今回の記事では、賃貸併用住宅を建築するたにあたって、実際に自分が体験してきたことを中心に書いているので、これから賃貸併用住宅の建築を考えている方にとって少しは参考になると思います。
まずは、「賃貸併用住宅」の意味や定義などからおさらいしていきます。
目次
私の賃貸併用住宅物件のスペック
- 土地売値1480万
- 土地購入金額1400万(80万円指値)
- 土地平米数145平米
- 建蔽率/容積率50/100
- 自宅建築面積約60平米
- 賃貸建築面積40平米
- 賃貸居室1K×2戸
- 想定家賃約12万円
- 銀行融資金額3400万円
- 建築費約2600万円
- 融資条件1.45%35年住宅ローン
- 毎月返済額10.3万円
- CF約1.7万円
賃貸併用住宅とは
賃貸併用住宅とは、1つの建物で、オーナー用の居室と賃貸用の居室が一緒になっている住宅のことです。住宅ローンを利用して賃貸併用住宅を建てることで、低金利、長期の借り入れができるため、入居者からの賃借料で住宅ローンが返済できるというメリットがあります。
その時に注意しなければいけないのが、「住居と賃貸用エリアの面積割合」で、住居が50%以上でなければ住宅ローンを利用することはできません。
つまり、半分以上は住む用の部屋でなければ住宅ローンでは融資できませんという事です。
しかし、その点をクリアすることができれば通常の住宅ローンと同じ条件でアパートを建築することができます。
ざっくりまとめると、「家賃収入で住宅ローンを返せちゃうマイホーム」なんですが、実現するのに少し手間がかかります。
アパートローンと住宅ローンの差
アパートローンと住宅ローンでそんなに差があるのか疑問に思うかもしれませんが、実際の支払にすると一目瞭然です。融資額5,000万の場合で比較してみます。
融資期間 | 金利 | 支払額 | |
---|---|---|---|
住宅ローン | 35年 | 1% | 約14万 |
アパートローン | 30年 | 3% | 約21万 |
と、こんな風に支払額に差が出てきます。融資を使って不動産投資をする際に、大切なことはキャッシュフロー(現金の出入り)なので、
- 融資期間を長期でとれる
- 低金利で融資できる
というのは大きなメリットになります。これはメリットをわかりやすくするために簡単に比較したものですが、不動産投資を行うのに、住宅ローンの条件で融資をしてもらえるというのはこの上ない好条件なのです。
では、ほかにもある賃貸併用住宅のメリットとデメリットを見てみましょう。
賃貸併用住宅のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
このあたりではないでしょうか。メリットとデメリットの詳細については、下記の記事で詳しく書いています。
賃貸併用住宅はどこに頼めばいいのか
では、実際に賃貸併用住宅を建てたい!と思ったらどうすれば良いのでしょうか。わからないことも多く、はじめはどうしたら良いかわからないと思います。
まず、大きく分けて3つの方法があります。
- 土地探しから全部自分でやる
- 賃貸併用住宅専門の仲介業者にサポートしてもらう
- ハウスメーカーに丸投げする
この3パターンです。上から順番に、自分の手元に残るお金は減っていきます。当たり前のことですが、仲介業者が入ったり、自分の手間を業者に預けることで利益を抜かれます。
不動産投資といっても、「賃貸業」という1つのビジネスであることは間違いありませんので、「放っておいても儲かる」なんてことはありえません。お金が余っていて節税目的である、広大な土地を持て余している、という方にとってハウスメーカーの存在はありがたいかもしれませんが、当ブログではオススメしていません。
実践しているのは1番の「全部自分でやる」という方法です。2番の専門業者にサポートしてもらうというのは、妥協案としてありですが私はお断りしました。検索するといくつか業者さんが出てくるので興味がある人は探してみて下さい。
賃貸併用住宅を建築する流れ
では、自分でやるとなったらまずは何をすればよいのでしょう?全体的な流れは下記のとおりです。
- 賃貸併用住宅取得に着手
- 自分の借入可能金額把握
- プロにアドバイスを求める
- 土地発見
- 現地調査
- 買付申し込み
- 融資本審査
- 土地購入決済
- 設計担当(建築士)相談
- プランニング
- 建物完成
- 客付入居
情報収集、融資先探し、土地選定、建築、客付け、と大きく分けると5つのフェーズにわかれていますが、同時進行しなければいけないところもありますし、細かくわけるとこの12項目になります。
