不動産投資初心者

不動産投資を始めるまでの準備と目標設定の考え方

投稿日:2017年10月24日 更新日:

不動産投資を始めるまでの準備と目標設定の考え方

この記事は、「これから不動産投資を始める方」を対象としています。

「年金だけに頼る老後は心配」、「給与以外の副収入を得たい」など、不動産投資に関心をお持ちの人は多いのではないでしょうか。

興味はあるものの、不動産投資ってどうやって始めたらいいの?やり方が分からず、入り口で立ち止まってしまっている人のために、不動産投資を始めるまでの流れを詳しくご紹介しましょう。

まずは不動産投資の全体像を知る

「不動産投資」とひとことで言っても、収益の上げ方はその手法によって異なります。

ここでは、それぞれの投資手法について詳しく説明するとともに、物件の収益力を測るためには必要不可欠な利回りの計算方法についてもご紹介しましょう。

不動産投資の儲けとは

不動産投資には、儲け方の仕組みが異なる2種類の手法が存在します。

  1. 購入した物件を後に売却することで得られる売却益を目的とした手法(キャピタルゲイン)
  2. 購入した物件を賃貸して得られる家賃収入を目的とした手法(インカムゲイン)

不動産投資を始めるにあたって一番初めに決めなければならないのが、これら2種類のうちどちらの手法を取るかということ。自分の投資スタイルや不動産投資を始める理由、投資期間などを考慮しながら、どちらのスタイルを取るべきかを検討することになります。

インカムゲインとキャピタルゲイン

キャピタルゲインとは、価格が上昇した資産を売買することによって生じる利益のことを言います。

株式投資をイメージしていただくと分かり易いかもしれません。500円で購入した株式を1,000円で売却することで得た500円の利益は、キャピタルゲインということになります。

これを不動産投資に当てはめて考えてみましょう。500万円で購入した不動産を1,000万円で売却することで得られた500万円の儲け。これが不動産投資におけるキャピタルゲインです。

資産を売却することで収益を得るキャピタルゲインに対し、インカムゲインとは資産を保有することで上げる収益のこと。インカムゲインには次のようなものがあります。

  1. 不動産から得られる家賃収入
  2. 株式の配当金
  3. 預貯金の利子

資産を保有していることで得られるこれらの利益。

よく不労所得と言われることもありますが、不動産投資においては決して「不労」所得ととらえない方が良いでしょう。

修繕や掃除、室内装飾、セルフDIY、管理会社や仲介会社との折衝、入居者の賃貸付けなど、大家としての仕事は実に多岐に渡り楽ではありません。

しかし、こうした手間を惜しまない経営努力は、収益や稼働率の差となって必ず報われます。

不動産投資の利回り計算

アパートや区分所有マンション(ワンルームマンション)などの収益物件の広告で、「利回り〇〇%」という表現をよく目にすると思います。利回りとはどのようなものなのでしょう?

利回りとは投資額に対して得られる利益の割合のこと。

投資額をどのくらいの期間で回収することができるかといった、物件が持つ収益力を判断するための指標として用いられています。そして、利回りには大きく分けて次の2種類があります。

1. 表面利回り(グロス利回り)

年間収入を物件価格で割った値が表面利回りです(下記計算式参照)。

販売図面に掲載されている利回りのほとんどが、この表面利回りということになります。表面利回りの方が実質利回りよりも高いというのがその理由。収益力がある物件のように見せることで、お客さんへの訴求力を高めようというわけです。

表面利回り(%)=年間収入÷購入価格×100

家賃9万円の部屋が10世帯、購入価格1億円のマンションを例に、表面利回りを計算してみましょう。上記の計算式に当てはめると、

表面利回り=1,080万円(9万円×10世帯×12ヶ月)÷1億円×100

となり、このマンションの表面利回りは10.8%ということになります。

2. 実質利回り(ネット利回り)

一方実質利回りは、次に挙げる不動産を維持管理していく上で必要な経費(年間支出)を家賃収入から差し引いた額を購入価格で割った値になります。

  • 修繕費
  • 管理委託費
  • 火災保険料
  • 固定資産税

実質利回りは、次の計算式によって求めることができます。

実質利回り=(年間収入-年間支出)÷購入価格×100

先述の1億円のマンションを例に、このマンションの実質利回りを求めてみましょう。年間に支払う修繕費を10万円、管理委託費を32万4,000円(年間家賃の3%)、火災保険料を2万円、固定資産税を50万円と仮定します。これらを上記計算式に当てはめてみましょう。

