住宅購入の際に、住宅ローンを組んだ場合、借金を抱える不安から繰上げ返済を行う方も多くいらっしゃると思います。
住宅ローンを組めば元金の他に利息も合わせて返済しなければなりません。
繰り上げ返済を行うことは利息軽減額が増えるので得策ではありますが、逆に損をすることも実はあります。
繰り上げ返済や借り換えでは無料で何度も行う事ができるわけではなく、金融機関によってはその都度手数料がかかることがあります。
繰り上げ返済を数多く行えば、金利分の支払いが少なくなっても、手数料分の負担が増えてしまう事がありますから、シミュレーションをしっかりと行う事が大切です。
今回の記事では、繰り上げ返済を行う際の注意点や返済方法のご紹介をしていきたいと思います。
目次
繰り上げ返済にはどんな効果があるのか
繰り上げ返済のメリット
利息を軽減できることが最大のメリットではないでしょうか。
特に、金利が高い、借入期間が長い、借入金額が大きいなどの場合は繰り上げ返済をする事でメリットがあります。
また、期間短縮型の繰り上げ返済の場合、完済までのローン期間分を短縮することができます。
返済額軽減型の場合、毎月の返済額を減らし負担を軽減することができます。
繰り上げ返済のデメリットと注意点
デメリットと注意点は主に下記の5点です。
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- 生活予備費の不足
繰上げ返済をしすぎると、現預金がなくなります。繰り上げ返済のメリットばかりを追求した結果、子どもの教育費や、事故や病気などの医療費を支払う貯金、生活費がなくなってしまうこともあります。繰り上げ返済は必ず余剰資金で行いましょう。
- 生活予備費の不足
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- 団体信用生命保険による完済
住宅ローン組む際には必ずと言って良いほど団体信用生命保険に加入します。団体信用生命保険とは住宅ローンの返済中にローン契約者が万が一お亡くなりになった場合、または高度障害になった場合に、住宅ローン残高の保険金が債権者である金融機関に支払われ、ローンが完済される保険です。仮に、繰り上げ返済によりローンを完済した直後にローン契約者の方がお亡くなりになった場合、繰り上げ返済での支払額金額分、損をしたことになります。
- 団体信用生命保険による完済
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- 住宅ローン特別控除について考える
住宅ローン控除は10年以上のローンを組んだ際に適用されます。(他にも条件はあります)繰上げ返済をしたことにより借入れ期間が短縮され、残りの返済期間が10年を下回った場合、住宅ローン減税をその年から受けることができなくなってしまいます。例えば、当初20年でローンを組みましたが、繰上げ返済を何回も行い、10年1か月分、期間を短縮した場合、ローン返済は119カ月で終了してしまうケースが当てはまります。無計画に繰上げ返済をし過ぎると、住宅ローン控除を受けることができなくなってしまいます。
- 住宅ローン特別控除について考える
- 低金利の場合
繰上げ返済の効果は、行った方が利息が軽減されるので得ではありますが、低金利かつ住宅ローン特別控除が使える方は比較検討が必要です。現在の住宅ローン金利はとても低く、年利0.7〜0.9%台で借りている人もいます。住宅ローン特別控除を受けている場合は、年末ローン残高の1%程の税金が還付されます。支払う利息は0.8%に対して還付金は1.0%となります。当初10年での繰上げ返済の必要性はないかもしれません。
- 期間利益について
住宅金融支援機構のフラット35(住宅ローンを期間35年)で契約した場合、35年間は毎月利息を支払うことで、35年間という時間、返済までのリミットを得ることができます。考え方や価値観次第ではありますが、私は、繰り上げ返済をしてローン残高1000万円で預金が0円よりも、ローン残高3000万円でも、預金が2000万円残っているほうが安心だと思います。
書面上の数字としてのメリット以外にも検討すべき事項があり、それらを加味した上で繰り上げ返済を行うことが、ローンや繰り上げ返済を上手に活用するコツであると考えます。
繰り上げ返済の種類
期間短縮型
月々の返済する金額は変更せずに、返済期間を短くする返済方法です。
主に、繰り上げ返済というと返済期間を短くする期間短縮型が一般的です。
繰り上げ返済する資金は全て元金の返済に充当されます。
そのため、利息分を減少する事ができます。
例えば、毎月返済額が15万円で、返済額の内訳が元金10万円・利息5万円だった場合、10万円を繰り上げ返済することで、利息5万円は支払わずに済むことができます。
早く住宅ローンを終わらせたい方、利息を支払わずに得をしたい方にはオススメの返済方法です。
また、早く返し終わることで、借金を抱えているという心理的な負担が減らすことができるという点もメリットの一つとなるでしょう。
返済額軽減型
返済額軽減型では、返済期間は変更せずに、毎月返済額の元本を減らすことによって、それに対応する利息が削減されます。
そのため、利息分はあまり減りません。
毎月の生活が楽になる事を重視する方にはオススメの返済方法です。
例えば、毎月の返済額が15万円でその内訳が元金10万円・利息5万円、残返済回数120回だった場合、15万円を繰り上げ返済することで、毎月返済額の元金が1250円減少します。
(6万円÷120回)さらに、減少した元金1250円に対する利息も毎月減少することになります。
繰り上げ返済を効果的に行うには
住宅ローン控除と繰り上げ返済の関係
住宅ローン控除は、条件が幾つかありますが、10年間の間1%の税金が控除額として還付されるというものです。
つまり、金利1%を境に当初の10年間で繰上げ返済をするべきかどうかが決まります。
- 金利が1%を超える時は繰り上げ返済をする
金利が1%を超えていて、住宅ローン借入額が多い人は繰り上げ返済した方がメリットがあります。
特に、固定金利の場合は金利が期間固定されている分、高めの金利設定なので、早めの繰り上げ返済が必要です。 - 金利が低い時は繰り上げ返済をしない
借入金利が1%に満たない場合は、住宅ローン控除を受けた方がメリットがあります。
上記でも説明しましたが、0.8%の金利がかかるのに対して1%住宅ローン控除により還付されるので0.2%の還付金(利息分)得をするということです。
変動金利を組んでいる場合には、金利上昇に注意し、控除期間が終わってから、まとめて繰り上げ返済しましょう。
KawataKenji
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