一棟アパート

地方中古アパート投資のメリット・デメリット

投稿日:2017年11月9日 更新日:

「地方の高利回りアパートを買い進めて脱サラを!」という流れが不動産投資業界に流れていますが、ここはあえて注意喚起の意味を込めて地方中古アパートのメリットとデメリットを書いていこうと思います。

まずは、「地方アパート」の現状に触れてみます。その後メリットとデメリットをまとめていきますので、これから地方のアパート投資を考えている方は参考にしてみてください。

首都圏では3割の収益不動産が「経営困難」に

国土交通省の調べによると、アパートなどの貸家の着工件数は2017年8月現在で3カ月連続の減少となっており、特に三大都市圏では首都圏が6.5%減、中部圏が7.9%減という大幅な減少を示しています(インバウンド需要で盛り上がる近畿圏でも1.2%減)(いずれも前年同月比)。

その背景には、相続税対策としての「地主型アパート」の乱立問題があります。

相続税が改定された結果、都市部において、ある程度の土地を所有する方には莫大な相続税が発生する恐れが出て来たため、節税を目的としたアパート建築がここ数年で一気に増えました。

アパートを建てるだけで固定資産税や相続税を減額できるため、“万が一利益がゼロでもメリットがある”という軽い気持ちでアパート経営に乗り出したオーナーも多かったと見られます。

地主型アパート

しかも、実際の入居状況に関係なくオーナーには毎月一定の家賃を約束する「家賃保証」を謳う業者も多く“一切のリスクがないのなら素人にも安心だ”と勘違いしたオーナーさんも少なくなかったようです。

しかし、需要を無視して建築されたアパートは当然「過剰供給」となり、空室の大量発生を招きます。

これは、既存のアパートにも甚大な悪影響をもたらすのは当然で、首都圏では実に3割の収益物件が経営困難に陥っているとも言われているのです。

新築アパートには「新築プレミアム」があるので、相続税対策としてここ2~3年で建築したアパートは、まだ高い入居率を維持しているかも知れません。

しかし、あと2~3年もすれば空室が目立つようになり、10年目以降は、魔の「家賃保証見直し」が行われる可能性が出てきます。2割、3割の減額は珍しくないので、一挙に赤字に転落してしまうオーナーの激増が懸念されます。

つまり、現在はまだ“嵐の前の静けさ”を保っているようなもので、本当の嵐は(家賃保証の見直しが始まる)数年後に吹き荒れると見て良いでしょう。そうなれば、家賃相場はさらに低下し、駅から遠いアパートや築古アパートは見向きもされなくなる恐れがあります。

さらに三大都市圏には「2022年問題」が追い打ちを掛ける懸念もあります。これは「生産緑地」として固定資産税などの優遇を受けていた「都市農地」に対する優遇措置が切れる問題で、莫大な土地が一挙に不動産市場に放出される危険性をはらんでいます。

これにより、地価下落や家賃相場の暴落なども考えられ、三大都市圏不動産業界にとっての”時限爆弾“にもなりかねません。

つまり、首都圏などのアパート経営環境は今後、一段も二段も悪化する恐れがあり、不動産投資家としては特に注意が必要な市場と言わざるを得ないのです。

生産緑地
2022年問題

では、それを踏まえて地方中古アパートのメリットとデメリットに触れていきます。

地方中古アパートのメリット

三大都市圏のリスクが高いなら、地方都市はどうでしょう。

人口減少社会に突入した今、地方都市の不動産市場にも大きなリスクが横たわっています。すでに中小の市町村では若者の都市部への流出が始まっており、今後ますます加速することが予測されています。

ある統計では、2040年ごろには全国の自治体が半減する(およそ900の自治体が消滅)とも言われており、そのような場所では不動産投資は成り立たなくなる恐れがあります。
人口減少

可能性が残るのは「政令指定都市」などの地方中核都市。

政令指定都市は人口50万人以上の都市が指定されるもので、現在、大阪、名古屋、京都、横浜、神戸、北九州、札幌、川崎、福岡、広島、仙台、千葉、さいたま、静岡、堺、新潟、浜松、岡山、相模原、熊本の20市が指定されています。
政令指定都市

これらの政令市は都市インフラが整い、教育や仕事、商業・文化施設などの環境が充実していることから若者の流入が期待できる都市と言えます。

土地価格が首都圏よりも大幅に安いため、不動産投資のハードルが低いのが魅力です。特に中古アパート投資には利点が多く、いくつか紹介しましょう。

高利回り

地方の中古アパートは、首都圏などに比べて安価な物件が豊富です。

土地も広めなので、無理に詰め込んだような間取りの物件は少なく、風呂・トイレ別は当たり前。このため家賃もそれなりに設定でき、安い取得費用と高めの家賃収益によって、首都圏などに比べて高利回りが期待できます。

想定利回り10%オーバーどころか、20%、30%を超える“高利回り物件”も珍しくはありません。
高利回り

リスクに強い

空室リスクや金利上昇リスクなどに対する対応力は、自己資金の割合で決まります。

つまり、自己資金が多ければ借り入れは少なくて済み、その分、家賃収入に占める返済比率が小さくなり、少々空室が出たり借入金利の上昇、修繕が発生したりしてもビクともしないわけです。

