空き家の固定資産税は誰が払う?ケース別の納税義務者と対処法を解説
「空き家の固定資産税は誰が払わなければならないだろうか…」
「相続した実家の固定資産税は、いつまで払い続けなければならないのだろう…」
結論を言えば、空き家の固定資産税は1月1日時点で所有している人が支払わなければなりません。
しかし、固定資産税を支払うべき人はケースによって異なるため、納税義務者が誰なのか把握してく必要があります。
固定資産税を滞納してしまうと、最悪の場合、財産を差し押さえられてしまうかもしれません。
そうした事態を避けるには、活用予定がない空き家は早めに処分したほうが良いでしょう。
今回は、ケース別の空き家の固定資産税の納税義務者や税の計算方法、税が増減するケース、税を滞納するリスクについて解説します。
この記事を読むことで、固定資産税の納税に関する知識や税の滞納で不都合が生じることを回避できるでしょう。
弊社(株式会社 Alba Link )も空き家に強い専門の不動産買取業者です。
困ったことがあれば、遠慮なくご相談ください。
目次
空き家の固定資産税は1月1日時点の所有者が支払う
日本国内に土地や建物を所有している場合、固定資産税と呼ばれる税金を毎年支払う必要があります。
固定資産税は、その不動産が使用されているかどうかに関わらず課税されるため、誰も住んでいない空き家であっても所有者は税金を納めなければなりません。
出典:総務省「固定資産税」
固定資産税の納税義務者は、その年の1月1日時点で不動産の所有者として登録されている人にあります。
例えば、令和元年1月1日にAさんが空き家の所有者として登記されていた場合、Aさんは令和元年度分の固定資産税を支払う義務があります。
その後、令和元年中にBさんに所有権が移転したとしても、令和元年度の税金はAさんが負担することになります。
ただし、納税義務があるのは「登記事項証明書(登記謄本)」に記載されている空き家の所有者です。
登記謄本上の所有者と実際の所有者が一致しないケースもあるため、注意しなければなりません。
【ケース別】空き家の固定資産税の納税義務者
空き家は、持ち主の状況によって固定資産税の納税義務者が変わる場合があります。
ここでは、所有者が亡くなった場合や相続、売買など、ケース別に納税義務者が誰になるのか詳しく解説していきます。
所有者が亡くなった場合
空き家の持ち主が亡くなった際は、相続人が固定資産税を支払うことになります。
たとえ1月2日に所有者が死亡したとしても、税の支払義務は引き継がれ、消失することはありません。
相続の手続きをしていない場合は、亡くなった人宛てに納税通知書が届きます。
もし、納税通知書を放置して固定資産税を滞納してしまうと、相続した財産を差し押さえられる可能性もあるため、注意が必要です。
複数の相続人がいる場合、一人が立て替えて支払い、後日精算するのが一般的な対応方法となっています。
相続が発生したら納税義務者の変更手続きが必要
空き家を相続した場合、市区町村役場で固定資産税の納税義務者を変更しなければなりません。
手続きを怠ってしまうと、遺産を相続した人全員に固定資産税の納税通知書が届く可能性があります。
変更手続きの方法は以下の2つです。
- 相続人代表者を決め、その人が納税する
- 相続人全員が共有者となり、持分割合に応じて納税する
いずれの場合であっても、固定資産税申告書や戸籍謄本、遺産分割協議書などが必要となるため、事前に用意しておきましょう。
相続放棄した場合
相続放棄とは、相続人が被相続人(この場合は、空き家の所有者)の権利や義務を一切受け継がないことです。
相続の開始を知ってから3か月以内に相続放棄するかどうかを決めなければなりません。
出典:裁判所「相続の放棄の申述」
相続放棄を選択すると、負債や不要な空き家を相続せずに済みますが、被相続人の現金や有価証券なども相続できません。
相続放棄が認められれば、固定資産税の納税義務がなくなります。
ただし、手続きが完了するまでは固定資産税の納税義務があるため注意しましょう。
売買する場合
空き家を売買した場合でも、その年の1月1日時点で所有していた人が、1年分の固定資産税を支払わなければなりません。
例えば、6月1日に売主Aさんから買主Bさんに所有権が移った場合でも、Aさんが1年分の固定資産税を支払います。
しかし、売買価格に固定資産税の負担分を含め、以下のように支払うのが一般的です。
- Aさん:1月1日から5月末日までの固定資産税を負担
