不動産投資手法

月極駐車場投資とコインパーキングのメリットとデメリットと徹底比較

投稿日:2018年9月26日 更新日:

土地は保有しているだけで固定資産税や都市計画税などの税金がかかります。

土地の有効活用方法を考えた時、建物の建設や、アパート経営、マンション経営などの賃貸住宅経営のような、コストがかかってしまう事を負担に思う場合には、投資額の少ない駐車場経営を土地活用として検討してみるのも良いでしょう。

駐車場には月極駐車場とコインパーキングの2種類がありますが、この2つには具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

そこでこの記事では、月極駐車場投資とコインパーキングのメリットとデメリットについて解説致します。

メリデメ比較表

月極駐車場とコインパーキングについて、8つの観点で比較を行います。

各項目を〇(優る)、△(普通)、×(劣る)形式で示すと、下表のとおりです。

月極駐車場 コインパーキング
自営
コインパーキング
運営業者に賃貸
収益性 ×
立地条件 × ×
初期投資 ×
安定性 ×
顧客の属性 ×
管理の容易性 ×
経営上のリスク ×
出口の容易性 ×

コインパーキングに関しては、自分で直接コインパーキングを経営する場合と、コインパーキング運営事業者に賃貸する場合では、その難易度は大きく異なります。

実際には、コインパーキングを選択する場合は、コインパーキング運営事業者に賃貸形式が多いです。

そのため、コインパーキングについても運営事業者に賃貸すれば、無理なく始めることが可能です。

上表を見る限り、月極駐車場の方が有利な印象を受けますが、上表はリスクの観点から2つの駐車場形式を比較しているという点にご留意ください。

元々、月極駐車場も、コインパーキングも不動産投資の中ではリスクも収益性も、ともに低い事業です。

両方ともリスクの低い事業であるため、その中でも収益性の高いコインパーキングの方が基本的にはお勧めです。

運営事業者に賃貸する形を取れば、リスクを抑えながらも月極駐車場よりも高い収益性を確保することができます。

ただし、コインパーキングに適していない土地であれば、月極駐車場を選択することになります。

その場合、月極駐車場にはどのようなメリットがあるのかについては、この記事を参考にしていただければと思います。

違いを8つポイントで徹底比較

この章では、月極駐車場とコインパーキングのメリットとデメリットについて、8つのポイントで詳しく解説します。

収益性

収益性に関しては、コインパーキングに軍配が上がります。

コインパーキング運営事業者へ賃貸したとしても、賃料は月極駐車場を上回る傾向にあります。

コインパーキングと月極駐車場の最大の違いは、貸している時間の単位です。

コインパーキングは1時間または30分などを1つの単位としているのに対し、月極駐車場は最低でも1ヶ月を単位としています。

コインパーキングは最小単位を小さくさせることで時間当たりの単価を月極よりも上げています。

例えば、1時間300円の料金設定であるコインパーキングは、24時間の30日分で計算すると、1月で216,000円にもなってしまいます。

1月216,000円の月極駐車場を契約できる人は多くはいませんが、1時間300円のコインパーキングなら停められる人は多くいるため、単価を高く設定することが可能となっているのです。

