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不動産の売却

不動産の共有持分(共有名義)を売却したい!買取価格相場は?

投稿日:2018年6月7日 更新日:

2018

土地や建物など、不動産を所有している場合、登記簿が「共有状態」になっているケースがあります。

その場合、自分一人の意思で不動産を利用することができませんし、他の共有持分権者との関係がうまくいっていなければ、トラブルが発生してしまう可能性も高まります。

不動産の共有関係を解消するためには共有持分を売却する方法がありますが、具体的には、どのような手続きを進めていけば良いのでしょうか?

今回は、不動産の共有持分を売却する方法や買取相場価格について、解説します。

共有とは


共有とは

不動産を所有している場合、名義人が複数人の所有者による「共有状態」になっていることがあります。

二世帯住宅により、娘婿との共有になることもありますが、多いのは相続を原因とする共有です。

親が亡くなって子どもたちが不動産を相続した場合には、遺産分割協議により、単独の相続人を定めない限り、相続した子ども達全員が共同相続人となり、登記名義が共同名義となってしまいます。

このように、不動産を共有している場合のそれぞれの共有者の部分的な権利のことを「共有持分」と言い、不動産を共有している人のことを「共有持分権者」と言います。

そして、他人と不動産を共有していると、他の共有持分権者との調整が必要になるので、単独所有のケースとは異なる制約を受けることとなります。

たとえば、他の共有持分権者の意向を無視して、自分一人の判断で勝手に不動産を売却することはできません。

以下で、共有持分権者にできることとできないことを整理していきましょう。

共有持分権者にできること、できないこと


出来ること出来ない事

不動産を共有しているとき、

  1. 単独の共有持分権者にできること
  2. 過半数の共有持分権者の同意が必要なこと
  3. 全員の共有持分権者の合意が必要なこと

の3種類の行為に分けられます。

以下でそれぞれがどのようなことか、みていきましょう。

共有持分権者が単独でできること

共有持分権者1人1人が単独でもできるのは、以下のような行為です。

  • 保存
  • 使用

不動産の現状を維持するために保存をする行為は1人でできます。

たとえば壊れかけている建物を修繕したり不法占拠者を追い出したりする行為です。

また、「使用」も単独でできます。

つまり共有持分権者でも「不動産全体」を利用することができるので、たとえば3分の1の持分権者が不動産全体を占有して居住することなども可能です。
単独

共有持分権者の過半数の同意があればできること

次に、共有持分権者の過半数の同意が必要なことがあります。

それは、以下の行為です。

  • 利用
  • 改良

たとえば不動産を短期の賃貸借に出したり賃貸借契約を解除したり、リフォームしたりするためには、他の共有持分権者と話し合って過半数の同意を得る必要があります。
過半数

