こんにちは。
仙台で小さなアパート経営をしているhayasakaです。
不動産投資では表面利回りや実質利回りが重要視されがちですが、実際に投資判断する際の重要な目安になるのが「返済比率」。
家賃収入に占める不動産投資ローンの返済額の割合を算出したもので、経験則などから安全投資と判断できるパーセンテージが導き出されています。
今回は、返済比率の計算方法や活用法、注意点などについて学んで行きましょう。
今回も、落語風の問答にしてみましたので気軽に読んでください。
ご隠居:アパート投資に明るい、横丁の物知りご隠居
熊さん:大家さん稼業を夢見る少しだけテンネンな大工さん
【ご隠居と熊さんの不動産投資珍問答】
不動産投資における返済比率の考え方
目次
不動産投資における返済比率の重要性
返済比率とは
ご隠居、この売りアパートなんか、どうっすかね?
利回り10%越えだ!!
ほう…。
で、熊さんはいくら自己資金を用意できるんだい?
なんでぇ、急にひとの懐事情なんか聞きやがって。
はは~ん、隙を見てちょろまかす気だな?
人聞きの悪いことをいうもんじゃない。
いいかい、不動産投資で特に大事なのが『返済比率』じゃ。
ヘンサイヒリツ?
アパートローンなどの返済額が想定家賃収入のどのぐらいの割合になるかという数字だ。
これを計算すれば、投資して良い物件かどうかの目安になるんじゃ。
・・・ちょっと何言っているのかわからねぇ・・・
例えるなら、50万円の請負仕事があるとする。
この時、材料費が30万円かかるとしたら、熊さんの儲けは20万円だな?
そりゃそうだ。
一方、40万円の請負仕事で、材料費が20万円なら熊さんの儲けは同じく20万円だ。
では、どっちの現場の方が効率いいと思う?
そりゃ、50万円よりも40万円の現場の方が仕事は簡単なんだろうから、儲けが同じなら40万円の現場の方が効率いいだろうな。
そういうことだ。
その判断は粗利率で計算するとわかりやすい。
粗利率というのは、利益を売り上げで割ったものだ。
つまり、50万円の現場の粗利率は20万円÷50万円で40%。
40万円の現場では20万円÷40万円で50%だ。
粗利率が高い方が効率の良い仕事だから、40万円の現場を請け負えば良いと判断できるわけじゃ。
なるほど、何でも計算づくのご隠居らしい考え方だぁ。
ひどい物言いだね、まったく…。
とにかく、不動産投資の場合も、毎月の家賃収入とローンの返済額がわかれば、返済比率を計算して投資判断を簡単にできるのじゃ。
返済比率の計算方法
そいつあ、便利だ。で、どう計算するんで?
月額返済額÷月額家賃収入(満室時)×100
あくまでも目安にするだけだから、これで計算する。
例えば、月のローン返済額が20万円で月の家賃収入が40万円の物件なら、50%になるわけだ。
一方、返済額が同じ20万円でも家賃収入が50万円なら40%という計算になる。
これも割合が大きい方がいいんだな?
逆だ。
返済比率の場合は、割合が大きいほどリスクの高い物件となる。
リスク?
そう。
不動産投資には様々なリスクがある。
空室が出たり、年々家賃が低下して行ったり、修理や機器の入れ替えと言った突発的な出費もある。
もしも、70%、80%という返済比率なら、たちまち赤字に転落してしまう恐れがあるわけだ。
そういうことか。
少々空室が出たり、家賃が下がったりしても赤字にならないように、返済額と家賃収入の間に余裕を持っておくことが必要というわけだな?
そういうことだ。
適正な返済比率とは
なら、返済比率は小さければ小さいほど良いってわけか?
確かに無借金で買えば、リスクはほとんどなくなる。
しかし、それではいつまでたっても不動産投資は始められないだろう。
20年、30年という時間軸で利益を出していくのが不動産投資なので、30代から40代で始めるのが理想と言われておる。
そのためにはローンを利用してレバレッジを利かせることも肝心だ。
なるほど。じゃあ、どのぐらいの返済比率がいいんだ?
そうだな経験則などから導き出された目安は大体こんな感じじゃ。
- 返済比率40%以下:安全
- 返済比率50%以下:比較的安全
- 返済比率50~55%:やや注意が必要
- 返済比率56%以上:危険
思った以上に厳しめなんだね?
実際に賃貸経営すると税金や火災保険、管理費といった経費が結構掛かるし、周囲に競合物件ができただけで空室や家賃低下の問題が噴出するものだ。
特にこれからは、いつ不動産投資ローン金利、住宅ローン金利が上昇してもおかしくはない。
これでも決して厳しめの係数とは言えないのじゃ。
なるほど、そうか。
賃貸経営にはいろいろ予期せぬ出来事が起こるものだから、返済比率は50%以下ぐらいに抑えておかないと危険なわけだな。
そういうことだ。
返済比率を下げるには
返済期間を長くする
ならご隠居、返済期間を長くすれば返済比率を下げることができるんじゃないのかい?
お、たまげたね。
その通りだ。
融資額を20年で返済するより、30年で返済する方が毎月の返済額は少なくなるので、当然返済比率は小さくなる。
その分、少々空室が出ても金利が上がっても、びっくりしねぇってわけだ!