賃貸併用住宅取得に着手
まずは、賃貸併用住宅ってなに?というところからのスタートでした。賃貸併用住宅のことが書かれている本はほとんど全部読んだと思います。
おすすめの本や簡単な書評などは下記の記事に書いてますので、まずは読んでみて、できるかどうかを判断しましょう。
また、本以外では、実際に賃貸併用住宅の建築をサポートしている会社に行って面談をしてきました。関東近郊にお住まいの方でしたら一度お話しを聞いてみると良いと思います。リアライズさんという会社です。
ある程度知識がついたら、まずは「やるかどうか」を判断しましょう。それなりに手間がかかるので、中途半端に取り掛かっても実現するのは難しいです。お金があって、手間はかけたくないけど賃貸併用住宅にしたいという場合は高いですがハウスメーカーに依頼すれば形にはなります。(本気で高いですが)
自分の借入可能金額把握
ここから先は、「自分でやってみる」という選択肢を選んだ場合です。まず最初にやるべきは「借入できる金額を知ること」です。
自分は3000万しか借りれないのか?5000万借りれるのか?1億借りれるのか?あるいは借りることができないのか?などをある程度でも把握しておかないと前に進めません。ここがわからないと、建築するエリアも決められないし、規模も決められません。
ここで大切なのは、「やる」と決めたら貸してくれるところが見つかるまで何行も回ってみることです。銀行によって融資基準は違いますので、1つ目の銀行がダメでも次は大丈夫かもしれません。また、その支店によってや担当者によっても回答が変わるケースもあります。
私の場合はみずほさんに相談に行き、ある程度の目安を知りました。今はじぶん銀行さんが賃貸併用に積極的なので、まずは問い合わせてみると良いでしょう。少し入力項目が多いですが、web上の入力で融資できるかどうかの返答を頂けます。下記記事参照
プロにアドバイスを求める
プロというのは、私の場合は「建築士」さんのことでした。ある程度融資可能額がわかったら、次はどれくらいの規模の建物を建てるのか?を考える必要があります。
例えば、5000万融資が可能だとしたら、土地に使えるのはいくらなのか?と逆算していかなければ探すべき土地がわかりません。そして、建物の金額を把握するには建築士であったり工務店であったり、プロに聞く必要があります。
目安として考える場合は、「坪単価」という考え方もありますが、建築する土地、工法、2階建てか3階建てか?などによって坪単価は変わりますし、どこまでを坪単価に含めるのか?によっても金額はかわります。本当に参考程度にしかなりませんが、坪単価で建物金額を計算する場合は、「坪75~90万円」くらいを見ておいたほうが良いです。
土地発見
自分の融資可能額を把握して、だいたいの建物規模をつかんだら次は実際に土地探しに入っていきました。
人によってはここが一番難しいかもしれないです。運も左右しますし。ただ、ぼーっとしていては良い土地は見つかりません。私が実践したのは、とにかく多くの土地を見ることです。あらゆる不動産売買の情報サイトに登録して、新着情報を追いかけ続けました。
すべてのサイトを見る
スーモ、ホームズ、アットホーム、不動産連合体、不動産ジャパン、不動産JPなどです。また、実際に目当てのエリアから近くの不動産屋にいって声をかけたりもしました。結局見つけたのはweb上に載せられていた土地でしたが、やはり元請けは地元の業者さんでした。
自分で条件の最低ラインと優先順位を決めておき、妥協できる範囲の土地があれば全部見に行きました。エクセルなどのシートにして比較し続けるのが大切です。ずっと追いかけていると値下げする土地も出てきますし、「指値」と言って値下げ交渉をすることもできます。
なんとしても見つける気合
とにかく大切なのは、「なんとしても土地を見つける」という気合で物件情報を見続けることです。
条件ですが、「条件付き土地」「建売の賃貸併用住宅」ではなく、「更地」または「古屋つき物件」を探します。専門的なことは省きますが、建蔽率や容積率から自分の建てたい建物が建つかどうか?を考えて土地選びをする必要があります。
条例や規制にも注意
実際に想定する建物が建つか?という観点では条例などにも注意しなければいけません。自治体によって細かいルールがあり、面積をフルに使えないケースや3階建てができないケースなどさまざまなケースがありました。
このあたりは素人で判断するのはあまりにも難しいので、やはりすぐに連絡ができる建築士さんを挟んでおくのが理想です。土地を買ってから建物が建てられなかった、では冗談になりませんので。
現地調査
