不動産投資の税金

サラリーマンが不動産投資で節税できるって本当?仕組みを解説

投稿日:2017年11月15日 更新日:

節税対策としてしばしば話題になる不動産投資ですが、その仕組みをご存知ない人も多いのではないでしょうか。

そもそも、本当に不動産投資なんか節税ができるのか、懐疑的な人もいることでしょう。そのような人のために、不動産投資と節税の関係について、検証してみることにしましょう。

不動産投資をするとサラリーマンは節税できるという営業マン

みなさんは、投資物件のセールスマンからの電話を受けたことはありませんか?

「ワンルームマンションで不動産投資を始めれば、節税することができますよ!」

そのようなセールストークで、一定以上の収入があるサラリーマンの興味を引こうというものです。

節税

「節税」という言葉に、サラリーマンはなぜ反応してしまうのか?多くのサラリーマンは、所得の20~30%にも及ぶ税金を納めています。

それほど多くの税金を納めているサラリーマンが、「できることなら税金を納めたくない!どうにかして納税額を減らせないものだろうか?」、そう考えるのは至極当然でしょう。

口座への入金を確認するだけで、給与明細の内容など気にしないという人も多いのではないでしょうか。そのような人は、いちど給与明細を確認してみてください。自分が納めている税額の多さに、きっと驚くことでしょう。

下記の表は、日本のサラリーマンの平均年収と所得に対する税率を表しています。これらを参照することで、サラリーマンがいかに多くの税金を納めているのか、ご理解いただけることでしょう。

表1. 年代別平均年収

年代 平均年収
全体 男性 女性
20代 354万円 374万円 324万円
30代 467万円 501万円 390万円
40代 564万円 616万円 425万円
50代 701万円 744万円 461万円

表2. 所得ごとの税率(所得税率+住民税率)

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

では、不動産投資によって節税することは本当に可能なのか?これから考えてみることにしましょう。

個人の所得税を節税するには減価償却による赤字計上

減価償却費は、不動産投資の経費のなかでもとりわけ大きなウェイトを占めるもの。

一般的に、10万円未満の品物を購入したときには、「消耗品費」という科目で仕訳をすることができます。

ところが、建物や車、機械など、複数年にわたって使用するであろう10万円以上の物品は、減価償却資産という扱いになってしまいます。

そして、減価償却資産の取得に要した費用については、全額をその年の必要経費として計上することはできません。

その代わりに、資産の使用可能期間(耐用年数)の全期間にわたって、毎年分割して必要経費(減価償却費)として計上していくことになります。減価償却とは、この手続きのことを言います。

減価償却

減価償却費の計算方法には、定額法と定率法の2種類あります。不動産投資で必要となる建物の減価償却費の計算には、毎年一定額の減価償却費を計上していく定額法が用いられることになります。

取得金額1,000万円、耐用年数10年の建物の減価償却費は100万円ということになり、それを10年にわたって償却することになります(下表)。

そして、10年が経過すると減価償却資産の残存価額は1円になり、償却は終了します。減価償却費を算出するために必要となる耐用年数については、後述することにいたします。

表3. 定額法による減価償却費の計算例(建物価格:1,000万円・耐用年数10年)

償却額 償却累計額
1年目 1,000,000円 1,000,000円
2年目 1,000,000円 2,000,000円
3年目 1,000,000円 3,000,000円
4年目 1,000,000円 4,000,000円
5年目 1,000,000円 5,000,000円
6年目 1,000,000円 6,000,000円
7年目 1,000,000円 7,000,000円
8年目 1,000,000円 8,000,000円
9年目 1,000,000円 9,000,000円
10年目 999,999円 9,999,999円

ここで注目していただきたいのが、減価償却費という経費の特長です。

消耗品費や管理委託費と異なり、減価償却費は実際の支出を伴いません。そのため、減価償却費をいくら計上しても、手持ちのキャッシュが減ることはありません。

その一方で、経費計上した減価償却費は、課税対象所得から控除されることになります。つまり、減価償却費を多く計上できる物件を取得することで、高い節税効果が期待できるというわけです。

大きな赤字計上になるのは初年度のみ

始めて物件を購入した人は、その年の赤字額の大きさに戸惑うかもしれません。

そして、還付された所得税の多さに喜ぶ人も多いでしょう。しかし、これは一過性のもの。物件を購入すると、仲介手数料や登記費用、印紙代、不動産取得税など、高額な出費が立て続けに発生します。