このようにコインパーキングは時間単価が高いため、必然的に1カ月当たりの売上が月極駐車場よりも高くなります。

収益性に関しては、月極駐車場よりもコインパーキングの方が有利です。

立地条件

立地条件については、広い範囲でできるという意味で、月極駐車場の方に軍配が上がります。

逆にコインパーキングは、立地の重要性が高く、適した土地の範囲が狭いです。

コインパーキングは、原則、利便性の良いところに需要があります。

周辺に駅や、商業施設、観光施設等々、人が多く集まる場所の近くであることが求められます。

一方で、月極駐車場は必ずしも利便性の高いところだけしか需要がないわけではありません。

ひっそりとした住宅地や、郊外の診療所、レストランの近くなどでも需要があります。

ただし、収益性はコインパーキングの方が高いため、まずはコインパーキングから検討してみることが基本です。

コインパーキングの需要が低ければ、その次に月極駐車場を検討してみるのが順番になります。

初期投資

初期投資に関しては、安いという意味で月極駐車場の方が軍配は上がります。

月極駐車場なら、砂利敷きのままでもできますし、各区画のラインもロープを張ることで分けることができます。

それに対して、コインパーキングは最低でもアスファルト舗装などの設備投資が必要となります。

ただし、コインパーキングは、コインパーキング運営事業者に賃貸する場合、アスファルト舗装しなくても貸し出すことは可能です。

コインパーキング運営事業者への賃貸は、アスファルト舗装を行って貸す「施設貸し」とアスファルト舗装を行わずに貸す「土地貸し」の2種類があります。

施設貸しとした方が、コインパーキング運営事業者の初期費用が減るため、賃料は高くなります。

賃料に関しては、施設貸しは消費税が発生するのに対し、土地貸しは消費税が発生しないという違いもあります

また、コインパーキング運営事業者に賃貸した場合、自動精算機やゲート、パークロック(車止めのこと)、看板等は、コインパーキング運営事業者の持ち込み資産となります。

いずれにしても、一般的には月極駐車場の方が初期投資は安いです。

安定性

安定性に関しては、月極駐車場の方に軍配が上がります。

月極駐車場は、一度契約すれば、毎月安定した賃料収入を得ることができます。

一方で、時間貸駐車場は、曜日によっても、時間帯によっても稼働率がことなりますから、売上も異なります。

ただし、コインパーキング運営事業者に賃貸している以上は、賃料収入は安定するため、毎日に収入が変動するようなことはありません。

日々の収入変動は、コインパーキング運営事業者が吸収してくれます。

しかしながら、コインパーキングも継続的に売上を落としてしまうと、コインパーキング運営事業者から賃料減額の申入れがあります。

コインパーキングが売上を落としてしまう典型的なパターンとしては、近くに新たなコインパーキングが新設されるケースです。

特に、自分のコインパーキングよりも良い場所に新たなコインパーキングが新設されてしまうと、多くの顧客を奪われます。

一方で、月極駐車場の方が、新たに別の月極駐車場ができたからと言って、急に解約が増えるようなことは基本的にありません。

月極駐車場は、個々にがっちりと契約しているため、収益の安定性は期待できます。

顧客の属性

顧客の属性は、顧客を選べるという意味では月極駐車場の方に軍配が上がります。

月極駐車場は、個々の契約となるため、一応、相手を知ることができます。

場合によっては貸し出さないという判断をすることも可能です。

月極駐車場には、近所の人や、近くの診療所や店舗が従業員用または来客用に借りたいというニーズがあります。

そのため、月極駐車場は、貸す前から借主の顔が見えていることも多く、安心感があります。

一方で、コインパーキングは、基本的に一見の客が中心です。

どのような人間が借りているのか分からないという不安はあります。

例えば、パークゲートや自動精算機を破壊して立ち去られてしまうリスクもあります。

不特定多数の人に貸す場合は、このような障害リスクは常につきものです。

ただ、コインパーキング運営事業者に貸している場合は、障害リスクはコインパーキング運営事業者に転嫁できます。

コインパーキング運営事業者に貸している限り、顧客の属性に関するリスクは気にする必要はないでしょう。

管理の容易性

管理に関しても、基本的には月極駐車場の方が楽になります。

コインパーキングは、つり銭の補充や緊急対応等の管理が日常的に発生します。

しかしながら、コインパーキング運営事業者や管理会社へ賃貸する場合には、管理の手間はほとんどかかりません。

また、自営でコインパーキングを運営する場合も、管理委託方式を利用することが通常です。

自己経営方式の場合、コインパーキングの管理まで自分でやり出すと大変です。

管理については割り切って、管理業者に委託し、土地賃貸方式にしまうことをお勧めします。

経営上のリスク

経営上のリスクは、放置車両リスクを考慮すると、月極駐車場に軍配が上がります。

コインパーキングでは、車両が置き去りにされることがあります。

意図的にナンバープレートが外されているなど、放置車両の所有者が特定できない場合、経営者は処分に手間がかかります。

一方で月極駐車場の場合は、契約者と連絡が取れる状態のため、放置車両リスクは低いです。

ただし、契約者以外の駐車車両が放置されることもあるため、放置車両リスクはゼロではありません。

しかしながら、月極駐車場では、契約者以外の駐車車両は契約者がすぐに気づくため、早期発見に繋がりやすいです。

不特定多数の人が利用するコインパーキングでは放置車両の発見が遅れやすいということも知っておきましょう。

出口の容易性

出口の容易性も、どちらかというと月極駐車場の方に軍配が上がります。

月極駐車場は、近隣の人が契約することが多く、無くなってしまうと困る存在の駐車場です。

そのため、第三者に売却する前に、一度契約者に購入の打診をしてみることをお勧めします。

例えば、月極駐車場の契約者の中に、診療所や店舗が来客または従業員用の駐車場として借りている場合は、診療所や店舗に打診してみる価値が十分にあります。

診療所や店舗にとっては、営業上、その駐車場は不可欠であるため、できれば購入したいと考えていることが多いです。

場合によっては高く購入してくれることもあります。

自ら買主を探すことができれば、特に不動産会社に仲介を依頼する必要もありません。

売却の糸口をつかみやすいという点では、月極駐車場はメリットがあります。

一方で、不特定多数の人が利用する駐車場は、利用者への売却という話はあまりありません。

コインパーキングは、無くなっても、利用者は他のコインパーキングに移るだけですので、無くなっても誰かの死活問題となる可能性は低いからです。

そのため、コインパーキングは、売却となると不動産業者の力を借りることが必要となってきます

また、コインパーキングは売却時、買主からアスファルト舗装を剥がした状態での引渡を求められることがあります。

アスファルト撤去費用が発生する分、やや売りにくくなります。

まとめ

以上、月極駐車場投資とコインパーキングのメリットとデメリットについて見てきました。

コインパーキングは構造的に月極駐車場よりもリスクは高いですが、運営会社に賃貸することでリスク回避は十分に可能です。

まずは少しでも収益性の高いコインパーキングを中心経営計画を立て、検討することをお勧めします。

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竹内英二

1998年:大阪大学・2000年:大阪大学大学院卒。 日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定や開発用地の仕入れ担当を11年間に渡り従事。オフィスビル・賃貸マンション等の開発も行っていたことから、土地活用・不動産投資の分野に強い。 不動産鑑定士、中小企業診断士、宅建士、公認 不動産コンサルティングマスター、賃貸不動産経営管理士、相続対策専門士、不動産キャリアパーソンなどの肩書を持つ。

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