大家インタビュー

管理おじさんから見る「わかりあう」不動産投資の物件管理ノウハウ

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[不定期連載]
不動産で“食べたい”人バイブル#07

今回は、借金玉氏による「不動産物件の管理ノウハウ」です。前回の記事に引き続き、リアルな経験からくるマニアックな内容になっています。ではどうぞ。


どうも、借金玉です。前回の不動産コラムがバズったので「また書いて、好きにしていいよ」ということで、不動産について書きます。世の中「好きにしろ」と言われて本当に好きにしていい環境というのは珍しいので、大変ありがたい限りです。

さて、皆さんこれを読んでいるということは不動産投資に少なからぬ興味があるのだと思います。市場動向からインターネットのノウハウまで、ビッシリ読み込んでいる方も多いでしょう。これは個人的な経験によるものでしかないですが、不動産投資家の皆様は他の投資家の方と比べて、非常に勉強熱心な傾向があると思います。それも、「他人の話を聞きたがる」という素晴らしい美点があるのです。実は、不動産投資家の皆さんって全体的に感じがいいんですよ。いやホントに。

しかし、そんな不動産投資家の皆さんでもあまり注目していない存在がいます。それが「管理おじさん」という存在です。皆様の物件の管理がどのような形になっているかわかりませんが、自己管理でない限り、管理おじさんはあなたの物件にやってきています。どうやったらお客さんつくかな、どうやったらもうちょっと賃料取れるかな、そういうことを一番考える存在である管理おじさんとして、今日はお話をしたいと思います。

物件管理という落とし穴

不動産業というのは、ざっくり「売買」「賃貸」「管理」の三つに分類されます。このうちのいずれかに特化したタイプの不動産屋もありますが、大体の不動産屋は全てをこなす総合不動産業です。駅前にあるおっちゃん一人でやっているあの小さな不動産屋さん、地味にすごいんですよ。

売買はまさしく不動産業の花形、一攫千金も夢ではない業種ですのでなんだかんだ知名度があります。狂暴なゴリラの生息地としても有名ですね。賃貸は一般の皆様にもっとも馴染みが深いものでしょう。では、「管理」とは何か。「え、管理してんでしょ?」その通りです。クレームに対処したり、軽清掃をしたり、物件修繕のご提案をしたり、賃料の数パーセントを対価にそのようなお仕事をするのが管理おじさんです。オーナー様にはなじみがあるかもしれないですね。そう、台風が来るとオーナー様と一緒に眠れぬ夜を過ごすのが我々管理おじさんです。

さて、物件管理という落とし穴ですが、前回書いたように物件の性質によっては「細かい管理など必要ない」というものもあります。しかし、例えば女性向け物件のダストボックスからゴミが溢れ出していたら。これは…流石に客付けが大変厳しいです。物件自体はお客様も気に入ってくれているのに、そのような瑕疵が出て来ると途端に厳しさが増します。

案内をしていて「ああ、惜しい!」と感じることはよくあります。郵便ボックスからチラシがあふれ出していたり、共有部に私物やゴミが積み上げられていたりすると成約はかなり難しくなるのです。ADもついている、内装も悪くない、お客さんも物件情報は乗り気だった。しかし、管理が悪い!これは本当に辛いことです。

この状況を防ぐために日夜、「部屋にwi-fiが飛んでない、詐欺だ」とお怒りのお客様にインターネットと世界の成り立ちについてご説明するなどの業務をこなしております。

管理おじさんの限界

しかし、悲しいかな管理手数料は賃料の数%。例えば、6万円の部屋が6部屋あるアパートだと、5%で設定して満室でも18000円。ここに人を月に4回も派遣した場合、結構な赤字が生じてしまいます。外注を使うにもちょっと厳しい数字です。もちろん、管理している物件にお客様がつかないというのは管理おじさんとしても辛いことなので、多少の赤字は覚悟で必死になるのですが、それでも限界はあります。

また、時期的な問題もあります。最もシビアな管理が必要になるのは12月から3月のいわゆる賃貸繁忙期。この時期、不動産屋さんは猫の手を借りたら大惨事になったという事態が頻発するくらい忙しい。小規模な不動産屋さんだと、大体は全員が垣根なく仕事をフォローしあいながら業務を回していますので、自社管理物件の管理というのは非常に重たい業務になるのです。アルバイトなどを使って対応することも多いですが、やはり「管理のツボ」みたいな点はあり、僕も上司ほどには「これを見逃すと危ない」という点は見抜けません。

まして、アルバイトが物件のチェックを行うとどうしても精度が下がってしまうのです。だから、やる気のある不動産屋さんは結構エライ立場の人が自ら物件を見回っていたりします。僕も、自ら足を使って物件管理をする上司を見て来ました。とても大事な仕事です。僕の上司の本当に尊敬できるところの一つですね。

