不動産投資珍問答

土地転がしとは?違法なの?儲かる仕組み

投稿日:2018年11月1日 更新日:

こんにちは。仙台で小さなアパートを経営しているhayasakaです。

バブルの頃「土地ころがし」というフレーズが話題になりました。

バブル紳士と呼ばれた人々の中には、この土地ころがしで巨万の富を手に入れた人も少なからずいました。

あれからおよそ30年。

不動産投資を目指す方の中には、バブル時代を知らない世代も増え、土地ころがしという言葉も忘れ去られようとしています。

しかし、土地ころがし(転売)自体は現在でも可能であり、一歩間違えれば負の資産を抱え込みかねないリスキーな不動産投資のひとつでもあります。

そこで今回は、土地ころがしの基礎知識と注意点、これからの不動産投資で成功する方向性などについて学んでいきたいと思います。

今回も、落語風の問答にしてみましたので気軽に読んでください。

ご隠居:アパート投資に明るい、横丁の物知りご隠居

熊さん:大家さん稼業を夢見る少しだけテンネンな大工さん

【ご隠居と熊さんの不動産投資珍問答】

いまや「土地ころがし」では、儲けなんぞ残らねぇ。

“土地ころがし”の基礎知識

土地ころがしとは

ガラッ!

熊さん

ご隠居!

力のある若いもんを知らねえか?

ご隠居

また熊さんかい。

何だい今日は?

熊さん

何って、いっちょ土地でも転がして儲けようと思いやしてね!

ご隠居

転がす?

土地を?

ほぉー、また何か吹き込まれたとみえる。

詳しく話してごらん。

熊さん

聞いて驚くな!

ここだけの話だが、うちの棟梁が昔、土地を転がして大儲けしたらしいんだ。

ご隠居

棟梁が土地を転がして…なるほど。

で、熊さんはどういうカラクリで儲けたと考えたんだい?

熊さん

さぁ、そこだ!

恐らく若いもんをズラッと揃え、ここいらの安い土地を引っぺがして、銀座あたりまで転がして行って高く売った、というのがおいらの読みだ。

どうだい、冴えてるだろ?

ご隠居

呆れたね…。

いいかい、熊さん、土地ころがしというのは地面を引っぺがして転がすことなんかじゃあない。

熊さん

じゃ、なんだって言うんだい。

ご隠居

大体、土地と言うのは、その場所の所有権だ。

どこかに持って行くことなどできやしない。

土地ころがしというのはな、土地を安く買って高く売る、いわゆる転売のことだ。

熊さん

それが何で“転がす”ことになるんで?

ご隠居

昔、土地がものすごい勢いで値がりしていた時期があってな、その頃は土地を仕入れれば、数か月後には値上がりしているという凄まじい時代だ。

例えばAさんが1000万円で仕入れた土地を半年後にBさんに2000万円で売り、Bさんはその半年後にCさんへ4000万円で売るというような事が日常茶飯事だった。

熊さん

同じ土地が、所有者を転々とするだけで値が上がるってことかい?

ご隠居

そういうことだ。

おそらく土地の名義をコロコロと転がすから、土地ころがしと言ったんではあるまいか。

それでも買い手はいくらでもいたから、中にはAからBへ転売し、さらにBからAに転売するなんてことを繰り返して値を吊り上げるなんて事も行われていたんじゃ。

これが地価の暴騰につながったわけだな。

熊さん

なんだか、濡れ手に粟のボロイ儲け話だが、そりゃご法度じゃないのかい?

土地ころがしは違法か?

ご隠居

安い土地を見つけて高く売るのは違法でも何でもなく、ごく正常な不動産取引だ。

例えば熊さんの知り合いのAさんが金に困り、安くてもいいから急いで土地を売りたがっていたとする。

そして、また別の知り合いであるBさんが居酒屋を建設する土地を探していたとしよう。

しかもAさんの土地が居酒屋にはうってつけの土地だった。

さぁ、熊さんならどうする?

