不動産投資初心者

賃貸物件の立ち退き料の相場と交渉方法について

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こんにちは。仙台で小さなアパートを経営しているhayasakaです。

不動産投資では、いわゆる出口戦略も非常に重要です。

建物はいずれ老朽化し、入居率や家賃が徐々に低下するため、収益性が悪化して行くことは避けられません。

その場合、収益物件として売却(入居者はそのままでオーナーだけが変わる方法=オーナーチェンジ)できれば問題はあまりありません。

しかし、建て替えやリノベーション、取り壊して更地として売却しようとすると「立ち退き」という「大問題」に直面します。

わが国では「借地借家法」により、借り手の権利が非常に手厚く守られています。

大家さんよりも借り手の方が「弱者」だという観点から、オーナー側から見れば首をかしげたくなるほど、借り手側の権利が強固に守られているのです。

下手にこじらせてしまうと、数万円の部屋に住んでいる入居者に出て行ってもらうのに、100万円以上の費用がかかってしまう場合もあるので、注意が必要です。

今回は、大家さん側から立ち退きを要求した場合の立ち退き料の相場や、円満に立ち退いてもらうための交渉方法などについて学んで行きましょう。

大家さんから立ち退きを要求する場合の基礎知識

立ち退きには「正当事由」が必要

契約期限を定めない一般的な借家契約の場合、入居者の立ち退きを要求する場合は「6か月間の猶予」を与えることが借地借家法に定められています。

「それなら、出て行ってほしい日の半年前に通知さえすれば、立ち退いてもらえるのか」と安易に考えてはいけません。

立ち退いてもらうには「正当事由」が必要とされており、例えば

  • たびたび家賃を滞納する
  • 近隣トラブルを起こすので出て行ってほしい
  • もっと高い家賃で借りたいという人が現れた
  • アパートが古くなったので建て替えたい
  • 自宅用地として使いたい
  • 借金返済のために更地にして売却したい

といった理由だけでは「正当事由」には当たりません。

大家さんにとってはどれも正当な理由に違いないのですが、借地借家法ではこれらは「大家さんの勝手な都合」としか判断しないのです。

従って、これらの理由で立ち退きを要求しても、入居者に拒否されれば、法的に出て行ってもらうことは難しいのです。

入居者に納得してもらう切り札は「立ち退き料」

では、正当事由とはどんなものかというと

  • 賃貸人・賃借人が建物を必要とする事情
  • 建物の賃貸借に関する従前の経過
  • 建物の利用状況および現況

などという、ふわっとした内容に過ぎず、これに加えて「立ち退き料」の提供によって正当事由を補完するという考え方になっています。

要は、大家側の都合での立ち退きは原則認められないが、立ち退き料によって入居者が納得するなら、立ち退きは成立するという法の立て付けになっているわけです。

しかも、立ち退き料の目安となる法的規定はありません。

平たく言えば入居者の“言い値”であり、入居者が納得すれば数十万円で済む場合もあれば、こじらせてしまうと100万円単位の立ち退き料に膨れ上がる場合もあるので注意が必要です。

立ち退き料の相場

立ち退き交渉が比較的円満に行った場合の立ち退き料の相場は、大体家賃の6か月分と言われています。

5万円の家賃なら30万円、10万円の家賃なら60万円といったところです。

これは、入居者が同等の物件に引っ越す場合の礼金・敷金・引っ越し費用などを考えれば妥当性のある金額と言えます。

しかし、アパートなどの場合は数戸まとめて立ち退いてもらうことになるので、大家さんにとっては大きな出費となります。

そういう意味でも、立ち退き交渉を円満に進め、立ち退き料をできるだけ抑えて行くことはとても大切なことになってきます。

立ち退き料に含まれるもの

一般に立ち退き料には次のような項目が含まれるとされます。

  • 新居の初期費用
    次に引っ越す物件の敷金・礼金・前家賃・仲介手数料・火災保険などの初期費用は、立ち退きを要求した大家さんが負担するのが原則です。
  • 引っ越し費用
    引っ越し業者に依頼する場合の引っ越し費用も大家さんが持ちます。
    荷物の少ない単身者などは業者に頼まない場合も多いでしょうが、ここはケチらず気持ちよく上乗せした方が賢明です。
  • エアコン移設やインターネットの費用
    引っ越し先のインターネット環境を整える費用も上乗せします。
    エアコンを移設するような場合もその費用も見ます。
    どちらも立ち退きがなければ発生しないコストなので、大家さんが負担するのは当然です。
  • 迷惑料
    上記の項目に加え、迷惑料を乗せるという場合も考えられます。
    事情や状況によりその額は上下するものですが、一般には家賃の2~4カ月分ぐらいを迷惑料の枠として考えておくと良いでしょう。

円満な立ち退きのための交渉術

入居者の気持ちを害さない

立ち退きを求める場合は、まず6か月間の猶予を設ける必要があります

しかも、後々問題にならないよう、内容証明郵便で通知日時の証拠を残しておくのが鉄則です。

ただし、いきなり内容証明郵便を送りつけるのは入居者の気分を害する恐れがあるので、まずは口頭で予告し、後日改めて内容証明郵便を送るという丁寧なステップを踏むことが大切です。

