不動産投資初心者

大手不動産会社に聞いた客付けしやすいオーナーと物件の特徴

投稿日:2018年3月7日 更新日:

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大手不動産会社に勤務するAさんに、客付けをしやすい不動産オーナーと物件の特徴などについての話を伺いました。

さっそくどうぞ。

初めまして、東京在住の20代後半の男性です。

大手不動会社に勤め、土地活用の営業、賃貸・売買の営業を行っています。

資格は宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーAFPを持っています。

不動産会社に募集を任せている賃貸物件の入居がなかなか決まらずやきもきしている不動産オーナーは非常に多いと思います。

賃料も相場通り、駅からも徒歩圏内、退去後のクリーニングもしっかりやっている。なのになぜか決まらない。

そんな困り果てている不動産オーナーのために入居が決まりやすい物件とオーナーの特徴を紹介したいと思います。

客付けしやすい物件は好立地物件

今後、不動産売買、賃貸、不動産投資で失敗しないためには、いかに立地の良い場所に不動産を所有するかで決まります。

拍子抜けする方もいるかと思いますが、客付けしやすい物件は駅から近いなどの好立地の物件です。

不動産は一に立地、二に立地です。立地が全てと言っても過言ではありません。

駅近立地の不動産は、その他マイナス条件の全てを凌駕します。

極端な話ではありますが、株やFXで年収10,000,000円を稼ぐことは大人でも難しいと思います。

しかし、渋谷駅ハチ公口の交差点付近に不動産を所有していたとしたら、小学生でも不動産投資で年収10,000,000円稼ぐ事ができるでしょう。

不動産の売却も好立地であれば、買い手がたくさんいるので高価格で売却できてしまいます。

つまり、不動産は立地が全てということです。

後ほど説明させていただきますが、国土交通省が発表している立地適正化計画が全てを物語っています。

人気設備ランキング

不動産の立地は買い替えを行わない限り、変更することはできないので、立地以外で客付けしやすい物件の特徴をご紹介します。

基本的にはアピールポイントのある何かが突出した物件はセールストークがあるため、多少相場よりも賃料が高くても入居が決まる傾向があります。

逆に何の特徴もない平凡な物件は来店されたお客様にも紹介しにくいので入居が決まりにくいです。

ではアピールポイントになる特徴とは何か。例をあげていきたいと思います。

下記は全国賃貸住宅新聞で掲載されている入居者に人気の設備ランキング2017です。

 単身者向け物件

1位 インターネット無料

2位 エントランスのオートロック

3位 浴室換気乾燥機

4位 ウォークインクローゼット

5位 ホームセキュリティー

6位 独立洗面台

7位 追い炊き機能

8位 宅配ボックス

9位 防犯カメラ

10位 24時間利用ゴミ置場

ファミリー物件

1位 インターネット無料

2位 追い炊き機能

3位 エントランスのオートロッ

4位 ホームセキュリティー

5位 システムキッチン

6位 浴室換気乾燥機

7位 ウォークインクローゼット

8位 太陽光パネル(入居者個別発電)

9位 床暖房

10位 防犯カメラ

人気設備

単身者、ファミリー物件いずれもインターネット無料が1位でした。

今やインターネットは生活には欠かせないインフラ設備となっています。

入居者がインターネットを自分で引くとなると回線工事などの初期費用や月々の利用料(ランニングコスト)がかかります。

そのため、インターネット無料は入居者にとって魅力なのです。

インターネット回線のランニングコストは平均して3000から5000円ですから、

その分、2000円賃料に上乗せしても入居者にとってお得であると感じてもらえるでしょう。
インターネット

高すぎる賃料は検索されない

 いくら立地がよくて、人気設備が整っている物件であっても相場よりも賃料があまりに高すぎると不動産会社としてはオススメがしにくいです。

物価というものは需要と共有のバランスで決まりますので、賃料が物件の価値よりも明らかに高ければ入居は決まりません。

ちなみに、新築の物件で、オーナーの希望で相場より5,000円高い賃料で募集したところ、3か月空室が続いてしまいました。

しかし、5,000円下げたら1週間で入居が決まったということもありました。

ほとんどのお客様は予算を決めてインターネットで検索して物件を探すので、相場よりも高い賃料だとそもそも検索結果にヒットせず目にも触れない可能性もあります。
検索

賃貸限定の話ではありますが、ADとはこの物件を契約してくれたら仲介手数料の他に不動産オーナーが客付けした業者に賃料の100%の手数料を払いますよ。というものです。

