マンションの売却を考えていても、どこから手をつけていいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
実は、スムーズな売却のカギを握るのは、必要書類の準備にあります。適切な書類を揃えることで、買主との信頼関係を築き、スムーズな取引につながります。
さらに、税金面での特例を活用すれば、より有利な条件で売却できる可能性もあります。
この記事では、マンション売却に必要な書類や取得方法、お得な特例について詳しく解説します。売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
マンション売却で必要な書類12選
マンションを売却する際には、様々な書類を準備する必要があります。
スムーズな売却活動を進めるためにも、事前に必要な書類を把握しておくことが重要です。
ここでは、マンション売却に必要となる12種類の書類について、詳しく解説していきます。
登記済証・登記識別情報通知書
マンションを売却する際、「登記済証」または「登記識別情報通知」のいずれかが必要になります。
「登記済証」は、以前の制度下で発行された所有権の証明書です。小冊子のような形態で、申請書の末尾に法務局の押印があります。
一般的に「権利証」と呼ばれることもあり、馴染みやすい名称かもしれません。
「登記識別情報通知」は、平成17年以降に導入された新しい証明書で、A4サイズより少し小さな用紙に発行されます。
「登記識別情報通知」は、インターネットを利用したスピーディーな不動産取引を実現するために導入されました。
残高証明書・ローン返済予定表
マンションの査定や売却を進める際、まだ住宅ローンが残っている場合は、残高証明書やローン返済予定表を用意しなければなりません。
これらの書類には、現時点での借入残高や、将来の返済計画などが詳細に記載されています。
紛失した場合でも再発行可能であるため、期日までにそろえておきましょう。
マンション管理規約
居住者間の取り決めを記したマンション管理規約も必要となります。
規約には、共有スペースの利用方法や建物全体の維持に関する取り決めが記載されており、買主にとって重要な情報となるからです。
取得時の売買契約書・重要事項説明書
売買契約書は、物件の譲渡に関する詳細な約束事を記した証書です。
金銭的な条件や物件の特定、引き渡しの期日、解約に関する取り決めなどが含まれています。
重要事項説明書は、対象となる住居に関する重要な情報を網羅した文書で、どちらも売買に必要です。
リフォーム履歴がわかる資料
リフォーム履歴に関する資料を用意すると、買い手にとって親切です。
壁紙の張替えやドアノブの交換といった細かな変更から、エアコンの交換や浴室の改装、あるいは間取り変更といった大規模な工事まで、入居当初の状態から変化があった箇所をまとめます。
固定資産税評価証明書
固定資産税評価証明書は、物件の評価額が記載された重要な書類です。
この書類は登記時に必要となる登録免許税を計算するための基準にもなります。
多くの場合、不動産会社に依頼して入手しますが、自ら役所で請求することも可能で、その際の手数料は数百円程度です。
付帯設備表・物件状況確認書
付帯設備表とは、住宅に備え付けられた設備の状態や欠陥の有無を記録するものです。
物件状況確認書は、建物全体や周辺の環境に関する情報を買い手に開示するための報告書です。
これらの書類は、不動産会社から指示やひな形の提供を受けて作成するのが一般的であるため、不動産会社に問い合わせましょう。
抵当権抹消用の書類・登記事項証明書
抵当権抹消用の書類とは、弁済証書やローンを完済したことを証明する書類のことです。
登記事項証明書は、登記簿謄本と同じ内容の書類のことで、不動産の所有権や担保設定の歴史を確認するために非常に重要な役割を果たします。
本人確認書類
不動産を売買する際は、本人確認書類が必要です。
運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど顔写真付きの書類を用意しましょう。
住民票
住民票は、所有権移転登記を行う際に必要です。
登記申請者の住所を証明しなければならないからです。
住民票は区市町村役場で、一般的に300円で取得できます。
預金通帳の控え
金融機関名、支店名、口座番号、名義人が確認できる書類が必要です。
売買金額は多額になるため、通常銀行口座を通じてやり取りが行われるからです。
印鑑証明書
マンションを売却する際、契約書には実印での押印が必要となります。
実印が役所に正しく登録されていることを証明するために、「印鑑登録証明書」が求められます。
市区町村役場で発行され、費用は数百円程度です。
有効期限は発行から3ヶ月なので、売買契約日が決まってから取得しても間に合います。
マンション売却であると望ましい書類4選
必須ではないものの、マンション売却時にあると望ましい書類が4つあります。
それぞれについて見てみましょう。
新築分譲時パンフレット
マンションを売却する際、購入希望者に対して、建築当時の魅力を効果的に伝える上で、新築分譲時に配布されたパンフレットが役立ちます。
パンフレットには、間取りや設備といった情報だけでなく、建物の設計思想や完成予想図など、多岐にわたる内容が盛り込まれています。
また、壁の厚さなど細かな寸法も記載されているため、改装を考えている方にとっても有用です。
ホームインスペクションの報告書
ホームインスペクションの報告書は、専門家が建物の状態を詳細に調査して作成します。
目で見える範囲内で建物の現状を確認し、将来的な修繕の必要性や費用も予測します。
この書類があれば、売買契約後のトラブルを未然に防ぎ、スムーズな取引を実現できるでしょう。
既存住宅売買瑕疵保険の保険付保証明書
