都市部を中心に、狭小地と呼ばれる面積の小さな土地が増えています。狭小地は、工夫次第で魅力的な住宅を建てられる可能性がある一方、売却が難しいケースも少なくありません。
この記事では、狭小地の売却が難しい理由と、売却を成功させるための方法を解説します。狭小地の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
狭小地とは15~20坪以下の土地
狭小地とは、一般的に15~20坪以下の土地を指します。明確な定義はありませんが、住宅を建てるには比較的狭い土地といえるでしょう。
狭小地は、都市部の住宅密集地や、かつて大きな土地が分割されたエリアに多く見られます。駅に近い、商業施設が充実しているなど、利便性の高い場所に位置しているケースも少なくありません。
狭小地が発生する主なケースは下記点が挙げられます。
・不動産会社の戦略によって生じるケース
・開発によって生じるケース
・相続などの土地分筆によって生じるケース
買い手が付きやすい価格に区分した結果、狭小地となったケースや、新しい道路を建設するために分断されるケース、共有ではなく分筆によって遺産分割が行われた結果、狭小地が生まれるケースも考えられます。
狭小地の売却が難しい理由5選
狭小地は、通常の土地に比べて売却が難しい傾向があります。その理由は、主に以下の5つです。
住宅ローンが組みにくい
狭小地は、住宅ローンを組むのが難しい場合があります。金融機関は、土地の担保価値を評価する際、面積も考慮に入れるためです。狭小地は担保価値が低く評価され、融資額が減額されたり、融資自体が受けられなかったりする可能性があります。
狭小地は、一般的に以下のような理由から、担保価値が低く評価される傾向があります。
理由 | 具体的内容 |
土地の評価額が低い | 土地の評価額は、面積や立地、周辺の取引事例などを考慮して算出されます。狭小地は面積が狭いため、評価額が低くなる傾向があります。 |
再建築不可物件のリスク | 狭小地の中には、建築基準法上の接道義務を満たしていないなどの理由から、再建築ができない物件があります。再建築不可物件は、担保価値が著しく低く評価されます。 |
買い手が限られる | 狭小地は、通常の土地に比べて買い手が限られるため、流動性が低いと判断されます。流動性の低い土地は、担保としての評価が低くなる傾向があります。 |
これらの理由から、金融機関は狭小地の担保価値を低く評価し、住宅ローンの審査に慎重になる傾向があります。狭小地の売却を検討する際には、これらの情報を把握し、適切な対策を講じることが重要です。
フラット35が利用できない
フラット35は、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供する、最長35年の全期間固定金利型住宅ローンです。長期固定金利であるため、将来の金利変動を心配する必要がなく、資金計画が立てやすいというメリットがあります。
しかし、フラット35は、一戸建ては住宅の床面積が70m2以上であるなど、住宅の性能や担保評価に関する基準が厳しく、狭小地では基準を満たせない場合があります。
フラット35の担保評価基準は、以下の点が重視されます。
項目 | 評価基準 |
土地の形状・面積 | 整形地であるか、一定の面積があるかが評価されます。 |
接道状況 | 建築基準法上の接道義務を満たしているかが評価されます。 |
建物の性能 | 耐震性、耐久性、省エネルギー性などが評価されます。 |
再販性 | 将来的に売却できる見込みがあるかが評価されます。 |
狭小地は、これらの基準を満たせない場合があり、特に以下の点が問題となることが多いです。
項目 | 評価基準 |
土地の形状・面積 | 狭小地は、不整形な土地や面積が狭い土地が多く、評価が低くなる傾向があります。 |
接道状況 | 狭小地の中には、建築基準法上の接道義務を満たしていない、いわゆる「再建築不可物件」があります。再建築不可物件は、担保価値が著しく低く評価されます。 |