これらは物件を購入した年の経費として計上されることとなり、その年は高い確率で赤字決算になってしまうのです。

よって、もし物件の購入がなければ購入費用も発生しないので、翌年には計上できる経費の額は大幅に減ることになります。物件を購入した年と同程度の還付を、翌年以降も受け続けられるわけではないことに、注意する必要があります。

赤字申告

購入初年度の具体的な節税例

具体例な説明に入る前に、減価償却費の算出に必要な耐用年数について説明いたします。

耐用年数は、減価償却資産ごとに定められた法定上の使用可能期間(法定耐用年数・表4参照)から算出することになります。

表4. 建物の法定耐用年数

構造 法定耐用年数
木造 22年
軽量鉄骨造 19年
重量鉄骨 34年
鉄筋(鉄骨)コンクリート造 47年

新築の建物であれば、法定耐用年数がその建物の耐用年数ということになります。では、中古の物件の耐用年数は、どのように算出したらよいのでしょう。

中古物件の耐用年数は、築年数が法定耐用年数を超えている場合と、築年数が法定耐用年数の一部を経過している場合で算出方法が異なります。

築年数が法定耐用年数を超えている場合

このケースに該当する建物の耐用年数は、法定耐用年数に0.2を乗じた値になります。例えば、築30年の木造住宅の耐用年数は、22年(木造住宅の法定耐用年数)×0.2=4年(小数点以下切り捨て)ということになります。

築年数が法定耐用年数の一部を経過している場合

これに該当する建物の耐用年数は、つぎの計算式で算出することができます。

耐用年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2

このケースに該当する、築5年の木造住宅の耐用年数は、つぎのように計算することができます。

築5年の木造住宅の耐用年数=(22年-5年)+5年×0.2=18年

築年数が法定耐用年数の一部しか経過していない建物の耐用年数は、法定耐用年数から経過年数を引いた値ではないという点に気を付けるようにしてください。

これを踏まえて、500万円の給与所得がある人が利回り10%・2,000万円の物件を購入した場合、どの程度の減価償却費を計上することができるのかを試算してみることにしましょう。

また、その年にどのくらいの節税効果が期待できるのか、つぎの2つのケースに分けて考えてみたいと思います。

一般的に、購入時に必要となる諸経費は、物件価格の8%ほどと言われています。そのため、仲介手数料や登記費用などの購入費用は、両ケースとも同額の160万円と仮定して、節税効果を試算することにします。また、両ケースともオーナーチェンジ物件を1月1日に取得したものとします。

例 基本情報

ケース1 – 築25年の戸建て(土地1,800万円・建物200万円)

法定耐用年数を超えた戸建ての場合、建物の価値は著しく低くみなされます。減価償却の対象となる建物の価額を100万円として計算すると、建物の耐用年数は4年ということになります。

その場合、建物購入費用に当たる200万円を4年かけて償却することになります。つまり、物件を購入した年には50万円は減価償却費を計上できることになります。

本ケースでは、初年度に不動産から200万円の収益があげられる一方で、合計210万円の経費(諸経費+減価償却費)を計上することができます。

よって、不動産による収益は10万円の赤字ということになります。不動産所得は、本業であるサラリーマンとしての給与所得と合算(損益通算)することができるため、この場合の所得の合計額は500万円-10万円=490万円になります。

そして、表2に記載の税率を参考に計算すると、所得が500万円から490万円に10万円減ることで、2万円の所得税還付を受けられるという結果に。

ケース1

ケース2 – 築5年の区分マンション(土地200万円・建物1,800万円)

多くの世帯が入居するマンションでは、各区分の購入価格に占める土地の割合は低くなる代わりに、建物の占める割合が高くなります。

そこで、建物が占める価格を1,800万円とし減価償却費を計算することにします。先述の式に当てはめて計算すると、この区分マンションの耐用年数は43年。

つまり、1,800万円を43年かけて減価償却することになり、初年度の減価償却費は41万8,604円ということになります。

本ケースでも200万円の家賃収入があげられますが、計上できる経費の額は201万8,604円にとどまります。そのため、赤字額もケース1より少ない1万8,604円です。給与所得と損益通算した所得の合計は、498万1,396円ということになり、表2と照らし合わせると、還付される所得税は3,700円ほどと、さほど多くはありません。

