「持ち家と賃貸ではどちらが良いのか?」
家探しで、このような悩みをお持ちの方は多いでしょう。
実際、持ち家は財産にはなるものの維持費負担や金利上昇のリスクもあるため、気軽に住み替えをしていきたい人や処分が大変な資産を残したくないなどと考えるなら賃貸がおすすめです。
本記事では、敢えて持ち家が不要な理由や所有するリスク等について解説します。
最後までお読みいただくと不要な持ち家を所有することなく、適切な処分方法や注意点等について理解を深められるでしょう。
目次
持ち家を購入している人はどれくらい?
総務省統計局がまとめた「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の持ち家率は60.9%(3,387万6千戸)となっています。
前回調査の2018年と比べて0.3%の下落となっているものの、過去30年間においてはほぼ60%前後で推移しています。
つまり、国内では約6割の人が持ち家を購入しています。
持ち家がいらないといわれる6つの理由
では、なぜ持ち家はいらないと言われるのでしょうか?
本章でその理由について理解していきましょう。
維持費がかかる
持ち家は、維持費がかかります。
維持費とは、固定資産税や都市計画税、建物の補修費用等です。
これらは不動産を所有している限り、負担を続けるものとなります。
気軽に住み替えできない
持ち家は、気軽に住み替えはできません。
なぜなら、住み替えるには売却して第三者に譲渡する必要があるからです。
仮に退去しても家の所有権があれば、善管注意義務に則り維持管理の費用や手間がかかります。
よって、賃貸のように気軽な住み替えは難しく、第三者に譲渡するまで多くの手続きや維持管理の義務が残ります。
資産価値が下がるリスクがある
持ち家は、資産価値が下がるリスクがあります。
なぜなら、建物の価値は新築時から経年劣化で下がり続けるからです。
また、土地については市場の動向により価値が上下する可能性があります。
よって、建物価値減少分を土地価格上昇分でカバーできなければ、原則家の資産価値は年を追うごとに下がります。
住宅ローンの金利が上がるリスクがある
持ち家を住宅ローンで購入していれば、金利が上がるリスクがあります。
これにより、月々の支払いコストが増え家計の負担が大きくなることが懸念点です。
金利は、固定であれば毎月、変動であれば半年毎に見直しとなります。
長い期間かけて支払う住宅ローンでは、経済状況等により金利上昇リスクは十分に考えられます。
将来的には生活スタイルが変化する
将来的には生活スタイルが変化するおそれがあり、持ち家では柔軟な対応ができません。
例えば、家族4人が居住できる広い一戸建てを購入するも、子供の独立により使わない部屋が生じる可能性があります。
このようなとき、持ち家では広すぎるからとコンパクトなマンションへ簡単に住み替えできない、ということです。
災害リスクがある
持ち家には、災害に遭うリスクがあります。
近年、地球温暖化の影響等により大雨による水害や台風による建物損傷被害、巨大地震発生による建物倒壊被害など多くの自然災害が国内各地で発生しています。
賃貸であれば不動産の所有者ではないので大きな被害を被ることは少ないのですが、持ち家であれば水害による床上浸水や地震等による建物損傷や倒壊などが起きれば、全て自らで再建しなければなりません。
これらに備え保険に加入するものの、保険料の負担は高額です。
よって、持ち家は災害に遭うリスクや災害に備えるための費用負担が生じます。
持ち家の4つのメリット
ここまで持ち家のデメリットをご紹介してきましたが、メリットもたくさんあります。
本章で持ち家の代表的なメリットについて解説します。
資産になる
持ち家は、資産になります。
将来的に、土地や建物を次世代に残せるメリットがあります。
賃貸は、家賃を払い続けても将来的に残るものはありません。
社会的信用が得られる
持ち家は、社会的信用を得られます。
社会的信用とは、経済力や社会的地位などを背景に確立されたものです。
また、持ち家があれば友人や職場の同僚など第三者から尊敬の眼差しで見られることもあるでしょう。
さらに、持ち家があることで日々の生活に満足感を得られます。
賃貸の家賃よりも負担が少ない場合がある
持ち家は、賃貸の家賃よりも負担が少ない場合があります。
なぜなら、持ち家をローンで購入したら支払い回数に期限がありますが、賃貸の家賃に期限はないからです。
よって、ローンの金利動向や支払い方法等にもよりますが、賃貸より持ち家のほうが住宅にかかるコストは少ないでしょう。
老後も安心できる
持ち家は、老後も安心して生活できます。
なぜなら、ローン完済後の持ち家は住居費が少なく済み、手放さない限り一生の住処が保証されているからです。
一方で賃貸は、年齢制限や収入が減るため入居審査に通らないケースがあり、高齢者が家を借りられないことがあります。
よって、持ち家のほうが老後は安心して生活できることは明らかです。
いらない家を所有する3つのリスク
仮に相続等で住む予定がない家を所有した場合には、どのようなリスクが生じるのでしょうか?