不動産仲介会社の心理を言いますと、当たり前ですが、なるべく多くの契約をして仲介手数料による売上を上げないといけません。

そのため、複数の不動産店舗で内見をするお客様もいますので、競合会社より条件にあった物件やADの高い物件から順に紹介をしていきます。

つまりは客付けしやすい物件、客付けしたい物件から優先的に紹介していくのです。

中にはAD200(賃料の200%)という物件もあり、そういった物件は各不動産会社が優先して紹介をしてくれます。

ちなみに、ADの支払い源は礼金です。

礼金とは昔からの慣習で入居する際にオーナーへの感謝の気持ちで払うものですが、実際に礼金を受け取っているのは不動産会社ということです。

一般のお客様が知ったら、クレームに発展することもあるかもしれないですよね。

不動産賃貸の仲介会社はこのくらいのマージンがないと利益が出ないので仕方がないという面もあると思いますが、不動産業界のこういうところブラックですよね。

オーナー目線で考えると、ADを増やしても良い物件になるわけではないので、個人的にはADを増やすということはお勧めできません。立地環境も変えられるものではないので、なかなか入居が決まらないという場合は、人気設備を導入するのが人気物件への近道といえるでしょう。

客付けしやすいオーナーの特徴

入居者はオーナーを見て契約するわけではないので、客付けしやすいオーナーの特徴は条件の易しい方ということになります。

入居が決まらず、本当に困っている方は下記の条件を設定するともしかしたら入居がきまるかもしれません。

ペット可

ペット可物件の需要はかなり大きいです。

猫、犬1匹まで可という物件にした途端、入居が決まったことがありました。

ただし、壁紙や床をやたらと引っ掻き回されてしまうで、退去後のクリーニング費用はかさみます。

ペットも入居する場合は、敷金は絶対に2か月以上にすることをお勧めします。

ちなみに、壁紙などの減価償却は6年です。

6年以上の入居後の退去の場合、壁紙の価値は1円になりますので、敷金以上にクリーニング費用がかかったとしても請求ができない可能性大です。オーナー負担になる場合がほとんどなのでご注意ください。
ペット

外国人の入居可

日本人とは生活スタイルや環境が全く違うので、他の入居者とトラブルになるというリスクもあります。トラブルが原因で、外国人は残り、日本人の入居者が退去したということもありました。

外国人の退去後の部屋はクリーニング費用が高額になることが多々あります。

詳しいことは書きませんが…

今後日本の不動産市況は人口が減少していくので外国人頼みということは間違いありません。

ただし、上記のようなデメリットもありますので、国籍、お勤め先などの顧客属性を選んで契約された方が良いかもしれませんね。
外国人

生活保護受給者の入居可

実は、不動産仲介会社からの視点で話しますと、生活保護受給者ほどの優良顧客はいません。

なぜかというと、国から生活保護を受給しますので、賃料滞納のリスクがゼロだからです。

しかも生活保護受給者は長く入居する場合がほとんどなので、生活保護受給者が入居している物件は築年数が経っていても賃貸経営が安定している物件が多いです。
生活保護受給者

賃料値下げ交渉の対応可

オーナーにとって賃料の値下げは入居者の質の低下につながりますのであまりお勧めできませんが、6月など閑散期前に、あと2000円賃料が下がったら契約するというお客様がいたとしたら、対応しても良いかもしれません。

国土交通省発表の立地適正化計画について

国土交通省が発表している立地適正化計画をご存知ありますでしょうか?