しかしな、返済期間は簡単に長くすることはできないんじゃ。
そうなのかい?
返済期間は、基本的に建物の耐用年数以内で設定される。
例えば鉄筋コンクリートの建物は耐用年数が47年じゃ。
もし、築20年の中古ビルなら残りの27年以内で返済期間が決められるわけだ。
木造は耐用年数が22年なので、木造中古アパートなどの場合は思いのほか返済期間が短い場合もある。
そうなのか。
借りる側が好き勝手に返済期間を決められるわけじゃないんだな?
それに、返済期間が長いと金利が上昇するリスクも大きくなるな。
建物の老朽化による空室や家賃低下の問題も出てくるので、返済期間を長くして返済比率を下げるのは、あまり得策とは言えないのじゃ。
自己資金を厚くする
確かにそうだな。
ならばご隠居、自己資金を厚くするってのはどうだ?
そう、それが一番賢明な方法じゃ。
大体の目安としては自己資金の3倍ぐらいまでが投資の目安と言われておる。
自己資金が1000万円あるなら3000万円内外の物件を探し、ローンを計算してもらうと返済比率が50%内外に収まることが多い。
なるほど、自己資金の額で、無理のない投資規模や借入額、借入期間がわかるってことか。
ちなみに年収は関係ないのかい?
不動産投資の住宅購入は物件ごとの収益性と安全性で判断すべきじゃ。
年収が少なくても返済比率が安全圏に入っていれば投資して問題ないと評価されるし、どんなに年収が高くても返済比率の高い物件には投資、購入すべきではない。
不動産投資が家計を崩壊させるだけだからな。
自己資金に見合った物件を探す
ちげぇねえや。
しかし、大工の給金じゃあ、自己資金が貯まるのはいつになるのやら…
ははは。
まぁ、酒や博打をやめて、せいぜい貯金に励むこったな。
しかし、自己資金が少ないなら、それに見合った物件を探せばいいだろう?
つまり、安い物件を探すってこと?
そうだ。
例えば投資用のワンルームマンションなら熊さんでも無理ない借入可能額になるだろうよ。
地方なら3LDKぐらいの中古ファミリーマンションも格安で販売されておる。
そうか、マンションという手もあるか…
ただし、マンションは100か0だから注意が必要だ。
100か0?
つまり、入居者が入れば100%の家賃が入るが、出ていけば家賃収入はゼロになる。
マンションの場合は返済比率が50%でも厳しい可能性が出てくるわけだな。
そうか、アパートなら10戸中1戸空室になっても家賃収入は90%をキープできるが、マンションは空室になった途端に返済分がそっくり赤字になるわけだ。
そういう意味では評価額は低いが地方の中古アパートを探すというのも一つの方法だ。
若者に人気の地方都市で探すのは言うまでもないが、熊さんでも返済比率50%以下に収められる物件は必ずあるはずじゃ。
業者の説明には要注意
甘い前提で返済比率を試算している場合も
そうか!
とにかく、返済比率50%以下なら“買い”というわけだな?
むろん物件次第だが、一応の目安にはなる。
ところで熊さん、不動産業者が試算する返済比率には少し注意しておいた方がいいよ。
そうなのかい?
稀にではあるが、返済額と元本だけで計算している場合があるようじゃ。
審査金利を無視しているケースや、実際の取引でかかってくる固定資産税や手数料などの諸経費分の費用を入れないで計算している場合もあるらしい。
だから、業者が試算した返済比率を鵜呑みにしないで、インターネット上にあるローンシミュレーションソフトなどを使って自分で試算してみるぐらいの慎重さが必要じゃ。
なるほど。
しかし、そんな事をする業者もいるのかい?
まったく油断も隙もあったもんじゃないね。
世の中とはそういうものじゃ。
ところで熊さん、今日もいい勉強になったな?
ああ、いいことを聞いた。
なら、授業料を置いて行ってくれ。
げっ!まったく、油断も隙もねぇ世の中だ。
まとめ
不動産への投資を判断するには、返済比率を目安にすると便利です。
返済比率は、小さければ小さいほどリスクが小さくなり、50%以下を目安に投資判断すると比較的安心です。
ただし、現在は空前の低金利時代で、今後変動金利も固定金利も上昇に転じる可能性は高く、できるだけ40%以下の返済比率を目指した方が無難でしょう。
住宅購入をする場合の住宅ローン審査基準としては、30%前後の返済比率でなければ銀行などの金融機関の事前審査が通らず、住宅ローン借入額が少なくなってしまう事が多いのですが、不動産投資ローンの返済比率の目安は40%程度です。
返済比率を下げるには、返済期間を長くするのではなく自己資金を厚くすることが鉄則。
そのためには資産価値にばかりこだわるのではなく、自己資金に見合った金額である投資マンションや地方物件を丹念に探すのも有効な方法です。
また、不動産業者などが試算した返済比率の中には、甘い前提で計算されたものもあるので注意が必要。
インターネット上にあるローンシミュレーションソフトを使い、ご自身で試算して資金計画を練るぐらいの慎重さが必要です。
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