共有持分権者全員の同意がないとできないこと

次の行為は、共有持分権全員の合意がないとできません。

  • 処分

たとえば不動産を売却したり担保権(抵当権)を設定したり、借地借家法の適用のある賃貸借契約を締結したりするためには共有持分権者全員による合意が必要です。

合意を得るためには、口約束だけではトラブルになってしまう可能性があるため、共有名義人である委任者が、代表である受任者に委任状を作成して渡す必要があります。

建物を取り壊したり大規模な修繕を行ったりするときにも、やはり他の共有持分権者全員の同意を得る必要があります。

土地の場合には、分筆を行う事で、所有権移転登記を行う事ができますから、その後は自由に売却できます。
全員

共有持分割合とは


上記のように、共有不動産の管理や処分をするときには他の共有持分権者の意向が問題となりますが、このとき「共有持分割合」が重要なポイントとなります。

共有持分割合とは、それぞれの共有持分権者の権利の割合です。

3分の1

たとえば3分の1の共有持分割合の共有持分権者は、不動産に対して3分の1の権利を持っていることになります。

このことは上記の「過半数」を数えるときに関連してきます。

共有不動産の管理や利用をするときには「過半数」の共有持分権者の合意が必要になりますが、このとき「人数」ではなく「持分割合」を基準にします。

そこで、1人の人が過半数の共有持分を持っている場合には、他の共有持分権者の同意を得なくても代表者が管理・利用できます。

反対に、1人1人の共有持分割合が少なければ、多くの共有持分権者が同意しても、不動産の管理・利用ができない可能性があります。

「人数」ではなく「持分割合」が基準になることは、共有持分「売却」の際にも同じです。
過半数
過半数

共有不動産を売却するときには、持分割合に応じて売却金を分配することになりますし、1人で売却する時と所得税の計算方法などは変わりません。

共有不動産でトラブルになるパターン


不動産を共有していると、1人1人の共有持分権者にできることが限られます。

何をするにしても他の共有持分権者の同意が必要になるので、意見が合わないときにトラブルになりやすいです。

たとえば多くの共有持分権者が不動産の売却を望んでも、誰か1人でも反対したら売却できません。

賃貸活用もできませんし、リフォーム、リノベーションすらできないのです。
反対

不動産を売りたい人や貸して活用したい人と反対する人との間でトラブルになってしまうことが非常に多いです。

また、他の共有持分権者と疎遠な場合には、いちいち連絡を取り合って不動産活用の相談をするのも大変です。

相手に連絡を入れても無視されると、ストレスが溜まることもあるでしょう。

さらに遺産相続で不動産の共有状態になったとき、必ずしも他の相続人との関係が円満であるとは限りません。

一部の相続人が死亡すると法定相続分に応じて、さらにその子どもが相続し共有持分権者となり、共有関係が非常に複雑になって、もはや誰がどれだけ相続登記しているのか、共有持分を持っているのかわからなくなってしまう例もあります。

そうなったら、誰に共有不動産活用の相談を持ちかけて良いのかすら、わかりません。

共有不動産においては、他の共有持分権者との調整が困難となるので結果的に不動産を活用できなくなり、放置される例も多いです。

そこで、共有不動産の持分権者となっているならば、早めに何らかの対策をしておくべきです。

今特に問題が起こっていなくても、将来活用や売却の話が出たときや相続が起こったときなどにトラブルになる可能性が高いです。

共有物分割請求について


それでは、共有持分を持っているとき、どのような方法で状況を改善できるのでしょうか?

この場合「共有状態を解消したい」と考える方が多いでしょう。

多人数で共有しているからこそ、1人1人の権利内容が制限されてトラブルが発生するのです。

共有でなくなってしまえば自分一人で不動産を処分できます。

共有状態を解消するには「共有物分割請求」という手続きをしなければなりません。

共有物分割請求とは、共有状態になっている物の共有状態を解消し、1人1人の持分権者の権利に分割する手続きです。

ただ、共有物分割請求をするときには、まずは他の共有持分権者と話合いをして具体的な共有持分の分割方法を話しあわなければなりません。

そして、共有持分権者全員による合意が必要です。

1人でも分割に反対する場合、話合いによっては不動産の分割ができません。
共有物分割

話合いで共有物分割ができない場合には、裁判所で「共有物分割調停」や「共有物分割訴訟」を利用して不動産の分割を勧めていく必要があります。

訴訟になると大変時間もかかりますし、労力も必要です。

また共有物分割方法について共有持分権者の意見が合わない場合、裁判所は「競売」「代償分割(全面的価格賠償)」「現物分割」のうちから適当と考えられる方法を選定して判決で指定してしまいます。

つまり、共有持分権者が望んでいなくても「競売」が選択されて不動産が売却されてしまう可能性などもあるということです。

そのようなことになったら不動産が市場価格の7割やそれ以下の価格でしか売れない可能性もあり、売却代金から諸経費を差し引いたお金しか受け取れないので、共有持分権者が不利益を受けるおそれもあります。
現物分割
代償分割
競売

共有持分売却とは


以上のように、共有持分を持っている場合、不動産全体を売ろうとすると他の共有者全員の合意が必要ですし、自分の持分だけの部分に分割してもらいたければ、話合いや裁判が必要になります。

そのようなことは非常に面倒だと感じる方が多いでしょうし、新たなストレス要因になります。

共有持分売却なら単独で可能

そのようなときには「共有持分」の売却や買取を検討することをお勧めします。

共有持分の売却とは、自分の持っている「単独名義分」のみを売却する方法です。

買取は、同じく「共有持分」を他の共有持分権者から買い取ることです。

先にも説明した通り、共有持分権者は不動産に対する割合的な権利である「共有持分」を持っています。

共有持分は「不動産全体」の権利ではないので、共有持分を持っていても不動産全体を売却したり担保権を設定したりすることはできません。

しかし「共有持分」に対しては完全な権利を持っています。

そこで、共有持分だけであれば、持分権者単独の判断で売却や担保権設定などをすることができるのです。

たとえば、4分の1の共有持分を持っている共有持分権者の場合、その4分の1の共有持分のみを他人に売却することができますし、その部分のみについて、抵当権設定をすることも可能です。

共有持分だけの処分なら、他の共有持分権者による同意は不要です。

共有持分売却の効果

共有持分を売却すると、自分はその不動産の共有持分権者ではなくなります。

そこで、他の共有持分権者との間で不動産売却や管理、利用などについての話合いをする必要はなくなりますし、将来相続が起こったときに、子ども達に余計なトラブル要因をもたらすおそれもありません

また、共有持分も不動産としての価値がありますので、売却すると当然お金が入ってきます。

共有持分を売却すると、共有物分割請求をしなくても共有関係から外れることができて、売却金も手元に入ってくるので大きなメリットがあります。

共有持分売却の方法


共有持分を売却したいとき、具体的にはどのようにして手続きを進めていけば良いのでしょうか?