再販性 | 狭小地は、買い手が限られるため、再販性が低いと判断されることがあります。 |
しかし狭小地でも、工夫次第でフラット35を利用できる可能性があります。諦めずに、専門家と相談しながら、最適な方法を探すのも手です。フラット35を利用できない場合でも、他の住宅ローンを利用できるケースもあるので専門家に相談してみましょう。
建築費用が割高になりやすい
狭小地における建築費用の内訳は、大きく分けて以下の3つです。
項目 | 内容 |
本体工事費 | 建物の構造や内外装など、建物本体にかかる費用 |
付帯工事費 | 地盤改良や外構工事、給排水工事など、建物本体以外にかかる費用 |
諸費用 | 設計料、建築確認申請手数料、登記費用など、建築に関わる各種費用 |
狭小地では、これらの費用が通常の土地に比べて割高になる傾向があります。その要因を具体的に見ていきましょう。
狭小地は、建築費用が割高になる傾向があります。理由は、以下の通りです。
・重機の搬入が難しい
・作業スペースが限られる
・特殊な設計が必要になる
狭小地では、大型の重機が搬入できないことが多く、手作業での工事が必要になる場合があります。また、作業スペースが限られるため、効率が悪く、工期が長引く可能性もあります。
さらに、狭小地では、採光や通風を確保するために、特殊な設計が必要になることがあります。これらの理由から、狭小地の建築費用は、通常の土地に比べて割高になる傾向があります。
駐車スペースの確保が難しい
狭小地は、駐車スペースの確保が難しい場合があります。特に、都市部の住宅密集地では、駐車スペースがない、または非常に狭いケースも少なくありません。
駐車スペースがない場合、近隣の駐車場を借りる必要があります。しかし、都市部では駐車場代が高額になることが多く、購入希望者にとって大きな負担となります。
狭小地における駐車スペースの確保は、売却を成功させるための重要な要素です。駐車スペースがない場合は、近隣駐車場の情報や、駐車スペース確保のための対策を購入希望者に提示し、不安を解消することが大切です。
日当たり・風通しがよくない
狭小地は、周囲の建物との距離が近いため、日当たりや風通しが悪い場合があります。特に、南側を高い建物に囲まれている場合、日中でも日光がほとんど入らないことがあります。
日当たりや風通しが悪い住宅は、快適性に欠け、購入希望者にとって魅力に欠ける可能性があります。
狭小地を売却する方法3選
狭小地の売却は難しい場合もありますが、工夫次第で売却を成功させることは可能です。ここでは、狭小地を売却するための3つの方法を紹介します。
隣地所有者に売却する
狭小地の場合、隣地の所有者に売却するという選択肢があります。隣地の所有者にとっては、土地を広げることで有効活用できる可能性があります。
隣地の所有者に売却する場合、不動産仲介業者に依頼する必要はありません。直接交渉することで、仲介手数料を節約できます。
隣地所有者への売却のメリット
狭小地を隣地の所有者に売却することには、以下のようなメリットがあります。
売却の可能性が高まる | 隣地の所有者にとっては、土地を広げることで有効活用できる可能性があるため、購入意欲が高いことが期待できます。 |
売却活動の負担権限 | 不動産仲介業者を介さずに直接交渉するため、広告活動や内覧対応などの手間を省けます。 |
仲介手数料の節約 | 不動産仲介業者に支払う仲介手数料を節約できます。 |
スムーズな売却 | 隣地の所有者とは既に面識がある場合が多く、交渉や契約がスムーズに進む可能性があります。 |
その際、不動産鑑定士や税理士などの専門家を活用することで、スムーズに売却を進めることができます。狭小地の売却を検討する際には、隣地所有者への売却も選択肢の一つとして検討してみましょう。
不動産仲介業者に売却を依頼する
不動産仲介業者に依頼することで、幅広い購入希望者にアプローチできます。不動産仲介業者は、インターネットや広告などを活用し、購入希望者を探してくれます。
