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譲渡所得の特別控除とは何か?種類と内容、譲渡所得の計算方法を紹介

投稿日:2024年11月30日 更新日:

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節税対策をせずにマイホームを買い換えると、翌年の税金がびっくりするほど高くなることがあります。これは、売却した不動産の譲渡所得に所得税や住民税が課税されるためです。

マイホームの買い換えや、相続した不動産や空き家の売却では、譲渡所得の特別控除を積極的に利用して節税の工夫をしましょう。

この記事では、譲渡所得の計算方法、譲渡所得の特別控除の種類と内容を詳しく解説します

譲渡所得とは不動産売却で生じる所得

資産を売却したり譲った場合に生じる所得を譲渡所得といいます。土地や建物などの不動産の他、株式やゴルフ会員権の売却や譲渡も対象となりますが、今回は不動産の譲渡所得に関して説明します。

譲渡所得には、住民税と所得税が課税されます。譲渡所得に課せられる税率は、不動産の譲渡の場合、該当不動産の所有期間が5年以上か、5年以下かで税率が変わりますが、単純に考えて、不動産を売却して1000万円の利益があった場合、長期譲渡所得では150万円、短期譲渡所得では300万円もの所得税がかかることになります。

所得税 住民税
長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超える) 譲渡所得×15% 譲渡所得×5%
短期譲渡所得(譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下) 譲渡所得×30% 譲渡所得×9%

譲渡所得の計算方法・税率

譲渡所得の計算式は以下のとおりです。

譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除

収入金額とは、実際に売却したり譲ったりした際に受け取った金額です。

取得費は該当不動産を取得したときに支払った金額に、その資産の売却または譲渡までに加えた設備費や改良費の未償却残高を加算したものです。代々受け継いできた畑や宅地などで、取得時の金額が不明な場合は、売却額の5パーセント相当を取得費と見なします。

また、譲渡費用とは、仲介手数料など、資産の売却譲渡にかかった費用のことです。

特別控除にはいろいろな種類があり、適用条件もさまざま。申請のために準備する書類も少なくありません。ですが、譲渡所得に課せられる所得税は決して安いものではないので、節税のためには特別控除を積極的に利用した方がよいでしょう。</span

譲渡所得の特別控除3選【マイホーム編】

不動産資産のうち居住用財産(マイホーム)に関しては、住宅需要市場の活性化を目的とした、不動産の譲渡所得に関するさまざまな特別控除が設けられています。
主な特別控除には以下の3つがあります。

  • マイホームを譲渡する時の3,000万円控除
  • 所有期間10年超のマイホームを譲渡する時の特例
  • マイホームを買い替えた時の特例

以下にそれぞれ説明していきましょう。

マイホームを譲渡する時の3,000万円控

マイホーム(居住用財産)を売却譲渡した場合、所有期間の長短にかかわらず、譲渡所得から最高3,000万円が控除ができる特例です。

これを、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。

マイホームを売った場合、譲渡所得から3000万円が控除されます。つまり、3000万円までの売却利益であれば、譲渡所得にかかる所得税は無税になります。

また、自分の居住用住宅でなくても、親から相続した居住用財産の場合にも、条件を満たせば、「被相続人の居住用財産(空き家)を売った場合の3000万円の特別控除の特例」が適用され、3000万円の控除を受けることが可能です。(令和6年1月1日以降は相続人が三人以上の場合は控除額2000万円となります)

国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

国税庁 No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3307.htm

所有期間10年超のマイホームを譲渡する時の特例

長期譲渡所得では、所得税、住民税が軽減されますが、さらに所有年数が10年を超える場合、3000万円の特別控除後の所得金額に対する税率がさらに軽減されます。

これを「所有期間10年超のマイホームを譲渡する時の特例」といいます。

譲渡所得 譲渡所得計算式 所得税
6000万円以下 譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)-3000万円 譲渡所得×10%
6000万円超 譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)-3000万円 (譲渡所得-6,000万円)×15%+600万円

国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm

マイホームを買い替えた時の特例

購入した時よりも今なら高く売れるタイミングだから家を売って住み替えをしよう、という場合もあります。
ですが、売却益が出れば、その分に譲渡所得税が発生してしまうため、実質的に資金が目減りして、希望通りの新居を購入できないかもしれません。

「特定居住用財産の買換え特例」はそのような心配を軽減し、売却益にかかる譲渡所得税の納税を先送りすることや、購入した新居が売却した旧宅よりも安い場合には、その譲渡所得税の税率が通常よりも軽減されることで、住み替えの際の出費を抑えられる特例です。売却した時点では課税されないので、節税した分の資金をローン返済分に回すなど、有効に活用できます。