条件に合う土地があったらガンガン現地調査にいきます。実際に行ってみると思っていたのと違ったり、周囲の環境もわかります。自分が住む+賃貸需要が想定できることを考えなければいけないので、結構難しいです。
そのエリアにおける「相場」というのは何度も土地を見に行けば把握できるようになります。極端に安い土地には理由がありますが、相場がわかってくると割安な土地を見分けることができるようになります。
収支をよくするためには、土地を安く買うか、建築費を抑えるか、家賃を多く取るか?ですので、土地をできる限り割安で買っておくのは最初の重大な部分です。タイミングもありますので、あきらめずに何度も土地を見に行きましょう。
買付申し込み
現地調査にいって納得できる土地が見つかったら、売り主に買い付けの申し込みをします。
決断してからはスピード勝負で、良い土地は迷っている暇などありません。
融資本審査
買い付けと同時に融資の審査も進める必要があります。建売ではありませんので、融資先から「購入予定の土地情報」「建築予定の建物図面」を求められます。
ここでもスピードが必要になり、モタついていると売り主は次の買い付け希望者に話を振ってしまいます。建築士に迅速に土地情報をわたし、簡易で構わないので完成図面を書いてもらう必要があります。
このあたりは融資先のスタンスにもよるのでそれぞれ違いはあるかもしれませんが、スピード感が必要になるのは間違いないと思います。
土地購入決済
無事に融資が通ったら、売買契約を交わします。その後、融資の契約をし、返済がスタートします。
これも融資先により異なりますが、「一括融資」なのか、「分割融資」なのかによって返済額は変わります。私の場合は土地の分を先に融資して頂きましたので、土地分の返済はここでスタートしました。
一括融資の場合には、現在の家賃と新しい住宅ローンの2重払いがまるごとかぶってくるので注意が必要です。つなぎローンなども考えて進めないとお金が尽きてしまいます。
設計担当(建築士)相談
土地を購入できたら次は建物を考えなければいけません。すでに返済は開始しているので、少しでも早く建物を完成し、家賃を頂かなくては赤字状態が延びるだけです。
では、建築はどこに頼めばよいのか?ですが、ハウスメーカー、工務店、建築士、と大きく3つに分かれます。まず、ハウスメーカーは高いので除外します。
工務店と建築士のどちらに依頼するか?ですが、私は土地探しの段階からお世話になっていた建築士さんにそのままお願いしました。やはり状況をわかってくれているし、話がしやすかったので。そのあたりのことは別記事にて解説しているので、こちらをお読みください。
プランニング
依頼先が決定されたら建物のプランを考えます。自分たち以外に借りてくれる人のことも考えなければいけないし、両者の距離感など、通常の注文住宅と比べると考えることは多いです。
今思えばここが一番力を入れた部分かもしれません。2015年の2月くらいに土地を購入し、図面などが完成し、工務店を決めて、工事が始まったのは2016年の3月頃です。
その間何度も何度も打ち合わせを重ね、慎重に工務店を選びました。
建物完成
無事に建物が完成したら、まずは自分が引っ越します(笑
造園や、細かい部分は建築費を抑えるために頼んでいませんので、これから少しずつDIYしていく予定です。
客付入居
客付けについてはこれからですが、もうすぐ完成予定なのでちょうど今準備中です。管理契約をして、完成前に募集を開始する予定です。
賃貸併用住宅をやろうか悩んでいる方へ
ここまでやってみて思ったのは、「中途半端にやるならやらないほうがいい」という事です。
賃貸併用住宅が無事に回りだすと、住宅ローンを家賃収入で返済していくことができます。実質住宅ローンが0円となり、住居に対する支払がなくなります。これはとても大きなメリットですが、ここまでくるのに大変でしたし、中途半端にやろうと思っても実現するのが難しいと思います。
勢いだけで進めればやれないこともありませんが、金額が大きいので取返しのつかない失敗をすると大変です。
「面倒そうだし、できないかな・・・」と正直に感じるのであればやらないほうがいいと言っておきます。賃貸を続けるのも悪くありませんし、収支バランスのあった返済額で普通に建売やマンションを買うのも良いと思います。
それでもやってみようという方がいらっしゃれば、お気軽にご連絡いただければ経験したことならアドバイスできると思います。コメントでも、メールでも構いませんのでお気軽にご連絡下さい。(これでもかなり端折ってますから笑)
KawataKenji
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