本章でいらない家を所有する代表的なリスクについて解説します。
管理する必要がある
いらない家でも管理する必要があります。
なぜなら、不動産の所有者には善管注意義務に則り、適正な管理を行う義務があるからです。
例えば、建物の経年劣化を抑制するための定期的な通風や清掃、敷地内の雑草除去などがあります。
これらを行うことで建物価値の維持や、不法占拠者などによる犯罪行為を防げます。
よって、いらない家でも管理する必要があります。
税金がかかる
いらない家を所有しても税金がかかります。
なぜなら、不動産の所有者に固定資産税等の納税義務が生じるからです。
経済的な負担がかかり続けるので、家の所有には慎重な判断が必要となります。
資産価値が下がり続ける
いらない家の資産価値は、下がり続けます。
なぜなら、建物は築年数が進み古くなることで価値が落ち続けるからです。
よって、いらない家を売却しても建物に価値が付かず、土地の価値のみになるケースがあります。
いらない家の7つの処分方法
本章では、いらない家を所有しているときの処分方法について解説します。
中古戸建てとして売却する
中古一戸建てとして売却する方法です。
処分方法は仲介で、一般消費者から買主を探します。
複数の不動産仲介会社に査定依頼を行い、査定額や売却活動時のサービス内容、担当者の意気込みや資質等を考慮しながら依頼先を決めていきましょう。
家を解体して更地として売却する
家を解体し更地として売却する方法です。
解体費用は、木造住宅で3万円/坪前後が一般的な相場となります。
解体を行う際には、複数の解体業者から見積もりを取得しましょう。
相場観や工事内容、日数等について比較し依頼先を決めていきます。
不動産買取業者に売却する
いらない家を不動産買取業者に売却する方法があります。
買取業者は、どんな状態の不動産でも現金決済で買取できるのが特徴です。
つまり、仲介のように買主を探すことや家の解体及び家財などの撤去も必要なく、現況のまま取引を進められます。
買取価格は、仲介と比べると60%~70%程度になることが一般的ですが、仲介で売れない場合や現金化を急ぐ場合などにおすすめの方法です。
寄附する
いらない家を寄付する方法があります。
例えば、自治体や法人、個人です。
寄付という形の無償譲渡で、いらない家を処分できます。
なお、寄付ができるかは相手次第であり、特に自治体が寄付を受けることはあまりなく利用にはハードルが高い方法です。
空き家バンクを利用する
空き家バンクを利用して、いらない家を処分する方法があります。
空き家バンクは、主に自治体が運営しており、その地域の空き家情報を専用サイト上で公開しています。
いらない家が空き家であれば、空き家バンクに登録して買主を探せます。
相続放棄する
相続放棄する方法があります。
相続放棄とは、被相続人のプラスとマイナスの財産全てを相続する権利から辞退することです。
相続放棄ができれば、いらない家の所有に悩むことはなくなります。
ただし、相続人が一人の場合は相続放棄自体はできるものの、家を維持管理する義務がしばらく残ります。
また、マイナスの財産だけでなく、被相続人の預貯金や有価証券などプラスの財産も相続できなくなることや相続開始の翌日から3カ月以内に相続放棄をするか否かを決めることが注意点です。
活用する
いらない家を活用する方法があります。
例えば、建物が使える状態であれば賃貸住宅、建物が使えなければ更地後に駐車場やトランクルーム、新たに収益不動産(アパート等)を建てるなどです。
活用ができれば、賃料収入が入り固定資産税などの維持管理費用を賄えたり、経営が軌道に乗れば黒字化もできるでしょう。
いらない家を処分するときの2つの注意点
本章では、いらない家を処分するときの注意点をご紹介します。
周辺の売却相場を調べる
はじめに、売却相場を調べておきましょう。
なぜなら、相場が分かれば売却で損するおそれがなくなるからです。
これにより、いらない家であるからと安価に売却することを防ぎ、手元に残る資金を少しでも多くできるでしょう。
よって、レインズマーケットインフォメーションや不動産情報ライブラリーにて過去の成約事例、不動産ポータルサイトで現在の売り出し価格を確認して周辺相場を掴んでおきます。
家の中を片付けておく
処分する前に、家の中は片づけておきましょう。
なぜなら、売却活動で見学者が内覧しやすいことや、解体で家財用品等を撤去しておくと費用を安くできるからです。
また、家財等を整理しておくと家自体の管理もしやすくなります。
よって、いらない家で誰も住む予定がなければ、家財用品の撤去や遺品整理等を行っておきましょう。
まとめ
本記事では、持ち家がいらない理由やいらない家を所有するリスクについて解説してきました。
持ち家自体には、維持費がかかることや気軽に引っ越しできない等のデメリットがあるものの、一方で資産になることや社会的地位を得られるなど、一定のメリットがあります。
よって、自らで居住予定がある持ち家は所有しても良いでしょう。
しかし、実家を相続等で取得し住む予定がないなどのいらない家は、維持管理の負担や税負担が生じるため所有し続けることは得策ではありません。
つまり、同じ持ち家でもいらない家については、早急に処分もしくは活用等を行い、けっして放置しないことが賢明です。
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