既存住宅売買瑕疵保険とは、住宅に隠れた不具合が見つかった場合、その補修費用を保険でカバーできる保険です。
同保険の保険付証明書があれば、買い手の安心感はさらに高まり、結果として、希望に近い価格での売却の可能性が広がります。
建設住宅性能評価書
建設住宅性能評価書は、住宅の品質を専門家が客観的に評価して作成する文書で、マンション売却時に役立つ証明書です。
専門家が住宅を検査し、地震への強さや火災時の安全性、住みやすさなど、様々な角度から評価を行い、その結果を書面化します。
マンション売却で特例を利用する際に必要な書類
マンション売却時には利益に応じて税金が発生しますが、特定の条件を満たせば控除や特例を受けられます。
ここでは、マンション売却時に利用できる主な特例とそれぞれに必要な書類について、詳しく解説していきます。
居住用財産の3000万円特別控除
居住用財産の3000万円特別控除は、自分が住んでいた家を手放した際に得た利益に対して、最大3000万円まで税金がかからなくなる制度です。
参照元:国税庁
申告の際には、以下の書類が必要です。
- 譲渡所得の内訳書
- 住民票の写し
売却した翌年の月16日から3月15日までの間に税務署へ申告する必要があるため、期日までに書類をそろえましょう。
10年超所有軽減税率の特例
10年超所有軽減税率の特例とは、長年住み慣れた自宅を売却する際、一定の条件を満たせば、売却益にかかる税金が軽減される制度です。
通常、不動産を売却して利益が出た場合は、その利益に対して約20%の税率が適用されます。
しかし、この特例を使えば、売却益が600万円までは約14%の税率に軽減されます。
参照元:国税庁
必要な書類は以下のとおりです。
- 譲渡所得の内訳書
- 売却資産の登録事項証明書
- 住民票の写し
売却資産の登録事項証明書は、居住期間が10年を超えていることを証明するために使用します。
特例を受けるには、住宅を売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行う必要があるため、上記の書類を期日までにそろえましょう。
居住用財産の買換えの特例
居住用財産の買換え特例は、10年以上所有し居住した不動産を売却し、より高額な住宅に移る際に利用できる制度です。
旧宅の売却益に対する課税を一時的に避けられるメリットがありますが、新たに購入する物件の価格が以前の家を上回ることが条件となります。
繰り延べられた譲渡所得税は、新しく購入した住宅を売却するときに支払わなければなりませんので注意しましょう。
参照元:国税庁
必要書類は以下のとおりです。
- 住民票の写し
- 売買契約書の写し
- 売却や買い換えの費用を証明する書類
- 耐震基準を示す書類
- 売却した旧居の土地や建物の全部事項説明書
耐震基準を示す書類は、築年数の要件を満たさない場合に必要な書類で、耐震基準適合証明書や建設住宅性能評価書などが回答します。
また、売却した旧居の土地や建物の全部事項証明書も必要となるため、なくさずに保存しましょう。
マンション売却を成功させる3つのポイント
マンション売却を成功させるには、ただ単に不動産会社に依頼すれば良いというわけではありません。
準備や心構えによって、売却活動はスムーズに進み、希望通りの結果を得やすくなります。
ここでは、マンション売却を成功に導くための重要な3つのポイントについて解説していきます。
できるだけ多くの書類を用意する
売却に必要な資料を事前に整えておくことは、スムーズな取引を実現する上で非常に重要です。
なぜなら、必要な書類の中には、取得に時間を要するものや、平日の日中に手続きが必要なものも含まれているからです。
事前に準備を怠ると、売却活動が滞り、買い手とのタイミングを逃してしまう可能性もあります。
必要な書類以外でもあると望ましい書類があるため、できるだけ多く用意したほうがよいでしょう。
赤字でも確定申告はおこなう
マンションを売却して収益が得られなかった場合でも、確定申告を行いましょう。
なぜなら、売却によって発生した損失を、給与所得など他の所得と相殺できる「損益通算」や、翌年以降に繰り越して控除できる「譲渡損失の繰越控除」といった制度を活用できるからです。
損益通算や譲渡損失の繰越控除は、節税として極めて有効であるため積極的に活用したいところです。
3ヶ月以上売れないときは売却方法を変える
不動産が成約するまでの日数は平均で80. 1日で、3ヶ月弱です。
3ヶ月を過ぎても不動産が売れない場合は、仲介だけではなく買取を検討する必要があります。
買取とは、物件を不動産会社に直接買い取ってもらうことです。
買取のメリットは以下のとおりです。
- 短期間で現金化できる
- 仲介手数料が不要
- 契約不適合責任のリスクを負う必要がない
売却益は仲介よりも低くなることが多いですが、短期間で現金化できるのは大きな魅力といえます。
仲介の専任媒介契約期間は3ヶ月で、その間は中途解約ができないことをふまえると、3ヶ月を経過した段階で仲介と買取の両者に査定依頼を行い、比較検討したほうがよいでしょう。
アルバリンクも不動産買取業者です。
買取希望の不動産をお持ちの方は、アルバリンクの無料査定をご利用ください。
まとめ
マンション売却には多くの必要書類があり、事前に準備することが重要です。
登記関連書類、ローン関連書類、管理規約など12種類の必須書類に加え、4種類の望ましい書類を用意する必要ががあります。
また、特例を利用する際に必要な書類もあります。
成功のポイントは、多くの書類を用意すること、赤字でも確定申告を行うこと、長期間売れない場合は売却方法を変更することです。
仲介を依頼して3ヶ月以上売れない場合は、アルバリンクのような買取業者に査定を依頼してみましょう。
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