共有持分を買い取ってくれる人を探す

ものを売却したいときには買取人を探さねばなりませんので、まずは、共有不動産を買い取ってくれそうな人を探しましょう。

ただ、共有持分を買いたいという人はかなり見つかりにくいです。

なぜかというと、共有持分を持っていても先ほどから説明しているように権利内容が非常に限定されますし、自分一人では活用すらできないからです。

他の共有持分権者がどのような人かも分からないまま購入すると、無用なトラブルを抱え込むことにもなりやすいです。

あなたが共有持分権者から外れたいように、他の人もわざわざその面倒な共有関係になりたいとは思わないということです。

他の共有持分権者に買い取ってもらう

それでは、共有持分を売却して共有関係から外れたい場合、誰に共有持分を買い取ってもらえば良いのでしょうか?

まず現実的な対処法として「他の共有持分権者に買い取ってもらう」方法があります。

他の共有持分権者が共有持分を買い取る場合、共有持分権者が減って持分が集約されるので買取人の権利が大きくなります。

また共有関係の解消にも近づくので、メリットが大きいです。

共有持分売却

特に物件が2人の共有になっている場合、相手に共有持分を売却したら相手は完全な不動産の所有権を獲得できます。

共有物件については、過半数の持分を持っていると管理利用ができるようになって権限が強くなるので、相手が不動産に対する支配を強めたいと考えている場合などには、共有持分の買取を申し入れるとすんなり買い取ってくれる場合もあります。

また、共有持分を他の共有持分権者に売却できない場合、まったくの第三者に売却することになる可能性が高いです。

共有持分売却

そうなると、他の共有持分権者にとっても不安が大きく、トラブルも予想されます。そこで、できれば自分で買い取ってしまおうと考える共有持分権者もいます。

以上のようなことから、共有持分を売却したいと思ったら、まずは他の共有持分権者に買取を持ちかけてみると良いでしょう。

自分で買取人を探す

しかし、他の共有持分権者に買取を持ちかけても、「要らない」と言われるケースもあるでしょう。

買取金額の点で合意できない可能性もあります。

そのようなときには、自分で共有持分を買い取りたい第三者を探す方法があります。

通常は不動産会社に仲介を依頼して、共有持分を買い取りたい人を探してもらう必要があるでしょう。

もしも共有持分に関心のある人がいたら、一般の不動産売買のケースと同様に共有持分を売却することができます。

共有持分買取業者を利用する

ただ、一般の人で共有持分を買いたいという人はなかなか見つかりにくいでしょう。

そのようなときには、「共有持分買取業者」を利用する方法があります。

共有持分買取業者とは、共有持分の買取や売却を専門的に取り扱っている不動産会社です。

共有持分の買取人を探してもらうのではなく、不動産会社自身に共有持分を買い取ってもらうのです。

直接買取りが行われるので、共有持分を買いたい人を探す必要がありません。

買取を申し込んだら、物件の査定をした上ですぐに売買契約を締結し、代金を支払ってもらうことができます。

共有持分買取業者を利用するメリット


共有持分買取業者を利用すると、以下のようなメリットがあります。

早期に買い取ってもらえる

共有持分を売却しようとするとき、他の共有持分権者に売却するとしても金額などの面で交渉が必要ですし、一般から共有持分権者を探そうとすると、買取希望者が見つかるまで長期の時間がかかります。

