築20年の戸建て住宅の売却は、適切な戦略と準備が不可欠です。本記事では、築20年の一戸建てを高く売るための具体的な方法や注意点、そして成功事例を交えながら詳しく解説します。
目次
築20年一戸建てでも売却できる
築20年の戸建て住宅、売却できますか?という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、築20年の戸建て住宅でも十分に売却可能です。この章では、その理由を解説していきます。
築浅の物件と需要はさほど変わらない
近年は、中古住宅に対するニーズが高まっています。新築住宅の価格が上昇しているため、中古住宅を検討する人が増えていたり、ライフスタイルの変化により少子化や核家族化が進み、大規模な住まいよりもコンパクトで自分好みの空間を求める人が増えている傾向にあるからです。また、築20年の住宅は、リノベーションのベースとして魅力的な物件と捉えられるケースが多いのも理由の一つです。リノベーション目的に関しては下記にも詳しく記載します。
中古戸建住宅築年帯別構成比率(%)
2023年 | 築0~5年 | 築6~10年 | 築11~15年 | 築16~20年 |
成約 | 11.1 | 14.5 | 12.2 | 13.3 |
新規登録 | 11.9 | 11.6 | 9.6 | 11.7 |
中古戸建住宅の2023年の構成比率をみると、築20年の住宅物件は新築住宅に比較して成約率・新規登録率ともに大きく変わりません。築浅の物件と比較しても、築20年の戸建て住宅に対する需要はさほど変わらないと言えるでしょう。
リノベーション目的の需要も一定数ある
築20年の戸建て住宅は、建物の構造がしっかりしていることが多く、リフォームやリノベーションのベースとして最適です。自分好みの間取りや設備に作り変えたいという人にとっては、むしろ築年数が経過した物件の方が魅力的に感じることもあります。
リノベーション目的で築20年の戸建て住宅を購入する人は、以下のようなメリットを求めているといえるでしょう。
新築住宅では実現しにくい間取りや設備を自由に設計できる
新築住宅に比べて、比較的低コストで理想の住まいを実現できる
古い建物を再生させることで、自分だけの個性的な住まいを作ることができる
リノベーションブームやDIY意識の高まり、中古住宅ならではのメリット、働き方やライフスタイルの変化、そして環境問題への意識の高まりなど、様々な要因が複合的に作用し、築20年という築年数の住宅に対する需要を支えているといえます。
築20年一戸建ての売却相場
築20年の一戸建ての売却相場は、立地、間取り、築年数、リフォームの有無など、さまざまな要素によって大きく変動します。一般的に、築年数が経過するにつれて建物の価値は低下していく傾向にあります。築年数10年で価値は新築の約50%になり、築年数20年を超えると価格はほぼゼロになり、約0~10%を推移します。
戸建住宅の価格査定の例
新築から築年数10年は急激に下がり、築10年を超えるとゆっくりと価値が下降していきます。建物の価値は下がる傾向にありますが、土地の価値は比較的安定しているため、売却価格の大部分を土地が占めるケースが多いのが特徴です。
売却相場例 (土地:1,000万円 ※変動なしの場合)
購入価格 | 築20年時の売却相場(目安) |
3,000万円 | 1,500万円~ |
4,000万円 | 1,450万円~ |
5,000万円 | 1,600万円~ |
築20年の戸建て住宅を高く売るためには、物件の状態をしっかりと把握し、適切な準備を行うことが重要です。不動産会社と連携しながら、売却活動を進めるとよいでしょう。
下記記事も参考にしてみてください。
参考:3000万円で買った家はいくらで売れる?築年数ごとのシミュレーションについて解説!
築20年一戸建てを高く売るためのコツ8選
築20年の戸建て住宅を高く売るためには、単に物件を市場に出すだけでなく、戦略的なアプローチが求められます。以下に、より詳細なコツと、それぞれのメリット・デメリットをなどにも触れて解説します。
事前に売却相場を把握する
売却を始める前に、ご自身の物件の相場をしっかりと把握することが大切です。不動産ポータルサイトや、不動産会社に査定を依頼することで、相場感がつかめます。
相場を調べるには、
・不動産情報ライブラリ
・レインズ・マーケット・インフォメーション
などのサイトがあるので活用してみるのもよいでしょう。
複数の不動産会社に査定を依頼することで、相場の幅を把握し、適正な売却価格を判断する上で重要な参考になります。一括査定サイトなどを活用することで、手軽に複数の不動産会社から査定を受けることができるので、類似物件の売買事例を参考に、自社物件の相場を把握できるでしょう。
売却を急がずスケジュールに余裕を持つ
売却活動は、ある程度の期間を要します。焦って売却してしまうと、希望価格を下回る可能性があります。じっくりと時間をかけて、物件の価値を理解してくれる買主を探すことが大切です。
一般的な一戸建ての売却スケジュールは査定~引き渡しまで3ヶ月~半年ほどかかるケースが多いです。3ヶ月の短期間での売却を目指すとどうしても、条件が悪くなってしまったりします。
また、不動産市場は季節によって動きが異なることにも注意が必要です。十分な時間を割いて売却を行ったり、閑散期を避けるなど、最適な時期を狙って売却活動を行うことが有効です。
参考:家の売却期間はどのくらいかかる?長引いてしまう要因や対処法も解説
ホームインスペクションを行う
ホームインスペクションとは、専門家が住宅の状態を細かく調査し、不具合の確認や改修費用の算出などの報告書を作成するサービスです。第三者機関による客観的な評価は、購入検討者への信頼感につながり、売却を有利に進めることができます。売主にとっても、物件の現状を把握する上で役立つのでおすすめです。