実質利回り=(1,080万円-(10万円+32.4万円+2万円+50万円))÷1億円×100=9.856%

このように、この例では表面利回りに比べて実質利回りは1%ほど低いという結果になりました。

また、さらに厳密な実質利回りを求める際は、購入費用に登記費用や不動産取得税、印紙代なども含めて計算する必要があり、実質利回りはさらに低くなります。

常に満室ということはあり得ないので、実際に購入を検討する際は、稼動率を90%として計算するなどある程度の空室を見込んで計算しておけば、より安心でしょう。

融資を受けるか現金でやるか

投資効率の良い物件を見分ける指標である利回りをご理解いただいたところで、次は資金調達について解説したいと思います。

他の投資と異なり、不動産投資では物件の購入に多額の資金が必要になります。

それがネックとなって初めの一歩がなかなか踏み出せない人も多いことでしょうが、金融機関から融資を受けられるというのも不動産投資ならではの特長です。つまり投資とは言いつつも、金融機関は不動産投資を業としてとらえてくれているのです。

銀行融資を使う場合

不動産と言う高額な商品になると、現金で購入する人の方がむしろまれと言えます。物件を購入する際、大多数の人は金融機関から融資を受けることになります。

評価額が高い物件であれば、自己資金を充てずに購入費用を銀行からの借入れのみでカバーすることも可能です。

しかし、購入費用全額を融資で賄うと利息や返済額の負担が増えてしまうため、購入費用の2割程度の自己資金を用意するというのが一般的です。

金融機関によってその特色も異なり、アパートローンに積極的なところもあればそうでないところもあります。

また、事業計画や実績がしっかりしていれば低利で融資を受けられる銀行もあれば、高めの利率である程度の属性が求められるものの、不動産投資の実績が伴わない人にも積極的に融資を行う銀行があるなど、実にさまざまです。

融資してもらいたい案件を持ち込む金融機関の種類によっても対応が異なります。銀行では断られたにもかかわらず、信用金庫に行ってみたら融資してもらえたということは決して珍しくありません。

主に地域住民が利用する信用金庫は、地域の繁栄を図る相互扶助を目的とした金融機関。利益最優先ではなく、中小企業や個人を対象とした取引が中心となるため、銀行に比べて融資を受けやすいという特長があります。

そして、不動産投資始めたばかりの人におすすめなのが日本政策金融公庫。

中小企業や個人事業主を対象として融資を行う政府系金融機関です。金利が低く審査にもある程度融通が利くという特長があり、不動産投資初心者のみならず実績のある投資家にも高い人気を誇っています。

購入した不動産を担保として提供することや、賃貸用の不動産を購入することが要件となるため、キャピタルゲインを目的とした不動産の購入は融資対象となりません。1%台という低い金利も魅力ですが、借入期間は最長でも10年(例外あり)と短いことには注意が必要です。

いくら金利が低くても、借入期間が短いと毎月の返済の負担が大きくなります。利回りが低い物件ではその物件から得られる家賃収入だけでは足りず、返済費用を補填する必要が生じる可能性もあるためです。

現金決済で進める場合

現金で不動産を購入することはまれだとお話ししましたが、現金決済をおすすめするケースもあります。1,000万円以下の比較的安い物件を購入する場合などが、それにあたります。高利回りの物件には、申込みが複数入ることが予想されます。

申込みの金額が同じであれば、売主としては確実に決済できる現金での購入希望者を優先することでしょう。融資利用の場合、例え1番手で申込めたとしても安心することはできません。

融資の承認が下りなかったことを想定して、売主が申込み順位が下位の購入希望者と話を進める可能性も十分に考えられるからです。現金決済をすれば、そうした事態を避けることができます。

また、相続など不動産の売却を急ぐケースでは、現金での決済が好まれます。売主は、不動産を一定期間内に売却して現金を用意しなければならないというのがその理由です。

このような場合、融資利用予定の先順位の購入希望者がいたとしても、より低い金額ではあっても現金決済を予定している後順位の購入希望者を選ぶことも考えられます。よって、売却理由を把握しておくも大切になります。

レバレッジがスピード差となる

レバレッジという言葉をご存知でしょうか?レバレッジとは「てこ」のこと。小さな力で大きなものを動かすのに利用するてこの原理を、融資を利用して自己資金の何倍もの投資を行うことに置き換えた表現です。