- Bさん:6月1日から12月末日までの固定資産税を負担(日割り計算)
つまり、BさんはAさんに対して、6月1日以降分の固定資産税を日割りで支払うことになります。
固定資産税の計算方法
毎年1月1日時点の不動産情報を基に、固定資産税が決まります。
最初に行うのが、市区町村の担当者によるその不動産が持つ価値(固定資産税評価額)の算定です。
固定資産税評価額は3年に1度見直され、土地の価格の上下により評価額が変動します。
算出された評価額に、原則として1.3%の税率を乗じて税額が決定します。
例えば、評価額が2,000万円の住宅であれば、2,000万円 × 1.3% = 26万円が固定資産税額となるわけです。
ただし、住宅用地や特定空き家などは、税率が異なるケースがあるので注意が必要です。
評価額や適用される税率は、各自治体のウェブサイトなどで確認した方がよいでしょう。
固定資産税が増減するケース3選
固定資産税は、毎年必ず同じ金額が課税されるとは限りません。
土地や建物の状況次第では、税額が増減するケースが存在します。
ここでは、住宅用地の特例による減額や、特定空き家・管理不全空き家への指定による増額など、具体的なケースを3つ紹介し、それぞれの仕組みを詳しく解説していきます。
住宅用地の特例により最大1/6まで減額される
相続する土地が居宅用の土地とみなされた場合、住宅用地の特例が認められ、固定資産税が最大1/6まで減額されます。
減額幅は以下の通りです。
- 小規模住宅用地(200㎡以下の宅地)は最大1/6まで減額
- 200㎡を超える一般の住宅用地は最大1/3まで減額
出典:総務省「固定資産税」
ただし、この特例を受けられるかどうかは、土地の広さや住宅の用途、また自治体によって異なります。
そのため、特例が適用できるかどうかについて事前に確認した方がよいでしょう。
特定空き家に指定されると最大6倍に増額する
住宅であっても、適切な管理が行われていない空き家の場合、固定資産税の住宅用地の特例が解除される可能性があります。
いつから解除されるかといえば、市町村長の勧告により「特定空家」に指定されたときです。
「特定空家」とされるのは、以下のいずれかの状態にある空き家です。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
出典:国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に関わる空き家対策上の措置」
「特定空家」に指定されると、固定資産税の減免がなくなってしまうため、固定資産税が最大で6倍となってしまうため注意しましょう。
管理不全空き家に指定されても最大6倍に増額する
2023年3月の閣議決定により、「特定空家」に指定される前段階の「管理不全空き家」であっても、住宅用地特例の適用対象から除外されることとなりました。
つまり、管理不全空き家であっても固定資産税が最大6倍に増額します。
出典:国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に関わる空き家対策上の措置」
国土交通省の参考基準の一部を見てみましょう。
- 立木の伐採がなされていない
- 排水設備が破損している
- 屋根のふき材が破損している
- 軒やバルコニーの破損が修復されていない
- 開口部が破損している
出典:国土交通省「管理不全空き家・特定空家の参考基準」
管理不全家空き家の管理基準は、各自治体によって異なるため、空き家のある自治体の基準を確認したほうが良いでしょう。
空き家の固定資産税を滞納するリスク2選
固定資産税は、4期に分割して納付するのが一般的です。
東京23区の場合、6月・9月・12月・2月の年4回の納付となっています。
出典:東京都主税局「固定資産税・都市計画税」
空き家の所有者が固定資産税の支払いを怠ると、深刻な問題に直面するかもしれません。
税金の滞納は、単に未払いの金額が積み重なるだけでなく、さまざまな法的措置や経済的な不利益をもたらす可能性があるからです。
ここでは、空き家の固定資産税を滞納した場合に直面する可能性のある2つのリスクについて詳しく見ていきましょう。
延滞金が発生する可能性がある
固定資産税を期限までに納めなかった場合は、延滞金が徴収されます。
延滞金の利率は自治体で異なりますが、東京都の延滞金の利率は以下の通りです。
- 納期限の翌日から1か月以内:2.4%
- 1か月以降の:8.7%
