回った場合、足りない分を保証会社が支払ってくれるもの。もしくは一定の免責期間が経過した後に空室時の家賃を支払ってもらえる保証で、空室に備えてかけておく保険の一種です。
空室保証

滞納保証

家賃の滞納が発生した場合、保証会社に滞納分の家賃を支払ってもらうもの。保証人を付けてもらう代わりに入居者の負担で加入してもらうのが普通です。
滞納保証

管理委託

入居者や建物の管理を代行してもらうもので、必ずしもサブリースを付けなくても利用できます。
管理委託

サブリースとの比較

このようなサービスを活用することで、大家さんの手間やリスクを低減することが可能なので、投資判断をする前に、サブリース以外の関連サービス内容を理解しておくことも大切です。

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もりお@不動産投資の森編集部

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