投資の世界では、レバレッジを効かせるなどという使い方をします。不動産投資の場合、レバレッジによってどのような効果が得られるのか、考えてみることにしましょう。

自己資金600万円を用意し、利回り15%・3,000万円のアパートを購入するとしましょう。

利率2.5%にて銀行から20年の返済期間で2,400万円を借り入れるとしましょう(元利均等払い)。年間の返済額は約153万円ということになります。この条件の物件を1棟目は融資を受けて購入するとします。そして、2棟目以降は自己資金のみで購入していくケース(1)と、2棟目以降も600万円の自己資金が用意できた段階で融資を受けながら物件を買い増していくケース(2)を考えてみましょう。

ただし、両ケースとも購入した物件から得られる収入のみを、次の物件購入費用に充てるものとします。

1. ケース1自己資金のみ

利回り15%・3,000万円のアパートから得られる年間の家賃収入は約450万円です。そこから返済額を引くと年間約297万円が手元に残ることになり、2棟目の購入までには約10年を要することになります。

収益力が2倍になるため、3棟目の購入は5年後、4棟目はさらに3年4ヶ月後ということになります。

2. ケース2融資を使う

1棟目購入後約2年で600万円が貯められるケース2では、1棟目を購入して2年後には2棟目を購入することができます。

すると、3年目の年間収益は600万円となり3年後にもう1棟アパートが増えることになります。そして4年目の収益は900万円となり、その年のうちにもう4棟目のアパートが購入できることに。

レバレッジを使うことでどのような効果がえられるのか、上記2ケースの比較でご理解いただけたことでしょう。効率よく投資規模を拡大していくためには、レバレッジの利用は必要不可欠と言えます。

不動産投資の目標設定

みなさんはなぜ不動産投資を始めてみようと思ったのでしょう?百人百様、不動産投資を始めるきっかけが異なるように、不動産投資の目標も人によってさまざまでしょう。

ここでは、目標から考える不動産投資のスキームについてお話しすることにします。

自分にあった方法は目標次第で決まる

不動産賃貸を本業にしてマション経営をガンガンしていきたいと思っている人が、年金以外に数万円の収入を得られるようになりたいと考える人と同じ手法を取っても目標を達成することは難しいものです。

また、損失を計上することで所得税の還付を目的とする人と、相続税対策の一環で不動産を購入する人とでは、投資対象となる物件の特徴が異なります。不動産投資では、適材適所自分の目標に合った方法を選ぶことも大切になります。

そう考えると、短期間に大きな利益を得るチャンスがあるキャピタルゲイン狙いと、ビジネスとして着実にインカムゲインを得るという手法、不動産投資がこの2種類に大別されることにも納得できるのではないでしょうか。

また、目指すべき目標によって取れるリスクも変わり、自ずと取るべき戦略が見えてくるのです。

目標は期限と金額を設定する

前章で

  1. 本業としての不動産賃貸
  2. 生活費の足しとして行う不動産投資
  3. 所得税の還付を目的とする不動産投資
  4. 相続税対策

を例に挙げました。いずれも言葉で表した目標ですが、これらをより具体的に表現すると次のようになります。

  1. 会社員(サラリーマン)を辞める5年後までに、現在の給与所得と同じ額を不動産賃貸で得られるようにすること
  2. 60歳を迎えるまでに、不足する生活費5万円を不動産投資で確保できるようになること
  3. 毎年、不動産からの収益が赤字になること
  4. 死ぬまでに取引価格に比べて相続税評価額が低い不動産を購入すること

つまり不動産投資の目標は、いつまでにいくら得られるようになりたいのかという期限と金額を用いて表すことができるのです。

そして、このような目標設定をすることで、投資の方向性もおのずと見えてくるようになります。

目標次第で探すべき物件が見える

数値化された目標を見て既にお気付きの人もいることでしょう、目標が違えば投資対象も異なるということに。

不動産賃貸を本業にしたいのであれば1棟物のアパート経営やマンション、老後の備えであれば10万円程度の家賃収入が得られる区分マンション、所得税の還付を受けたいのであればなるべく多くの減価償却費を計上できる物件に投資し、相続税対策では路線価と販売価格を参考に物件を探すべきでしょう。

不動産投資が成功するかどうかは、明確な目標を持つことができるかどうかに掛かっていると言っても過言ではないかもしれません。もちろん、成功のためにはマンション経営や賃貸管理の知識などをセミナーや本などから勉強する必要がありますが。

目標設定について理解ができたら、次は不動産投資を始める具体的な準備の話へと続きます。

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もりお@不動産投資の森編集部

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