注意したいのは、課税が免除になるわけではないことです。買い換えた家を将来売却する時に、一緒に税金を払うことになります。
また、旧マイホームよりも安い物件を購入した場合には、その差額に通常の譲渡所得税より低い税率で課税されます。(2025年12月31日まで)

この場合の譲渡所得の計算式は以下のようになります。

譲渡所得 = A − (旧マイホームの取得費 + 譲渡費用)×(A ÷ 売却価額 )
※ A:収入金額 = 売却価額 − 買換価額

マイホームを譲渡する時の3,000万円控除や、所有期間10年超のマイホームを譲渡する時の特例は、家を売却した後に必ずしも新居を購入する必要はありません。

ですが、「特定居住用財産の買換え特例」は、旧マイホームを売却した後に、新しい家を購入することが必須の条件です。

また、これらの控除は併用できないので、注意しましょう。

国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3355.htm

譲渡所得の特別控除3選【不動産投資・土地活用編】

不動産投資や土地活用で売却する際に利用できる控除もあります。相続した投資用の不動産などを売却したい場合にも利用できます。

代表的な特別控除は以下の3つです。

    • 平成21年・22年に取得した土地を譲渡した時の1,000万円控除
    • 低利用土地を譲渡した時の100万円控除
    • 農地保有の合理化等のために土地を譲渡した時の800万円控除

平成21年・22年に取得した土地を譲渡した時の1,000万円控除

平成21年・22年(2009-2010年)はアメリカのリーマンショックの影響で、日本の不動産市場も深刻な打撃を受けました。

この控除は、その当時に土地需要の促進化を図るために設けられた措置です。

注意したいのは、この控除は土地にしか適用されないことです。土地と建物を一括して売却した場合は、土地の譲渡所得だけに控除が適用され、建物には適用されません。

国税庁 No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3225.htm

低利用土地を譲渡した時の100万円控除

居住用、事業用、その他の用途で活用されていない「未利用土地」や、周辺地域の利用状況に対して利用の程度が非常に低い「低利用土地」などを売却譲渡した場合に利用できる控除です。
都市計画区域内にある低未利用土地を個人が500万円以下で売却譲渡したとき、譲渡所得から100万円の控除が受けられます。

もし、譲渡所得が100万円に満たない場合は、譲渡所得全額が控除されます。

諸事情で活用できない空き地や、長らく空き家になっていた土地建物などの売却時に検討できます。

国税庁

農地保有の合理化等のために土地を譲渡した時の800万円控除

農地保有の合理化とは、農業経営基盤強化促進法の規定に沿って、農地保有合理化法人が農地を購入したり、借り入れたりして、担い手となる農業者に再配分する事業のことです。
担い手がいなくなった農地を保全、活用するために土地を譲渡した場合、800万円の控除が適用されます。
この控除を利用するためには、以下の条件を満たす必要があり、個人同士での譲渡には適用できません。

  • 勧告に係る協議、調停又はあっせんにより譲渡した場合
  • 農地中間管理機構に譲渡した場合
  • 農用地利用集積計画により譲渡した場合

農林水産省 農業経営基盤強化促進法
https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/ryuudouka/ry_index.html

譲渡所得の特別控除を利用するには確定申告が必要

譲渡所得は所得税と住民税の課税対象ですから、譲渡所得で控除を受けたい場合は確定申告が必要です。

たとえば諸控除を利用後に納税額が0円になる場合であっても、確定申告をしなければ控除を受けることはできません。

給与所得者で、普段は自分で確定申告をしていない人も、給与所得とは別に申告する必要があります。

確定申告は前年の1月1日から12月31日までの所得に関して翌年の3月中旬までに行います。給与の他に発生した譲渡所得にかかる所得税は、給与とは別に納税期限中に一括で納める場合がほとんどです。
また、確定申告で確定した総所得によって、6月くらいまでに住民税が確定します。

まとめ

不動産を売却した際、その譲渡所得には税金がかかります。

居住用不動産(マイホーム)の譲渡所得には特別控除が適用される場合がありますので、自宅の売却や住み替えのときには、節税のために利用できる控除がないかどうか検討しましょう。

相続した不動産でも、空き家特例のほか、未利用の土地や農地でも控除を受けられる場合があります。

ですが、複数の控除は同時に受けられない場合も多く、適用条件も細かく複雑です。

どの控除を利用するのが最適か、ケースバイケースでアドバイスできる税理士と連携した不動産会社に相談することをお勧めします。

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