共有持分売却ができない場合には、共有物分割請求をしなければなりませんが、そうなるとさらに長くかかってしまうでしょう。

共有持分買取業者を利用すると、査定さえ終われば後は売買契約を締結するだけなので、1~2か月もあれば売却が完了します。

確実に買い取ってもらえる

共有持分買取業者以外の人に共有持分を売却しようとしても、実現するとは限りません。

他の共有持分権者が買い取ってくれるとは限りませんし、一般の買取希望者が見つかるとも限らないからです。

共有物分割請求をしても、望むような分割方法の決定がでるかどうか分かりません。

共有持分買取業者に売却すると、確実に買い取ってもらえますし、代金が不払いになるリスクも小さいです。

労力がかからない

共有持分買取業者を利用すると、労力をかけずに共有持分を売却することができます。

他の共有持分権者との交渉も不要ですし、広告などを出して共有持分買取希望者を探す手間も省けます。

共有持分買取業者

共有持分買取業者を利用するデメリット


反面、共有持分買取業者を利用すると、以下のようなデメリットもあります。

買取金額が安くなることが多い

共有持分買取業者に直接共有持分を売却すると、一般の共有持分売却の場面より売却金額が安くなるケースが多いです。

共有持分買取業者は、共有持分を買い取った後、他の共有持分権者に売却の話を持ちかけたり共有物分割請求をしたりしなければなりません。

こういった手間を共有持分買取業者にやってもらうための代償が必要だという理解です。

つまり、共有持分買取業者を利用すると、早期かつ確実に売却できる分、経済的な利益は小さくなることを覚悟する必要があります。

他の共有持分権者とトラブルになる

共有持分買取業者を利用する場合、他の共有持分権者との間でトラブルになるケースが多いので、注意が必要です。

共有持分買取業者は、共有持分を買い取った後、他の共有持分権者に対しても共有持分の売却を持ちかけます。

このようにして共有持分を集めて完全な不動産の所有権を手に入れた上で、高額な価格で不動産を転売しようと考えているためです。

しかし、他の区分所有者である共有持分権者にしてみると、突然現れて共有持分権者となった不動産業者から、いきなり持分の買取を持ちかけられてしまうので、大きな不信感を抱きます。

そのような不動産業者に共有持分を売却してしまったあなたとの間が険悪になる可能性も高いです。

もともと良好だったとしても、共有持分売却をきっかけに他の持分権者との人間関係が壊れてしまう可能性があるので、注意しましょう。

共有持分売却の際の代金相場


共有持分を売却するとき、どのくらいの金額で売れるものなのか、売却代金の相場をみてみましょう。

共有持分売却代金は、買取人が誰かによって異なります。

もっとも高額で買い取ってくれる可能性があるのは他の共有持分権者です。

特に共有持分売却によって相手が完全な不動産の所有者となれる場合には、売却金が高額になりやすいです。

この場合、不動産の通常の市場価格で買い取ってもらえる可能性もあります。

共有持分売却によっても相手が完全な所有者になれない場合(他にも共有者がいるケース)には、売却価格は市場価格より安くなります。

共有持分を取得しても、不動産の処分ができず、権利に内容が限定されるからです。

この場合には、市場価格の7~8割程度になることが多いでしょう。

共有持分を共有持分権者以外の一般の方に売却するときにもだいたいこれと同じ程度の金額になります。

共有持分買取業者に買取を依頼するときには、市場価格の5~6割程度になる例が多くなってきますし、中にはそれより低い価格を提示してくる業者もあります。

そこで、共有持分を売却したいときには、不動産会社の選定も重要です。

事前に一括査定などを利用して、買取金額の査定を出してもらうとともに、当該不動産の一般的な市場における価格相場、贈与税の基準となる路線価なども調べて、不当に安い価格で買い叩かれないように注意しましょう。

共有持分売却の際の注意点


共有持分を売却するとき、他の共有持分権者に断りを入れる法的な義務はありません。

しかし実際には、不動産の共有持分買取業者に買取を依頼すると、他の共有持分権者とトラブルになる可能性があるので、注意が必要です。

たとえば、親から引き継いだ遺産を兄弟と共有している場合、断りなしに持分を不動産会社に売却すると兄弟から責められて親戚付き合いに亀裂が入ってしまう可能性があります。

妻と不動産を共有している場合などには、売却後に共有持分買取業者が妻に売却依頼の連絡をしてきて妻が仰天し、離婚騒動につながるケースもあります。

離婚した妻と不動産を共有していて、住宅ローンは元夫が支払い、その家に元妻と子どもが住んでいるケースもありますが、そのような場合に家の共有持分を売却すると、共有持分権者が元妻に家の売却を請求するので、住宅の利用者である、元妻と子どもの生活が脅かされる可能性もあります。

そこで、不動産を共有している場合には、ケースに応じた適切な対応が必要となります。

共有状態を解消したいときには共有持分買取業者を利用するのも1つの選択肢となりますが、業者選びや売却のタイミング、他の共有持分権者との関係などの調整などに配慮しながら進めましょう。

今回の記事を参考にして、上手に共有不動産をトラブルを避けて、平穏な方法で共有状態の解消をはかっていきましょう。

まとめ

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もりお@不動産投資の森編集部

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不動産投資の森の編集部。寄稿された投資家の記事を編集しています。

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