ケース2

上記の例を比較すると、築古戸建てを購入した方が減価償却費を多く計上することができるため、節税効果が高いようにも思えます。

しかし、よく考えてみてください。築古戸建ての償却期間は僅か4年ですが、対する築浅マンションの償却期間は43年にも及びます。

つまり、ある程度長期間での保有するようであれば、長期間償却し続けられる築浅の区分マンションに軍配があがります。このことから、購入物件から短期間で集中的に節税効果を得たい人は、築年数が法定耐用年数を超えた築古戸建てを、減価償却費を計上することで長期にわたる節税効果を得たい人には、新築または築浅区分マンションの購入がおすすめと言えます。

上記の例では、便宜上、購入費用と減価償却費のみを経費算入していますが、実際には管理費や修繕積立金なども経費計上することができるため、より大きな節税効果が期待できます。

不動産投資にはほかにどのような経費が認められているのか、次の章でご紹介しましょう。

建物と土地の割合について

戸建などで耐用年数を越えている物件の場合、建物を大きく取ればとるほど所有期間数年の節税効果は大きくなります。しかし、「建物をいくらで設定するか?」というのは法律で決まっているわけではなく、通常は土地の路線価などを確認して残りを按分したりします。

修繕や補修を行った場合には建物の価値を大きく取れますが、意味もなく土地1割、建物9割などで計上するのは税務署から指摘が入るケースも考えられますので注意が必要です。

不動産投資の経費として計上できる項目

減価償却費のほかにも、不動産投資にはさまざまな経費が認められています。どのような経費が認められているのか、主なものをご紹介しましょう。

1. 修繕費

ルームクリーニングや畳の交換、クロスの貼り替えなど、物件の維持管理費用や退去後の原状回復費に必要となる費用。

以下の記事も参考にして下さい。

アパートにかかる修繕費を想定しておこう

2. 管理委託費

賃貸管理会社やマンションの管理組合に支払う管理費など。

3. 交通費

物件訪問や管理会社との打ち合わせを目的とした移動で必要となる交通費。

4. 通信費

プライベートと不動産投資で通信料を按分し、不動産投資で必要な分を経費計上することができます。

5.新聞図書費

不動産や経済動向を把握するために必要な書籍の購入費用。

6. 租税公課

固定資産税や都市計画税、不動産投資で使う印紙代や切手代など。

7. 損害保険料

建物を対象として加入する火災保険料など。

8. 消耗品費

物件検索に用いるパソコンやプリンターなど、10万円に満たない物品。

9. 接待交際費

不動産会社や不動産投資仲間との打ち合わせや会合などでの飲食代など。

10. 借入金利子

融資を受けて物件を購入した場合の利息も、経費として認められます。

以下の記事も参考にして下さい。

不動産所得に使える主な経費一覧

減価償却による節税は先送りでしかない

減価償却費は、実際の支出を伴わない経費であると説明いたしました。

その説明を読んだ多くの人は、魔法のような素晴らしい経費であると感じることでしょう。

たしかに、物件を所有しているときは素晴らしい経費であることに間違いありません。しかし、物件の売却まで含めて考えるとそうとばかりは言えません。

減価償却とは、建物の簿価を毎年一定額ずつ減じていく手続きのこと。購入して4年後、ちょうど償却を終えた物件を、購入時と同じ条件2,000万円(土地1,800万円・建物200万円)で売却したとしましょう。

この場合、帳簿上価値のない建物が200万円で売れたことになります。

つまり、売却によって200万円の利益を得たとみなされ、その利益に税金が課せられることになるのです。これが譲渡所得税というものです。譲渡所得は所有期間によって短期(5年以下)と長期(5年超)に分けられ、短期に該当するこのケースでは約40%(80万円)もの譲渡所得税を納める必要があります。また、長期譲渡所得でも約20%の税率が課せられることになります。

譲渡所得税

つまり、減価償却による節税は、納税の先延ばしと捉える方がむしろ適切かもしれません。

さらに、譲渡所得に対しては分離課税制度が採用されているため、たとえ本業が赤字であったとしても譲渡所得から本業の赤字分を控除することができません。

節税が目的の不動産投資は危うい

家賃収入を得て収益を上げるというのが、不動産投資の本来の目的です。

節税ばかりに目を奪われてしまい、赤字を出すことが目的になってしまっては本末転倒です。物件の売却で、コツコツと積み上げた節税の効果もいっぺんに吹き飛んでしまうことだって考えられます。

そのようなことにならないためにも、十分な家賃収入を得て黒字経営を続けていくことに主眼を置くべきでしょう。その上で節税に力を注ぎ、より効率的な投資を実現できれば、それに越したことはありません。

以下の記事も参考にして下さい。

サラリーマンが不動産投資を始めるメリットとデメリット

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