熊さん

そりゃ、Aの野郎にBの野郎を紹介してやらぁ!

ご隠居

口は悪いが人のいい熊さんらしい発想だねぇ。

だが、不動産投資家を目指そうってんなら、それじゃ落第だ。

いいかい、Aさんの土地は居酒屋に最適なんだ。

Bさんなら飛びつくのは当然で、最低でも相場では確実に買ってくれるだろう。

一方、Aさんは急いで売りたがっているわけだから、相場より安くても買える可能性がある。

熊さん

そりゃま、そうなる理屈だな…

ご隠居

そこで熊さんの登場だ。

Aさんから土地を相場よりも2~3割安で買ってやる。

それを今度はBさんに相場で転売すれば、手元に利益が残るじゃねぇか。

熊さん

…ご隠居、お主もワルよの~

ご隠居

何だい、人聞きの悪い。

よく考えてみな、Aさんは熊さんのお陰で現金が手に入る。

Bさんも熊さんのお陰で居酒屋を開けるようになる。

熊さんは両方から感謝されて儲けも残る。

こういうのを“三方一両得”というんじゃ。

熊さん

ものは言いようだねぇ。

しかし、そいつはできねぇ相談だな。

自慢じゃねぇが、あっしには人様の土地をまるごと買うほどの銭なんかねぇ。

ご隠居

足りねぇ分は銀行から借りればいいんだよ。

ある程度の自己資金があれば、銀行に多少利息を払っても儲けを残すことはできるからな。

不動産投資家たるもの、銀行融資をうまく利用することも大事な才覚なんじゃ。

自分の手持ち資金に金融機関の金を足して大きな商いを行う、これをレバレッジを利かすと言うのじゃ。

株式投資の場合にも証券会社からレバノッジを受けて株価の取り引きを行うことがあるだろう?

土地の売却と転売の違い

熊さん

そういうわけなら、いっちょ、おいらの家屋敷を転売して儲けるか!

ご隠居

おいおい、熊さんの家を売りに出したら、一体どこに住むつもりなんだい?

熊さん

あ、そうか…

ご隠居

自宅を売るのは単なる不動産売却だ。

転売というのはあくまでも、ほかの人により高い不動産価格で売ることを目的に土地を買うのが始まりだ。

熊さん

そういうことか。

なら、安く買えて、高く売れる土地はどこにあるんで?

ご隠居

今はそんな土地は、まずないだろうな。

あったとしても不動産屋などの不動産業界関連の企業どもがいち早く押さえてしまうだろう。

熊さん

ちぇっ、そういうことか。

ご隠居

それに、短期間だけ所有して転売すると、税金が高くなるから、儲けを残すのは益々難しくなっているのじゃ。

土地の転売は儲かるのか?

転売に伴う費用と税金

熊さん

儲けを残すのが難しいってぇのは、具体的にいうと?

ご隠居

土地を買って5年以内に転売し、売却益が出た場合は『短期譲渡所得』となり、30%の所得税と、9%の住民税が課税されることになっておる。

熊さん

げ、儲けの4割近くを持って行かれるのか?

ご隠居

しかも平成49年までは『復興特別所得税』としてさらに2.1%がプラスされるからなおキツイ

無論、物件購入の際にも、登録免許税や不動産取得税、仲介手数料などの少なからぬ不動産所得による“諸費用”がかかってくるのは言うまでもない。

熊さん

なるほどね。

ちなみにご隠居、さっき、5年以内の転売と言っていたが、5年以上持っていればどうなるんで?

ご隠居

いい質問だ。

5年以上持っていて売却益が出た場合は『長期譲渡取得』となり、所得税は15%、住民税が5%となる。

熊さん

短期譲渡所得の大体半分になるわけだな。

じゃあ、土地を買ったら5年以上寝かせておけば儲けが出る可能性があるってわけかい?