マンションデベロッパー、大手不動産会社なら誰でも知っている共通認識ではありますが、立地適正化計画とは、居住機能や医療・福祉・商業、公共交通インフラなどのさまざまな都市機能の誘導により、コンパクトなまちづくりと地域交通の再編を行うというものです。

※国土交通省HPより抜粋

簡単に言うと、都市機能誘導区域と居住誘導区域が設定され、医療、福祉、商業施設、交通インフラや住居が指定されたエリアに集約されていきますよ、ということです。

下図の薄緑色のエリアに住む人たちを青色エリアに住むように誘導し生活圏内の集約化を図ります。

駅前を中心に都市機能誘導区域や居住誘導区域に指定をして住居、医療、福祉施設、商業施設の立地をまとめ、生活インフラの利便性を向上させることが目的となります。

※国土交通省HPより抜粋

都市機能誘導区域、居住誘導区域外の土地は荒廃化が進む?

今後、日本は高齢化社会が進み、人口減少が著しく進みます。

これからの不動産市況は空き家がどんどん増えていき、不動産の価格が下がる場所がほとんどです。不動産が余り、価格が下がるので住みたいところに住むことができるようになります。

そうなると駅から徒歩30分以上かかり、山の上に立地するような場所は人口が極端に減少していくでしょう。人口が減るということは税収も減ります。

人口が少ない場所に国がインフラ整備のための予算を組むのは非効率です。

そのため、立地適正化計画を行い、生活圏を集約するのです。

都市機能誘導区域や居住誘導区域に指定されない区域は自治体からケアされなくなり荒廃していく可能性があります。

そのような場所に不動産を買ってしまうと将来、近隣の公共施設、市立病院などが都市機能誘導区域に移転してしまうかもしれません。

バスも通らなくなり街が孤立する可能性があります。

そういった立地の不動産価格は今後暴落するでしょう。
荒廃化?

立地適正化計画は重要事項説明の必須項目ではない

立地適正化計画は、賃貸借契約、売買契約時の仲介会社からの重要事項説明の必須項目ではありません。

立地適正化計画は、現状では知る人ぞ知る情報だと思います。

立地適正化計画を知らずに都市機能誘導区域や居住誘導区域外の不動産を買ってしまったら大変なことになってしまいます。

マイホームを買った時にはあった市立病院、公共施設が20年後、30年後に移転し、バスの停留場も無くなるかもしれません。

インフラが整っていない状況での老後の生活は困難です。

結局、住宅ローンの返済後に二束三文でマイホームを売却というのが最悪のシナリオです。

立地適正化計画発表済み地域

 すでに一都三県で立地適正化計画が発表されている市町村です。

今後はさらに増える可能性が高いので、定期的にチェックしたほうが良いと思います。

東京都 日野市、福生市
神奈川県 相模原市、藤沢市、横須賀市、小田原市、

秦野市、大和市

千葉県 松戸市、成田市、佐倉市、柏市、流山市、

市原市、酒々井町

埼玉県 行田市、本庄市、春日部市、深谷市、戸田市、志木市、坂戸市、毛呂山町、越生町、小川町、鳩山町、寄居町

都市機能誘導区域や居住誘導区域外の不動産は売却の検討を

ブログの出だしで申し上げましたが、今後マイホームの購入や不動産投資で失敗しないためには、いかに立地の良い場所に不動産を所有するかで決まります。

それは客付けのしやすさも同じです。

おしゃれなデザイナーズマンションで人気のある設備やコンセプトを導入し、入居者属性の制限を緩くしても生活インフラが整備されていない立地の物件の入居が簡単に決まるとは思えません。賃料を極端に下げれば入居が決まるかもしれませんが、それでは賃貸経営が成り立ちません。

不動産はいかに立地が重要で好立地の物件こそが、客付けしやすい物件であるということをご理解頂けたかと思います。

今後、主要都市以外の地方で駅から離れた立地は不動産価格が暴落する可能性が高いです。

駅から近い不動産は割高ではありますが安物買いの銭失いを避けるため、好立地の物件を買うことをお勧めします。

好立地の物件は今以上に希少性が高くなり客付けしやすい物件となるでしょう。

また、都市機能誘導区域や居住誘導区域外の不動産を所有している場合は、売却の検討をしたほうがいいかもしれません。

立地適正化計画により、不動産格差は劇的に拡大します。

立地適正化計画を知らない人は老後の生活に支障をきたすほどの損をする可能性がありますので、不動産は好立地の物件を所有しましょう。

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