この苦しい部分をいかに不動産業者と一体になって突破できるか、というのが不動産投資の一つのコツになると思います。「とにかく管理野郎のケツを蹴ればいいだろ」という皆さんですが、最近は物件にお客さんがつかないので管理会社を切ったら、どこの会社でも管理を受けてくれない、あるいは他社でもっとひどいことになった、通称管理難民と呼ばれる皆さんも発生しています。御用心ください。

物件は生きている

賃料収入は一般に不労所得と言われます。しかし、僕はこれ間違いだと思います。不動産を買って本当に「不労」で儲けられるのは投資規模が大きく、かつ完全な管理を実施するシステムを自ら組み上げた人だけでしょう。卑近な話で言えば、水回りです。通常、水回りにはトラップと言われる下水から上がって来る匂いを止める設備がありますが、この水が蒸発してゼロになってしまうことがあります。これが臭いんです。

もちろん、ある程度慣れている営業マンなら「あー、これはトラップの水が枯れちゃったんですね」と説明し、可能であれば水を流して換気をして「ほら、匂い消えたでしょう?」とやりますが、お客様の心証はかなり悪い。原因のわからない営業マンの場合は「あ…ちょっと臭いですね…」とやらかしてしまうでしょう。これは結構絶望的です。

投資物件というのは生きているのです。そして、多くの人が想像するよりずっと早いペースで変化します。雑草も生えれば、回収されなかったゴミも溜まります。階段には埃が積もり、共有部はマナーの悪い住人に占拠されます。かといって、オーナー様ご自身が必ずしも全ての管理をこなせるとも限らないでしょう。

この部分をまさしく「上手いことやる」のが不動産投資のあまり知られていない醍醐味だと思います。もちろん、管理経費を増やせば利益は減る。しかし、客がつかなければ元も子もない。そもそも不動産屋やリフォーム屋が出してくる見積もりは適切なのか、クロスの平米単価一番安いやつ天下一武道会などのイベントも頻繁に開かれますね。あれですが、安ければいいというものではないです(ひどい目にあった)。

不動産投資というのは本当に難しい仕事だと思います。この辺りの間合いを見切り、適切な金額を適切な相手に支払って利益を出す。そういうことが必要だからこそ、不動産投資家の皆さんの「他人の話を聞きたがる」という性質が生まれているのだと思います。

不動産投資の極意はわかりあうこと

一時期、インターネットの不動産界隈で「鬼指」という言葉をよく見かけました。これは、鬼のような指値で買い付けを入れるということです。要するに、ものすごく安く値段をつけるところから交渉を始めるということですね。もちろん、この戦術が間違っているとは言い切れません。「取れるところで取る」が商売の本質であることもまた事実です。「ふっかけ」られていることもあり得ますからね。

管理や物件リフォームに関しても、この方法論を用いられる方はたまにいます。流石に、昨今の情勢では少なくなった…というか痛い思いをして止めたか淘汰されたのでしょうけれど。当然ですが、赤字になることは業者としてやれません、倒産してしまいます。

この状況下で、物件管理を適正に行うというのは「管理を委託する」という単純な話ではなく、管理会社や他の外注業者と上手に連携してコストの少ない管理体制を作り上げるということです。不動産管理の極意とは、取引先との信頼関係を利益の出るシステムとして構築することになるのではないか、と僕は思っています。

さて、具体的に何をすればいいか。完全にケースバイケースです。

そもそも、物件の管理方針というのは会社によってかなり違いますし、残念ながら「管理を受けるだけ受けて特に何もしない」という破壊的イノベーションを実行する会社も存在します。リフォームの相場や人件費なども、市況や地域によって大きく変化するでしょう。むろん、「リフォーム発注にガッツリ乗っけてウチで抜いたる」という会社もあり得ます。僕は管理会社側の人間ですから「ぶっちゃけ利益ないんですよ…」って話をしたくなりますが、「ぶっちゃけ利益出してるよ」という会社もあるでしょう(ある意味良い会社なのかもしれない)。

この疑念と信頼の絡み合う坩堝の中で立ち回るというのが、管理おじさんから見る不動産投資の最重要点になります。ここでつく差は相当に大きい。そして、これは言い換えれば多くの人と「わかりあう」ということになります。相手の立場を理解し、相互にとって一番利益のある形を模索するという商売の最も美しい原則です。

飲食店におけるクリンリネスの重要さを否定する人は誰もいないでしょう。それと同じだけの、あるいはそれ以上の切実さが不動産管理には存在するのです。物件を購入する時に、この視点を持っていることは絶対に損にはなりません。是非覚えておいて欲しいです。

そして、願わくばヤブ蚊対策のムヒを鞄に忍ばせて、ワイシャツの上に作業着を着て物件に出向く管理おじさんのことを、たまには思い出してあげてください。
僕たちはいつだって、話のわかるあなたの味方です。一緒に儲けましょう。

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借金玉

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診断はADHDでコンサータ54ミリを服用しながらなんとか生きている発達障害者。ASDの傾向も多分にあり。大学卒業後、金融機関勤めを経て起業の後大コケしたというキャリアです。現在は雇われ営業マンをやったりブログを書いたりツイッターを書いたり文章を書いたりしています。

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