ご隠居

いやそもそも、人口減少・家余り時代に突入している今、値上がりする土地自体がごくわずかと言われておる。

日本中の9割ぐらいの土地は、横ばいか値下がりを続けるだろうとみる専門家もいる。

熊さん

マジか…

ご隠居

当然のことだが、買った時よりも少しでも値を上げない土地はいつまでも転売できない。

諸費用が掛かっている分、損するだけだからな。

しかも固定資産税だけは毎年容赦なく掛かってくる。

まさに負の資産でしかなくなるのだ。

マイホームの転売には3000万円の控除

熊さん

なるほど、再び不動産バブルにでもならない限り、土地の転売で儲けるのは絶望的というわけだな…。

でも、ご隠居、転売でそんなに税金がかかるようでは誰も土地を売らなくなるのではないのかい?

ご隠居

さぁ、そこだ。

もともと、短期譲渡所得税制は、土地ころがしによって地価が暴騰するのを防ぐ目的で導入したものじゃ。

いわゆる“投機”を目的とした不動産会社や投資家を想定したもので、個人のマイホーム売却には3000万円の控除額を設定する事で、短期譲渡所得税制は不動産業者にのみ適用となり、個人にはこの制度が及ばないように配慮してあるのじゃ。

熊さん

なるほど、うまいこと考えたものだ。

ご隠居

だから、たとえばオンボロ住宅を熊さんが買い、大工の腕を生かして新築みたいにリノベーションしてから転売すれば、それなりの転売利益を手に入れることは、こんな時代でも可能かも知れないね。

今後、不動産投資で成功するには

キャピタルゲインとインカムゲイン

熊さん

なるほどねぇ。

ではご隠居、これからの時代、不動産投資で儲けるにはどうしたらいいんで?

ご隠居

不動産投資には『キャピタルゲイン』と『インカムゲイン』のふたつの儲け方があるのは知っているな?

熊さん

あ、ああ、キャタピラとチューインガム?

ご隠居

・・・。

キャピタルゲインは土地や建物を転売して利益を生み出すことで、土地ころがしはその一つだ。

もう一つのインカムゲインは、アパートやマンション、ビルなどの不動産を手に入れ、賃料収入で利益を確保していくものだ。

熊さん

要するにキャピタルなんたらは、不動産売買そのもので儲け、インカムなんたらは不動産に働かせて儲けるって寸法だな?

ご隠居

まぁ、そういうことだ。

これからの時代、土地が値上がりするのはごく一部に限られるだろうから、キャピタルゲインはまず期待できない。

従って、アパートやビル、貸店舗など、借り手の見込める良質な不動産に投資し、堅実な経営を目指すことが、これから不動産市場で儲ける王道になるだろうな。

熊さん

これからの不動産投資は、人様に貸して店賃を頂くという堅実な経営かぁ…。

こいつぁ、勉強になった!

ご隠居、またくらぁ!

ドンガラ、ガッシャーン!

ご隠居

あーあ、またあんなところで蹴つまずいていて道に転がってやがる。

まさに、“熊ころがし”だ…

まとめ

土地ころがしそのものは、違法でも何でもなく、転売という正常な不動産取引。

安値で買って高値で転売し、売却益を手にすることは理屈の上では今でも可能です。

しかし、人口減少・家余り時代が加速していく今後は、転売によって売却益を出すことは益々困難になって行くでしょう。

しかも、バブル以降、短期譲渡所得に対して40%にも上る税金が課せられる仕組みとなっており、バブル時代のようなキャピタルゲインを手にすることは望むべくもありません。

これから不動産投資で成功するには、アパートやビルなどの賃料収入で利益を確保する、堅実なインカムゲインを目指すべきです。

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hayasaka

仙台でアパート経営を行う、ベテランライター。広告コピーの他、漫画の脚本や小説も手掛ける、典型的な器用貧乏。「間違った不動産投資で人生を棒に振らせてはいけない」を信念に、まだまだ甘言がはびこる不動産投資界に警鐘を鳴らしつつ、堅実でクレバーな不動産投資を提案しています。

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