地方の中古アパートは価格が安い分、自己資金の割合を大きくできるため、特に資産を持たないサラリーマンでも、安定経営を行うことが可能になります。

融資が受けやすい

アパートは単なる住宅と違い、家賃という収入の見込める不動産です。

従って金融機関は、アパートの収益性を計算して価値を判断することになります。首都圏に比べて物件が安く、それなりの家賃収入が見込める地方の中古アパートは「収益還元法」で高い評価が得られ、その分融資が受けやすくなります。

また、「積算評価法」でも、首都圏では売価が積算評価を下回る事は少ないのに対し、地方の中古アパートの場合は、売価が積算評価を下回る物件も少なくなく”資産性が高い”ということで、融資が受けやすい傾向にあります。

ただし、融資の受けやすさとアパート経営の成功は別問題であり、物件をしっかり目利きすることが重要なのは、言うまでもありません。

手の届く物件が増える

不動産価格が高止まりしている首都圏では、資産家でもない限り投資用アパートを手に入れることは困難です。

駅から遠く、狭くて使い勝手の悪い、老朽アパートなら手に入るかもしれませんが、今後賃貸市場が冷え込む可能性がある首都圏では、見向きもされなくなる危険性すらあります。

しかし、全国に視野を広げると、同じ自己資金でも手に入るアパートの質と量は飛躍的に広がります。
投資対象物件豊富

ローン完済が早い

ローンが少なくて済めば、完済までの期間も短くできます。金利がいずれ上昇局面を迎えることを考えると、ローン完済が早いのは大きな安心材料です。

また、アパート投資の本当のウマミは、ローン完済後にあります。ローン完済が早ければ、たとえば築20年台のアパートであってもローン完済後もしばらくは稼ぎ出してくれることが期待でき、少々古いアパートでも投資価値が出るのです。

地方中古アパートのデメリットと注意点

反面、地方中古アパート投資に乗り出すには注意点もあります。

若者の人口動態に注意

中古アパートも、購入後20年、30年と運用できなければウマミはありません。

つまり、ローン完済後に、どれだけ長く稼ぎ出してくれるかが重要なので、築30年、40年という中古アパートへの投資はお奨めできません。築10年台のアパートなら、ローン完済後も10年や20年は稼ぎ続けてくれる可能性が高く、狙い目です。

ただし、その場合、30年、40年後の地域人口がどうなるかを検討しておくことも忘れてはなりません。今後、若者の流出に歯止めがかからないような中小の市町村では、ローンが終わるころには借り手である若者が激減している可能性もあるからです。

インターネット上には将来人口の推計が掲載されているので、判断の目安にすると良いでしょう。

日本の地域別将来人口はこちら
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/3kekka/Municipalities.asp

現地チェック

現地に足を運ぶこと

インターネットで検索すれば全国の収益不動産が簡単に見つかる時代です。

しかし、土地勘のない場所の中古アパートを、現地も見ずに購入するのは危険です。想定利回りはあくまでも満室になった場合の試算でしかなく、実際には物件周辺はターゲットとなる若者が少ない場合や、周辺はアパートが多すぎて空室だらけであることもしばしばです。

近くにゴミ屋敷があったり、工場からの匂いや騒音が酷かったり、消防署が近く頻繁にサイレンが鳴り響くエリアかも知れません。このように、収益不動産を購入しようと思ったら、どんなに遠い場所であっても必ず現地に足を運び、自分の目と足でチェックするのが鉄則となります。
信頼できる管理会社を見つける

地方でアパート経営を成功できるかどうかは、信頼できる管理会社が見つかるかどうかが大きなカギを握ります。しかし、地方都市では信頼できる管理会社がどの会社なのかはなかなかわかりません。インターネットだけでは、信頼できる業者かどうかを判断するのは困難です。

従って、信頼できる業者を確認する意味でも現地に入り、実際にその業者に管理を委託しているオーナーさんなどに話を聞くことが重要になります。

そのためには物件を決める前に“どの都市で投資するか”を決め、その都市で展開する管理会社数社をリストアップし、複数の物件を案内してもらうというステップを踏むのが合理的です。何日か滞在し、管理委託を受けているオーナーさんも紹介してもらいます。

オーナーさんの紹介を嫌がるような管理会社は、オーナーの評価に自信がない可能性があるので、それだけで避けた方が良いでしょう。

購入後も建物の管理・修繕や、入居者管理(質の良い入居者の確保など)、出口戦略(建て替えが良いか売却が良いかなど)を検討する意味でも、信頼できる管理会社かどうかで収益性が大きく左右されます。地方中古アパート投資をするなら、物件選び以上に管理会社選びに神経と時間を使うべきなのです。

信頼できる不動産会社

以下の記事も参考にしてください。

アパートにかかる修繕費を想定しておこう

不動産投資の出口戦略とは

アパートローンと住宅ローン、プロパーローンの違い

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もりお@不動産投資の森編集部

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