また、不動産仲介業者は、売買契約や重要事項説明など、専門的な知識が必要な手続きを代行してくれます。安心して売却を進めたい場合は、不動産仲介業者に依頼するのがおすすめです。
不動産仲介業者に依頼するメリット
不動産仲介業者に売却を依頼することには、以下のようなメリットがあります。
幅広い購入者へのアプローチ | 不動産仲介業者は、独自のネットワークや広告媒体を活用し、広範囲な購入希望者に物件情報を届けます。特に、インターネット広告や不動産情報サイトへの掲載は、多くの潜在的な購入者へ効果的にアプローチできます。 |
専門知識と経験によるサポート | 不動産仲介業者は、不動産取引に関する専門知識と豊富な経験を持っています。売買契約や重要事項説明など、複雑な手続きを代行してくれるため、安心して売却を進めることができます。 |
価格交渉のサポート | 不動産仲介業者は、売主と買主の間に入り、価格交渉をサポートします。客観的な立場から、双方の意見を調整し、円滑な合意形成を促します。 |
契約手続きの代行 | 不動産売買契約書の作成や重要事項説明など、専門的な知識が必要な手続きを代行します。これにより、売主は複雑な手続きから解放され、安心して売却を進めることができます。 |
トラブル回避 | 不動産取引には、様々なトラブルがつきものです。不動産仲介業者は、豊富な経験に基づき、トラブルを未然に防ぎ、安全な取引をサポートします。 |
不動産仲介業者に依頼することで、狭小地の売却をスムーズに進めることができます。信頼できる不動産仲介業者を選び、安心して売却活動を進めましょう。
不動産買取業者に売却する
不動産買取業者は、個人や法人から不動産を直接買い取る業者です。買い取った不動産は、リフォームやリノベーションを行い、再販したり、自社で運用したりします。
不動産買取業者に売却する場合、短期間で売却できる可能性があります。不動産買取業者は、直接土地を買い取るため、購入希望者を探す必要がありません。
ただし、不動産買取業者は、再販を目的として土地を買い取るため、売却価格が相場よりも安くなる場合があります。
不動産買取業者に売却するメリット
不動産買取業者に売却することには、以下のようなメリットがあります。
早期売却が可能 | 不動産買取業者は、直接買い取るため、購入希望者を探す必要がなく、早期に売却することができます。 |
売却活動の負担軽減 | 不動産買取業者は、プロの不動産業者であるため、契約不適合責任が免責される場合があります。これにより、売却後のトラブルを回避できます。 |
契約不適合責任が免責される場合がある | 不動産買取業者は、現金で買い取るため、売却代金をすぐに受け取ることができます。 |
現金化が早い | 不動産買取業者は、現金で買い取るため、売却代金をすぐに受け取ることができます。 |
周囲に知られずに売却できる | 不動産買取業者との取引は、仲介業者を介さないため、周囲に知られずに売却できます。 |
不動産買取業者への売却は、早期売却や売却活動の負担軽減などのメリットがありますが、売却価格が相場よりも安くなる可能性があるというデメリットもあります。これらのメリット・デメリットを理解した上で、自身の状況に合わせて売却方法を選択しましょう。
アルバリンクなら居住用に向かない土地・活用が難しい土地でも売却できます。困った際、検討してみるのも良いでしょう。
まとめ
狭小地は、一般的に通常の土地に比べて売却が難しいと言われています。その理由は、住宅ローンの制約、建築費用の高さ、駐車スペースや日当たり・風通しの問題など、多岐にわたります。しかし、これらの課題を理解し、適切な対策を講じることで、狭小地でも売却を成功させることは十分に可能です。
狭小地の売却は、確かに難しい側面もありますが、決して不可能ではありません。この記事で紹介した情報を参考に、最適な売却方法を見つけてください。
また、売却活動を進める中で、不安や疑問が生じることもあるかと思います。そのような場合は、専門家に相談するなどして、積極的に情報を収集し、解決策を見つけていきましょう。