費用相場は、物件の内容にも異なりますが5~6万程度が一般的です。戸建の場合は、床面積に応じて4.5万円~6万円などと幅がありますが、標準的な戸建は5万円前後のケースが多いようです。
インスペクションによって、事前に建物の問題点が判明すれば、必要な修繕を行うことができ、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
既存住宅売買瑕疵保険を利用する
既存住宅売買瑕疵保険は、住宅の売買契約時に、住宅に隠れた欠陥があった場合に、買主に損害賠償を行う保険です。万が一、売買後に住宅に欠陥が見つかった場合、保険金で対応できるため、売主の責任が軽減されます。瑕疵保険に加入することで、購入者は住宅に隠れた欠陥に対する不安を解消することができるのです。
特徴
・安心が確保された既存住宅売買が可能
・欠陥が見つかった場合でも、補修費用等の保険金が事業者に支払われる
瑕疵保険を適応させるためには、一定の基準をクリアする必要もあるので、事前に住宅の調査を行っておくと良いでしょう。
ハウスクリーニングを行う
内覧前に、ハウスクリーニングを行い、清潔感のある状態にしておくことで、物件の印象を大きく向上させることができます。
築20年の住宅になると、水回りの汚れが目立ったり、庭を所有している場合は草木のお手入れに手が回らない場合があります。住宅を売り出す際は、内覧写真や動画撮影を行う機会や事前に内覧を行うケースがほとんどなので、ハウスクリーニングを活用して手入れの届いた清潔な状態であれば、物件の魅力を最大限にアピールできるでしょう。
自己判断でリフォームしない
築年数が経過した住宅の場合、リフォームをしてから売却することを検討する方もいるかもしれません。しかし、リフォーム費用が売却価格に必ずしも上乗せされるとは限りません。むしろ、個性的なリフォームは、特定の層にしか受け入れられない可能性があるからです。購入者が自分好みのリフォームをしたいと考えている場合は、現状のままの方が高く売れる可能性もあります。
リフォームを行う際の注意点
- 専門家の意見を聞く
- 費用対効果をしっかりと検討する
- 購入者のニーズを把握する
- 標準的な仕様にする
- 耐震補強を検討する
リフォームを行う場合は、まずは不動産業者やリフォーム業者に相談し、費用対効果やリスクをしっかりと検討しましょう。
一戸建ての売却が得意な不動産会社に依頼する
不動産会社選びは、築20年の戸建てをいかに高く、スムーズに売却できるかを左右する重要な要素です。単に売却実績が多いだけでなく、物件の特性や市場の動向を深く理解し、売主のニーズに合った戦略を提案できる専門的な知識と経験を持つ不動産会社を選ぶことが大切です。
不動産会社を選ぶ際のポイント
ポイント | 内容 |
専門性 | 一戸建ての売却実績が豊富で、専門的な知識を持っている会社を選びましょう。 |
地域密着性 | 売却物件の地域に精通している会社は、地域特性や相場を熟知しており、より効果的な売却活動を行えます。 |
ネットワーク | 幅広いネットワークを持つ会社は、多くの買主候補にアプローチできる可能性が高まります。 |
サービス内容 | 無料査定、ホームステージング、写真撮影、動画作成などのサービスが充実しているか確認しましょう。 |
担当者の対応 | 説明が丁寧で、信頼できる担当者かどうかを慎重に判断しましょう。 |
手数料 | 各社の仲介手数料は異なるため、複数の会社から見積もりを取り、比較検討しましょう。 |
一戸建ての売却に特化した不動産会社は、物件の特性を理解しており、適切な販売戦略を提案してくれるので、専門知識をもっている業者を選ぶのもおすすめです。また、幅広いネットワークを持つ不動産会社は、より多くの潜在的な買主へ情報を発信することができるので、ご自身にも目的にあった業者を選ぶのもよいでしょう。
専門の買取業者に売却する
不動産会社だけでなく、専門の買取業者に売却することも検討してみましょう。買取業者は、迅速な売却が可能で、仲介手数料がかからないというメリットがあります。しかし、デメリットもあるので、ご自身の目的に合った会社を選ぶことをおすすめします。
項目 | 不動産会社 | 買取業者 |
売却期間 | 長期 | 短期 |
売却価格 | 相場に近い価格が期待できる | 相場よりやや低い価格となることが多い |
手数料 | 仲介手数料が発生 | 仲介手数料は不要 |
手続き | 手続きが煩雑 | 手続きが簡素 |
物件の状態 | 幅広い物件に対応 | 状態の良い物件が中心 |
例えば、売却価格について言えば、一般的に、不動産会社に仲介してもらう場合よりも、買取価格が低くなる傾向があります。買取業者は、物件を購入して転売するため、一定のマージンを乗せて価格設定を行うからです。
買取業者は、迅速に現金化したい方や、手続きを簡素化したい方におすすめです。しかし、売却価格が相場より低くなる可能性があることや、選べる業者が限られているというデメリットも理解しておきましょう。
不動産会社と買取業者、どちらを選ぶかは、ご自身の状況や優先順位によって異なります。それぞれのメリット・デメリットを比較検討し、ご自身にとって最適な方法を選びましょう。
下記記事も参考にしてみてください。
参考:家が売れないとどうなる?売れない家の特徴や売却方法も解説
まとめ
築20年の戸建て住宅であっても、適切な準備と売却活動を行うことで、満足のいく価格で売却することは可能です。不動産ポータルサイトや複数の不動産会社からの査定などを参考に、物件の適正な価格を把握したり、動産会社やリフォーム業者など、専門家の意見を参考に、売却戦略を立てるのが重要です。
相場をしっかりと把握し、専門家のアドバイスを受けながら、最適な売却方法を選択しましょう。
maeda
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