本来納付するべき税額が2,000円以下の場合や延滞金が1,000未満の場合は、延滞金の納付が不要となります。
固定資産税の支払い義務がある人は、納期限内に納税を済ませ、延滞金の発生を防ぎましょう。
財産差し押さえになる可能性がある
固定資産税を支払わなかった場合、財産が差し押さえになる可能性があります。
地方税法331条では、督促状を発送した日から10日以内に完納しない場合、財産が差し押さえると定められているのです。
出典:e-GOV「地方税法」
給与や預貯金、不動産、自動車、生命保険などが差し押さえの対象となるため、督促状が届く前に速やかに納税したほうが良いでしょう。
活用予定のない空き家は早期に処分したほうがいい
活用予定のない空き家は、放置することで様々なリスクが生じるため、早急な処分が望ましいといえます。
なぜなら、犯罪に利用されたり、資産価値が低下するなど、所有者にとって不利益となる可能性があるからです。
ここでは、空き家を早期に処分するべき理由と処分に関する事柄について解説します。
放置すると犯罪の温床になる可能性がある
長期間放置された居住用途のない建物は、犯罪者にとって格好の隠れ家となる可能性があるため危険です。
また、適切な管理がなされていない空き家は、犯罪者が潜伏したり、違法行為を行うための拠点として悪用される危険もあります。
例えば、人通りが少なく目が届きにくいという環境は、放火犯にとって都合が良い場所です。
不法投棄が多いなど、周囲の環境も相まって、放火のリスクはさらに高まるでしょう。
所有者が不在であることをいいことに、住居として不法占拠されたり、犯罪の計画を練る場として利用される可能性もあります。
加えて、空き家は侵入が容易であるため、空き巣の被害にも遭いやすいと言えるでしょう。
このような状況を防ぐためにも、利用予定のない不動産は早期の対応が望ましいといえます。
資産価値が下落して売却価格が安くなる
人が住まなくなった家は、人の目が行き届かなくなるため、雨漏りやシロアリ被害などが発生しやすく、放置するとどんどん家が傷んでいきます。
また、庭木の手入れ不足や外壁の汚れなども放置されがちで、景観の悪化やさらなる資産価値の低下を招くのです。
このような物件は、購入を検討する人々にとって魅力的ではありません。
価値が低下した建物は、最終的には取り壊しを前提とした更地としての評価しか得られなくなる可能性すらあります。
そうなる前に、早めに売却したほうが良いでしょう。
空き家に強い買取業者であれば現況買取してもらえる
長年放置された空き家であっても、専門業者であれば現状のままで買い取ってくれるため、売却前に費用をかけて修繕する必要がありません。
なぜなら、業者が購入後に、それぞれの物件に最適な形で修繕やリフォームを行ってくれるからです。
老朽化が進んでしまった空き家でも、解体して更地にしてから売却するよりも、現状のまま売却する方が、時間や費用を抑えられる可能性があります。
Albalinkは、訳あり物件を専門に扱う不動産買取業者として、これまでにも多くの空き家を買い取った実績を有しています。
空き家の売却をご検討されている場合は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
この記事では、空き家の固定資産税を払う人やケース別の納税義務者、納税の対処法などについて解説してきました。
固定資産税は1月1日段階で物件を保有している人が納税義務者となります。
売買によって所有者が変更された場合は、売却価格に固定資産税分も上乗せされ、売主が納税する仕組みです。
固定資産税は住宅用地の特例により、最大で1/6まで軽減されますが、特定空家や管理不全空き家とみなされると、軽減の特例が解除されてしまいます。
空き家の固定資産税を支払わなかった場合は延滞金が発生したり、財産が差し押さえられたりするため、払い忘れがないようにしましょう。
また、活用予定のない空き家は犯罪の温床となったり、資産価値が低下したりするため、早めに売却するのが望ましいといえます。
弊社(株式会社Albalink)は、全国の空き家を積極的に買い取っている買取専門業者です。
数多くの空き家を買い取った実績を有しているため、空き家を売りたい人のお役にたつでしょう。
一つの候補としてご相談くだされば、金額や日程なども含め、全力でご対応いたします。お気軽にご連絡ください。
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