客観的な理由を示す

大家さんの一方的な都合による立ち退きではなく、入居者の安全などの観点からやむを得ず立ち退きが必要になったという交渉が効果的です。

そのためには「耐震診断」などを実施するのがポイントです。

老朽化した建物は、十分な耐震性を維持していない場合が多いため、耐震診断という客観的なデータを示すことで、立ち退きの必要性を理解してもらうのです。

期限を切ってインセンティブを付ける

6カ月の猶予期間を設けた上で、例えば「4カ月以内に退去いただければ立ち退き料をさらに10万円上乗せする」といったインセンティブを付けると交渉がスムーズに進む場合があります。

近隣物件の情報提供

「まったく引っ越す気がない」という方でも、具体的な物件情報に接することで心が動く場合があります。

管理会社などに相談して、近隣の同等の物件情報を積極的に紹介してもらうのも有効な方法です。

近隣への引っ越しなら土地勘があり、引っ越し費用も抑えられるので退去者の抵抗感が和らぐのがミソ。

管理会社としても退去者の仲介の仕事につながるので協力を惜しまないはずです。

立ち退き交渉がこじれた場合は…

立ち退き交渉の失敗は大家さんの損

立ち退き交渉に失敗した場合、損失をこうむるのはもっぱら大家さん側です。

たった一人の入居者が立ち退かないだけで

  • 次の土地活用計画にいつまでも着手できない
  • 家賃を生まないのに、固定資産税などがかかる
  • 家賃が滞納状態でも売上計上され所得税の対象になる

などといった不利益が積み上がって行きます。

しかも、たちの悪い入居者なら、そんな大家さんの足元を見て法外な立ち退き料を要求してくる場合さえ考えられます。

従って、立ち退き交渉は円満かつスムーズに進めるべく、細心の注意を払って行くことが鉄則です。

それでも、どうしても交渉がこじれてしまった場合には、毅然とした態度で臨み、傷口を最小に抑えることが重要です。

 建物明渡請求訴訟

立ち退き交渉が暗礁に乗り上げた場合は、すみやかに裁判に訴えて解決を図ります。

  •  家賃滞納などの契約違反がある場合
    立ち退き交渉がもつれると、入居者が家賃を滞納するケースが生じます。
    これは明確な契約違反に当たるのでむしろチャンスです。
    内容証明郵便で「一定期間内に滞納した家賃を払わない場合は契約を解除する」旨通知し、裁判へと進みます。
    何カ月も滞納した家賃を一度に払える人は少ないので、判決もしくは和解によって立ち退いてもらうことが可能になるはずです。
  • 契約違反がない場合
    家賃滞納などの解約違反がない場合は、法律で争っても大家さんには不利です。
    しかし、内容証明郵便で「更新拒絶」または「解約申入れ」などを行い、進展がない場合は「建物明渡訴訟」を行う旨通知
    この時、裁判所に「調停」を申し立て話し合いでの解決を図ります。

立ち退き交渉は管理会社には頼めない

立ち退き交渉で注意が必要なのは、管理会社などの第三者は立ち退き交渉できないという点。

大家さん自身か、弁護士以外は立ち退き交渉ができないのです。

もしも弁護士以外の第三者が立ち退き交渉を行うと「非弁行為」で、違法となってしまいます。

もちろん、大家さん自身が立ち退き交渉を行う方法もないではありませんが、立ち退き交渉は弁護士に依頼した方が賢明です。

当事者間での話し合いでは「テコでも動かない」と言い張る入居者でも、弁護士が間に入るだけで態度を軟化することは多いもの。

交渉をこじらせて時間と立ち退き料が膨らんでしまうよりもはるかに得策です。

まとめ

借地借家法で入居者の権利が手厚く守られている日本では、大家さんから立ち退きを要求するのは簡単なことではありません。

その唯一の解決手段が「立ち退き料」なのですが、その金額は入居者の「言い値」であるのが現実です。

交渉をこじらせてしまうと、法外な立ち退き料を要求される場合も珍しくありません。

万が一、立ち退き交渉が頓挫して損をするのは、もっぱら大家さん側。

裁判に訴える方法もありますが、時間もお金もかかるので、まずは入居者の気分を害さないような交渉術が重要です。

立ち退き交渉は、管理会社などの第三者に依頼することはできません。

大家さん自身か、弁護士に依頼する形になります。

弁護士に交渉を依頼すれば、弁護士費用は発生するものの速やかな解決につながり、結果的に時間と立ち退き料の節約になることも多いので、立ち退き交渉は最初から弁護士に依頼するのが賢明でしょう。

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hayasaka

hayasaka

仙台でアパート経営を行う、ベテランライター。広告コピーの他、漫画の脚本や小説も手掛ける、典型的な器用貧乏。「間違った不動産投資で人生を棒に振らせてはいけない」を信念に、まだまだ甘言がはびこる不動産投資界に警鐘を鳴らしつつ、堅実でクレバーな不動産投資を提案しています。

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